異世界灯台守の日々   作:くりゅ~ぐ

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再開予定は一月九日の月曜日になります


第157話 時の流れは戻らない

 

「ねえねぇ、守長は剣は使わないの?」

 

「何だよいきなり? 剣? 短剣は少しは使えるし使うが、剣なぁ‥‥ 剣は一応使えるけど本当に一応だな、剣より短剣のが使える、てかどうしてそんな事を聞く?」

 

「だって守長は棒使うでしょ? ホラ、長い棒」

 

「長い棒ってお前‥‥」

 

確かに長い棒だけど、先っちょにも付いてるだろうが。

 

薙刀とは言わんがグレイブって言えよ。

 

この世界でも俺は薙刀を使って居る。

 

と言っても薙刀って言っても通じないから、グレイブモドキって言ってるが、長い棒ってお前‥‥

 

「なぁアンナ何で憑いて‥‥ 付いて来るんだ?」

 

「えー 良いでしょ、ねぇねぇ守長は(かぎ)付きの鉄の短い棒使うでしょ? アレ教えてー」

 

「お前、鈎付きの短い棒って‥‥ てかダメ、教えない」

 

「何で? 何でなの?」

 

「前にも言っただろうが、お前に教えるとロクな事に使わないから、てか悪用するだろうから、うん、無理だな」

 

「しないから~ ねえ守長~」

 

「無理」

 

アンナにコレ以上何かを教えてしまっては、更なるパワーアップに繋がってしまう。

 

そして何よりコイツは必ず悪用する。

 

大事な事だからもう一度言うが、絶対、必ず、間違いなく悪用する。

 

今ですら手が付けられないのにコレ以上の強化は危険だ。

 

あのチンピラ筆頭のブライアンですら、怪我を覚悟しなきゃ止められないんだからな。

 

そんな危険な事を、将来の厄災となる様な事を俺がするはずが無い。

 

「何でなの? 守長今フィグ村の人に教えてるでしょ? 何で私はダメなの?」

 

「さっき言っただろうが‥‥ おいアンナ、あんまゴネてると分かってるよな?」

 

「・・・」

 

この前久々に簀巻きにして吊るしたから効果覿面だわ。

 

しかしアンナの奴まだ不満そうだな‥‥

 

残念ながらと言うべきか、コイツには絶対、決して教えない。

 

コイツは筋が良いし、本当に良いモン持ってるからな。

 

ちゃんと教えればかなりの使い手になるだろう。

 

だからこそなんだ、アンナが悪用した場合、間違いなく俺がケツ拭きをしなければならない。

 

今でさえアンナが何かやらかした時は俺を呼びに来られる。

 

これ以上コイツのケツ拭きは勘弁して欲しいものである。

 

「大体お前、武術を悪用しないとして、何に使うんだよ? 軍人にでもなるつもりか?」

 

「違うけど‥‥」

 

「ならいらんだろ? 女性の貴人を守る為に女の軍人や騎士も居るし、必要ではあるけど、大体が騎士爵家の二女、いや、三女や四女や五女が多いんだ、二女でもたまに居るけど基本的に三女から下の奴がなるもんだ」

 

「守長もそーゆー 人知ってんの?」

 

「そりゃな、帝城で働いて居たんだ、知ってる奴は居るに決まってるじゃないか」

 

と言っても女騎士や女軍人だけで無く、女官吏にも知り合いは居る。

 

騎士爵家では武官だけで無く官吏になる奴も、いや、女も多い。

 

例えばあのロリババアがそうだ。

 

奴は三女だが官吏の道を選んだ。

 

とは言え普通は下級官吏を目指すんだが、奴は特級官吏になった。

 

特級官吏は女もそこそこ居るが、奴の様にあの若さで合格する奴は滅多に処か極稀だ。

 

と言うより学園に在学中に合格する等、長い帝国の歴史の中でも極々極々稀である。

 

そしてあの歳でと言うならば、俺の歳での合格は更に少ない。

 

それこそ数える位しか居ない。

 

ましてや首席と次席が女性である。

 

俺や同期の合格者達が如何に珍しいか、いや、異端と言っても良い程かと言うのも分かろうと言う物だ。

 

俺や同期達が周りから注目され、色んな意味で脚光を浴びたのは当然だったが、それがどの様な意味を持つのか、あの時はまだ分からなかった‥‥

 

「ねえ守長、今から何処に行くの?」

 

