嵐の滅竜魔導士   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


S級クエスト

「ラクサス!」

「いたのかよ……珍しいな」

 

二階にいたラクサスの存在にほとんどのメンバーが珍しそうに視線を向ける中、ラクサスを初めて見るルーシィはおずおずといった感じでテンに顔を向ける。

 

「あの人がラクサス?」

「そ。ギルド最強候補の一人で、人付き合いがかなり苦手な男だよ」

 

テンがルーシィにそう答えてると、ラクサスがギロリと殺気と苛立ちを籠めてテンを睨み付けた。

 

「あ?誰が人付き合いがかなり苦手だ?テン」

「実際もって苦手だろ。お前を慕っているチーム《雷神衆》を除いて、威圧感やら態度やらですぐに意地を張るだろ」

「うっせぇ!そうじゃなきゃ周りに舐められるだろうが!!」

 

テンの言葉に怒鳴って返すラクサスに、ルーシィは思わずビビるように硬直させる。

 

「あ、ちなみに土産に音楽が録音された魔水晶(ラクリマ)があるぞ」

「この流れで土産を渡すな!クソ、お前と話すと本当に調子が狂うぜ」

 

ラクサスはぶつくさ文句を言いながらも、テンが投げ渡した魔水晶(ラクリマ)を受け取って懐にしまう。

 

「……貰えるものは貰うのね」

「テンが買ってくる土産は大抵は掘り出し物の当たりだからな」

 

ルーシィの呟きにグレイが耳打ちして答える。

実際、あの魔水晶(ラクリマ)に録音された音楽も、かなり人気で品薄であったものだ。毎回そんな希少になっているものばかり手に入れるから、ラクサスもあまり意地を張れないのである。

 

「とにかくミストガンはシャイなんだよ。あんまり詮索してやるな」

 

ラクサスは話を戻すようにそう告げた直後、ようやくナツが目を覚ました。

 

「……あ、ラクサス!俺と勝負しろーー!!」

 

目が覚めて早々、ラクサスに気付いたナツが勝負を求めて吠えたてる。それに対してラクサスは意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「俺と勝負しろだと?無理無理。エルザやテンごときに勝てないようじゃ、何年かけようと俺には勝てねぇよ」

「……それはどういう意味だ?」

 

言外に自分より弱いと言われたエルザは、ラクサスに鋭い視線を向けながら怒気を放つ。

 

「自分の方が強いって言ってるんだろ。まあ、ミストガンの魔法に満足に抵抗できない時点で否定できないけど」

「ぬぐ……」

 

対するテンはあっさりと受け止めただけでなく、先程の事も交えて同意したので、エルザも否定できずに詰まってしまう。

 

「そうそう。つまり、俺が“最強”ってことさ」

「いやいや。最強はギルダーツだから、そこは“準最強”じゃないのか?」

「お前は本当に話を腰を折ってんじゃねえ!俺はそのオヤジをも越えて“最強”になるんだよ!!」

 

一々水を差しまくるテンに、ラクサスはこめかみに青筋を浮かべて怒鳴り散らす。まあ、自慢話に事実でケチを付けられると誰であろうとイラッと来るので当然ではあるが。

 

「降りてこいや、コノヤロー!」

「誰が雑魚の命令で降りるかよ。そんなに戦いたければ、お前が二階に上がってこいよ」

「上等だぁ!!」

 

まさに売り言葉に買い言葉。ラクサスの挑発に乗ったナツは二階に続く階段を目指して駆けていく。

だが、階段に差し掛かろうとした直前で、巨大な左拳がナツをその目前で叩き潰した。

 

「二階に上がってはならん。まだ、な」

 

ナツを叩き潰した張本人であるマカロフは諭すようにナツに告げる。対するナツはマカロフの左拳から抜け出そうと必死にもがいて聞いていなかったが。

 

「はは、止められてやんの」

「ラクサス、お前もじゃ。挑発して焚き付けるでない」

 

