Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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 ちなみに『頭アナハイム』のジェガンのファンネルコンテナ、使い捨てのヤクト・ドーガの物ではなく、充電可能の、まるっきりササビーと同タイプです。
 ファンネルコンテナは黒色塗装ですが、フェンネルはジェガンと同じ緑色です。
 宇宙で2番目のパイロットを自称しつつ、1番目のライバルである赤い彗星は彼の獲物なので除外扱い、赤い人の乗ったMSは絶対造らないのに武装は割りと評価する、非常に面倒な『人』ですね!


53/『魔女』と鉄の揺り籠

 決闘開始の開幕からの、遠距離ビームライフル射撃。

 

 ――当然の如く、当たらない。というよりも、射撃する前段階で回避行動を取られている。

 早すぎる回避行動ならば、それを見た後で偏差射撃をすれば何とでもなる。だが、撃とうと決断し、実際に引き金を引いて行動する、その間の刹那に回避行動を差し込まれる為、既に回避されているという頭おかしい状況が出来上がる。

 

「またかよッ!? どうなってやがる……!?」

 

 一回なら偶然だが、数回以上目の当たりにすれば必然だと悟らざるを得ない。

 撃つ前に回避されている、という因果が逆転した不可思議な現実が多発する。前回の決闘から『ヤツ』の動きが明らかに一変、いや、全てにおいて常軌を逸している……!

 

「チィ、このオレが目の前の『敵』に背を向けるなど……!」

 

 前回の決闘では訳も分からずにやられたが、今回も二の轍を踏む訳にはいかない。ビームライフルでの牽制打を撃ち放ちながら、出力任せに『ヤツ』のMSに背を向けて後退する。

 

 ――この殺人的な加速にも大分慣れてきたが、やはりというべきか。『ヤツ』のMSは此方の速度に着いて来れず、簡単に距離が開く。

 

「機体の基礎性能は明らかに此方が上、だというのに……!」

 

 当然だろう。あれは『アナハイム・エレクトロニクス』製だとしても、量産型MSの類だ。一点物のハイエンド機と比べればあらゆる面において性能が劣っているだろう。

 MSの性能という覆しようのない前提条件を、『ヤツ』の操縦者としての技量は簡単に覆す。言うのは簡単だが、認め難い差だ……!

 

「遠距離戦はやるだけ無駄――各種武装を保持した状態で近接戦闘に持ち込む!」

 

 前回の決闘で真っ先に此方のドローン兵装各種を排除しに掛かったのは、逆に考えれば脅威だからだろう。

 接近戦になればMSの性能差のゴリ押しで何とかなる、と信じて、瞬時に反転して『ヤツ』目掛けて飛翔する。肩部シールド及び背部サブアームは分離せず、『ヤツ』の懐に飛び込むまで自律行動をさせずに温存する……!

 

 ――『ヤツ』のMSから撃たれるビームライフルの射撃を反射的に回避し、此方もビームライフルを撃ち放って牽制する。

 

 迂闊に防御すれば、前回のように即座にミサイルを重ねられて破壊されかねない。あんな神業的な真似を何度も出来るとは思えないが、『コイツ』は何度もやれる人間だ。その化け物じみた技量は絶対的に信頼して良いだろう。

 

(くそっ、決闘のレギュレーションに慣れすぎたせいで、実弾兵器の対応が全然解らねぇ! なのに『アイツ』の方はむしろ慣れてやがる……!?)

 

 一体どんな経験を積めば、此処まで差が開くのか、皆目見当も付かないが、決闘中の今は考える事でもない。

 何方の射撃も当たらない不毛な遠距離から、互いの有効射程武器が多くなる中距離に移行する。

 

(この距離から繰り出されるファンネル&ビームライフルの同時連携を掻い潜る……! 前回の二の舞だけは絶対演じねぇぞ!)

 

 ファンネル&ビームライフルで追い込まれた末に、予め投げていたビームサーベルで此方の射撃兵装を破壊されるなど――全て計算尽くで誘導されたなど、二度とやらせてなるものか!

 

 

『――流石にまともな手段で当てるのは俺でも難しいけどさ、まともじゃない手段なんて幾らでもあるんだぜ?』

 

 

 此方のビームライフルの射撃を、『ヤツ』のジェガンはバク転して回避し――何でそんな大胆で無駄な避け方を、と疑問に思い、即座に解答が飛んでくる。背中に背負っていたハイパー・バズーカの射線が一瞬だけ合い、即座に撃ち放たれた事で――!

 

「ぐおっ!? っ、シールドが……!?」

 

 予想外の場所から繰り出された不意打ちに対応出来ずに回避し損ない、自律行動を取った肩部シールド一基の犠牲を支払う羽目となり――。

 

 

『――足を止めるなよ、ついつい仕留めたくなっちゃうだろ?』

 

 

 まずい、と即座に判断し、全力で下方面に退避し――視界全てが実弾系の爆炎に飲み込まれる。

 ジェガンに搭載されていたほぼ全ての実弾兵装を叩き込まれ、もう一基の肩部シールドが破壊、本体にも少なくない損傷を受け――爆炎に紛れて、既に6基のファンネルが全方位に展開されている事に気づく。

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ――!?」

 

 背部スラスターを全力全開、本体に接続したままの『V.S.B.R』2基を低収束・拡散型で乱射し――此方の悪足掻きを嘲笑うが如く『ヤツ』のファンネルは面攻撃すら的確に回避しながら全方位からのオールレンジ攻撃を繰り出し、ダリルバルデに次々と被弾してダメージが加速する。

 

「このまま、負けてられっかよォッ!」

 

 逃げ場所など元よりない。ならば、『ヤツ』のジェガン目掛けて特攻する!

 『V.S.B.R』を搭載した背部サブアーム2基を分離して自律行動させて、ビームライフルを速射モードで乱射しながらビームジャベリンを取り出して展開――『V.S.B.R』搭載の背部サブアーム2基は『ヤツ』のファンネル2基で即座に撃ち落とされたが、刹那の時間稼ぎを見事果たしてくれた。

 

 ――近接戦闘の間合いに入る。最後まで温存したビームサーベル内蔵の肩部サブアーム2基を分離して自律行動させ、『ヤツ』のジェガンにビームジャベリンで斬りかかる――!

 

『はい、残念賞でプレゼント!』

「!? 何だそれ!? いや構うかッ!」

 

 ジェガンの腕部から即座に何かが膨らんで、ジェガン型のダミーバルーン4つが撒かれ――咄嗟にビームジャベリンで、背部サブアームのビームサーベルで斬り裂いてしまい、ダミーバルーンに内蔵されていた機雷が一斉に爆発する。

 

「――!?」

 

 この直近の爆発で最後まで温存していた虎の子の近接兵装が軒並み消し飛び――最悪な事に『ヤツ』のジェガンを見失ってしまう。

 

「しまっ――」

 

 半壊するダリルバルデと無傷のジェガンが交差した一瞬で、此方のブレードアンテナをビームサーベルで切り飛ばして決着――近接戦で完封負けするという屈辱を、味わう事となった。

 

 

 

 

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