異世界灯台守の日々   作:くりゅ~ぐ

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第171話 其に意味を求めてはならない

 

「おい、あんま火に近付くなよ」

 

「大丈夫だよー」

 

「ダメだ、危ないからもう少し離れろ」

 

ガキ達から目を離せないじゃないか。

 

流石にチャンバラはもうやって無いが、火に結構近付く奴が居てるので、常に注意しなければいけない。

 

面倒で仕方無い、うん、侵入ラインを設定しよう。

 

「ホラお前達一旦火から離れろ、今から線を書くからそこから先は入ったらダメだぞ、それと空中だから良いとかも無しだからな、線から先は一切侵入禁止だからな」

 

こう言っておかないと、必ず空中だからセーフとか抜かす奴が居るからな。

 

あんま近づき過ぎて髪とか服が焦げる奴も居る。

 

マジでガキは目を離せ無い、しかし‥‥

 

姫カット率が高いな‥‥

 

アンナ以外にも六人居るぞ、その内就学前の子が三人姫カットにして居る。

 

アンナ以外の就学児と未就学児の姫カット率は半々か、流行っちゃったなぁ。

 

しかしなぁ、アンナは髪は元々綺麗だった。

 

それなのに髪が傷んだからって切って、いや、切り過ぎて失敗し、姫カットにした訳だが、アンナの奴は髪は括らない派だし、傷んだ理由が分からなかったが何の事は無い、家では邪魔だから括ったりしてた様だ。

 

後は髪留めも傷んだ原因だったらしい。

 

俺には綺麗に見えてたが、案外傷んだりしてたみたいだ。

 

とは言え、じっくり見ても分からん位の傷みみたいだった様で、男の俺には分からんが、女目線からしたら気付くってアンナが言ってたな。

 

この辺りは転生しようが、長く生きようが、女の事は完全に分かるのは無理だな。

 

「「キンキンキンキン」」

 

「・・・」

 

うん、又あの二人チャンバラしてるね、しかもエアでしてやがる。

 

エアチャンバラって‥‥ そこまでしてしたいか?

 

何があの二人をそうさせてるのかサッパリ分からん。

 

棒も枝も持たず上手い事やるもんだよ、心底楽しそうだ。

 

と言ってもこの場に居る子供達は皆楽しそうだ。

 

笑顔溢れる場になってる、楽しくって仕方ない、そう皆思ってるんだろうな、まぁ俺も楽しいと感じてるがな。

 

焚き火を囲むってのは良いもんだ、何か安心感があるんだよなぁ。

 

これは多分まだ原始生活をしてた頃、その時の記憶や思いが遺伝子レベルで刻み込まれてるんだろう。

 

「まだかなぁ?」

 

「まだまだだよ」

 

「何時焼けるの?」

 

「うーん‥‥ まだいっぱい時間を数えないとダメと思う」

 

「どれくらいいっぱい?」

 

「い~っぱい、い~っぱい、分からない位いーーーっぱい」

 

さっきから良く聞こえて来る会話だ。

 

主に就学前の子供が兄や姉、年上の子供に聞いて居る。

 

てか落ち葉が灰になりさっき芋を投入したばかりだ、まだまだ時間は掛かる。

 

おっと、煙が‥‥ 葉っぱからの煙かな?

 

それとも枯れ枝では無く、生木、生枝? を持って来た奴が居たのかな?

 

生木は水分を含んでいるから煙が出やすいし、微妙に燃えにくいんだが‥‥

 

パチパチと音がしてるし、時折凄く弾けているから生木を持って来た奴が居たんだな。

 

「お前達もう少し離れた方が良いぞ、でないと煙が出て来始めてるから目をやられるぞ」

 

「守長、音が凄いねー」

 

「枯れ枝では無く、生木を持って来た奴がいるんだろう、てか煙が凄い事になって来たな‥‥ 葉っぱの分もあるんだろうけど、生木から出てるな」

 

しまったな、ガキ達にも枯れ枝を投入させたが、分からず生木を入れたんだな。

 

とは言え集めて来た物をいちいち俺がチェックするのも時間が掛かるし、そんな手間掛けれ無い。

 

まぁ良いだろう、これも又焚き火の楽しみの一つだしな。

 

実際子供達は楽しそうにしてるし、キャッキャ言いながら煙から逃げてる。

 