そんなナツをこの結果が見えていたラクサスは小馬鹿にしたように見下すが、マカロフに注意されると不機嫌そうに軽く舌打ちして返す。

 

「何にせよ《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》最強の座は誰にも譲らねぇし渡さねぇ……エルザとミストガン、テンとあのオヤジの誰にもな!」

 

ラクサスはそう宣言すると、嘲笑するように高笑いしながら二階の奥へと去っていく。

そんなラクサスの宣言に、ルーシィは少し疑問を感じていた。

 

「あのさ、何で最強にテンも入っていたの?」

「テンもエルザやミストガン、ラクサスと同じS級魔導士ニャからニャ」

「S級魔導士?」

 

フライのその説明に、聞き慣れない単語に対してルーシィは首を傾げる。そんなルーシィに、張本人であるテンが説明していく。

 

「“S級魔導士”はギルドマスターのじいちゃんが正式に認めた実力の高い魔導士のことだ。で、そのS級魔導士は二階の依頼板(クエストボード)にある“S級クエスト”を受けることができるんだよ」

 

そのS級魔導士も、年に一度行われる試験に合格した者だけがなれる。それも何人かの候補の中から一人、それも合格者ゼロとなる結果もあるからその厳しさは明らかだ。

 

「そのS級クエストって……かなりヤバイの?」

「そうニャ。村を幾つも滅ぼした悪魔の討伐や、生態系を大きく(おびニャ)かす危険生物の駆除といった、少しのミスであの世行きにニャる仕事ばっかりニャ」

「ヒィイイイッ!?」

 

S級クエストの危険性をフライは依頼の内容で説明し、その危険性が伝わったルーシィは見事なまでに身震いする。

 

「危険な分、報酬もかなりの高額。エルザは毎月の家賃だけでも四十万くらいの出費だから、よくS級クエストをこなしているぞ」

「もちろんテンもニャ」

 

そんなテンと自慢するフライに、ルーシィは苦笑いを浮かべるしかないのであった。

 

 

――――――

 

 

痛い痛い痛い!身体が、頭が、割れるように痛い!

『ず■■■と■う■■■。■で■■■をう■■■■■、■くに■■■■う■■』

声が煩わしい。声を■■■■■■■す―――ぁあああああああああ!

『そ■■■■■■■ねよ。■■れば、■■は■■■■を■■■が■■入■』

……違う。

『……■■?』

俺は―――

 

 

――――――

 

 

「―――ねじ曲げようとしてんじゃねぇ!!」

「ニャッバァーーッ!?」

 

ベッドの上から飛び起きるように身体を起こすと同時に叫び声を上げたテンに、すやすやと涎を垂らして寝ていたフライがその大声で驚いたように飛び起きる。

 

「テン!一体どうしたニャ!?」

 

テンの大声で目が覚めたフライは心配するように問いかける。対するテンは周りを見渡して宿だと気付いて荒い息を吐いた。

 

「夢、か……悪いフライ。驚かせてしまったな」

「それはいいんニャけど……例の記憶喪失の夢ニャ?」

 

フライの質問にテンは頷いて返す。

テンが時折見る、おそらく八年前以前の記憶に関する夢。そのどれもが霧が籠ったかのように不鮮明で、声も途切れ途切れだ。

はっきりと分かるのは、毎回何かしらの痛みを覚えていたこと。そして、何かに抗っていたことだけだ。

それも今さらだとテンは思い直し、昨日受けた依頼の内容を確認する。

 

「確か下水道に潜んでいる“ダイルファーガ”の討伐だったな?」

「そうニャ。この黒いワニは水を汚す迷惑モンスターニャ。本来(ほんニャい)は沼に住むモンスターニャけど」

 

フライの言う通り、ダイルファーガは本来沼地を縄張りとしている体長七メートルくらいのモンスターだ。だが、ダイルファーガの肉は珍味に分類される食材で、稀にギルドを通して食材目的で討伐依頼が出される事がある。

