異世界灯台守の日々   作:くりゅ~ぐ

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第175話 そんな日

 

「ねえねえねえ守長、本当にバハラにに一ヶ月も行くの? ねえねえ?」

 

「うっせーなぁ‥‥ だから行くって言ってんだろ、つーかチョロチョロまとわり付くなや」

 

「何で? 何でそんなに行くの~? ねえ」

 

「休みだよ休み、休暇だ」

 

「守長いつも休みみたいな物でしょ、それなのにまだ休むのー」

 

「お前本当‥‥ 身ぐるみ剥いで吊るしてやろうか? なぁアンナ、ひん剥いて吊るすぞお前‥‥」

 

「ヤダ、お嫁に行けなくなっちゃう!」

 

心配しなくてもお前はこの村で嫁には行けねーよ、誰が好き好んでお前を嫁に貰おう何て物好きが居るんだよ?

 

あっ、一人、いや、一匹居たわ。

 

そうだな、エロゴブリンの花嫁にならなれたわ。

 

「ねえ守長、本当はあのお嬢様に会いに行くんでしょ? そうなんでしょ?」

 

「うっせーな、だからさっきも言っただろ! 会うのは会うが、向こうの家族とも会うんだよ、てかメインはじいさんとばあちゃんだっってんだろ」

 

「何よ! 私とゆー者がありながら‥‥」

 

「お前は俺の何なんだよ? てかお前どんだけ自意識過剰なんだ? てかお前は無い! ジゼルならともかくお前は無い」

 

「何でおねーちゃんの名前が出てくるの? おかしいでしょ!」

 

「おかしいのはお前の頭だよ、つーか大人になっておっぱいが大きくなってから出直せや」

 

まぁ‥‥ 無理なんだがな、だってコイツの家系は貧乳の血族だからな。

 

そう言う意味ではジゼルも胸が育つ事は無い。

 

うん、貧乳と言う呪いに囚われた一族なんだよ。

 

「もう少し大人になったら私もボインボインになるし!」

 

「フッ‥‥ そうだななったら良いな、なったらな」

 

夢見るのは勝手だから俺はあえて何も言わない。

 

だが夢とは夜見るもので、起きて見る夢は白昼夢とも言えるが‥‥ 人は誰しも夢を見る権利はある。

 

但しそれが、叶うかどうかの保証はされないのだが‥‥ 果たして何時まで夢を見続ける事が出来るんだろうコイツは?

 

「あー 鼻で笑ったー な なるもん、アマンダよりおっぱいおっきくなるもん」

 

「そこで何故アマンダの名前が出てくるのかは置いといて、お前は何と言うか‥‥ 挑戦するのは良い事だ、だが勇気と無謀は全くの別物だからな、アマンダよりなぁ‥‥ 目標は高く持つのは良い事だが、まぁ頑張れや」

 

しかしコイツは毎度毎度チョロチョロと憑き纏い‥‥ つきまといやがってからに。

 

暫く見なくて寂しいって気持ちは‥‥ 俺には一切無いな、寧ろ穏やかに過ごせるだろう。

 

しかしマジでうっせーなぁ‥‥

 

吊るすか? とは言え、最近コイツは吊るされる事に慣れてきやがったから、効果がいまいち薄いんだよな。

 

流石にひん剥くのは出来ないし、どうする?

 

「ねえねえ、私も守長と一緒にバハラに行く」

 

「無理」

 

「なんで~?」

 

「お前なぁ、何でお前を連れて行かなきゃならないんだ? 折角の休みが罰ゲームになるわ、大体お前学校はどうする? それ以前の問題としてお前を連れて行く理由がカケラも無い、てか(わきま)えろ」

 

「こ 婚前旅行だよ」

 

「・・・」

 

うん、吊るそう。

 

「ねえ何で縛るの? ねえ?」

 

「・・・」

 

「も 守長~」

 

「・・・」

 

「つ 吊るすの?」

 

「・・・」

 

「ねえ?」

 

今日は変態(ジル)は村に居ない。

 

冬本番になる前に、少しでも蓄えを得る為にバハラの魚市場で売り子として精を出してるはずだ。

 

よって安心して吊るす事が出来る。

 

「オラ、キリキリ歩けやアンナ」

 

「ねえ何で? 村で吊るすの? ねえ?」

 

「理由、煩い しつこい 生意気 婚前旅行とか訳分からん事を抜かす 吊るしたい気分だから」

 

マジでコイツは誰からそんな知識を得てるんだ?

