Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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112/『魔女』は拳で語り合わない

 

 

 

 

『――写真の人物の『地球上』での目撃情報を一ヶ月単位で洗いましたが、信じ難い事に皆無でした』

『……何て?』

『人と接する必要が無い、痕跡が全く残らないという事を吟味し、対象の人物が完全なる自給自足を実現していると仮定し――衣食住を全部賄える『自立生産プラント』のようなもので移動していると更に仮定します。それほどの『自立可能な巨大施設』の目撃情報も皆無である以上、目撃者は一人残らず抹殺されていると更に更に仮定します』

 

 ……目の前の『胡散臭い情報屋』から手渡された百枚単位の分厚い資料を眺めながら、ネオ・ジャパンのガンダムファイター、ドモン・カッシュは困惑する。

 『彼』に尋ねた事は唯一つ、古びた写真を突き出し、「この写真の男を見た事があるか」のみである。

 其処からどうして『地球上』での全情報を短時間で精査し、更には少ない情報を飛躍させて『自立可能・移動可能な生産プラント』――『デビル・ガンダム』という悪魔の存在を仮定してしまえるのか?

 

『そしてこれが一ヶ月内における地球上での行方不明者リストです。死体が見つかってないもの限定で絞り込んだ結果、周辺区域での原因不明の建造物破壊事件が浮上、『対象』の暫定ルートが此方です』

 

 ――やはり、既に事情を知っていた、何処かの国の諜報員、なのだろう。

 最初から写真の男がドモン・カッシュの兄であるキョウジ・カッシュである事を知っており、ネオ・ジャパンでの事件の顛末も最初から知っていたのだろう。

 偶然を装って自分達に接触してきた事も、『自身』の目的の為に利用する為だろう。

 

『……い、色々ツッコミどころが沢山過ぎて何からツッコんで良いか解らないのだけど、これらの情報源は――』

『はい、レインさん。各国からの秘匿情報網から直接ぶっこ抜きましたよ! まぁ地球上においては二重の意味でザルで杜撰ですけど』

 

 凄腕の諜報員ならば、その程度の機密情報のハッキングはお手の物なのだろう。『彼』の思惑は一切不明だが、ドモン・カッシュとデビル・ガンダムを接触させる事で利を得ようとする第三勢力なのは間違い無いだろう。

 

『情報というものは経由する毎に劣化する生鮮物ですので、『自分』のフィルターが入っている事以外は確度の高いものだと自負しますよ!』

 

 その一点だけで全情報を疑って然るべきだが――最初から罠前提だと割り切るなら、これほど確度の高い情報は他に無いだろう。

 

『……それで、『お前』の推測する現在位置は?』

『ドモン!? その、『彼』の前で直接言うのはあれだけど、『彼』の情報を鵜呑みにするのは余りにも危険よ……!』

『探し出す手間を破滅的なまでに省いてくれた事だけは感謝するさ。――その思惑がどうであれ、『お前』の誘いに乗ってやる。『ヤツ』は何処だ?』

 

 例えどんな罠が仕掛けられようとも、力尽くで全部蹴散らす気概で、ドモン・カッシュは『胡散臭い情報屋』の余りにも解りやすい誘導に敢えて乗る。

 

『――多分ですけど、新宿ですね! ちなみに『自分』は無所属の、少しだけ熱心な『ガンダムファイトのファン』ですよ!』

 

 その白々しい自称を無視しながら、ドモン・カッシュは『彼』が指し示した場所を目指すのだった。

 

 

 

 

「……此処まで怪しすぎると、手元で監視した方がむしろ安全って事か……?」

 

 この『胡散臭い男』が何処の陣営のエージェントなのか、非常に興味深く――後に素手でMSを撃破出来る超人師匠に『――『曲者』!?』『アバーッ!?』とぶん殴られ、『獅子身中の虫を放し飼いするなど言語道断!』と弟子であるドモン・カッシュに全力の忠告&警告をしたり、謎の覆面忍者が『この『奸物』めェ!』『アイエェェェ!?』と全力で斬り掛かり、『何処の『間者』かは知らぬが――』『無所属ですしドモンの旦那専属の『情報屋』です!?』と全力で土下座して命乞いしてたり、ある意味、目が離せない存在であった。

 

「……それはそれとして、この『デビル・ガンダム』って、まさか『アルティメット・ガンダム』……?」

 

 

 

 

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