Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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126/『3分で解る(解らせる)『魔女』の辿った宇宙世紀』

 

 

 

 

「3分で解る! とある『白い流星の片割れ』が歩んだ宇宙世紀ー! どんどんぱふぱふー! まぁ最後で帳尻合わせれば――いや、結局時間操作するから強制的に3分になるから何も問題無いね! 『私』ってば時間には五月蝿い男なの! ちなみにミオリネとグエルにはゆっくり見て貰ったよ! あんな退屈な鬱物語、良く見る気になれるね?」

 

 其処は位相の狂った超空間、通常の人間では認識出来ない神の領域、その人の形をした『何か』は謳うように『貴方達』に語り掛ける。

 

「『私』としては最早解説の必要すら無いと思うのだがね? 断片的に語られた物語の欠片を拾い集めれば、もうとっくに一部始終が組み上がっているだろうし。ああ、でももう一回、離れ離れの欠片を探すのは不親切な話かな? それなら一纏めにする意義もある?」

 

 けたけた、と『迷子』は嘲笑する。楽しそうに愉しそうに。

 

「『機動戦士ガンダムUC』にて色々暗躍した『頭アナハイム(先代)』、『正史』では名無しの彼の動機とは一体! 長いんで省略! 地球連邦は『白い流星の亡霊』に終始怯える事となり、ジオンという明確な敵対組織が無くなっても『仮想敵』が存在し続けたせいで軍縮路線に進めなかったよ! 『正史』ではこのまま腐敗して宇宙戦国時代に着いて来れないけれど、色々死に体でありながらも軍拡せざるを得ず、『アナハイム・エレクトロニクス』社は地球連邦という『宿主』を生かさず殺さないように宿木し続ける事になるよ! 『ラプラス事変』終了時点でこの救いの無い、悪辣極まる仕組みを構築するとか規格外の政治手腕と言わざるを得ないね? あれで本当に『オールドタイプ』なのだから性質が悪い」

 

 『頭アナハイム(初代)』への評価は『迷子』からしても『頭アナハイム』であり――高すぎる先見性のせいで絶望的な未来が見えていただけに『正史』では諦観の内に何もしなかったのだろう。

 『白い流星』という存在に魂まで焼かれたように、あの『頭アナハイム(初代)』もまた焼き焦がれたのだろう。『白い流星』と『赤い彗星』を受け継いだ、遺された『大災厄』に。

 

「続いて『機動戦士ガンダムNT』! 省略。物語の本筋とは関係無く『赤い彗星の失敗作』にお礼参りに行った、以上。――なお、対ネオ・ジオング用に要求しまくったスペックを『頭アナハイム(初代)』がアナハイム・エレクトロニクス社の技術の粋を結集させて馬鹿正直に全部達成した結果、天文学的なコストになったよ! ニュータイプ専用のディープストライカーとⅡネオ・ジオングが殴り合った宇宙は此処だけだね!」

 

 「いやぁ、頭悪い怪獣大戦だったね!」と、膨大な資本で台所事情が壊滅的な貧乏人世帯を叩きつける酷い有様だった、と回想する。

 

「劇場版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』! ……続きまだー? あ、こっちの宇宙では『頭アナハイム(初代)』が意図的に情報操作して勘付かせなかった為、ハサウェイが題名通り閃光になった後、知らずに息子処刑したブライトとの地獄の再会で終わったよ。なおアムロの恋人を殺したハサウェイに対しての確執、結果的に諸々の命令違反を握り潰したブライトに対しての引っ掛かりは永遠に解消出来なかったとさ――自分の手でクェスを始末していればこんな事にはならなんだのに」

 

 『虹の彼方』に逝けなかった者同士、結局、致命的にすれ違い、解り合う事は無かった。

 遠からずに届いたブライト・ノアの訃報は、ロンド・ベル隊の終わりを告げるが如く――荒野で警鐘を鳴らし続けても、誰も見向きもせず、人知れずに錆び落ちて、孤独に朽ち果てる。まさに諸行無常の響きなのだろう。

 

「狭間の時間帯、『頭アナハイム(初代)』、天寿を全うする。……寿命で死ねる人間だったんだね? なお、生前に根回し全部終わらせて『白い流星の片割れ』を『アナハイム・エレクトロニクス』社の社長に就任させるという前代未聞の奇跡を実現させた模様。勿論、『当人』だけには全て全て事後承諾だった為、盛大にブチ切れたが――いや、さぁ、己の壮年に授かった『息子』の事、何でそれだけ託し忘れてるん? 身寄りが無いので施設送りになりかけたが、無理矢理引き取って養子にしたよ! 二十年来の拗らせ未婚の独身男性がいきなり子持ちになるとか笑えるね!」

 

 或いは、『頭アナハイム(初代)』の最後の策略にまんまとハメられたのかもしれないが――。

 

「――義理の『息子』が出来て、更に義理の『孫娘』が出来て、血の繋がりの無い家族ごっこは楽しかったかな! 血の繋がった両親の死に目すら立ち会ってないという冷淡さなのにね? ――奪うならば、まずは与えよ。地球連邦が仕掛けた陰謀の糸を全て断ち切り、『孫娘』は寿命でご臨終、『息子』は後々にテロで爆殺されて――地球連邦を影から支配する『彼等が想像した通りのニュータイプ』は完成に至る。凄いね、全員が全員、自業自得の結末だよ! まさにそれだけの因果を重ねてきたってヤツ!」

 

 賽の目が全部『大凶』に転がった結果、政界に参入したとしても少数派への弾圧で終わった筈の『ニュータイプ』が、裏の権力基盤を全部掌握して生命線を握る『全ての黒幕』になるなど予想外も良い処であり、地球連邦は息を引き取るその日まで、排除摘出出来ない『寄生虫』に蝕まれ続ける事となる。

 

 ――諸悪の根源、悪魔の巣窟たる『アナハイム・エレクトロニクス』社を肥え太らせるという事は、それだけで許し難き大罪悪、死刑への承諾書を自ら署名する事に等しく――。

 

 

「――ユニコーンガンダム4号機による無限サイコシャード、生きたまま戸口を潜り抜けて『虹の彼方』への到達。されども、閉ざした感覚は其処にいる『先輩』を認識出来なかったとさ、めでたしめでたし!」

 

 

 『自身』の誕生を、『迷子』は何の感慨無く見届ける。

 かつての人間部分は数多の宇宙を彷徨う『白い流星の亡霊』として永久彷徨し、置いてかれた残り全て――『迷子』は遥か境地から感慨無く眺める。

 無限転生する『白い流星の亡霊』とは繋がっている為、記憶は共有するが――無限に蓄積する負の想念を解する情緒を持たなかった。

 数多の多元宇宙に冥き終焉を齎す『深遠なる闇(ガ■■ム)』は、その機能はあれども、負の想念に伴う破壊衝動が自身の胸を穿ち続けた『無限の虚無』に飲み込まれている為――『当人』の意思かはさておき、永遠の未完成状態のまま死蔵するに至る。

 

 

「――それからはどうなったって? そんなの一行で済むよ! この宇宙に無限に産まれて無限に死に続けただけだよ!」

 

 

 

 

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