変身せよ、強き自分へ 臆病者は変われるか?   作:カフェイン中毒

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アンノウン・インベイション

 「やあ、ハルト。元気そうでよかった」

 

 「クリントさん!どうしてこちらに?」

 

 「任務終わりでな。暫くこっちにいる、と言っても本部には近寄らないし別の任務で出ずっぱりになるみたいだけどな」

 

 「そうなんですねー、何か頼んでかれます?」

 

 「そうだな……」

 

 俺の初任務からはや1年が経とうとしていた。めでたく俺は17を超え、トニーさんに誕生日を教えなかったことを怒られたりしつつもまあ無事に過ごすことが出来ている。あれから1か月に1回あるかないかくらいの頻度で任務をフューリーさんから受け続けたんだけどまあ、勉強にはなったよ。やっぱり悪いやつはどこにでもいるもんだ。

 

 で、その際結構な確率でバディになるのが今目の前にいるクリントさんなわけで、この人のおかげで生身での戦闘力も上がったし、うっすらだけど腹筋割れたし、まあいいことづくめなわけだ。ホントならみんな暇なのが万々歳な感じなんだろうけどね。

 

 フードトラックと見習いエージェント戦闘員の二足の草鞋生活はハードだけどやりがいがある。戦闘にもまあ……慣れた。気持ちのいいものじゃないし、楽しいとは思わないけど。殴らないと止められないこともあるというのは骨身にしみた。

 

 「イズには世話になり通しだけどな。いいのか?この携帯」

 

 「便利でしょ?ねえイズ」

 

 『問題ありません。リソースは十分に余っています』

 

 「お駄賃を考えておかないとな」

 

 注文を受けた俺がフードトラックに引っ込んで肉じゃがコロッケと牛丼を渡すとクリントさんはライズフォンを見せてそう聞いてきた。そのライズフォンはイズと直結型の潜入に必要そうな機能を特化させたクリントさん専用のライズフォンで、クリントさんの誕生日を聞いた俺がイズと一緒にあれじゃないこれじゃないと考えながらカスタマイズして作成して渡したものだ。

 

 トニーさんには俺が直接行って料理を振舞ったりしたけど、クリントさんは休みが不定期で予定が合わないから役に立つ何かがいいだろうなって。トニーさんが俺にくれたスマートウォッチみたいなもんだ。ゼアの莫大なリソースがあればこその出来である。現状のスパコンより高性能ですぜ、マジで。クリントさんにはお高い料理用ナイフセットを貰った。来年は何がいいかなあ。

 

 これから夜に任務があるからとクリントさんは足早に去っていく。わざわざ会いに来てくれるなんてありがたい話だなあ。イズを通して元気そうなのは確認してたしなんかあったら文字通り飛んで駆けつける気概でいるわけだけどね~。

 

 「イズ、そろそろ帰ろうか。最近売り切れるの早くなったね」

 

 『SNSで話題になっています。日本の家庭料理をリーズナブルに楽しめると。固定店舗を持ってみてはどうでしょう?』

 

 「気が早い気が早い。それに、臨時休業ばかりになっちゃうよ」

 

 「なんだもう閉めるのか?ハル」

 

 「あれ!?サムさん!?どうしたの?隣の人は?」

 

 「ちょっと前に知り合って仲良くなったんだ、なんと驚きキャプテン・アメリカ様さ」

 

 「よしてくれよ、スティーブ・ロジャースだ」

 

 「ハルト・ハヤカワです。トニーさん……アイアンマンからお話はかねがね」

 

 「彼を知っているのか?」

 

 「ちょっと前にいろいろありまして」

 

 やっべえええええ!?なんでサムさんがキャプテン・アメリカと知り合ってるんだ!?というかワシントンにいたのか!?まずいまずい非常にまずい!思いっきりニューヨークで会ってるからこの人!というか最近やってる戦時中のイベントで知ったけどこの人ホントに70年前から氷漬けで眠ってて最近目覚めたとかいう話じゃん!本物のキャプテン・アメリカだったやん!

