異世界灯台守の日々   作:くりゅ~ぐ

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第103話 天へと届け

 

朝日が海面に照らされ輝いている

 

一日の始まりと言う名の絵画の様だ

 

浜の北寄り、バハラ側方面は早朝の漁から帰って来た船で賑わって居る。

 

南のフィグ村方面の浜と対比すれば天と地程の差がある。

 

南の浜は船どころか人っ子一人居ない。

 

まぁ猫が何匹か歩いて居るが海岸沿いの砂浜を歩く猫と言うのも不思議な絵面ではある。

 

 

「あっ守長どうしたんだ?」

 

「棘鎧が食いたくなってな、買いに来た」

 

「あー どうだろ、誰も獲れて無いんじゃないかな?」

 

「誰か一人位居るだろ?」

 

「んー 俺一回りして来たけど居なかったけどなぁ、海ザリガニは獲れた奴は居たなぁ」

 

マジかよ、てかロブスターの口では無いんだよなぁ、俺は伊勢海老が食いたいんだ、ロブスターはちょっと違うんだよなぁ‥‥

 

「この船は何が獲れたんだ?」

 

「色々だな、まぁ見てくれよ」

 

うーん、サンマか‥‥ おっサバか、それに鱈があるな、鱈はちと身が痩せてるがこれは引き締まってると見るか、身が痩せてると見るかどっちだろうな。

 

鱈はフイッシュアンドチップスにしても良いな。

 

じゃがいもと鱈か、アリだな、そうだな今日の夕飯はフイッシュアンドチップスにするか。

 

サバはハンナにやろう、小さめのやつにするか、

そうしよう、最近サバを与えて無いし丁度良いな。

 

「おい、鱈とサバをくれ、サバはこの小さいのを、鱈はこれを買う幾らだ?」

 

「ほいよ! 鱈は銅貨五枚、サバは‥‥ おまけするよ」

 

「ん? 良いのか?」

 

「良いよサバは小さいからおまけだ」

 

「良し買った」

 

しかし鱈が銅貨五枚か安いよな、まぁ身がちと痩せてるがこれでも味は悪く無いだろう。

 

「守~長~♪」

「ゲッ! ジル何してんだお前」

 

「父ちゃんの手伝いに来た ねえ何でゲッって言ったの?」

 

そら言うわ、いきなり気配も無く目の前に現れたら

 

「気のせいだろ気のせい」

 

「そう?」

 

チッ‥‥

 

コイツ何で居るんだよ、ああそうか親の手伝いでここに居るんだったな、てかタイミングが悪かったなまさか居るとは思わなかったわ。

 

うん、その辺りを考えてなかった俺の失態だな。

 

ニャ~~

 

「あっ、ちょっとも~う 今エサは無いよ」

 

「・・・」

 

うん、猫多いよね、数えるのもアホらしい程いっぱい猫が居る、理由は漁から帰って来た奴等からエサを貰う為だろう。

 

実際小魚や売り物になりそうに無い物を今もそこら中で猫達にあげて居る、ジルの足元にスリ寄って来てる猫もエサを貰う為なんだろうな、てかこの猫は何時もジルにエサを貰って居るのかも知れない。

 

この猫、キジ猫だが ジルのヒモと言う事だろう、

まぁオスかメスかは分からんがな。

 

うん、この猫もしオスならジルを嫁に引き取ってくれないかなぁ‥‥

 

あっ、又一匹ジルの足元に寄ってきた、

凄いですねジルさん、モテモテじゃないですか、

オスかメスか分からないけどその猫にお嫁さんにして貰ってはどうですか?

 

寧ろ猫の嫁になれ、いや、なって下さい。

 

「守長、猫見てるの? この子達ね何時もエサあげてるの、だから来たら寄って来るんだよね~」

 

「そうなんだ」

 

「この子ら子猫の頃から私がエサあげてたから私を見付けると寄って来て足にスリスリして来るんだ~ 村で一番私に懐いてるんだよ」

 

「そうなんだ」

 

「可愛いよねー 子猫の時は今よりもっと可愛かったんだよ、まぁ今も可愛いんだけどね」

 

「そうなんだ」

 

「ねえ守長、さっきからそうなんだしか言って無いよね?」

 

「そ‥‥ 気のせいじゃないか?」

 

「・・・」

 

チッ‥‥

 

マジどうでも良いわ、てかさっさとパパんトコに手伝いに行けや、つーかマジでコイツまっ平らだな、そしてケツもデカイと‥‥

 

本当残念な奴だよ、見てくれは悪く無いんだ、

寧ろツラ自体は良い部類なのにな、まぁそれ以前の問題でド変態の被虐趣味な訳だが‥‥

 

「ねえ‥‥ 守長もしかして私を見詰めてる?」

 

「んーな訳無いだろいきなり何を抜かしてるんだお前は、朝っぱらから酒でも飲んで酔っ払ってんのかよお前は?」

 

「えー だって私をジーッと見てたじゃないの」

 

「お前‥‥」

 

コイツどんだけ自意識過剰なんだよ、いや‥‥

 

例え僅かでもコイツを見た俺の、見てしまった俺の失態だ、気を付けなけれはならない、極力コイツには関わってはいけない、そうだ気を付けなければいけない。

 

「て! おい! お前近いんだよ離れろ」

 

「えー そうかな? 気のせいじゃ無いかな?」

 

この変態めが、アレから妙に距離を詰めて来やがってからに、てか何回目だこのやり取り?