しかし、今回の討伐依頼は食材目的ではなく治安維持を目的とした依頼。どこかのバカな依頼者が討伐ではなく生け捕りにしたせいで、捌く直前で暴れて逃げ出してしまったからである。

 

「こいつの肉は報酬とは別に貰えるかな?」

「時と場合によるニャ」

 

そんな感じでテンとフライは依頼へと挑んだのだが……

 

「“キングダイル”に成長してるじゃねぇか!?」

「ニャッバァーー!?」

 

ダイルファーガの五倍以上の大きさを持つ黒いワニの登場に、テンとフライはすっ頓狂な声を上げるのであった。

 

 

――――――

 

 

「はあ……まさかキングダイルに成長するとか……クエストの難易度が間違ってるだろ」

「あれは並の魔導士三十人がかりでも負けるモンスターニャから、間違ってないニャ」

 

キングダイルの肉が詰まった大きな木箱をロープで引っ張りながら、テンとフライはうんざり気味に呟く。

キングダイルは稀とはいえダイルファーガの比にならない程強く、その面倒さは折紙付きだ。

実際、その戦闘で下水道と街が物理的に滅茶苦茶になった。つまり、また評議会からのお叱り案件である。

マカロフからの説教を受けるだろうなと、一人と一匹は少し気落ちしながらギルドに戻ると……ギルドの雰囲気が少し張り詰めていた。

 

「……なあ、ミラ。この空気は何だ?一体何が起きたんだ?」

「実は……」

 

テンがどこか張り詰めているミラジェーンに説明を求め、ミラジェーンはそれに応えて理由を説明していく。

なんと昨日、ナツがハッピーとルーシィと共に勝手にS級クエストに行ってしまったとのこと。

そのS級クエストに分類された依頼書は《ガルナ島》に関する依頼であり、報酬は【黄道十二門】の鍵一つと七百万J(ジュエル)。つまり、ルーシィは報酬に目が眩んで飛び付いてしまったのだ。

 

その依頼書はハッピーが人目を盗んで持っていったそうで、それをラクサスは目撃していながら無視したのだ。その理由も『フライと見間違えた』とのこと。

当然、ハッピーとフライでは毛色が違うのでミラジェーンが厳しくその点を指摘したが、ラクサスは逆光で形しか見えてなかったからとどこ吹く風。連れ戻すようにマカロフが指示しても、これから仕事だからと拒否して本当に仕事に行こうとする始末。

 

それに対して、ナツを力づくで連れ戻せる存在がその時にはラクサスしかいないとマカロフが指摘すると、その言葉にカチンときたらしいグレイがナツ達を連れ戻すと言って勝手に飛び出してしまったのだ。

そのグレイも、未だ帰って来ていないのでミイラ取りがミイラになった可能性が高い。

その事実にテンが頭を抱えていると、こういった問題に人一倍厳しい人物がギルドへと帰ってくる。

 

「……この空気は何だ?一体何があったというのだ?」

「実は……」

 

その人物―――エルザの疑問にミラジェーンがテンにした説明を、同様にエルザへと説明していく。

すべてを聞き終えたエルザは……怒りのオーラを放っていた。

 

「アイツら、S級の依頼書を盗んだ挙げ句に勝手に向かうとは……!テン、お前も共に来い!今すぐナツ達を追うぞ!」

「だよなー」

「ニャ」

 

エルザの有無を言わさぬ……否、意見も聞かずに強引に首根っこを掴んで引っ張られる展開に、テンとフライはやっぱりといった感じで連れて行かれる。

ガルナ島へ行くには船が必須なので、距離的にも港町である《ハルジオン》から向かったであろうことが予想できる。

つまり……

 

「ヴェエエエ……」

 

テンはハルジオン行きの列車で酔ってしまうのである。しかもこの後には船もあるだろうから、テンにとっての地獄はまだ続くのである。

 

「しばらくテンは戦力外ニャ……」

「そこは仕方ないだろう」

 

