異世界灯台守の日々   作:くりゅ~ぐ

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第189話 生活魔法の使い方

 

さて…… アホな追跡者共は、身の程知らずにも俺をつけて来てる。

この辺りは昔から治安の宜しくないと言われている所であり、バハラの住人達は余りお近づきしたくないと昔から言われている所だ。

だが夜遊び同好会の奴らによる、治安向上の為の取り組みにより、一昔に比べればかなりマシにはなって来てる場所でもある。

マシではあるがあくまで一昔に比べればと言うだけであり、未だお上品な場所とは決して言えないそんな場所であり、余りお近づきにはなりたくないそんな所であるが、俺が今からやる事を考えると絶好の場であり、とても素敵な所だ。

問題は、この辺りを縄張りにしている小悪党共、この場合は帝国人の小悪党共の色んな意味での介入だが、その辺りは運次第ってトコかな?

 

後は、自警団や、軍や衛兵の見廻りに引っ掛からない様な場所、もしくは介入が遅れる所まであのアホ共を誘導出来るかも問題だが、それもある意味運次第だが、俺とあのアホ共のどちらの好運と不運かは神のみぞ知るってトコか。

 

俺を追跡しているあのアホ共は今にやけてるんだろう。俺が人気(ひとけ)の無い、自分達にとって仕事出来る素敵な場にノコノコと歩いて行ってる訳だ、うん、絶好の機会だとそう思ってるんだろうな。幸せの絶頂、そんな気持ちになってるんだろう。

 

それにしても人が全く歩いて居ないな? 元から人気は少ない所であるが、今日は猫の子一匹居ないぞ? ツイてるな、俺の日頃の行いが良いからだろうな。

 

さてと……。次の小路で曲がり、中に入り込めば周りを壁に囲まれたやや広い場所に出る。そこでヤッてしまうか、お仕置き開始だな。

 

「おい、まて、とまれ」

 

聞こえないフリ、聞こえないフリ。まだこの小路では不完全だ、奥の広場モドキまで行かないと介入される可能性がある。そうなれば興醒めだ、後少し、後少しであの謎の広場モドキまで辿り着く。

 

「まて、おまえ、おまえまて」

 

アホが、待てと言われて待つ奴が居るかよ? それにあのアホ共と距離はまだある、聞こえないフリをしてても不自然では無い。

 

『おいガラン、あいつ聞こえて無いんじゃないか?』

 

『いやポラス、聞こえてるだろう?』

 

『何言ってんだ、アイツのここまでの振る舞いを考えてみろ? かなり可笑しかっただろ? 聞こえてないと思うぞ』

 

『チッ……。言われてみれば確かにそうだな、葉っぱでご機嫌になった奴みたいな振る舞いだったな。まぁ良い、自分から人の居ない場所に行ってんだ、さっさとヤッちまおう』

 

『この細い道の先がどうなってるか分からんからな、ガランさっさとやろうや。おい皆、手早く仕事を済ませちまおう』

 

『訳分かんねー動きしやがって、手間掛けさせやがる。葉っぱの吸いすぎか?』

 

『良いじゃねーかガラン、葉っぱを持ってんならそれもいただくだけの話だ、最近ヤッて無いし、葉っぱを持ってんなら好都合だ。葉っぱで楽しませて貰えると思えば全て許せるさ』

 

ふーん、コイツらポラポラ海洋王国の奴等か。これ又マイナーなと言うか、えらい遠いトコから来たもんだな。確かポラポラって言ったら三年位前に大嵐でかなり国に被害が出たんだったな? 建て直しの為に増税や、無償労働の強制で国が更に荒れたんだったっけか? 食い詰めて帝国まで流れて来たんだろうな。

 

「まて、おまえ、まて、おまえまて」

 

聞こえないかと思ったが、かなりデカイ声で言ってるが、そんな事したら周りにバレるぞ? 仕事が雑な奴等だな。まぁ良い、もう広場モドキに出る、周りを壁に囲まれた絶好の場所だ、この小路から出たらこのアホ共が大喜びするだろう。その喜びは一瞬の事だがな。

 

「おまえ、おまえまて」

 

いや、もう待ってるよ。周りが壁に囲まれてんだぞ、気づけよ。

 

「おまえ、きこえないか? おまえだせ、かねだせ」

 

「何だって? 聞こえない? 何言ってるんだ?」

 

『おい、コイツ言葉が分かって無いんじゃないか?』

 

『そうだとしてもナイフを出してんだぞ、マジで葉っぱでイカれてやがんのか?』

 

『面倒だな……。ナイフを使ってヤッちまうと、葉っぱがダメになっちまうかも知れねー、それに服もいただく事が出来ないな……。おいナイフは使わない方が良いんじゃねーか?』

