異世界灯台守の日々   作:くりゅ~ぐ

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第98話 けしからんモノ達

 

カモメが鳴いている

 

午後の日差しが少し強い

 

肌に照り付ける太陽が頑張って居る様だ

 

季節が僅かに戻った様な気がする

 

 

軍人や官吏達は早朝、まだ夜が明けない内にバハラへの帰還の為に出発した。

 

完全に対応5が、嵐に関わる事が終了したのだ。

 

小物君は最後に、御世話になりましたと屈託の無い笑顔で別れの挨拶をした。

 

まぁわだかまりの様な物は流石にお互い無い。

 

二週間の間共に同じ仕事をしたんだ、それに話も何やかんやしたし、何より酒も酌み交わしたんだ。

 

それなりに関係は築けたとは思う。

 

俺も最後に、

『もう少し周りを見て冷静に対応出来れば更に出世出来るでしょう』と言葉を贈った。

 

嫌味でも皮肉でも無く、心からのアドバイスだ。

 

まぁ小物君は苦笑してたが、

『そうですね私の悪い癖です、今後は今回の件を教訓として職務に励みます』と言って見事な敬礼で別れを告げた。

 

官吏達は『サリバン卿と御一緒に仕事を出来た事、皆に自慢出来ます』何てお世辞を言って居た。

 

まぁ社交辞令として有り難く受け取っておいた。

 

軍人や官吏達の見送りで、少し起きるのが何時もより早かったからか少し眠気があったが、今は余り眠気は無い、時間がある程度経って身体が完全に覚醒したってのもあるが、コーヒーを何時もより一杯多めに飲んだからと言うのもあるだろう。

 

昼飯を食い終わり食後のコーヒーも飲み、

今からお出かけだ。

 

まぁ仕事何てとっくに終わってるし、

今は完全に自由時間になってる。

 

と言っても遠出する訳では無い。

 

近くの海に潜りに行くだけだ、前々から目を付けて居た場所があり、そこは波と言うか潮の流れが早く、落ち着く日にでも行こうと思って居た時にあの嵐により対応5となって行けなかった。

 

今日は潮の流れも緩やかで、良い陽気でもある。

 

しかも軍人や官吏達も今は居ない。

 

うん、絶好の漁日和だ、てか素潜り日和?

 

まぁ兎に角、待ちに待った日がやって来た。

 

服の下には褌を身に付けて居る。

 

捕縛用のロープと、大きめのナイフが一本、

小さいナイフが一本、貝を剥がす為のコテが一つ、

それと銛が一本に、エビバサミと、獲物を入れる網を二つに、三十メーターの長さのロープが一つと、

後は暖を取る為の薪に水中メガネと‥‥

 

うーん‥‥

 

水中メガネなぁ、ガラスの部分がかなり濁ってるし気泡が多い、てか本当誰か濁りと気泡の無いガラスを開発してくれよな、不便でたまらん。

 

だいだいコレでもアホみたいに高額なんだよなぁ。

 

信じられん事にこの水中メガネ、金貨二枚に大銀貨一枚だぞ、四人家族の庶民が一月余裕を持って生活出来る金額だぞ、ふざけてるわ。

 

まぁ俺は金に困って無いから良いけど 高過ぎだ。

 

まぁ良い、籠に入れてと、忘れ物は無いな。

 

「守長、やっぱ行くのかね?」

 

「行くよ、てか心配し過ぎだぞ、俺も子供じゃ無いんだから心配すんなよ」

 

ザッカリーのじい様め、ため息吐きやがった。

 

てか何時ものふざけた態度は一切無い、

本気も本気の真面目モードだ。

 

「だからな守長、あそこはな今まで何人も死んどるんだ、まぁ今日はまだ潮の流れも緩やかだからまだマシだが本当に気を付けてくれ、冗談で言っとる訳じゃ無いんだ、それと行くなら村のモンに一声掛けて、そんで何人か連れて行かにゃ本当に何かあった時にどうにもならん」

 

「分かってるよ、村に行って声を掛けるし暇そうな奴を連れて行くから」

 

「ん、ならエエ、だがな守長くどい様だが気いつけてな」

 

「分かってるよ気を付けるよ」

 

まだ何か言いたそうだな、まぁ俺が今から行くのはバハラ側寄りの岬と岩礁地帯だ、とは言え岬に関しては少し違う、岬と言うには大袈裟で、只の出っ張りとも微妙に言い難い場所だ。

 

そこは深さ10m~20m程度の深さがあり幅も50m程ある湾曲部で、先程ザッカリーのじい様が言った様に潮の流れが早く、海中も複雑な流れとなって居る、だがその危険に見合うだけの豊富な魚介類がいて絶好の漁ポイントとなって居る。

 

獲物となる魚介類は他の場所より遥かに多く、棘鎧(伊勢海老)海ザリガニ(ロブスター)を始め、岩がきや他の貝類、それにタコ等も他の場所より明らかに多数居る。

 

まぁその分危険ではあるんだが‥‥

 

