Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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 ガンダムUCにおける『白い流星の亡霊』と『頭アナハイム(初代)』
 『ラプラス事変』でアーマード・コアしてる関係(『首輪付きの傭兵』&『依頼主』)
 『依頼主』としては事前情報がほぼ完璧で、偽情報が少なく、依頼におけるイレギュラーが極めて少ない。
 ただし、元々の依頼難易度が『例外』専用。常に『傭兵』を殺しかかっているレベルだが、『例外』枠に到達していたので問題無かった。


121/『魔女』は再び『奇跡』を見る

 

 

 

 

 ――『ラプラス事変』、それは『ラプラスの箱』を巡る戦争であり、様々な勢力が『ラプラスの箱』を求めて暗躍する中、アクシズと共に消えた『νガンダム』を駆る『白い流星の亡霊』は全勢力にとって無視出来ない存在と化していた。

 

 『赤い彗星の再来』、フル・フロンタル率いるネオ・ジオン残党軍にとって『白い流星の亡霊』はまさに『死神』だった。

 唐突に現れ、数多のMSを無慈悲に撃墜する――フル・フロンタルが駆る最新鋭のMS『シナンジュ』相手でも一方的に撃退し、残党軍内部の求心力を著しく引き裂くに至る。

 

 地球連邦にとっての『白い流星の亡霊』はまさに『3年前の悪夢』そのものだった。

 その正体が何方であれ、ニュータイプ伝説の終焉を息巻いてユニコーンガンダム2号機を差し向け――無事返り討ちになる。

 最終的にとある一派の独断で、地球軌道艦隊旗艦、ドゴス・ギア級2番艦『ゼネラル・レビル』の投入に踏み切ったが、搭載機48機のジェガンをほぼ無視して単騎駆け、巨大な砲塔型ビームサーベルによって切り裂かれて旗艦半壊、無事撤退する運びとなる。

 

 地球連邦外郭部隊ロンド・ベルにとって、その『白い流星の亡霊』は幻影に過ぎなかった。

 一部の者には、本当に『白い流星』が生きていたと勘違いされたが、『白い流星の亡霊』からのメッセージと膨大な内部機密データを受け取ったブライト・ノア艦長は『彼』の正体に勘づく。

 

 ユニコーンガンダム1号機を駆る青年にとって、その『白い流星の亡霊』は余りにも不可解過ぎた。

 如何なる目的で自分を援護するのか、最初から最後まで不明だったし、実際に対面しても『彼』に『ニュータイプ』としての共感は一切得られなかった。

 『赤い彗星の再来』とは違う形で、『白い流星の亡霊』は虚無だった。既に燃え尽きた灰でしかなく――経験の少ない『ニュータイプ』の青年に表層しか悟らせなかった。

 

 『月の女帝』率いるビスト財団にとっての『白い流星の亡霊』は、まさしく青天の霹靂だった。

 その正体を真っ先に悟ったマーサ・ビスト・カーバインは同社の『監視元』に激しく抗議するも、非常に胡散臭い様で白を切られる。

 即座に地球連邦を通じて圧力を掛けるも、暖簾に腕押し、直接的な排除に乗り出した地球連邦の軍閥が未曾有の大敗北を喫し――諸々の責任問題を巡って内部抗争にまで発展、秩序を取り戻したのは全てが終わった後であり、『白い流星の亡霊』という存在に最も踊らされ、最も無駄な労力を費やしたのは間違いなく彼女だろう。

 

 ――さて、全てを見通せる『神の視点』から、『ラプラス事変』における『白い流星の亡霊』という存在を語るならば、たった一言で済む。

 

 即ち、単なる『囮(デコイ)』である。それも相当性質の悪い、無視したくても無視出来ない類の。

 ネームバリューがありすぎるせいで、如何なる行動理念で動いているのか、各陣営から深読みされるが――現在の『彼』は思想家ではなく、雇われの『傭兵』に過ぎない。

 この3年間、パイロットとして敵を殺す事以外考えてない『首輪付き』の思考など、考慮した処で無駄の一言。本当に注視すべきは『彼』の『依頼主』の方だったという話である。

 

 

 

 

『――地に堕ちた『一角獣(ユニコーン)』は宇宙(ソラ)に還らず、か。散々苦労させた割には詰まらない結末だな』

 

 地球の重力から抜け出そうとし――最後の最後に運に見放されたのか、エンジントラブルによる出力低下で予定高度を保てずに堕ちようとしている『袖付き』の偽装艦ガランシェールを、宙域から引き上げにきたロンド・ベル隊所属のネェル・アーガマの探知範囲外から『彼』は諦観と共に見届ける。

 

 ――『彼』の『依頼主』としても、この展開は予想外だろうが、特に問題無いだろう。運命に翻弄され続けた『ジオンの姫君』や『巻き込まれただけの少年』が不在でも、事の顛末は然程変わらない。後始末の一手間が増える程度の違いだろう。

 

『……少しだけ高度上昇した? ユニコーンを含めたMS3機で艦を後方から押し上げているのか?』

 