 

何がナイフだよ? そんなボロい錆びたナイフで切れるのか? 道具の手入れはきっちりやれや。

てかあんなんで切られたら破傷風になるわ。まぁ、こんなド素人丸出しの奴等に遅れは取らんがな。

 

『マジで面倒だな。ナイフで脅しゃー 簡単に楽にいただく事が出来るのによ、仕方ねー、ちとばかし運動するか……』

 

いかん、思わず笑ってしまった。何が運動だよ? 運動不足のおっさんか? 普段から運動位しろや、アホが。

 

『おい、コイツいきなり笑いだしやがったぞ? かなり葉っぱでイッちまってんな』

 

『相手にすんな、さっさとヤッって、さっさとズラかっちまおう。見廻りの奴等が来たら面倒だ』

 

何がズラかるだよ? ダメだ、コイツら面白すぎだろ、ズラかるって……。

 

『又笑ってやがる、もう良いさっさと済ましちまおう』

 

『そら笑うわ、何がズラかるだよ? ポラポラの奴等は愉快だな? それともその言い回しは流行ってんの? もしかしてポラポラ海洋王国の定番のギャグか?』

 

コイツら絵に描いた様にギョッとしやがった。何をそんなに驚いてんだ? まぁ、ポラポラ何てマイナーな国の言葉を推定帝国人が使ったんだ、驚きもするか。

 

『どうした? 何ギョッとしてんだ? ポラポラの奴は感情豊かとは聞いてるが、お前達も感情表現豊かだよな』

 

『お前、まさか国の、ポラポラの人間か?』

 

『んーな訳無いだろ、俺は帝国人だよ。帝都サザビー生まれのサザビー育ちだ。俺の何処を見てポラポラ人だと思う? ポラポラ語を流暢に話すからか? 大体だ、南方諸島の人間の特徴は全く無いと思うが?』

 

『チッ…… まぁ良い、言葉が分かるなら好都合だ、金を出しな、ついでに葉っぱも貰おうか』

 

『アホか、葉っぱ何て持ってねーよ。さっき迄の俺の不審な行動はお前達を試したんだよ。ついでにちょっと、おちょくっただけだ。お前達の立ち居振舞い、中々面白かったぞ』

 

こう言えばどうせコイツら、舐めてんのかって言うんだろうな。何でこの様な奴等は毎回同じ様な事を言い、同じ反応するのかな?

 

『テメー…… 舐めてやがんのか?』

 

やっぱ言いやがった! 思った通りの反応だよ。なら俺もお決まりのセリフで返答しようか。

 

『お前らみたいな汚れ、舐める訳ねーだろ? 何でお前達みたいな不潔なアホをぺろぺろしなきゃならない? 己を知れ、己を。本当、自意識過剰な奴ってのはタチが悪い。良いか? 俺はお前達を舐めてんじゃ無い、小馬鹿にしておちょくってんだよ』

 

『ふざけやがって……』

 

『俺からおふざけを取ったら何も残らねーよ。人生何てのは所詮は喜劇だ、但し終わりがハッピーエンドならって但し書きが付くがな』

 

本当に愚かだな、頭に血を上がらせて怒りで我を忘れるか。こんな程度の低い挑発に引っ掛かるなんぞ、程度が知れるよ。うん、そんなんじゃ勝てる戦いも勝てない。この段階で負け確定だよ。挑発は戦いの基本だぞ。

 

『テメー ただで済むと思うなよ』

 

『何がただで済むだ? お前らきったねーナイフをチラつかせておいて今更何を抜かしてる? 人数が多いからもう勝てると思い込んでるみたいだな? まぁ良いだろう、俺が教育してやる』

 

十手はいらんな、寸鉄にするか。俺の長寸鉄は一味違うぞ。とは言え通常の寸鉄でも結果は変わらんがな。

俺の長寸鉄は普通の寸鉄みたいに、握った拳から両端が軽く出る物では無い。長寸鉄は暗器ってより、戦場(いくさば)で使う護身の為の最後の武器だ。さぁ始めようか。

 

『おい、このガキ分からせてやるぞ、痛い目遭わせる程度で済ませてやろうと思ってたが、切り刻んでボロ…… アガッ』

 

『おいおい、何時まで悠長にくっちゃべってんだ? 気い抜いてんじゃねーよ、六人から五人になったな? 大丈夫か?』

 

『テメー何しやがった?』

 

『ハァ? 顎を蹴り抜いただけだろ? 顎の骨と歯が砕けただけだ、死にはしねーよ』

 

コイツらまだ隙だらけだが誘ってんのか? 違うな、場慣れしてないだけか。

 

