さて……。
じとっとした視線をボクに向けるのは止めて頂きたいな。ジジイ共にそんな目で見詰められてもちっとも嬉しくない。
「おいクソガキ、オメー……本当にやるつもりじゃないだろうな?」
「そうだな、何かそんな生き方も面白いんじゃないかと思って来た。その時は宜しくね山猫一家のテーラーおじ様」
「・・・」
ヤダなぁいきなり黙らないで会話のキャッチボールしようよテーラーおじ様。自分から話を振ってきてそれは無いんじゃないの?
「このクソガキ本当にやりそうだな……」
うんそうだよフルハウスおじ様。
だって俺の人生は俺の物だもの。なら俺の好き勝手に生きても良いだろ? それが
「クソガキが……。お前本当にやったらどうなるか分かって言ってるんだろうな?」
ハァ? 何を抜かしてるんだコイツは? どうなるかだって? ボク分かんなーい。なら聞かなきゃね。
「ねぇねぇどうなるのローガンおじ様ぁ~? ねぇねぇどうなるのかな? ボク分かんな~い。教えてよ、ねぇねぇ、なんでぇ~?」
「このクソガキが……」
「分からないから聞いたんだよ。それともぉ~、ローガンおじ様の~、
「なっ!」
何がなっ! だよ? むさ苦しい野郎だらけの所が華やかになるんだ、ならとても素敵な事だろうが。それにお前は女が大好きだろ? おっと! この変態異常性癖のおじ様がイヤラシイ事をしない様に気をつけなきゃいけないな。手を出そうとしなくても、不快なエロい目で見て来られたら不愉快に感じる子も居るだろうし、気を付けなきゃ。
しかし……。うーん……。
海蛇の、お前は余計な事を言うから、そんな事をおじ様達は思ってるのかな? お顔に出てるぞ。そして君達、もしかして自分は関係無いとでも思っているのかな? ボクの事をさっきから散々クソガキ呼ばわりしてくれちゃってるよね? ボク……、傷付いちゃったなぁ。
「あっそうだ!
「なっ!」
「おい! クソガキお前! ふざけた事を抜かすな! 何が甘味屋だお前」
「大量出店? ウチの周りには空きは無いぞ。出せるモンなら出してみろ」
「大量出店だと? しかも甘味屋? お前何て嫌な事を。甘味屋なんぞ事務所周りに大量出店されたら、周りがおかしくなる」
「このクソガキ……。本当に性根がねじ曲がってやがる。何でそんな事を考え付く?」
うっせーな……。ギャアギャア喚くなよな。
「別に良いだろ? 俺が何処に、何の店を出そうがお前らに関係無いだろ? それと周りに空きが無いだって? 金を多めに出せば喜んで譲ってくれるさ。それか屋台って手もあるな。一応言っておくが、お前らお得意の嫌がらせをしたら、こっちもお礼にお前らがもっと喜ぶ事をしてやるからな。それとお前ら忘れてるみたいだが、俺、海事法弁士の資格も持ってるからな。法的にきっちり対応してやるよ」
バカめ! 何を慌ててやがるんだ。と言うかお前らごとき、対処対応の仕方なんぞ幾らでもあるんだからな、アホ共めが。
「皆、ちょっと待ってくれ。おいクソガキ、お前、俺らの事務所周りに甘味屋を大量出店って言うが、繁盛させなければ無駄に金が消えて行くだけだぞ? 嫌がらせにしても無駄が過ぎるんじゃないか?」
そうだね宵闇のおじ様。そしてキミ、結構冷静だね。腹の中は冷静さを見せる顔とは別に、腸煮えくり返ってるのかも知れないけど、流石だね。素直に褒めてしんぜようじゃないか。
「宵闇のおじ様、嫌ですわ。当然繁盛させるに足る勝算とアイデアがあるからやるに決まっていますわ。なぁ、俺がやる以上利益はきっちり出すに決まってるだろ。ハッタリでも何でも無く、儲ける自信と裏付けはある」
当たり前だ、やる以上利益を出せるって確信があるからやるんだ。コイツらの事務所のある辺りは、場所的に穴場でもあるしな。意外と出店するには立地的に考えても、好立地なんだよな。実は前々から考えていたりする。もし商売するんだったら、店を出店するなら、意外と良いんじゃないかってな。
「ヘッ! 甘味屋なんぞバハラ中にあるんだ、お前の考えた通りそうそう上手く行くか。精々無駄に金を使って失えば良い」
「そうかそうか、そんなに喜んで賛成してくれるのかローガンおじ様は。ならキミの事務所の周りには、他のおじ様達の所より更に多めに出店してあげようじゃないかね。そうだな……。それに加えて、特に甘~い匂いと香りのする甘味を出す店を出店してたげるよ。ヨカッタネ、お・じ・ち・ゃ・ま」