列車の窓から顔を出してぐったりしているテンを、フライとエルザは特に心配することなく呟く。

それからしばらくして、一行はハルジオンへと到着する。

 

「よし。此処からガルナ島へ向かう船乗りを探すぞ」

「いや、先にナツ達の目撃情報を洗うのが先だろ」

「ニャーもそう思うニャ」

 

エルザは一刻も早くガルナ島へ向かう為に船を探そうと告げるが、テンはまずはナツ達の足取りを調べるのが先だと告げてフライもそれに同意する。

何せガルナ島は『呪われた島』と言い伝えられており、そこまで送ってもらえる船があるのかすら疑問なのだ。

なので、ナツ達の足取りを追えば自ずと移動手段も分かり、場合によっては同じ方法で迎えると踏んだのである。

 

「そんな悠長に……いや、そうか」

 

エルザも反対の途中で意図を察して同意したことで、テンが主となって沖合いの人達に話を聞いていく。エルザでは失敗する可能性が濃厚なので。

結果としては半々。確かにナツ達はガルナ島へ向かう為に船乗り達に頼み込んでいたそうだが、その誰もが即答で断っていたとのこと。

そんな中で一人の船乗りがナツ達とグレイを船に乗せて向かったそうだが……その船は帰ってきていないとのことだった。

 

「完全に手詰まりか……」

 

テンがそう呟いていると、エルザは何かを見定めるように沖合いに視線を送っている。テンも気になってそちらに目を向けると……如何にも海賊船とおもしき船が港へと近寄って来ていた。

 

「あれって……海賊船だよな?」

「すんごいアピールしてるニャ……」

「中々に厳つい船だな。テンとフライはここで少し待っていてくれ。あの船の者達と少し交渉をしてくる」

 

どこかセンスがずれているエルザはそう言い残すと、飛翔能力のある鎧に【換装】してその船へと乗り込んでいく。

テンとフライは御愁傷様といった感じで合掌し、船にいる者達に黙祷を捧げたのだった。

 

 

――――――

 

 

エルザの活躍で無事(?)ガルナ島へ向かう船を手に入れたテン達は、その船で船員達と共にガルナ島へと向かっていた。

 

「オロロロロロロ」

「テン、しっかりするニャ。もう少しの辛抱ニャ」

「姐さん!この辺りは波が激しいので気をつけて下さい!」

「そうか。忠告感謝する」

 

テンが乗り物酔いで嘔吐する中、すっかり懐柔させられた船長の忠告にエルザは正面を見据えながら感謝の言葉を返す。

テンも優れない気分の中で正面へと顔を向けると、そこには上空に巨大な紫の膜が出来上がっている島が見えていた。

 

「あれがガルナ島か……あの膜は一体……?ヴヴ」

「もう少しでガルナ島に付く。島に降りたらすぐにナツ達を探すぞ」

 

エルザの言葉に乗り物酔いに襲われながらもテンはコクリと頷く。

荒波に襲われてより一層激しい乗り物酔いに襲われながらも、テン達はガルナ島へと到着した。

 

「俺達はここで待機しています!帰りの船が必要でしょうから!」

「そうか。すまないな」

「いえいえ!姐さんの為ならどうってことないですよ!」

 

本当に懐柔された海賊達に妙な気分で感謝しつつ、テン達は二手に分かれてナツ達の捜索を開始する。

エルザは単独で捜索し、テンは相棒のフライと共にナツ達を探していく。

 

「まずはルーシィを探すぞ」

「分かったニャ」

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)としての嗅覚を使い、ルーシィの臭いを感知する為に周囲を嗅ぎまくる。

あの中ではルーシィが一番経験に乏しく、危険な状況に陥り易いと判断した為である。

 

「……見つけた」

 

テンはルーシィの臭いを見つけ、それを頼りに探していく。

その途中で一際高い波を見つけたので、そちらに急いで向かうと案の定、浜辺にルーシィがいた。

 

「やっと見つけたニャ……」

「そうだな……」

 

