「――やっぱりラスボスじゃねぇか!?」
ただでさえ胡散臭く、とても胡散臭いと思っていて、途中で「お?」と思いきや、やっぱり物語の黒幕でラスボスだった『胡散臭い情報屋』に対し、グエルは全力で突っ込む。
――この究極の蛇足は、ドモンvs東方不敗のガンダムファイトが最大最高と称すなら、此方は完全なる異種格闘技戦だった。
『胡散臭い情報屋』の方はモビルトレースシステムを使わず、従来通りの操縦で対抗しやがったからだ。
『当人』曰く、ガンダムファイターの動きに反応出来ても『自身』の肉体が脆弱過ぎて追いつかないが、反応は出来るのでMSでの操縦なら何とでもなる、と。いや、一体どういう事だよ?
「……何なんだよ『ビスト神拳』って。的確に脆い部分を抉り取ろうとする当たり、殺意半端ねぇ――って、いつぞやの決闘、殴り合いになった時にやってた動きじゃねぇか!?」
思いっきり心当たりがあった。しかも2回ぐらい(対ストライクフリーダム&対Ξガンダム)
あれは互いに武器を全部使い切り、殴り合いになり――殴る蹴るの最中、的確に関節部などの脆い箇所に手刀をねじ込まれて引き抜き、致命的な損傷を与えられた覚えが多々あった。……火事場の馬鹿力だとか、偶然などではなく、機体構造を全部把握した上での最適解だったとか想像の斜め上である。
「……やっぱりこれ、どう考えても『ヤツ』だよな? あのガンダムは初めて見たが、あのロンド・ベル隊とやらのエンブレムに、フィン・ファンネルも背負っていたし」
あの『胡散臭い情報屋』は姿形、年齢に人種さえ違うが、モチーフどころか『当人』としか思えない。
物語の作り手に、主人公に対して自己投影の激しいタイプは往々にしているが、どう考えても『アイツ』は自己陶酔するタイプとは思えない。……むしろ、逆ではないだろうか?
「ああもう、訳わかんねぇ!?」
誰か、自分とは違うルートの情報を持っていて、尚且つ情報を整理出来る人材はいないものか――。
「ちょっと! さっきから何度も何度も叫んで五月蝿いっ!」
「お、お騒がせして申し訳ありません! ……って、ミオリネ?」
「グエル? アンタ、隣部屋だったの?」
突如、軟禁部屋に怒鳴り込んできたミオリネに対し「いやそれ、こっちの台詞……」とグエルは居た堪れない表情になり――。
『――この番組は、『アナハイム・エレクトロニクス』社の提供でお送りしました!』
番宣は『ヤツ』自身の声で綴られていた。こういう細かいこだわりに対しては、色々突っ込みたいが、敢えて突っ込むまい。
「……『アナハイム』社の紹介動画?」
「あ、ああ、『ヤツ』から暇潰しに、って渡されてな。……確か、ミオリネの方は宇宙世紀0093『第二次ネオ・ジオン抗争』まで鑑賞してるんだっけ?」
確か『ヤツ』に手渡される時にそう説明されたが、グエルの方は『宇宙世紀(U.C.)』のタイトルがずらりと並んでいた為、後回しにして他のシリーズの鑑賞を優先していた。
……『ヤツ』からは一週間程度の時間を置け、というありがたい忠告に従っていた為、その猶予期間内に視聴すれば良いかと思っていたが――。
「……それ、『逆襲のシャア』以降の?」
「逆襲の? いや、未来世紀0060『第13回ガンダムファイト』って書かれているぞ?」
「……は?」
グエルからの言葉に素っ頓狂な顔になったミオリネは一瞬以上思考停止し、復帰した直後にグエルから端末を奪い取り、即座にタイトル確認をする。――『ダブスタクソ親父』のフォルダよりも充実した動画ファイルの数々に何とも言えない表情になり――。
「『宇宙世紀(U.C.)』じゃなく『未来世紀(F.C.)』!? 年号が違う!? え? どういう事!?」
「いや、俺に聞かれても!? ちょっと待て、年号が違う? 確か俺が最初に見たヤツは西暦2314年――『宇宙世紀』は時系列順で、それ以外は単品で順不同……?」
何気なしに『彼』が言っていた言葉を思い出し、そしてグエルは即座に気づく。今、此処にいる人物こそ――。
「――グエル、詳しく聞きたいのだけど?」
「――ああ、俺も、情報整理出来る人材を求めていた処だ」