又コイツはいきなりだな。

 

「アリーばあ様んトコだよ」

 

「何しに行くの~?」

 

「逢い引きだよ」

 

「えっ?‥‥」

 

「お前は何本気にしてんだよ、んーな訳無いだろ」

 

「だって守長、真剣な顔で言うから‥‥」

 

うん、言ったね、でも流石にアリーばあ様は無いだろう? 熟女過ぎだ。

 

あまりにも熟し過ぎはちょっと‥‥

 

「冗談をマジに受けとるな、てかお前は俺を何だと思ってるんだ? まさか女に見境無いとでも思ってるのか?」

 

「でもアリーばあ様は昔は美人だったんだよ」

 

「知らんわ、昔って何時の話だよ? 大昔過ぎだろうが」

 

「守長は大人な女が好き何でしょ?」

 

「おいアンナ、大人と婆さんは全然違うからな、お前マジで‥‥ 変な噂が立ったらどうしてくれるんだ?」

 

本当、只でさえロリコン疑惑と言う不名誉な噂があるのにコイツは‥‥

 

てか原因はコイツなんだが‥‥

 

しかしあれだな、まさかと思うがコイツが噂をバラ撒いてるんじゃないだろうな?

 

「守長はこの前船で来た人が好きなの?」

 

「お前又いきなり何を言ってんだ? と言うかジゼルに聞いて無いのか?」

 

「えっ? 聞いて無いよ~」

 

「又俺は一から説明しないといけないのか? まぁ良い、あの人は‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

~~~

 

「そうなんだ? じゃあ、守長の婚約者じゃ無いんだね?」

 

「だからそう言ってんだろうが、本当もう‥‥ 皆して聞いて来やがってからに、てかアンナ、何回も同じ話をするのは俺は嫌いだ、大事な事だからもう一回言う、俺は キ ラ イ だ!」

 

「わ 分かったよ守長」

 

「次聞いて来たら吊るす」

 

「・・・」

 

こうでも言わないとコイツは延々と聞いて来る。

 

人のプライベートに踏み込むには、ある程度の関係ってのが必要だからな、その辺りの区別は必要だ。

 

「お前ら本当なぁ、次にあの人が来る時はいちいち見物に来るなよ」

 

「えっ、又来るの?」

 

「来るんだよ‥‥」

 

まだ未定だが来るのは確定だ。

 

次こそは只の楽しいお茶会にしたいもんだよ。

 

~~~

 

「おや守長、どうしたね?」

 

「アリーばあ様の怪しい薬を買いに来たんだよ」

 

「守長、アタシはそんなの扱って無いからね」

 

「ならませガキを黙らせる薬は無いか?」

 

「何で欲しいか理由も分かってるけど、あえて言わないでおくよ」

 

アリーばあ様め、アンナをチラチラ見ながら言ったらバレバレだと思うが、当の本人は全く気づいて居ないが、アレは自分がませガキだって自覚がカケラも無いからだろうなぁ‥‥

 

マジでアンナの奴無敵だよ。

 

「うん、言っても無駄だからな、それより何時もの薬茶をくれ」

 

「何時ものね、ちょっと待っといておくれ」

 

アリーばあ様の薬茶は身体に凄く良いし、味も結構良い。

 

薬草を煎じた物だから漢方の様なイメージだが、実際飲んでみると漢方の独特の匂いや味はほぼ無く、結構香り高いし美味い。

 

使っているとおぼしき、推定した材料から考えてあの味になるのは、間違いなく怪しい薬が混ぜてあるからだろうとそう思い、毎回ばあ様に聞いて居るが未だに認めやがらない。

 

作り方を聞いても飯の種だからと言って口を割らないので、未だに疑惑は解消されて居ない。

 

飯の種と言われれば、それ以上は追及出来ない。

 

とは言え薬茶があんなに良い味になると言うのは、どう考えても怪しい薬が混ざってるとしか思えない。

 

「守長お待たせ」

 

「アリーばあ様、さっきアンナから聞いたが、昔は美人だったって聞いたんだが?」

 

「そうだね、でも今も美人だろ?」

 

「まぁそれは置いといてだな‥‥」

 

「失礼だね守長、で? それがどうしたんだね?」

 

「昔から怪しい薬を使ってそうなったのか?」

 

「本当に失礼だね‥‥ そんなの使って無いし、アタシは元からだよ」

 

アレ? これってマジなのか?