 

 彼は俺の声に疑問を覚えたようで首をかしげている。だよね、変身してても声はちょっとエコーかかるくらいでそのままだからね!聞けばわかるよね超人兵士なら!

 

 「なあ、君……どこかで会ったことないか?」

 

 「いえ?ああ、でも最近はここら辺で商売してるので呼び込みとかの声を聞いたりしてるんじゃないですか?キャプテン・アメリカに会ったなら俺は忘れませんけどね」

 

 嘘ですビンビンに覚えてます。ありがとうクリントさんポーカーフェースの作り方教えてくれて!今めっちゃ役に立ってる!バレてるかもしれないけどめっちゃ今俺何でもない風を装えてる!イズは一応トニーさん製ということになってるので一応紹介する。サムさんの手前追及するのはやめてくれたらしいロジャースさんは興味を俺のトラックに移してくれたらしい。

 

 「そのトラックもスタークが?」

 

 「ですです。去年のクリスマスに出先で助けただけなんですけどね……余り物でよければ持ち帰られますか?」

 

 「いいのか?」

 

 「はい、と言っても日本食なのでお口に合うかは分かりませんけど」

 

 彼が眠りにつく前、当時日本は敵国だった。彼が敵対していたヒドラとかいうテロ組織はドイツのものだったけど国としては日本は敵国だったから彼もその意識があるかもしれない。気を悪くしないかな、と思ったけど彼はそういう感じはない。イズがぴょこっと顔を出して残ってるメニューを表示すると彼は大盛りの牛丼を選んだのでニューヨークでのお詫びも兼ねて特盛にして袋に入れて渡す。サムさんも同じものをと言ったので用意して渡した。

 

 「味が気に入られましたらまた来てくださいね~」

 

 「ああ、ありがとう。いい店知ってるんだな」

 

 「だろ?俺のおすすめだぜ」 

 

 牛丼の袋を持ったマッチョメンたちはお互いに軽く肩を叩いて去っていった。俺はサムさんに新しい友達ができたことを嬉しく思いながらフードトラックの片づけを進めるのだった。

 

 

 

 

 『ハルト様、近辺に不審な動きを発見しました』

 

 「不審ってどんな?」

 

 『警察の出動記録がないにもかかわらず警察車両と特殊部隊が数ブロック先に出動しています』

 

 「……きなくさいな……そこ避けて帰ろうか」

 

 『……!! 現在警察車両が一つの車両を挟んで動きを止めました!無警告で発砲中!乗っているのはフューリー様です!』

 

 「ごめん前言撤回!トラック家に戻しといて!」

 

 片づけを終えて、家に帰ろうとトラックの運転席に収まった俺に帰りの道路状況をナビするべく周辺の監視カメラを見ていたらしいイズがとんでもないことを言ったもんだから運転席を転がり落ちるように外に出た俺が人目がないことを確認し大慌てでライズホッパーを呼び出してヘルメットをかぶりフルスロットルで道路に飛び出す。

 

 イズのナビに従うまでもなく銃声が響き渡っていて車が我先にと逃げている。俺はそれを逆走するようにライズホッパーを操って現場へ向かう。フューリーさんが何したかとか何があったかなんてわかんないけど偉い人のはずで、その人が乗る車をいきなり実力行使で止めて銃弾を浴びせまくるのは明らかにおかしい。銃社会のアメリカとはいえ無警告での発砲はいくら警察でもあり得ない。たとえフューリーさんが何かをしたとしても、殺されてからじゃ遅い!殺される前に事情を聞かないと!

