目の前に生け贄‥‥
未婚の若い衆が居る、何てタイミングが良いんだ。
コイツは、
その欠点だって、脳筋ってだけだ、酒癖は‥‥
アレは祭の熱気にあてられて少々テンションが上がっただけだ、多分な。
うん、ここは俺がキューピットになってやろう。
何て俺は良い奴なんだろう。
「おいブライアン、お前まだ結婚してないし、恋人も居ないよな?」
「えっ? そうだけど‥‥ どうしたんだいきなり」
「いや~ 俺はお前が心配でなぁ、お前去年、俺と色々あってから何やかんやで、俺には従順で素直になったからなぁ、そんなお前が俺は心配なんだよ、だからここは一つ、一肌脱いでだな、お前に女を世話してあげようと思ったんだ」
「いや、気持ちは嬉しいけど、俺にその気は無いんだが・・・」
「遠慮すんな、てか若いんだから女にもっと貪欲になれよ、と言うわけでだな、俺がブライアン君に女を紹介してやろうじゃないか、お見合いと言えば大袈裟だが、軽く食事会を開いてお前とそいつ‥‥ その女性を引き合わせるだけだよ、勿論 食事は俺が準備するし、何なら酒もちょっと良い物を用意する、酒も食事も期待していいぞ、と言う事でやろうじゃないか」
「いやその‥‥ 本当に気持ちは嬉しいし、飯も酒も正直ちょっと惹かれるが、別にいいかな」
チッ‥‥
無駄に遠慮しやがって、プレゼンが弱かったか?
「あんまり重く考えるなよ、ちょっと酒飲んでついでに食事するだけだよ、俺謹製の蜂蜜酒の味見と、俺の手料理の味見だよ、味見なら男と女の両方居た方が反応がより分かるからな、蜂蜜酒はかなり出来が良いんだが、他人の評価を知りたいんだ、自画自賛になって無いか心配なんだよ」
「・・・」
良し! 揺れてる 揺れてる。
蜂蜜はそこそこ値が張る、当然蜂蜜酒も良い値段がする。
そんなしょっちゅう飲める物では無いからな。
帝国では養蜂が盛んで、他国に比べれば蜂蜜は安いが、それでも高いし気軽に使えるとは言い難い、まぁ高級品扱いだ。
フフフッ、俺の心の安らぎと安定の為だ、たっぷりと使って振る舞おうではないか。
「あー 守長、無茶苦茶 心惹かれるがやっぱ止めとくよ、その~ 俺、惚れた女が居るんだ」
「そうなのか、相手は誰だ?」
「誰にも言わないで欲しいんだが‥‥ 村の奴じゃ無いんだ」
「ん? どう言う事だ?」
「参ったな‥‥ コレ誰にも言って無いんだ、その‥‥ ガルム村の娘なんだ、守長はガルム村って知ってるかな?」
「バハラの北にある村だろ、当然知ってる、魚醤造りが盛んな村だ、今はバハラからの観光客相手に地引き網体験も重要な収入源になってる村だな、漁村から観光地になった所だろ」
現在の帝国では、珍しくも無い割りと良くある村だ、地引き網漁によって、漁村から観光地になった村だな。
まぁ、あそこは魚醤も有名ではある。
とは言え魚醤造りは、結構匂いがきついから、村から離れた所に醸造所が有るがな。
完成品はやや癖がある匂い程度だが、製造中は匂いが、いや
このハルータでも自分達用の魚醤を作る為の場所があるが、村から離れた所にある。
まぁこの村では、商業用では無く、あくまで自家用分しか作って無い、商業用が全く無い訳では無いが、規模は物凄く小さい。
ガルム村で造るのは商業用だ。
こことは規模が違う、まぁあの村でも自家用に作って居るが、基本的に売るために造って居る。
出来た分は全てバハラに卸し、バハラで消費される、一部は他の場所に運ばれるが、基本的にはバハラで消費される。
まぁ魚醤は帝国沿岸地域では何処でも自家用に作っているし、商業用に造っている、割りとありふれてる、違いは規模だけだ。
まぁ生産地によって味も香りも、風味の違いはあるが、魚醤は帝国沿岸地域であれば特に珍しくも何とも無い。
だがガルム村の場合は、かなり大規模に造って居る、まぁそれでもバハラでほぼ全て生産分は消費されるがな。