 

「ねえねえ何買ったの守長?」

 

「あー? 鱈とサバだよ」

 

「へぇ~ 何を作るの?」

 

別に何でも良いだろうがよ、てかちけーんだよ、

マジで誰か助けてくれ!

 

あーもう、コレ言わなきゃ何時までもまとわり付いて来そうだな、仕方無いか‥‥

 

「鱈はフイッシュアンドチップスにして、サバはハンナにやるんだよ、これで良いか、もうお前の好奇心は満たされただろ」

 

「ねえねえ、私が作ってあげようか? 私、結構料理は得意なんだよ」

 

いやそんな事聞いて無いし聞きたく無いわい、

てか何を抜かしてるんだコイツ?

 

料理くらい出来るし、俺の方が腕は良いわ。

 

つーかさっさとどっかに行って欲しいって分かって無いのか?

 

それか気付かぬ振りをしてんのか? どっちだ?

 

本当コイツ封印が解けてるんではないだろうな?

 

「ね~え守長~ 今晩私が作ってあげる、夜‥‥ 灯台に行っても良いでしよ?」

 

「アホか! 寝言は寝て言えや! てか誤解されるだろうが、ふざけんなや」

 

「えー ふざけて無いよ、本気だよ」

 

「尚の事タチ悪いわ、来るなよ、絶対来るなよ、絶対だからな、振りとかじゃ無く絶対来るなよ」

 

「守長分かってるから、そーゆー振り何でしょ?」

 

「違うわ、フリでも何でもねーよ」

 

この変態マジでタチ悪いな‥‥

 

ちゃんと言い聞かせ無いと来そうだ、

てか分からないフリして無理矢理来そうだな。

 

「本気で来るな、料理も自分で作れる、フリでも何でも無く来るな」

 

「えー何でよ~」

 

「お前臭いから」

 

「はっ?」

 

どうだ、臭いと言われて女として、人として気分が落ち込んだだろう、残酷なようだがこれは意外な程効くんだ。

 

てかコイツ冗談でも何でも無く夜這い掛けて来そうだ、それか押し掛け女房?

 

まぁ兎に角 何としてでもそれは阻止しなくてはならない、女に臭い等と言えば俺の人間性が疑われるだろうがもう手段を選んで居られない。

 

「えー 周りが魚だらけだからじゃ無いの? 私皆に良い匂いするって言われるから私は違うよ」

 

コイツ‥‥ 自信満々かよ!

 

いやまぁ確かにコイツは臭く無いぞ、

でも女が臭いって言われたらちっとは気にしろよな、てかマジでめげないよな、どうしよう‥‥

 

まさか無敵かコイツ?

 

正攻法で行くか、きっちり理を説き言い聞かせるしかない。

 

「兎に角ダメ、てかお前夜に男の家に行くって意味分かってんのかよ?」

 

「やだぁ、分かってるに決まってんじゃない、私子供じゃ無いんだよ、私‥‥ 守長なら良いよ‥‥」

 

良いよじゃねーんだよ、てか俺が嫌なんだよ!

 

コイツ本当ガンガン来るよな‥‥

 

そんなに俺に縛って欲しいのかよ、嫌だなぁ‥‥

 

何で俺がこんな目に合わなければなら無いんだ?

 

この村に来て一年、それ迄 一回も俺に惹かれる様な素振りも予兆すら無かったのに‥‥

 

あの夜からだ、あの緊縛から全てが狂ってしまった、まさかコイツが被虐趣味の持ち主とは思わなかった、もし分かって居たら、うん、絶対に縛ったりはしなかったな。

 

てかこのドM本当どうしてくれようか、

危険かも知れないがもう一回封印するか?

 

だがなぁ効くかどうかも分からんし、下手にやったら完全にあの夜の事を思い出すかも知れない。

 

いかんな堂々巡りだ、上手い手が思い浮かばない。

 

ニャ~・・・ シャー シャー・・・

 

ウニャニヤニャニャ~ !

 

「あっこらアンタ達止めなさい!」

 

あっ、ジルの足にまとわり付いて居た猫達がケンカ始めやがった! これは‥‥

 

「も~うダメだよ、私を取り合ってケンカしないで、ホラ止めなさい」

 

コイツは何でちょっと嬉しそう何だろうか?

 

しかも自慢気と言うか満更でも無いツラしてやがるんだが?

 

だがこれは好機だ、うん、取り敢えず戦略的撤退、

まぁ逃げを打つ訳だが‥‥

 

うん、事態の先延ばしだな、だが今はそれで良い、

だって面倒だもの、朝一 起き抜けで頭がいまいち回らない、今日はこの位にしておいてやる。

 

「ジル、俺はお前は好みじゃ無い、じゃ俺は帰る、それと灯台に来ても無駄だぞ、じい様達に言ってお前は入らせない様に言っておくから、ジルお前 出禁な、灯台には来ても無駄だし来るな」

 

「またまた~ 本当は嬉しいクセ~」

 

「アホか本心だよ! それとお前口臭いぞ、じゃさらばだ!」

 

ジルの奴 暴言吐かれたのに何で嬉しそうなんだ?

 

何で頬を染めてうっとりとした顔してるんだろう?

 

多分 人が大勢居る場所で辱しめられて嬉しいのだろう。

 

ああ‥‥ アイツはホンマもんだ、真正だよ

 

俺はジルから背を向けダッシュでその場から離脱した、奴の恍惚とした表情を、熱の籠った視線を受けながらこの人生一の走りで灯台へと走った。

 

神様 お願いです、既に手遅れかも知れませんが、

あの変態を何とかして下さい。

 

俺の祈りが天へと届くかはまだ分からない・・・

 

 

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