 

 「JUMP!」

 

 「変身!」

 

 「飛び上がライズ!ライジングホッパー!」

 

 ドライバーを腰に巻き走りながらライジングホッパープログライズキーを起動して変身する。道路を跳ねまくってバイクに追随するライダモデルが分解されて鎧に変わった。俺はアクセルを全開に吹かして角を曲がると、SWATやら警察のパトカーがフューリーさんが乗るであろう車に向かってアサルトライフルで銃弾を浴びせているところだった。助手席側に設置された杭打機のような機械が窓に向かって強烈な打撃を打ち込んで、車体が跳ねる。俺はすぐさまバイクから飛んで杭打機をアタッシュカリバーで真っ二つにして仁王立ちで警官や特殊部隊に向き直る。

 

 「イズ、中と通信繋いで、オフラインのものは全部リブート」

 

 『リブート終了、垂直離着陸システムのみ完全破壊されています』

 

 「ゼロワンか、うっぐぁ……!よく来てくれた……」

 

 「一応聞きますけどこんな事される心当たりは?」

 

 「ハァ……恨まれてる相手なら山ほどいるが、殺されるいわれはないな」

 

 「信じても?」

 

 「お前次第だ」

 

 「じゃ、逃げてくださいっ!」

 

 俺が来る前に何か怪我をしたのか通信先のフューリーさんの声は苦悶が挟まっていた。回りくどいフューリーさんの言葉をとりあえず信じることにしよう。突然現れた俺に対してライフルを構えて警戒している部隊のやつらの隙をついて体を反転させ、フューリーさんが乗る車の前を陣取っているパトカーを蹴り飛ばして無理やり道を開ける。その隙に車内システムを乗っ取ったイズが車を発進させ、逃げる。

 

 「ゼロワンだと……!?」

 

 「バカな、フューリーと繋がっていたのか!?」

 

 「一体全体何が何だか説明してくれると嬉しいんだけどね?」

 

 俺のその言葉の返答は無言と銃弾の雨だった。俺は地面にアタッシュカリバーを刺してアタッシュショットガンを呼び出し、慌ててフューリーさんの乗る車を追跡しようとしているパトカーや特殊車両のタイヤをスラッグ弾でぶち抜いて止める。浴びせられる銃弾を気にせずに全ての車両を破壊した俺はアタッシュショットガンを仕舞う。アサルトライフルからグレネードが飛んでくるがアタッシュカリバーを引き抜き一閃、真っ二つにする。俺の背後で起こる爆発をよそに、俺はライズホッパーに乗ってフューリーさんを追いかけた。

 

 「まだ追われてますか?」

 

 『ああ、奴さんうようよいる。市街地から外れるぞ』

 

 『了解しました、ルートを表示します』

 

 「すぐ追いつきます」

 

 大混乱のカーチェイスに割り込む俺は、ライズホッパーでアメリカらしい大型車や小型車が行き交う混沌とした道路を車の間を縫ってフューリーさんに追いついた。それでも警察車両は追いついてくるので、俺がしかたなくショットライザーを呼び出して片手撃ちでタイヤを撃ち抜いて行動不能にしていく。

 

 大通りから外れ、渋滞をあちこち車体をぶつけながら強引に抜けた俺たち、追ってくる警察車両は粗方撒いた、あとは姿を隠すだけ……というところでシステムに強化された俺の視力が道路のど真ん中に立つ髪を伸ばし、サングラスとマスクをつけた男を捉えた。明らかに怪しいのでフューリーさんより前にライズホッパーで飛び出し、警戒する。なんかわかる、格が違う雰囲気だ。男はそれを見ると、円盤状の何かを俺に構うことなく地面に滑らせるように発射した。

 

 「フューリーさん、あれ止めるのでそのまま逃げてください。イズ、監視カメラ全部止めといて」

 

 『はい、ハルト様』

 

 フューリーさんの返事を聞かず俺はこちらに滑ってくる円盤を掴んで上空に放り投げる。ゼロワンの超膂力で投げられた円盤はフリスビーのように上空100mほどまで飛んで空中で爆発した。やっぱり爆発物か……!ウォンッ!とライズホッパーのアクセルを唸らせた俺はそのまま男にぶつかるつもりで突っ込む。寸前で躱そうとした男の動きを予測して、片手で男を掴んで持ち上げ、フューリーさんとは逆方向の道に男をバイクで引きずるようにしながら入る。

 

