Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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111/『魔女』を討つ無垢なる刃

 

 

 

 

 ――あれから50年余り、『自分』は外宇宙航行艦『スメラギ』の一員として外宇宙に旅立つ事となる。

 

 選ばれし1200人の中で唯一の『非イノベイター』……未来永劫『人類の革新』に至る事は永遠に無いと宇宙から告げられているようで辛いが、まぁ『ニュータイプの出来損ない』には相応しい末路だろう。

 

『――』

「……ん、気にするなって? こればかりは50年経っても意気消沈するよ……」

 

 50年来の同居人であるこの『ELS』との意思疎通は相変わらず進んでいない。脳量子波で何かを伝えようとしているのは理解出来るが、相変わらず内容は解らない。

 他のイノベーター予備軍を押し退けて『自分』に殺到したのは、持ち前の『ニュータイプ能力』の影響だろうが、『自分』の感受性は年代物の欠陥品なので期待しないで欲しい。

 勝手に侵食・同化して、勝手に人の虚無を物理的に埋める迷惑極まる『異星からの侵略者』には形容し難い感情があるが、今までの転生人生で最大最悪の『生き恥』を晒した甲斐はあったかなと思う。

 

『――』

「……うん、とても不思議な気分だ。……外宇宙に旅立てるまで人類が発展したケースは極稀であるし、その希少なパターンを引き当てた時でも……俺は旅立てなかった。――何処まで行っても人間は地球の重力に縛られたままで、一歩足りとも前に進めなかった」

 

 ――いつか、人類皆で手と手を取り合って、遥か彼方の『星の大海』を駆け抜ける。

 

 『先輩』にそう語った時の『自分』は、内心で「まぁ不可能だろうな」と悲観していた。その未来に辿り着く事無く滅びるのが人類だと、最初から諦め切っていた。

 意思疎通不可能だと思われた『地球外変異性金属体(ELS)』と最終的に解り合って、種の存亡に関わる致命的な大戦を乗り越えて、こんな望外の、幸せな夢物語に辿り着けるとは、欠片も思っていなかった。

 

「……この『外宇宙』の先に、『先輩』はいるのかな――?」

 

 或いは、その長い永い彷徨の末にやっと――その死を素直に認めて、塞いでいた耳を開けて、瞑っていた眼を開いて、閉ざしていた本音を語る事が出来るのでは――。

 

『――!』

「わっ」

「?」

 

 『同居人』からの強い信号と後ろ足に軽い衝撃。ふと背後を振り向いて見ると、尻餅付いている年端のいかない少女がおり――。

 

「嬢ちゃん、『迷子』かい? お父さんお母さんは――」

「うん、大丈夫だよ! これから父さん母さんに会いに逝くから!」

 

 どうしてこのような機密区域に、この年代の少女が居たのか、真っ先に疑問に思うべきだったし、『同居人』からの強い信号は久しく絶えていた警告信号であり――悪意の無い行動に関しては、自分の感受性は致命的な欠落を見過ごす事となる。

 

 ――至近距離からの自爆テロ。流石の現在の『自分』も即死級であり――。

 

『――、――、――!』

「……あ、ぁ。死ん、だな、こりゃ……行き、たかった、なぁ――」

 

 半身以上が吹っ飛んだ状態で、何も無い虚空に手を伸ばし、何も掴めずに力尽きる。

 今際に駆け寄って悲痛な表情で叫ぶ『誰か』の姿を幻視し――無限に罪を積み重ねる『咎人』は、相応の罰を受けて、惨めにくたばるのでした。めでたし、めでたし。

 

 

 

 

『――ガンダムファイト国際条約、第1条ッ! 頭部を破壊された者は失格となるッ!』

 

 光り輝く掌が相手MSの頭部を握り潰し――その映像を眺めるグエルは驚嘆の表情で固まっていた。

 

「――ガ、ガンダムファイトって、これの事かよ!? ……一見、ふざけているように見えて、その実は国家間の代理戦争――もしや最終戦争直前まで煮詰まっているのか?」

 

 此方の決闘制度を国家規模まで拡大したと考えると、国家の威信を背負ったパイロット、もといガンダムファイターの重圧は想像出来るレベルではなく――。

 

「――『モビルトレースシステム』? パイロットの動きを機体に直接反映させているのか? ……え? 決闘時に『アイツ』がやっていた挙動、生身の『アイツ』がやれる挙動なのか!?」

 

 余りのカルチャーショックに、グエルは思考停止状態に陥る。

 ……生身の肉体で、平然と銃弾を摘み取るような異次元の描写は物理法則を無視したギャグ要素ではなく、それぐらい容易く出来る『超人』でなければガンダムファイターは務まらないという逆説的証明では無いだろうか?

 

『――さっすがドモンの旦那! 気持ち良い勝ちっぷりで感動ですよぉ!』

『……ふん、競争相手がまた1人労せず脱落して、さぞ嬉しそうだな』

『いやいや、違うっすよ、誤解ですよ誤解。最初から言ってるじゃないですかー。他国の内偵とかじゃなく、単なる『ガンダムファイトの一ファン』ですって。アイ・アム・一般人オブ一般人ですよ!』

 

 シャイニングガンダムを駆るネオ・ジャパン代表のガンダムファイターは『『お前』のような一般人がいるかっ!』と自称一般人の『胡散臭い情報屋』に突っ込む。

 

『ほらほら、この『私』の純真な眼を見て頂ければ、嘘など何一つ付いてないと信じて貰えるかと!』

『……論外だな。『貴様』の全てにおいて、信じるに値しない!』

 

 初対面においても己の実力を意図的に秘匿する『胡散臭い男』の言う事など何一つ信憑性が無く――なまじ有能過ぎるが故に、無視出来ないのが最大の悩み所である。

 

『……えー、其処まで断言されると割りとショックぅ。レインさん、フォロー下さい!』

『え? ご、ごめんなさい。その、普通に胡散臭すぎて……』

『おーのー!? 人と人が解り合えるようになるって難しいなぁ!?』

 

 ネオ・ジャパン代表のガンダムファイターに、幼馴染のメカニック美女、そして『胡散臭い情報屋』による3人の珍道中が繰り広げられるのだった。

 

 

 劇場版『機動武闘伝Gガンダム』 F.C.60年 第13回『ガンダムファイト』~東方は赤く燃えている!~

 

 

 

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