「煙がこっちに来た~」

 

「これはちょっとダメだな、煙が凄い」

 

マジで失敗したな、枯れ枝だけ持って来いって言うべきだった、とは言え子供達は楽しそうなんだよなぁ。

 

「おい生木が入ってるんじゃないか? お前達枯れ枝だけ入れろ、生木は入れるなよ」

 

ブライアンの奴が子供達に注意を促してるが、多分難しいだろうな。

 

子供ではいまいち生木か、枯れ枝かの判断が出来ない子もいるだろう。

 

バチッ、とかなりデカイ音した。

 

何人かの子供が驚いて声を上げてる、俺も少しだがビックリした、しかし何つー 音だよ、デカ過ぎだろ。

 

「おい、一旦枯れ枝を入れるのを止めろ、これからはブライアンとモリソン弟だけ入れろ」

 

だが帰ってきた返事は、はいでは無く、え~ と言うお子さま達の不満アピールであった。

 

お子様達はどうも俺の指示がご不満だった様だ。

 

いやいや、え~ じゃねーよ、コイツらはこの煙が見えて無いのか?

 

それに火が強すぎる、芋が焦げてしまうじゃないかよ。

 

その事をお子様達に分かりやすく説明してあげたのだが、まだ少し不満そうである。

 

理解はしたが納得はしていないと言った所かな?

 

「もう一度言うが、芋が焦げて食えなくなるぞ、良いのか? それに煙が出過ぎだ、加減しろ、今日は焚き火をしてるんじゃ無い、芋をを焼いてるんだからな」

 

てか誰だよ生木を持って来たガキは?

 

ちょっとコレ煙が立ち過ぎだぞ、しかも枯れ枝も投入し過ぎだし、あっ! 薪をブチ込んでやがるじゃないかよ、何時の間に‥‥

 

確かに薪は荷物から離して置いておいたし、それに枯れ枝が足りない場合に備えて荷物置き場から少しこの場に持って来てた。

 

そしてコイツらが帰って来る前に、暖を取る為の焚き火を作ったが、そこにも薪を少し置いておいたのに、減ってるじゃないかよ。

 

コイツら油断も隙もないな‥‥ ん?‥‥

 

「コラ、草を入れるな草を! お お前ら‥‥」

 

このガキ共めが、何で草なんて入れてやがる。

 

しかも枯れ草ならまだしも、そこらに生えてる緑豊かな草を入れやがってからに。

 

「お前ら何でそんなモン入れてんだ?」

 

「えっ? だって守長が枝は入れちゃダメだって守長が、守長が言ったから‥‥」

 

「いやだからもう何も入れるな、ダメだ、焚き火には如何なる物‥‥ 何も入れちゃダメだ!」

 

ピー と言う音が聞こえて来た、そして次にピ~~ と音がした。

 

うん、青草が燃えて音が鳴ったんだな、この季節に良くそんな青草が生えてたもんだな。

 

俺がデカイ声で注意したから、今この場では静けさが広がっている。

 

そんな中、青草が燃えて音が鳴ると結構響く。

 

枯れ枝や生木、そして青草がパチっとか、バチッっとか、ピーー だのピ~~と、音が鳴れば辺りに響く。

 

何か凄い間抜けな雰囲気だわ。

 

「お前らマジで余計な事をすんな、芋が焦げてどころか、真っ黒に焼け焦げるぞ」

 

このガキめらが‥‥ まだ不満そうだな?

 

宜しい、なら俺にも考えがある。

 

「おいアンナこっちに来い」

 

「なぁに守長?」

 

「お前ら俺の言う事が聞けない様なら‥‥」

 

周りを見渡す、勘の良い奴は俺を見て何か気付いたみたいだ、うん、キョトンとしてる奴も多いな。

 

「俺の狂犬が、お前達が素直になるまで追い掛け回すぞ、良いのか?」

 

このガキ共め、俺の言葉に顔色が変わりやがった。

 

やはり人とは、恐怖によっての支配が最も効率が良い様だ。

 

独裁者達が恐怖を効率良く使い支配したのも、分かろうと言う物だな。

 

「ねえ守長、もしかして狂犬って私の事? ねえ、そうなの? ねえってば」

 