テンとフライは、魔導士らしきツインテールの女性に勝ち星を拾ったルーシィに少しだけ感心する。無論、今回の掟破りは別件だが。

そんなルーシィの背後の岩場から、服を着た巨大な鼠がボディプレスをかまそうと飛び込んで来た。

 

「チュウウウウウッ!!」

「はっ!?」

 

巨大鼠の声でルーシィはしまったと言いたげな表情で振り返るも……

 

「【嵐龍の角撃】!!」

「ブチュウッ!?」

 

それより早くテンがその巨大鼠の脇腹に風と水を伴った強烈な肘打ちを叩き込み、撃沈させていた。

 

「テン!」

「…………」

「……さん」

 

ルーシィはテンの登場に嬉しそうに声を上げるも、砂浜に降り立ったテンの鋭く厳しい視線を受けて一気に畏縮していく。

そして、そこで自分達の状況を思い出した。

 

「ひょっとして、連れ戻しに……?」

「それ以外に何があると?」

「ですよね~~」

 

腕組みしたテンの言葉にルーシィは媚を売るように同意するも、厳しい空気は変わらない。テンの背中にいるフライも事態の重さから何も言ってこない。

 

「……ナツとグレイ、ハッピーは?」

「ナ、ナツは滅茶苦茶にされた村で、この島に住む村の人達を苦しめていた奴らの内の二人と戦って……グレイは《零帝(れいてい)》という氷の魔導士にやられて、それで村の人達に預けて……ハッピーは―――」

 

底冷えするような声でのテンの質問に、観念したルーシィは正座して正直に答えていく。

そのタイミングで、新たな人物が降り立つ。

 

「…………」

「アイ~……」

 

砂浜に降り立ったのは―――尻尾を掴まれて逆さ吊りとなったハッピーを携えたエルザだった。

 

(エルザも来てたんだ……私、完全に終わったわ)

 

S級魔導士二人(と一匹)の登場にルーシィは言い訳のしようがないと悟った。特に規律に厳しいエルザは絶対に許さないとも。

 

「後はナツとグレイだけか」

「いや。グレイは村の人に預けたそうだから、実質ナツだけだ」

「そうか。なら、ナツを見つけ次第、ギルドに帰るぞ」

「待って!」

 

後はナツを見つけ次第、捕まえてギルドに帰るというエルザの言葉にルーシィが待ったを掛けた。

 

「勝手にS級のクエストに行っちゃったのは私達が悪いし謝るけど、今この島は大変なことになっているの!!」

「「…………」」

「ニャ……」

 

ルーシィの言い分に無言を貫くテンとエルザ。そんな二人にルーシィは訴えかけるように言葉を続けていく。

 

「氷漬けになっている悪魔の氷を溶かして、復活させようとしている奴らがいるの!しかもそのせいで村の人達が苦しんでいて大変なの!だから―――」

「興味ないな」

 

ルーシィの必死の嘆願。それをエルザは無情にも切って捨てる。

 

「急を要する事態だと理解したが……それとこれとは話は別だ」

 

テンもルーシィの言い分は理解しつつも、別問題だと切り捨てる。

S級クエストは一瞬の判断が命取りになる危険度が高い依頼だ。にも関わらず報酬と地位に目が眩んだ彼らを擁護するわけにはいかないのだ。

 

「お願い。せめて最後まで―――」

「お前達はマスターを裏切った。ただで済むと思うな」

 

ルーシィはそれでもと食い下がるも、エルザの怒気の籠った鋭い視線と突き立てられた剣を前に口を閉ざしてしまう。

こうして、一人と一匹は縄で縛られて連行されるのであった。

 

 

 




「そういえばミストガンにはお土産はないの?」
「ミストガンは極力誰とも関わらないから、好みが全然分からないんだよ。それでも置いてある土産は持っていくけど」
「稀に要望を書いたメモを残していく場合もあるのよ」
「ちゃっかり懐柔されてる!?」
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