 

言い方に全く淀みやブレが無かったぞ。

 

当たり前の事として、当然だって、心から言ってるじゃないか‥‥

 

ちょっとした話のネタに、軽口として言っただけなのに、マジなのかよ‥‥

 

「守長が今何を考えてるか何となく分かるけど、本当失礼だね」

 

「自信満々じゃないか、おい、何か見てみたかったなぁ、昔のアリーばあ様を」

 

「見せたげようか?」

 

「えっ? どうやって?」

 

アリーばあ様もしかしてボケたのか?

 

この世界にはカメラが無いし、当然写真も無いんだぞ。

 

どうやって見せるつもりだ?

 

「何をそんなに驚いてるのか分からないけど、絵姿に残してるんだよ」

 

「あっ!‥‥ 絵か‥‥」

 

「持って来るからちょっと待ってておくれ」

 

俺は何でそんな簡単な事に気付かなかったんだ?

 

いや、絵はかなり高い。

 

平民でそんな事が出来るのは、上流階級の人間だけだ。

 

いくら薬師とはいえ、そう簡単に絵姿に残せる物じゃ無い。

 

金がかなり掛かるんだ。

 

やはり怪しい薬を売りさばいて居るのでは‥‥

 

「お待たせ、これだよ」

 

「わー! アリーばあ様美人だね~」

 

「はっ? ちょっと待て! 美人過ぎるだろ、てか美化し過ぎじゃないか?」

 

「本当に失礼だね‥‥ コレは美化も修正もしてないよ、昔のアタシのありのままの姿さ」

 

はぁ~~~?

 

いやいやいや、美人過ぎ、いや、美人と言う言葉ですら陳腐になる。

 

それ位に美しい‥‥

 

傾国、まさにその言葉がしっくり来る。

 

アマンダと変わらない程、部分的には一部では(まさ)ってすらいる‥‥

 

「いやいや、流石にこれは‥‥ アマンダ並じゃないかよ、パーツの一部分では勝ってすらいるぞこれ」

 

「だから言ったじゃないのさ、アタシは美人だったんだよ、まぁ今もだけどね」

 

「今は兎も角この時の美しさ、正に傾国だぞ‥‥ これがマジならな」

 

「本当だよ、偽り一切なしでアタシだよ、でも傾国ねえ‥‥ 久々に言われたよ」

 

このババア‥‥ マジか‥‥

 

すげえわ本当、只なぁ‥‥

 

時の流れは残酷だったか?

 

今が正にそうだな、ババアになれば崩れる。

 

とは言えアリーばあ様は確かにババアだが、小マシな顔つきではあるし、面影は確かにある。

 

残念だよ、この頃に出会ってたら口説いて居たんだがな。

 

「なぁ、この頃のアリーばあ様、俺好みなんだが、なぁ、怪しい薬使ってこの頃に戻ってくれないか?」

 

「無理だよ、薬師だからって何でも出来ると思われたら困るよ、時の流れは戻らないのさ」

 

「だよなぁ‥‥ アマンダ並に美しい奴なんて初めて見たわ、パーツの一部分では勝ってるが、良く見ると全体的な造りはアマンダが上だな」

 

「まぁねえ、あの子も整った顔してるからねえ、妙な色気があるから、それを除いたらどっこいどっこいじゃないかね」

 

「否定出来ないのが辛いとこだな‥‥」

 

花が美しいのは何故か?

 

何時か枯れるからこそ、その美しさがより引き立つだったかな?

 

だからこそ作り物の美しさは意味が無い。

 

美学が無いんだよな‥‥

 

「守長、アタシを見詰めてどうしたんだね? もしかしてホレたのかね?」

 

「それは無い、後五十は若返ったら考えても良いが、今のアリーばあ様はちょっと‥‥」

 

アリーばあ様の下らない冗談にマジで答えてしまったわ。

 

しかし‥‥

 

アマンダも何時かこうなるのか?‥‥

 

想像が付かないな。

 

枯れて、いや、散る美しさがある花もある。

 

桜がそうだ。

 

アリーばあ様の絵姿の頃が薔薇なら、アマンダは桜だな。

 

それも夜桜だ。

 

幻想的な美しさ、散り際迄も美しさがある。

 

美学ある美しさ、幻想的な美しさ。

 

そうだな、アマンダは幻想的な美しさと儚さがあるんだよな‥‥

 

何でだろう? アマンダに会いたいと、ふとそう思った。

 

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