煩い吠えるな狂犬、思わずそう言い掛けたが寸での所で抑えた。

 

んーな事を言った日には、キャンキャンと狂った様に吠えやがるからな。

 

そうなったら堪らない、俺はキャンキャン吠える犬が死ぬ程大嫌いなんだ、うん、それに俺は猫派だからな。

 

狂犬はマジで勘弁して欲しい物である。

 

「ねえ守長」

 

「うっせーな‥‥ まぁ良い、お前ら分かったな? 返事は?」

 

うん、効果覿面だわ、皆素直にはい! と大きな声で元気良く返事をした。

 

若干顔色が悪い様な気がするが気のせいだろう。

 

少し寒いから多分、そのせいだな。

 

「良し、お前らもうちょい焚き火から離れろ、煙が収まったらさっきの線までは行って良いから、今は我慢しろ」

 

本当もう、無駄に煙ってるじゃないか、暫くすれば落ち着くとは思うが今はまだダメだ。

 

しかしコレ、煙の香りが芋に付かないだろうな?

 

灰の下に芋は入ってるとは言え、大丈夫かな?

 

俺は嫌だぞ煙い香りの芋とか。

 

「なぁ守長、そろそろ一回芋ひっくり返した方が良いんじゃないか?」

 

「そうだな‥‥ それと燃えてる枯れ枝を端に寄せよう、ひっくり返した後、灰を満遍なく掛けてから燃えてる枯れ枝を又乗せれば良いか?」

 

「そうだな、てかちょっと火が強すぎたかも知れないな、調整しないとマジで真っ黒焦げになっちまう」

 

「だよなぁ、次は枯れ枝じゃ無く残った落ち葉を撒くか? 灰の追加にもなるしな、とは言えまずは煙が収まってからだな」

 

「いや、もうやっちまおう、何かこのままじゃ真っ黒焦げになりそうな気がする、俺がやるよ」

 

うん、嫌な未来予想図だなブライアン、しかしあり得ると言うのがこれ又‥‥

 

俺もブライアンの言う通りになりそうな気がする。

 

火力が足りなくなったらその度に枯れ枝を投入すれば良いか、薪もあるからな、燃料には事欠かん。

 

コイツら鉈も持って来てるし、薪を細かく割れば良いしな。

 

後ろから声が聞こえて来た。

 

「なぁなぁ兄ちゃん、魔法を使うのもダメなの?」

 

「ダメだ、何も入れるなって守長が言ってただろ」

 

「えー でも魔法ならすぐ芋も焼けるのに~」

 

「ダメだ止めろ、アンナに追い掛け回されるぞ」

 

「・・・」

 

うん、兄弟が魔法をって会話をしてるが、お前達魔法は使えないよな?

 

てかここに居る奴で、魔法を使えるのは俺だけなんだけど?

 

しかも芋が直ぐ焼ける魔法って何なんだよ?

 

そんなん聞いた事無いわ。

 

せめて魔力をって言うべきなのでは?

その様な突っ込みは野暮なのだろうか?

 

しかし何故ガキ達はダメだって言われてるのに、余計な物を焚き火に入れたがるのだろうか?

 

マジで真っ黒焦げに、それこそ芋が炭になってしまうぞ。

 

ガキ達のやる事に意味を求めてはいけない。

 

確かそんな事を誰かが言ってた気がする。

 

前世で言われた言葉だ。

 

「「キンキンキンキン」」

 

うん、又エアチャンバラを始めやがった。

 

さっさと芋焼けてくれないかなぁ‥‥

 

ガキ共の相手、疲れて来たわ。

 

腹も更に減って来たし、それにさっさと酒が飲みたい。

 

「ウワーン」

 

「コラお前達ケンカすんな、コラ止めろ、お前達腕をグルグル回してどつくな! 止めろ」

 

うん、モリソン弟も疲れてやがる気がする。

 

しかし何故、両手をグルグル回してケンカしてんだろうな?

 

マジで意味が分からん。

 

「あの‥‥ 大丈夫ですか守長? 何か疲れた顔をして居ますが‥‥」

 

「うん疲れたけど大丈夫だジゼル」

 

「そ そうですか?」

 

我ながら矛盾した言い方だったと思う。

 

疲れたってより、これは気疲れだな。

 

マジで早く焼けないかなぁ‥‥

 

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