Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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41/『GUND-ARM』≠『GUNDAM』

 

 

 

 

「――株式会社『ガンダム』は、私と皆さんで経営します、以上! よろしく!」

「「「「「は?」」」」」

「はあああああああああああああ~!?」

 

 その日、地球寮は無慈悲な経営者の独断によって乗っ取られる事態に見舞われる。

 今まで見た事のない飛び切りの笑顔で事後報告するミオリネに対し「ごめんなさいごめんなさい、うちのミオリネさんが、ごめんなさい!」とスレッタは必死に謝る。

 

「……うわー、凄く見慣れた横暴さ。まるで何処ぞの総裁のようだぁ……」

「誰があのクソ親父と似てるってぇ!?」

「自分1人で勝手に決めて、人の意見を求めずに強引に押し通す処とか本当にそっくりだよ!」

 

 いつも通り、勝手に地球寮に居座っている『彼』さえも苦言する有様であり――「振り回される身になってくれませんかねぇ!?」と割と年季の籠もった恨み言を言い「そんなの知らないわよ! ……というか、あのクソ親父に直接振り回されてる……?」と、気づいてはならない事実に気づきそうになったミオリネに、『彼』は若干焦って即座に話題変更する。

 

「ところで、ミオリネ。そして皆さん。そもそも『ガンダム』って何か、理解してます?」

 

 混乱の最中にいる地球寮の面々も含めて、『彼』は質問を投げる。

 

「『社長』が良く造ってるMSっしょ?」

「そうそう、あの『特徴的なフェイス』の」

「『アナハイム』社が造る超高性能なMSの事では?」

「え、えーと、呪われたMS……?」

 

 最初にチュアチュリーが呆れながら、次にオジェロが、3番目にリリッケが、最後にマルタンがおどおどしながら答える。

 『彼』はうんうんと頷き、割と致命的な認識の違いが生じている事を改めて確認する。……これに関しては『彼』の自業自得なので、説明する義務がある。

 

「よーし、まずはその誤解を解いちゃうぞー。はい、注目ー」

 

 地球寮に勝手に設置した巨大ディスプレイ(アナハイム製)を指差し、全員の視線を釘付けにする。

 大きな画面にはデカデカとアルファベット文字が表示される。G.U.N.D.A.Mの6字が――真っ先に反応したのはミオリネだった。

 

「『GUNDAM』? ちょっと、スペル違うじゃない」

「いや、あってるぞ。『アナハイム・エレクトロニクス』社が造るのは『GUNDAM』であって、協約で禁止されている『GUND-ARM』じゃないんだよ」

 

 『彼』を除く全員から「は?」という驚愕の言葉が重なる。『お前』は一体何を言っているんだ、という声であり――。

 

「……え? ――ああ、言葉遊びね!? ……いや、そんな子供騙しの抜け道なんて……!?」

「最近までベネリットグループの企業代表全員に誤解されていたせいで、君のお父上から悉く廃棄命令下っていたんだけど、これ、掛け値無しの真実なのよね」

 

 はぁ、とわざとらしく大きなため息を吐きながら『彼』は疲労感漂わせて語り――。

 

「つ、つまり、『アンタ』の会社はGUNDフォーマットについては――」

「知らん、そんな事は管轄外だ、だよ? そもそも、そんなのが無くとも『アナハイム・エレクトロニクス』社のMSは他社のMSを圧倒的に凌駕してるしねぇ」

 

 一番頼りにしていた先達が何も頼れない無能にランクダウンし、思考停止状態に陥るミオリネを尻目に「それなのに何で売れないかなぁ、うちのジェガンは!」と『彼』はわざとらしく嘆く。

 これに関しては売る気が欠片も無いと一目で解る高すぎる値段設定&既存の生産ラインを全部ジェガンにしようぜ!という悪魔に魂を売る事と同義語なので誰も乗らないだけである。

 

「まぁともかく、うちの牙城を崩す為の一石になる事を期待されているって訳! ――ああ、そういえば根本的な事を聞いてなかったけど、株式会社『ガンダム』って何する会社なんだ?」

「それは――これから考える」

 

 そのミオリネの解答に、あの『彼』の顔が一瞬にして引き攣る。……『アナハイム・エレクトロニクス』代表も、随分と感情豊かになったなぁ、と地球寮の面々は現実逃避しながら思う。

 

「……こんな高度の柔軟性を保ちつつ臨機応変に対処する『泥舟の中の泥舟』に2400億も投資したお馬鹿さんグループがあるらしいよ! ――うちのベネリットグループだよ、やったね!」

 

 

 

 

「――それで、実際はどの程度把握しているの?」

「それなりにだけど、俺から聞く事はオススメしないよ。情報とは経由する毎に劣化する生鮮物だ。意図的にダミー情報を混ぜて真実を虚実にする事だって巷では良くある話さ」

 

 菜園でトマトの世話をしながらミオリネは尋ね、菜園の外で待機している『彼』が答えになってない事を答える。

 それが『彼』なりの誠実な意思表示である事を、ミオリネは何となく察する。知っているけど意図的に語らない。語った場合は結局嘘になるので語りたくない、と――。

 

「――ペイル社のMS、ファラクトが『GUND-ARM』である事を事前に知りながら、意図的に隠蔽したように?」

 

 『彼』は沈黙で返答する。あのエラン・ケレスが強化人士4号である事を明かしつつ、ファラクトが『GUND-ARM』である事を隠したのは――まぁ、そういう事だろう。感情的に納得出来ないが。

 

「……まぁいいわ。……そういえば、この前のインキュベーションパーティで『アンタ』の後ろに連れていたのって――」

「ネオ・ドイツの男『シュバルツ・ブルーダー』君の事かな!」

「……今、何て?」

「謎の覆面ガンダムファイターにして我が社が雇う『傭兵(レイヴン)』の事に興味がお有りで?」

 

 ツッコミどころが2つだったのが、更に増える返答をされ、流石のミオリネも困惑する。そして今の自分以上に翻弄されているであろう彼に、僅かながら同情する。

 ……あの彼をわざわざ護衛役として連れてきたのは――。

 

「……スレッタは絶対気づいてないけど……ありがと」

「はてさて、何の事やら」

 

 密談場所にこの菜園を使うのは不本意極まるが、2人は背中合わせに会話を続ける。

 

「とりあえずはエアリアルの開発者であるシン・セー開発公社CEOと、ペイル社のファラクト開発責任者から話を聞くと良い。前者は俺以上に話をはぐらかすだろうけどね」

 

 自分で語りたくないと意思表示しているのに、解決の糸口を教える辺り……『コイツ』は非常に解り難いけど、お人好しの一面もあるんだなと少し驚く。極一部の人物にしか行わない、依怙贔屓の極みだけど――。

 

 

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