 ギャリギャリギャリ!と異音がしたので下を見ると、左手を地面につけた男と、地面と左手から散る火花、地面に走る5本の線……こいつの手、トニーさんや俺と同じスーツか?持っていた右肩を握りしめてぶん投げて壁に叩きつける、が男はまるで猫のように壁で受け身を取ると何事もなかったかのように立ち上がった。

 

 「……素直に捕まってくれると嬉しいんだけど?」

 

 「……」

 

 男は何も言わずに腰の後ろに手を入れると拳銃を取り出した。そのまますさまじい速度で狙いをつけて発射された銃弾は正確に俺の頭と心臓を狙ってきた。俺は腕で銃弾を払い、男に向かって殴りかかる。一発目で銃を払った俺の拳、もう一発は左手に防がれる。金属を殴った感触がして、男がたたらを踏んだ。

 

 俺のパワーを警戒しているのか右手でナイフを抜いた男がじりじりと後ずさる。逃がすかっ!俺は先読みで後ろに回り込むと男もそれを読んでいたらしく、右手のナイフを左手で支えてタックルするように俺に突き立てようとする。左手が甲高い機械音を立てて駆動する。受け止めたけど、男の左手のパワーが強い、負けるとは思えないけど体勢が悪い。押し込まれたナイフが俺の腹に突き刺さるが、ヒデンアロイに阻まれて無残に折れ曲がる、男はナイフを捨てて、左手一本で俺を持ち上げて投げた。冗談だろ、今の俺が何キロあると思ってるんだ。

 

 まずいな、これ。スペックで負ける気は全然しないけど技術で負けてる。押しきれない、なんだこいつ……!今度は男が攻めてきた。対抗できるのが左手だけなので、甲高い音を立てて駆動する左手がガンガンと俺に叩きつけられる。動きの一つ一つが洗練されてる、まるでずっと戦い続けて研ぎ澄まされたような動き……!防げるけど、俺に捕まらないように徹底しているせいで拘束することが出来ない。

 

 殴られるのを無視して左手を掴んだ。握力を強めて左手を潰そうとする。メキメキと男の左手の外装に音を立てて俺の指がめり込んでいく、男は獣のような声をあげて左手を振り回す、咄嗟に離せなかった俺が振り回されて投げられる、男はその隙に俺に向かって手榴弾を3つ投擲した。

 

 「しまっ!?」

 

 3つのうち一つは閃光手榴弾だったようでそれがいの一番に炸裂し、一瞬視界が真っ白に染まった途端時間差で残りが爆発、俺は吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。すぐさま復帰した俺があたりを見渡すが……いない。クソ、逃げられた。

 

 慌てて俺はフューリーさんが無事かイズに通信を繋ぐのだった。




 ウィンターソルジャー、開幕します。ウィンターソルジャーはそこまで流れを変える気はないですけどこんくらいやってもええやんくらいの改編はします。そのためのハルト君です。

 よくよく考えれば対人間だとゼロワン強すぎないか?戦闘経験の差で負けることはあってもスペック勝負なら負ける気がしないんじゃが……

 あ、重要な設定ですが今作品のビブラニウムについてです。今作品のビブラニウムの強度は大体ヒデンアロイと一緒とさせてもらいます、が。それは素の硬さであってビブラニウムの特性である「衝撃を吸収して強度を上げる」特性がありますので総合的な硬さはビブラニウムの勝ちです。

 Wikipediaの記述で申し訳ないですけどダイアモンドよりも硬い、という記述がヒデンアロイと同じなので……あれです、アダマンチウムみたいなもんです。

 また映画の描写から吸収できる衝撃にも限度がありそうなのでノックバックもします。ウィンターソルジャーでもグレネードを受けて吹っ飛ばされてましたので

 MCU版ですと盾はビブラニウム単体でできてるみたいですし、エンドゲームで壊れてましたのでビブラニウムは破壊可能物質として扱わせてもらいます。もちろんそれはヒデンアロイも同じとさせてもらいます。

ではでは次の更新でお会いしましょう。感想よろしくお願いします
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