Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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139/『迷子』の舞台裏

 

 

 

 

「どういう事だ! 一体何が起きている!?」

「現段階では、生命維持に必要な最低限の機能以外は外部からの強制介入(ハッキング)で――」

「その報告は何度も聞いたっ! 艦隊及びMSは何処を目指している!? 大凡の方角は判明しているのなら後は手計算で求められるだろう!?」

 

 『彼』とミオリネ達の『決闘』の裏で、宇宙議会連合で何が起こっていたかと言うと、宇宙要塞『クワイエット・ゼロ』によるパーメット干渉によって地球圏&L1宙域までも支配下に置かれており、錯乱する議長によっての無茶振りに部下は振り回されてましたとさ。

 

「誤差はありますが、艦隊はラグランジュ4宙域を目指しているものと――」

「ラグランジュ4!? やはりベネリットグループ――『アナハイム・エレクトロニクス』社か!? おのれ『アナハイム』めぇっ!」

 

 これは議長閣下の純度100%の被害妄想だが、正鵠は得ているのだけは面白い。トップとしての才能はお粗末だが、道化としての才能が非常にあると思うよ?

 

「落ち着いて下さい議長、これだけの少ない情報で『アナハイム・エレクトロニクス』社の仕業だと断定するのは余りにも早計かと――」

「こんな馬鹿げた事を仕出かす勢力が他にいるかっ!? おのれ、あの『若造』めが! 何度も何度も我々の邪魔をしおって……!」

 

 何でこんなにヘイトを集めているかと言うと、月に『アナハイム・エレクトロニクス』本社を構えた段階で、本編での宇宙議会連合の隠し司令所設立を著しく邪魔しており、普通に『アナハイム・エレクトロニクス』社が商売しているだけで損害を被る立場になってしまったので、本編でベネリットグループを敵視している以上に『アナハイム・エレクトロニクス』社を憎悪してしまっているようだ。

 なお『アナハイム・エレクトロニクス』社としては、歩いていたら蟻を踏み潰していた感覚なので、つい最近まで敵対勢力として認定すらされていなかったよ!

 

「L1惑星間レーザー送電システムILTSに緊急通信だ!」

「は? 惑星間攻撃兵器でラグランジュ4全域を滅ぼすつもりですか!? おやめください議長、幾ら何でも――!?」

「此処で撃たねば全てが手遅れになる! そんな簡単な理屈も解らないのか!?」

 

 本編でも非常に愉快な道化だったが、此処だけ『頭C.E.』でいらっしゃる?

 宇宙議会連合については興味&関心が薄かった為、正確な情報は把握してないが、こんなに叩けば面白い玩具だったとは意外である。

 

「この前代未聞の有事だ、誤作動の1つや2つ生じた処で今更だろう!?」

 

 そうですね、誤作動の1つや2つ生じますね。――本来ならば、パーメット製の製品全て誤作動起こして緊急通信すらままならないのですが、『アナハイム・エレクトロニクス』製のはパーメットを使用していない為、この緊急通信は不幸にもILTSに届いてしまうのです。……なんで敵本拠地の使用製品が『アナハイム・エレクトロニクス』社製なのかって? 言わずもがな、ですよ? 二重の意味で大丈夫? 『アナハイム・エレクトロニクス』社製ですよ!

 

 事前条件が満たされた為、緊急プロトコル発動。これは『アナハイム・エレクトロニクス』製なのでパーメット支配下に置いても正常に起動してしまいます。

 

「何だ!? 何が起きて――」

「シ、システムが勝手に起動――これは、L1惑星間レーザー送電システムILTSのリアルタイム映像?」

 

 システムを完全に乗っ取って、ILTSの現在情報映像が表示。宇宙議会連合の緊急通信を条件にILTSに事前に仕込んでいた『UG細胞』が活性化。宇宙議会連合の皆様に置かれましては、コロニーレーザーが『超巨大ガンダム(アルティメット・ガンダム)』に変貌する様をリアルタイムで見届けたようです。このような現実離れした光景を目の当たりにした皆様はSAN値チェック、成功で1d6、失敗で1d20です。

 

 

『ぴんぽんぱんぽーん。『アナハイム・エレクトロニクス』社より宇宙議会連合の皆様に悲しいお知らせです――L1惑星間レーザー送電システムILTSに深刻な誤作動が起こったようですよ? 『事前工作』で対策してましてね、照準は自動的に『攻撃指示を下した拠点』を逆探知、つまりは貴方達の隠れ場所になります。――引き金を先に引いたのは貴方達ですから、後から撃たれても文句は言えませんよね? 自業自得です』

 

 

 此処までが『彼』の仕込みです。全面戦争路線ならば何も問題無かったのですが、今回の路線では未曾有の大惨事及び汚点になりますので、強制介入及び強制変更を実行。此処の道化は実に運が良いですね?