 

何が婚前旅行だよ、ふざけやがってからに。

 

大体コイツは吊るさないと、今日は一日、いや今日も一日まとわり付いて来そうだ。

 

付くってより憑くって言った方がしっくり来る位、チョロチョロと憑いて来よってからに‥‥

 

準備でそこそこ忙しいのに邪魔になるからな。

 

吊るしとけば何の憂いも無く準備出来るし、過ごせる。

 

「守長吊るさないで~」

 

「大丈夫大丈夫、お前最近吊るされるのに慣れてきてるし、いけるいける」

 

「吊るされたら守長と一緒に居れ無いじゃない」

 

「うん、お前の発言のせいで、お前の行動のせいで俺は幼女趣味だって言われてるんだ、てかお前と一緒に居る気は無いからな、今日は忙しいからお前の相手してられない、よって吊るして邪魔されない様にしないといけないし、何か今日はお前を吊るしたい気分なんだ」

 

「何で何でなの? 吊るしたい気分って何なの?」

 

「そんな日ってあるよなー」

 

これはあれだ、天気が良いから吊るそうってやつだな、うん、それだな。

 

実際問題として準備するのにアンナが邪魔だし、俺は余裕を持って準備する派だ。

 

ギリギリまで何もしないとか、俺に言わせれば最も愚かな行為でしかない。

 

俺は小学生の頃から、前日には学校の準備を全て済ます、お利口さんな子供だったからな。

 

登校前に慌てて準備して学校に行く何てした事無い子だったし、そんな事をしたら絶対忘れ物をする。

 

因みにアンナは当日の朝、ギリギリまで準備をしない奴だ、当然忘れ物も多い。

 

「ねえ守長~」

 

「何だようっせーな、痛くない様に縛ってるだろ? てかもう諦めろ」

 

「わ 私みたいな美人を縛るなんてダメな事だよ」

 

「気のせいだ気のせい、てか俺、美人だろうが美人じゃ無かろうが暴力女って好きじゃないんだよなぁ」

 

「・・・」

 

うーん、コイツが黙ったって事は、一応自分が暴力女って自覚はあるみたいだな。

 

そんな事は無いだの、私は違うだのと抜かすかと思ったが、自覚アリってのは正直驚いたわ。

 

まぁ‥‥ 自覚無しであったらそれはそれで怖いがな。

 

俺、ツンデレ系暴力ヒロインとか死ぬ程嫌いなんだよねー。

 

おしとやかで控えめ系の子がどちらかと言うと好きだし。

 

てか単純に暴力女が無理。

 

「ねえ守長、忙しくて時間が無いのに私を縛って吊るす何て余計時間を取られるよ? 無駄に時間を使う事になるよ、ねえ良いの?」

 

おっと、これは一本取られたな。

 

やるじゃないかアンナ、マジで一本取られたわ。

 

これはちゃーんと褒めなければ。

 

「お前やるなアンナ、一本取られたわ」

 

「えへへ、なら縄をほどいて~」

 

「無 理 ♪」

 

「えっ? 何で?」

 

「うーん‥‥ だって~ 俺はこうも言ったよな? 今日は何か縛って吊るしたい気分だって、勿論ちゃーんと簀巻きにもするから安心しろアンナ」

 

「安心出来ないよ、何で? 今のは吊るすの中止する流れだよね?」

 

「何言ってんだよ、フリだよフリ、前フリに決まってるだろ? お前案外俺の事を分かって無いなぁ、それに一月お前と会わないんだ、吊るし溜めしなきゃ俺、発作起こしちゃうだろ? 吊るし溜め 縛り溜め 簀巻き溜めだよ」

 

「・・・」

 

いや~ アンナも喜んでくれて俺も嬉しいよ、なんだろ? 一本取られたが清々しい気分だ。

 

確かにコイツが言う通り時間が無いなら止めるべきだ。

 

だが急がば回れって言葉もあるからな。

 

うん、心穏やかに過ごす為にもやるべきだよな?

 

吊るしてしまえば邪魔される事も無いし、スムーズに用事を済ませる事も出来る。

 

てか今日は何時にも増してコイツは、つきまとって来てたからな。

 

冗談抜きで今日は、一日中つきまとい、いや、憑き纏い続けそうだったからな、障害は排除するに限る。

 

それに定期的に吊るしてお仕置きしておかないと、俺のロリコン疑惑が深まる事になってしまう。

 

うん、緊迫趣味疑惑と言う違う意味で厄介な疑惑を持たれる可能性もあるが、ロリコン疑惑よりはマシだ。

 

それにアンナは甘い顔してたら調子に乗っちゃう奴だからな、生意気な事を抜かしやがったら躾をしないと後で大変な事にもなる。

 

そう、だからこれは仕方ない事なんだ。

 

決して縛りたいから縛ってる訳でも無いし、吊るしたくて吊るしてる訳でも、簀巻きにしてる訳でも無いんだ。

 

必要だからやる、そして今日は何故か吊るしたい気分なんだ。

 

我ながら矛盾してるわ。

 

でもそんな日もあると思う、うん、あるよね?

 

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