目付きの悪い素敵なおじ様達にそんなに熱い眼差しを向けられると恥ずかしいなぁ。
「おいクソガキ。お前何笑ってやがる」
ローガンおじ様ったら。声のトーンが一段低くなってますわよ。
「いや~キミ達にそんなに熱い視線を向けられて照れてるんだよ、言わせんなよな。てかローガンおじ様、あまりボクをそんなに見詰めないでくれる? ボクにそんな趣味は無いって言ってるじゃないか」
「おい……。俺は真面目に聞いてんだ。ふざけて無いでちゃんと答えろ。どう言う意味で花街に拠点を構えるって言った? 事と次第によっちゃ俺も腹括るぞ」
何が腹括るだよ。面白い事言っちゃってくれるよなお前は。
「縄張りの件か……?」
「それ以外に何がある?」
へー……。流石に自分の
まぁそりゃそうだな。気持ちは分かる、だがそれはそれ、これはこれだ。
「もしそうだと言ったら?」
「さっきも言ったがそうなりゃ俺も腹ぁ括るしか無くなる。それこそ例え負けると分かっててもだ。銭金の問題じゃねえ、面子の問題だ。それはこの場に居る皆も同じだぞ」
だろうな、お前達も面子商売だからな。侵略者は叩き潰す。それは前世だろうがこの世界だろうが変わらないある意味真理でもある。
ついでに言うと我が国サザビー帝国は、侵略者を叩き潰し、標的国を得る為ならどんな無茶だろうがやってこの大陸に覇を唱えたんだ。
その過程で面子を潰される様な事をされたら、徹底的にそれがどう言う意味かを分からせて来たしな。理解は出来るよ。
「心配しなくてもお前らの縄張り何かいらねーよ。そんなモン無くても幾らでも金なんぞ稼ぐ事は出来る。第一縄張り何ぞ面倒だ。縄張りが欲しかったらお貴族様にでもなって領地を貰ってるわ。てかお前ら自分の土地に固執するお貴族様か? 貴族は先祖代々受け継ぎ、発展させて来たから、だからこそ固執する。お前ら先祖代々と、何百年と受け継いで来た訳じゃ無いだろうが」
「オメーにとっちゃよ、どうでも良い事なのかも知れねーが、俺らにとっちゃ縄張りは、一家のモンが命懸けて守り通して来た物だ。血と汗流してよ、俺ら一家のモン達が、それこそ俺らが生まれる前から長い事守り通して来たモンだ。確かに俺らは裏家業のモンで、比べんのは違うかも知れねーがよ、その想いは領地に執着する貴族にも負けねーぐらい大事なモンなんだよ。自分の代でそれを欠けさせる訳には行かねーんだ。答えろ。オメー……。俺らの縄張りを
このジジイは俺の話をちゃんと聞いてなかったのか? それか鈍い奴なのか? そのどっちかだな。もしくは両方と言う可能性も大きいな。
「おい、寝取られローガン。俺は縄張りなんぞいらんと、さっき言ったよな? お前も人の話を聞けやボケ。と言うか縄張りなんぞ無くとも、俺は金なら幾らでも稼げるんだよ。大体だ、縄張りを得ても維持管理すんのに人をどうするんだよ? 流石に俺一人じゃ無理だぞ。何しろ身体は一つしかないんだからな。ちょっと考えたら分かるだろうが」
何でもかんでも一人で出来ると思える程、俺はおめでたい頭はしていない。
貴族の領地もそうだが、裏社会の縄張りだって管理すんのに人手は要る。やろうと思えば出来ない事もないんだろうが、間違いなく過労死するだろうな。うん、そんな死に方は嫌だ。何が悲しくって自分からブラック労働になると分かっててやらなきゃいけない? 俺はそんな目に遭わなきゃならない程前世で悪行を積み重ねて来て無いわい。
「なら何で花街に事務所を構える?」
うっせーな……。別に良いだろ。俺が何処に事務所を構えようがお前に関係無いじゃないか。大体だな、縄張りを得る為じゃないって言ってんだから、別に良いだろうが。
仕方ない。この疑り深いエロジジイ共には説明してやるか。
「そんなもん儲かるからに決まってるだろ? 大体だ、俺はお前らの縄張りを荒らすつもりは無いって言ってんだぞ。疑り深い奴だな……。あーヤダヤダ。人を信じられない事でもあったのか? 何だお前? 女にでも裏切られたりしたのか?」
「クソガキが……」
だからお前はクソガキしか言えないのか? コイツ呪いにでもかかってんのかな? それか前世は竜を倒すゲームの住人だったかだな。
「おい海蛇の。悪いが少し黙っててくれ。おい。お前は本当に花街に事務所を出すのは純粋に商売の為なんだな?」