そしてそこは船では近寄れず、

素潜りや岩場から釣る等しないと獲れ無い場所だ。

 

なのでそこで漁を、素潜りをし帰らぬ人なる奴が居る場所でもある。

 

ザッカリーのじい様が普段のおちゃらけた態度を一切見せず、珍しく真面目な顔をして注意を促したのも分かろうと言う物だ。

 

この十年、誰もそこで素潜り漁をして居ない、

というのも十年前に立て続け二人死んだらしく、

皆が避けていた様だ。

 

縁起が悪いとか気味が悪いと言って最近は誰もやらないらしい。

 

それこそ釣りですらしなくなったらしいから、

よっぽどその十年前の事が心に引っ掛かって居るんだろう。

 

ザッカリーのじい様だけで無く、他のじい様も止めとけと言われたが、一度は行ってみたかったし、伊勢海老やロブスター、それに岩がきがどうしても食べたい。

 

それに今日は潮の流れも緩やかな日だ、今日を逃せば恐らく来年まで待たなくてはならない。

 

潮の流れ云々と言うよりは、気温の問題だ。

 

余り涼しくなったら入るのが辛い、

今日位の気温ならば寧ろ気持ちが良いだろう。

 

とは言え一応暖を取る為の薪も持って行ってる。

 

じい様達が皆口を揃えて持って行けと言われたからだ、終わりの時期とは言え夏場に要るか?

そう思ったが、じい様達が皆言うもんだから一応持って行く事にした。

 

まぁ年寄りの言う事は理由がある場合が多い、

それに万が一の事もある、なので素直に従う事にした。

 

そして薪を準備して居る時にふと思った。

アレ? てか獲れた獲物をその場で食えるんじゃ?

 

なので薪を多めに持って行く事にしたが、

荷物が結構な量になってしまったのは誤算である。

 

それと身体を暖める用に水筒にブランデーを入れて持って行く事にしたが、荷物が増えてまるで夜逃げの様な格好になってしまったが、俺は近場に素潜りをしに行くんだよな?

 

何か我ながら遠出する様になってしまってるが、

流石にここ迄 必要なのか今更ながら疑問に感じてるのは気のせいでは無いだろう。

 

てかこの前の手長エビを釣った時みたいにアホ程獲れたらどうするんだ?

 

いやまぁ取らぬタヌキの皮算用かも知れないが、

ちょっと荷物を持って来過ぎたか?

 

まぁ良いだろう、少々邪魔ではあるが余裕で持てる重さだ、うん、あれば何かしら役には立つだろう。

 

それに獲る量をある程度抑えれば良いんだ。

 

大体 伊勢海老もロブスターも夜行性なんだからそんなアホ程獲れるって考えは希望的観測でしかない。

 

まぁ願望ってやつだな、基本獲れ高より安全優先だ、そうだな、安全第一だ。

 

てか釣竿も持って来ても良かったか?

 

うーん、荷物が多いと言ってる側からこれか、

我ながらどうしょうも無いな。

 

楽しみにして居たとは言え、余り浮かれ無い様にしなければ、慎重にご安心にの精神を忘れてはいけない。

 

色々考えながら歩いたからかいつの間にか村に着いた、村長‥‥ カレンに話を通しておかねば。

 

おっ! 上手い具合にカレンが居た、

しかもおまけの村長がおらずカレンだけじゃないか、

ツイてるな、いらん話をしなくて済む、カレンだけなら話が早くて助かるな。

 

「カレンちょっと良いか?」

 

「あれ? 守長どうしたの? えらい荷物だね」

 

「あー 実はな・・・・・・」

 

 

~~~

 

「うーん‥‥ 話は分かったけど私は止めといた方が良いと思うんだけど」

 

「灯台でじい様達にも言われたよ、まぁ今日は潮目が穏やかで普段よりかなりマシらしいからな、それに準備もきっちり整えて来たし当然無茶もしない、安全第一で行くさ」

 

「んー‥‥ それでもねえ‥‥ ハァ‥‥ 分かったわ、本当に気を付けてね守長」

 

「当然だ、俺はまだ死にたくない」

 

あっ、カレンの奴 又ため息吐きやがった、

てか最近良くため息吐いてるよな、

まぁ昔から らしいから今更か。

 

「で? 誰を連れて行くの?」

 

「ん、モリソン兄弟を連れてく、ちゃんと小遣いも出すしアイツらも嫌とは言わんだろ」

 

「まぁ、あの子らなら大丈夫かな? 守長、くどい様だけど本当に気を付けてね」

 

「分かってるよ、安全第一で行くから、決して無理はしない」

 

「私も気にはしとくから、守長無事に帰って来てね、約束だよ」

 

「分かった、ありがとよカレン」

 

まぁ一応は納得と言うか了解は取った、

後はモリソン兄弟だな、まぁバイト代を弾めば大丈夫だろ。

 

さて、愛しの伊勢海老にロブスターに岩がきを、

あのけしからん食い物を頂きにいきますか。

 

 

 

 

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