 無茶を通り越して単なる無謀であり、その程度の出力では地球の重力を振り切れないと即座に計算する。

 理性では愚か極まると断じるが、どういう訳か、嘲笑う気にならない。――これに似た光景を、『何処か』で見ているからだ。3年前の、『自分』の時間が止まった、あの時に――。

 

『――予定軌道までは戻れない。ネェル・アーガマからテザーケーブル射出、やはり届かない。――ユニコーンがガランシェールのケーブル接続部に移動、此処で『NT-D』を任意発動して艦を引っ張り上げる!? ケーブルを、掴んだ! いや、駄目だ! ギリギリすぎて接続出来ない! 機体が裂けるぞ!』

 

 『NT-D』発動中は感応波を送受信するようになり、機体損傷ダメージがダイレクトに操縦者に伝わってしまい、その状態で機体が引き裂かれてはパイロットも致死級の精神損傷を受ける事になる。

 

 ――無茶に無茶を重ねて、最善を尽くして万策尽きる。……どうしてそれを、『自分』は指を咥えて、ただ見ている?

 

 3年前のあの時は真っ先に飛び込んだのに。……何の事? いや、何故、今、『自分』は『シャアの反乱』における最終局面を思い起こしている?

 

『……一体、何が――? この感覚は、一体――』

 

 あの時と同じように、連邦とジオンの垣根を超えて――陣営に関係無く、地球に落ちる小惑星アクシズを押し返そうとしたように。

 

『――! あの『光』、は……!』

 

 ――赤く発光するユニコーンが、サイコフレームの原理不明の共振現象による発光が『虹色』に変わる。

 

 そのサイコフレームの輝きを、『人の心の可能性』を、あの時、誰よりも間近で見ていたのに、どうして、今の今まで忘れていたのだろう――?

 

 それが如何なる原理で起こっている現象かは、今の『自分』には説明出来ない。けれども理屈抜きで直感的に理解する。

 その『虹色の光』がユニコーンを通してガランシェールに、掴んでいるテザーケーブルを通してネェル・アーガマに届き――あの時と同じ『奇跡』を、再び眼にしたのだった。

 

 

『……見込みが無いと思っていたが、どうやら俺の眼が節穴だったようだな。――ははっ、其処に至れてない『先輩(俺)』を軽々超えて行くとは生意気な『後輩』だな! バナージ・リンクス!』

 

 

 『巻き込まれただけの哀れな少年』――否、『運命を切り開いた、新たな主人公』の名を、初めて口にする。

 ゆっくりと、されども確実にガランシェールが地球の重力圏から抜け出して上がっていく。あの時と同じように。アクシズの時と同じように――。

 

 

『――あの『虹色の光』と共に、『先輩』は『虹の彼方』に連れ去られた。だから、間違いなく、其処にいる――』

 

 

 その結論はあらゆる理屈を超越して下された、『自身』のニュータイプとしての直感であり――名残惜しく思うも、高揚感はそのままに、意識を切り替えて此処に派遣された本来の依頼に取り掛かる。

 

 

『――空気が読めないにも程があるが、今日の俺は機嫌が良い。遅参の恥は、戦果で拭わせて貰おう』

 

 

 目標、地球軌道艦隊旗艦、ドゴス・ギア級2番艦『ゼネラル・レビル』の撃退。

 地球連邦における史上最大級の宇宙戦艦にして脅威の4個大隊、MS48機の搭載数を誇るフラグシップであり――。

 

『――相手にとって不足『あり』。『先達』として教授してやろう、忘れたのなら思い出させてやろう――『白い流星』の名を、『連邦の白い悪魔』の恐ろしさをなぁ……!』

 

 

 

 

 ――誰もが『ラプラスの箱』を求める中で、ただ一勢力だけ、至極どうでもいいと判断し、『ラプラス事変』後の宇宙の構想を自身の意のままに思い描いたのが『白い流星の亡霊』を存分に使い倒した『依頼主』であり、『頭アナハイム(初代)』は『ラプラスの箱』を巡って暗躍する全勢力を横合いから最高のタイミングで殴りつけて徹底的に削いだ。

 

 ――全勢力の目を強制的に『白い流星の亡霊』に集中させた事で、『頭アナハイム(初代)』の暗躍は誰にも気づかれる事無く、極めて大々的に執り行われた。

 

 この『ラプラス事変』という劇場に立ってない、『その他全ての観客』と結託して事の結末を事変中に確定させていた政治的手腕こそ見落とすべきでなかった最重要項目であり――この3年間、狂気じみた偏屈さでアムロ・シャアの領域を目指した『彼』の目に留まり、新たな学習対象となるのは必然だった。

 

 『彼』が辿った『ラプラス事変』における勝者は唯一人、一連の事変の責任を全て背負わせた『月の女帝』を蹴り落とし、アナハイム・エレクトロニクス社におけるビスト財団の影響力を全排除、事前に結託済みの役員達の全会一致で社長の席に座った『頭アナハイム(初代)』である。

 

 

 

 

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