「だからそう言ってるだろ。お前ら人の話をちゃんと聞け、何回も同じ話をさせやがって」
あーヤダヤダ。本当ヤダヤダだよ。
宵闇のおじ様ったら、今回の議長だから仕方なく俺に聞いて来たんだろうが、そんな嫌そうに聞いて来るなよな。
「なら良いが……。本当なんだろうな? 海蛇のも言ったが、俺らの縄張りに手え出すってんなら、もしそうなら俺らもやらざるをえんのだぞ。本当に純粋に商売を、それ以外に理由は無いんだな?」
だからそう言ってるだろうが。面倒だな……。
わざとか? もしそうなら俺にも考えがあるぞ。
「だからそうだと……。あっ! それ以外ももう一つ理由があったわ」
「・・・そのもう一つの理由とは?」
嫌そうな、ウンザリした様な顔して聞いて来るなよ。多分だが、俺が何を言うのか分かったのかも知れない。宵闇のおじ様は人の気持ちの分かる人だもんな。
「チッ……。クソガキが……。ヘラヘラと嫌なツラで笑いやがって」
ヘラヘラ笑ってはいません。にこやかに、そして爽やかに笑顔を向けてるだけです。
キミの心が穢れているから、だからそんな穿った見方しか出来ないんだよローガン君。
「えっ? 聞きたいの? 宵闇のおじ様?」
「・・・聞かせてくれるか?……」
「仕方ないなぁ~。キミ達だから特別だゾ♪」
「・・・」
ふーん……。何人かは分かった様なお顔をしてるね。ローガン君は分かってるのかな? 別にどうでも良いけど。
「前提としてだね、キミ達の縄張りに手を出すつもりは一切、カケラも無いけどだね、そんでそれが前提、大前提ね。では。ボクがぁ、花街にぃ~、事務所を出すのはね、もちろんキミ達に対する嫌がらせの為だよ♪ それ以外にある訳ないだろ。ウフッ♪」
「こんのクソガキが! やっぱりか、やっぱりか! 嫌がらせの為かよ? クソが!」
あらら、ローガン君もしかして予測してたの?
意外や意外、ちゃんと分かってたんだ? と言うか分かってたんなら、そんなに荒ぶるなよ。脳の血管キレちゃうぞ。
それとだね、やっぱりかって二回言ったけど、大事な事だから二回言ったのかな?
「そんなに喜ばれたら、そんなに喜んでくれるのなら、ボクも言った甲斐があったよ。本当に花街に事務所出しちゃおうかな。あっ! もちろん縄張りは要らないよ。だって維持管理するのが面倒なんだもん」
俺も大事な事だから二回言ってみた。
しかし花街の縄張りの維持管理か。もしやるならシドを呼ぶのも面白そうだ。
シドの奴は腐らず真面目に生きて来たが、心の何処かで自分の人生に、イマイチ不完全燃焼な部分があるみたいだからな。
腐らず、腐らない様に、そう思って生きて来たが、だが半分は実は腐ってた気もするって言ってたもんな。
そう思わなかったって言ったら嘘になる。そう言ってたっけ? いっそ弾けて、そして花を咲かせて、だがその花は仇花な訳だが咲かせてみても、そう思ってた部分が心の何処かにあるみたいだし、ならシドと二人でバハラの裏社会で肩で風を切って歩くのも面白いかも知れない。
シドと俺のたった二人の組織。だがバハラ最強の組織。面白いな。そんな生き方も、仇花咲かせてみるのも一つの生き方だな。咲いても実を結ばない散るだけの花を仇花と言うが、そんな生き方、人生の終わり方ってのも生き方の一つなのだろう。
そして見かけ倒しで中身を伴わないって意味もあるが、果たして俺とシドの二人は裏社会で只の仇花となるかな?
もしそうなったとしても、人生なんて所詮はそんなもんだ。大概の人間が事を成せずに人生を終わる。
俺とシドの二人が只のよくある仇花となれば、その他大勢の奴と一緒って事だ。それも又人生かな? 人は抗い、より良い人生を歩もうとするが、全員が成功する訳じゃ無い。もちろん失敗しようと思って生きてる訳でも無いし、成功させる為にもがき抗い生きているが、こればっかりは実際やってみないと分からん。果たして俺は裏社会で生きて行けばどうなるのかな?
だがどうせやるなら
そしてこのバハラの裏社会を帝国最強の組織に、いや、この大陸最強の組織にする。
案外それも悪くは無いな。元特級官吏が率いる裏社会のボス、そしてバハラの暗黒街の頂点に座るか。それはそれで面白い生き方なのかもな。
二度目の人生だ、思う様に生きる。それが表では無く、裏に生き、闇夜で頂点を獲る。光には陰が付き物。ならそれも面白いのかも知れないな。