「お前ふざけんな! 冗談じゃねーよ、俺ァ甘いモンは好きじゃねーんだ、特に甘い匂いと香り? そんな事になったら引っ越さなきゃいけなくなるだろうが。ウチの事務所はずーっと前からあの場所なんだぞ、クソ! そうなったら先代達に申し訳が立たねえよ」
「そうか、そんなに甘い物が好きか? なら引っ越ししたらその場所に出店してやるよ、良かったな。1日中甘い甘い甘~い香りと匂いの中で仕事出来るな。砂糖臭くなるんじゃないか? お前と従業員達。一発で初見の人間に覚えて貰えるじゃないか」
「クソ、このクソガキ……。俺が甘いモン嫌いだって分かって言ってやがる。本当にお前はタチが悪い、俺達よりタチが悪い。これじゃぁどっちが裏家業のモンか分からねえよ」
失礼な奴だよ本当。人を裏家業扱いするな、俺はこの大陸に覇を唱えたサザビー帝国の特級官吏様だぞ。お前とは違うんだよ。
「おい……。宵闇のが言ってたが、このバハラにどんだけ甘いモン売ってると思ってる? 砂糖の扱いが帝国一なんだぞ、このバハラは。他よりかは安く手に入るから、だからこそ甘いモンも他所より多い。俺らに嫌がらせする為にやるにはちょっとどうかと思うぞ。どうせ失敗するから止めておけ」
「あら、親切ですわねスミスおじ様。さっき
これは嘘でもなんでもない。実際まだまだある。
例えばチーズケーキ系がそうだ。
この世界にもチーズケーキの様な物はある。だが俺に言わせればバッタもん、もしくは原型の様な物でしかない。
チーズケーキですら前世ではかなりの種類があった。スタンダードな物だけではなく、それこそ作り方ですら大まかに分けても色々あるし、チーズケーキ自体、温製の物、湯煎焼きの物、冷製の物と色々あった。しかも俺は、関西で大人気の海ハイおばさんのチーズケーキの作り方も知っている。チーズケーキだけでも色々と売り出す知識がある。
他にも色々あるが、この世界には無いタルトタタンだってまだ売り出しはしていない。それこそ隠し球はまだまだある。切り札は多ければ多い程良い。
「クソ……。冗談では無く本当にやりそうだぞこのクソガキ。事務所の周りに女が集まる? 甘い匂いに一日中囲まれて過ごす? 仕事にならん様になるぞ」
「別に良いだろテーラーおじ様。何時でも甘い物が直ぐに買いに行ける様になるぞ。そうだな……。氷菓屋も出しまくろうかな」
「氷菓屋? おいクソガキ、氷菓って元手がどれ位掛かるのか知らんのか? しかも冬場は全く売れねえ。そんな簡単な計算も出来ないのに成功する訳が無い、お前はアホか?」
ほう……。この寝取られ野郎は俺に大層な口を利くじゃないか。しかもニヤニヤと締まりの無いアホ面晒して。まだ自分の立場が分かっていない様だな。教育してやるよ、誰に舐めた口を利いてるかをな。
「アホにアホと言われても……。お前、御大層に物抜かしてるが、前提からして間違ってるんだよ。良いか、氷菓屋の元手の多くは氷だ。そして俺は氷なんぞ幾らでも造り出せるんだよ。俺はコレを使って子供の頃から荒稼ぎしてたんだ。お前も俺の事を調べたはず、ならそれ位は把握してるだろうが。お前こそアホだろ? それを忘れてるってお前はニワトリか? それと俺は良い人だから教えてやるが、冬場には氷菓が売れないだって? アホか。むしろ冬場の方が売れるわ。店内をガンガンに暖めて、その中でなら皆喜んで店に来て食う。例え薪代が嵩むとしても、想定範囲内の必要経費でしかない。それに冬場の方が持ち帰り客は増える、かなり増える。お前と違って俺は経費も計算した上で考えてるし、口に出してるわ。お前とは違うんだよ、この寝取られ性癖の異常性癖変態野郎が」
当たり前の事だぞ、経費や維持費、商売するなら必要経費はちゃんと計算してから出店するのはな。
嫌がらせするにしてもその辺りはちゃんと考えてるし、計算してるわ。経費と利益を天秤に掛けてるに決まってる。その上で出店するわい。
「クソが……」
「お前さっきからそれしか口に出していないな。俺はお前と違って学校のお勉強は出来るんだよ。頭の作りが違うんだよボケ。九九もまともに
「このガキ……。流石に足し算引き算位は出来る。ペラペラペラペラと……。口だけは達者だな」
おいおい、語るに落ちたな。
「いやお前、足し算引き算は、って、それって九九が出来ませんって言ってる様なもんだぞ。まぁ良いや、お前が九九を出来ようが出来まいがどうでも良いし。おい、それより俺の提出した、バハラの治安状況の改善案はどうすんの?」
本当に話が進まんなぁ。俺、お前らと遊ぶ為に来たんじゃ無いんだけど。