『ふざけやがって、テメ……』

 

『コイツ何時の間に!』

 

『おい、いきなり倒れたぞ? 何しゃがった?』

 

何もクソもちょっと縮地を使って、距離を詰めただけだ。まぁ…… 股の間にぶら下がってる物を蹴り上げたがな。潰れない程度に加減してやったんだ、俺は何て慈悲深いんだろう。

 

『何しただと? さぁ? 立ち眩みじゃないか? それより次はお前か?』

 

泡吹いて倒れてるが、潰れて無いし、死んでもいない。イケるイケる。

 

『おいコイツ何なんだ? ヤベーよ』

 

『後四人だな? ちなみに逃げられるとは思うなよ、それと助けを呼んでも無駄だぞ。わざわざココを選び、ココまで誘い込んだ意味を理解しような。ん? どうした? 腰が引けてるぞ』

 

ナイフをチラつかせて脅すだけで無く、実際そのきったないナイフで切り刻むだの何だの言ったんだ、報いは受けて貰おうか。

 

『待て、話せば分かる』

 

『何だって? お前訛りが酷くて聞き取れねーよ、それと俺はポラポラ語は分かん無いし、分かりたくない』

 

『いや、話せるだろ? ふざけんなよ!』

 

『ハァ? 聞こえんなぁ』

 

おっと逃がさんぞ。

 

『ギャッ! あっあっあ…… た、助けてくれ……』

 

『どうしたいきなり転んで? まるで後ろから倒されたみたいだな? 不思議だな何でだろうな。あらあら、足を挫いたか? 動けない、いや、歩くのも難しいな』

 

『クソ! クソ! クソ! 殺るしか、殺るしか、殺らなきゃ、殺らなきゃ……』

 

『面白い冗談だな。さて…… 逃がさない様にちょちょいのちょいと!』

 

うーん、この広場モドキから出る小路に、何故か正方形の氷の塊が突然現れて出口を塞いだね。これここから出るのが大変だ。

 

『なっ! クソ! 魔法使いか?』

 

『心配しなくても生活魔法しか使えないから大丈夫だ。お前さっき転んだ時に汚れたみたいだな? ホレ、水で洗え』

 

『あっあ~! 冷てー、冷てーよ!』

 

『ん? もしかして熱湯の方が良かったか? 何だ、言ってくれたら凍る寸前の冷水なんか掛けなかったのに。で? どうする? 熱湯にするか? ほぼ百度の熱々のお湯も出せるが? 心配しなくても、この程度なら一日中出せる。大サービスだ』

 

『そんなん掛けられたら火傷じゃ済まねーよ! 頼む勘弁してくれ、頼むから頼むから許してくれ、見逃してくれ』

 

『人に光り物をチラつかせて、挙げ句切り刻むだの何だの抜かしといて、良くそんな事言えるな? 面白い冗談だな』

 

冷水をブッ掛けた奴は戦意喪失か。とは言え例えヤル気であろうとも、足を挫いてロクに歩けないから、戦力にはならんがな。

 

『クソ! お前、いや、アンタ俺らを殺る気か? なぁ、流石に殺しは不味いぞ、考え直せ』

 

『何を抜かしてるんだ? さっきも言ったが、人を殺そうとして何都合の良い事を抜かしてる? それと俺、御免状持ってんだよな。帝国の御免状知ってるか? 人を殺しても罪に問われ無いと言われているんだ。ついでに言うと俺、巡察使でもあるし、悪人ならブッ殺しても一切罪に問われ無いんだが? それともう一つ、俺は帝国の特級官吏でな、例えお前達を殺しても一切お咎め無しなんだが』

 

完全に戦意喪失か、残り三人共ブルブル震えてやがる。冷水ブッ掛けた奴も震えて居るが、コレは寒さからかな? うん、真冬に、しかも港町の寒さは格別だからな、下手しなくても凍え死ぬかも知れない。

 

『おい、掛かって来いよ。俺がさっき言った事はハッタリかも知れないぞ? ホラ、三人がかりなら勝てるかも知れないじゃないか、根性見せろよ。ホラどうした? 小悪党の意地を見せろよ』

 

チッ…… 戦意喪失、それも完全喪失か。

 

『どうした? 顔が青いぞ? さっさと済ませてしまおうや。三対一だぞ勝てるって、お前らナイフも持ってんだ、イケるイケる。さぁ!』

 

『助けてくれ、殺さないでくれ、頼む……』

 

『なぁ、もう許してくれ』

 

『頼む、頼むから殺さないでくれよ、死にたくねーよ』

 

この程度でもう終わりか? 根性の無い奴等だ。ならちとばかりお話しようかな、尋問の時間だ。

 

 




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