バハラは大都市だ、あの村の生産量は多い、だがあの村の生産量だけでは到底賄いきれない、それを考えれば、バハラがどれだけ大都市か分かるだろう。
しかし・・・
「お前いつ知り合ったんだ?」
「ん? バハラの魚市場に魚を卸しに行った時だよ、それと魚市場の近くの路上で直売してるけど、そん時に良く隣になる事があるんだ、まぁそれで知り合ったんだ」
あー そう言えばコイツも魚市場に卸しに行って、ついでに鮮魚とか加工品を路上市で売ったりしてるんだったな。
へえ~ ベタだが中々どうして、女衆が好きそうな話しだな。
「知り合って長いのか?」
「四年ってとこだな」
「お前今、21だな、て事は17の時か、なら相手も結婚しててもおかしくは無い歳だな、そろそろその娘と結婚するのか?」
「あー 相手は今18だからそろそろだな、ただその、何て言うか‥‥ 別に恋人同士って訳でも無いんだ、だが確かに結婚しててもおかしくは無い歳だから、何とかしないと誰かにかっさらわれちまうから、最近ヤバいって思ってる」
てか相手が14の時かよ、いや‥‥
コイツも当時17ならおかしくは無いな。
しかし・・・
「お前、まさかと思うが、自分の想いすら伝えて無いとかじゃ無いよな? お互い気持ちは分かってるんだよな?」
「・・・」
マジか! コイツ、片思いのままかよ、自分の気持ち位は伝えてると思ってたのに‥‥
見た目に反して純情かよ。
こんだけ ごっついナリして、しかも脳筋なのに何でだ?
「おいブライアン、お前ヤカラ丸出し、チンピラ丸出しの見た目してるくせ、お前は中身乙女かよ? それとも恋に恋する少女か? さっさと思いを伝えないと後悔するぞ、言わなきゃ分からないからな、黙って居ても想いが伝わる何て傲慢だからな」
まぁ男前なら話しは別だが、コイツはただのチンピラ顔だからな。
「分かってるよ‥‥ ただタイミングが‥‥」
「・・・」
いやいやいや、何もじもじ してんだよ。
全然可愛く無いからな、てかお前は人見知りの幼子かよ、コイツちょっと真剣に気持ち悪いです。
「お前もじもじすんな、気持ち悪いぞ、てか先伸ばしにしてたら何時まで経っても状況は変わらん、ついでに言うと本当に横からかっさらわれて、その娘から結婚報告を聞く事になるぞ、良いのか?」
「そりゃー 良くは無いけど、でも・・・」
でも もクソもあるかよ、コイツこんなに奥手だったのか?
ゴツイ身体して、チンピラ顔してんのに、中身は完全に乙女じゃないか。
「おい、ブライアン」
「ん? 何だよ守長?」
何だよじゃねーよ、ハッキリしない奴だな。
仕方無い、一丁コイツに渇を入れてやる!
「何時までもうじうじしゃがって、お前の股ぐらにぶら下がってるコレは飾りかー!」
「ちょっ、守長! 何すんだよ! 潰れる、潰れるから! いや、本当に! マジで!」
「アホかー まだ潰さんわ! お前のコレは何の為にぶら下がってる! 小便する為の管か?」
「守長! マジで、マジで、マジでヤバイから! 潰れるって」
アホか、潰すなら一瞬で潰せるわ、手加減してやってるのに、なんちゅー言い草だ。
てか大袈裟な、ちょっと股ぐらの間にぶら下がってるモノを掴んでるだけだろうが。
「お前、ぐじぐじと言い訳しやがって、振られるのが怖いだけだろ? お前のこのお粗末なモノは何の為にくっついてる? 男見せろやブライアン」
「マジで、マジでマジで、マジでーーー! 」
「お前は俺の話を聞いてるのかーー? 」
「聞いてる、聞いてる」
「返事は一回で良い! お前はふざけてふるのか? 真剣に聞いてるのかーー! 」
「本当、マジで、聞いてるから、本当だから、マジで、マジで、マジで~~~! 」
怪しいな?
本当にちゃんと俺の話しを真剣に聞いてるのか?
もう少しコイツには、教育が必要だな。
俺はブライアンの、お粗末なブツを固く握りしめながらそう思った。
まだまだこれからだ、コイツには分からせてやる!