『――よし、半分以上賭けに近かったが、『次』に逝く事無くしがみつけたか。――もう『次』に旅立ったかもしれないが、此処にある俺には些細な問題だね』
ネオ・ジオング諸共、跡形無く消し飛んだが――この『∀ガンダム』に乗る限り問題無い。パイロットが消滅してもナノマシンによって即時再生を可能としており、全損した機体も再生完了、即座に『ジェネシス』で貫通させた際に計測した内部情報を元にELS中枢に空間転移する。
『――制作者(マスター)権限により『月光蝶』システムのリミッター、完全解除』
この全ての終わりの『ガンダム』に組み込まれた最後の慈悲を自らの手で解除する。
――『地球外変異性金属体(ELS)』への対抗策は単純明快だ。対応出来ない一手で一気に片付ける。これに尽きる。
『――人類の悪意を舐めるなよ、異星人。本来の『月光蝶』は全ての物質を無差別に分解する『対星級兵器』なんだぜ?』
それが『対文明圏』規模に収まっているのは、制作者としての最後の慈悲でしかない。
――『∀ガンダム』の背中から噴出される虹色の奔流は、蝶の羽を思わせて――惑星規模の分解に晒されたELS中枢は成す術無く解けていく。
近寄る事すら許さず、抵抗すらさせずに、ただ一言――死ね、と純粋な殺意を突きつける。
『――それにしても、一体何だったんだろう? この『宇宙怪獣』じみた異星人は――』
これだからこそ、『彼』は永遠に『ニュータイプの出来損ない』に過ぎない――。
――『地球外変異性金属体(ELS)』は滅び行く故郷の星に代わる新天地を求め、果て無き外宇宙へ旅立った『迷子』だった。
彼等に敵意や悪意は無く――だからこそ『彼』のニュータイプ能力に感知されず――同化は『ELS』特有のコミュニケーションに過ぎず、余りにも違いすぎる生態から数々の悲劇を繰り返した。
『個』という概念が存在しないが故に、人類と融合したら『個』が無くなり死亡するという事実を理解出来なかった。
この西暦において、『彼』が自分の手足である『アナハイム・エレクトロニクス』社を設立する限り、私設武装組織『ソレスタルビーイング』は単なるテロ組織として排除される運命にある為――『対話』という唯一無二の回答は、最初から自分の手で潰されていたのだ。
「……また『地球外変異性金属体(ELS)』襲来確定の宇宙かよ。よし、やる気が皆無だし、今回は死ぬまで休憩しようっと」
そして長い彷徨の果てに『彼』は、漸く――『機動戦士ガンダム00』という物語を、知る事となる。
この物語の結末を知った『彼』の情緒がどれほど崩壊したかは、敢えて語るまい――。
「……すっげぇ胃もたれするような感じだな。映画2本分を一気に見た気分だ……」
全人類を洗脳してまで統一し、徹底的に拒絶して解り合えなかった宇宙と、2つの大きな戦乱を乗り越えて、最後に解り合えた宇宙の対比が余りにも無慈悲で残酷であり――部屋の背後から、何かを落とした音が聞こえる。
驚いて振り向くと、其処には自身の父、ヴィム・ジェタークが驚愕した表情で立っており――。
「と、父さん!? いつの間に――」
「グ、グエル……それは、まさか、『アナハイム』代表の……!」
「あ、はい、『アイツ』――『アナハイム』代表から渡された『アナハイム』社の紹介動画なんですけど、どう見ても怪獣映画の一種で――父さん?」
ヴィムの表情は見るからに青褪めており――。
「……よし、俺は何も見ていない。全力で何も見なかった事にしよう……!」
「父さん? 父さん!? ……い、行っちまった? 一体何しに来たんだ――?」
息子が心配で態々足を運んだのに、それがグエルに伝わってない辺り――同じ人類同士であってもコミュニケーションは難しいものである。
……なお、その原因は10割方『彼』のせいなのだが――。