 

『――さて、一度火を入れたコロニーレーザーに緊急停止なんて受付不可なので、1分だけ猶予をあげましょう。あ、『私』個人の猶予はそれよりも遥かに短いので即断即決でお願いしますね。別に貴方達脇役が死のうが生きようが愉快に破滅しようが、心底どうでも良いので』

 

 このまま宇宙議会連合、というよりラグランジュ1宙域全てが灰になったら、実質引き金を引いたミオリネが本編以上に曇って精神的に再起不能になりますので――それはそれでその美しい姿で見てみたい気持ちにはなりますが――とりあえず言える事は『本体』の価値観の更新を早くして貰いたいものです。いつまで宇宙世紀時代に引き寄せられているのやら。

 

「――は? ジェガン500機を全額一括前払い!? ふざけてんのか余りにも法外過ぎるだろう!?」

『無断出撃した艦隊と地球で隠れて製造していた『GUND-ARM』、全機撃破済みですよ? 丸坊主になった戦力を全補充してやろうという菩薩の如き慈悲の心ですよ!』

 

 破壊した張本人が『アナハイム・エレクトロニクス』代表なのは敢えて言う必要も無いし『あとこれは貴方達の値段ですよ、これぐらいじゃないと生かす価値無い的な意味での』と付け足しておく。

 一体何年分の国家予算になるかは知らんし、どうせ『本体』は在庫処分と称してベネリットグループ内のMS500機を外側だけジェガンに換装して出荷するだろう。敵対した瞬間に今回の二の舞いになるパーメット製のMSを――。

 

「鬼、悪魔、『アナハイム』ぅぅぅぅぅぅ!」

『毎度ありがとうございました、今後とも末永く『アナハイム・エレクトロニクス』社をご贔屓に、いつまでも都合の良い金蔓で居て下さいね!』

 

 

 

 

「――全工程、完了。これで宇宙要塞『クワイエット・ゼロ』はスペック通りの性能を発揮出来る事でしょう」

『本編で完成しなかった宇宙要塞が完成するのは感慨深いですねー!』

 

 少し時間が巻き戻って宇宙要塞『クワイエット・ゼロ』では、プラント・クエタで開発中だった外部装置が納品され、完全な状態の宇宙要塞『クワイエット・ゼロ』の完成に至る。

 

「コアユニットにはご希望通り、ジェターク社が秘密裏に製造していたガンダム・シュバルゼッテを配置しましたが――ところで、一体誰が操縦しますの?」

 

 何やら能登仮面――もといプロスペラ女史がいつも通りの黒幕ムーブを行うが――。

 

『ああ、無駄な駆け引きは必要無いですよ。そういうのは同次元の者で行って下さいな。――パーメットスコア・8』

 

 『本体』に出来る事は当然『自分』にも可能な事である。それにしても神様専用のシステムを構築するとか、この宇宙の人間は時代を先取りし過ぎているね!

 

『――宇宙要塞『クワイエット・ゼロ』のシステム全掌握。セキュリティ全改竄完了。皆様、お疲れ様です。あとは見届けるだけでよろしいですよ!』

 

 当然であるが、本編のような負け筋を残すのはへっぽこの所業であるから真っ先に潰すが――ごく最近に、AIの癖に人間よりへっぽこな、ある意味人間より人間らしいAIもいたなぁ。AIなのに。本当にAIだったかはあまりにもへっぽこすぎて微妙だったが。

 

『――エルノラ・サマヤ、貴女の復讐は結果的に果たされるでしょう。ああ、そうそう、事が終わったら『アナハイム・エレクトロニクス』社の最新鋭医療技術のご利用をお待ちしております。余生を過ごす程度の機能回復なら何とでもなりますので』

 

 あとで報酬代わりに夫+恩師と面談させるので、許してね! ……それにしても――復讐よりも娘達の未来を優先したとは、少し意外だった。仮面なのに、仮面キャラなのにね!

 

 

 

 

『――ミッションを説明しましょう。依頼主は『迷子』、目標は『アナハイム・エレクトロニクス』本社での破壊活動による遅延行為です。人命の被害を極力抑えつつ、MS製造施設に適当なダメージを与えて下さい』

 

 かなり戻って、本編が始まる前の出来事。この宇宙での介入は此処から始まっていた。

 

『――此処での遅延が無ければ、今作主人公が到着する前に『月光蝶』による文明埋葬となりますので、そのつもりで。今回の乗機はユニコーンガンダム4号機……ではなく、ユニコーンガンダム3号機フェネクスの使用を強く推奨します。こっちは勝手に動いても前科があるので誤魔化せるでしょう』

 

 新たな宇宙、新たな物語――『水星の魔女』。この世界線特有のパーメットは非常に興味深い物質であり、パーメットスコア・9の環境下において、パーメットに焼き付いていないであろうメカニックの死者も目視出来た事から――解明されていない未知の法則があると判断する。

 

 肉体無き魂を目視出来るようになると仮定するのならば、ニュータイプ能力が欠如した状態でも亡霊として付き添う『白い流星』を認知出来るかもしれない。

 

『――貴方にこの依頼を頼む意図は唯一つ、そろそろ鈍り切った腕の錆取りをしておいて下さいな。貴方の『後輩』は、貴方が思っている以上に強くなりすぎてしまいましたので――』

 

 

 

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