Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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78/『魔女』は星の屑を語る

 

 

 

 

『――『ジオン』残党のリベンジは続くよ何処までも! いや、本当にしつけぇんだわマジで。残党の残党の残党の残党まで発生してるんじゃね? 残党の残党の時点で笑い話にもならないってのに。まぁともかく、『ジオン』残党であるデラーズ・フリートによる『デラーズ紛争』の時間じゃー!』

 

 ベネリットグループの上位企業の代表達が集う音声オンリーの通信会議にて、『アナハイム・エレクトロニクス』代表によるPV映像鑑賞会がまた唐突に始まり――記念すべき『第二回目』となった今回の舞台は前回のU.C.0079年『一年戦争』の4年後のU.C.0083年、そんな短期間のスパンでまた大きな紛争が発生するのは、流石にフィクションと言えどもやりすぎであろう。

 

『『地球連邦』がアナハイム・エレクトロニクス社に発注・委託した『ガンダム開発計画』、当時の技術を結集させて『最強のMS』を開発するという絵空事――南極条約違反の核搭載型の『ガンダム試作2号機』がジオン残党に奪取され、よりによって『地球連邦』の観艦式にぶちこまれて艦隊の3分の2以上が航行不能になる未曾有の大損失、同時進行でまたコロニー落としという地獄の流れだよ! これで大義は我にあるとかほざくんだから、『ジオン星人』の言う事は異次元の領域だよね』

 

 あらゆる経緯を省いて、『ガンダム試作2号機』が奪取され、宇宙の軍事要塞コンペイ島で行われる観覧式で単騎突入して炸裂する戦略級核攻撃――そして全容が明かされる『星の屑作戦』という流れである。

 

 

『事の経緯を細かく説明するのは面倒なので――アナハイム・エレクトロニクス社が何をしたかと言うと、強奪という形で『ガンダム試作2号機』を『ジオン』残党に譲渡し、追撃部隊に配属した『ガンダム試作1号機』と戦闘させる事で最新鋭2機の実戦データを獲得し、その他、様々な情報を売り渡して『ジオン』残党を強力にサポートし、獅子身中の虫に『ガンダム試作4号機(ガーベラ・テトラ)』をプレゼントしたり、事前の裏取引で月への偽装落下軌道にあったコロニーに推進用レーザー照射して地球へのコロニー落としを超強力に支援し、『ガンダム試作2号機』を追撃していた特務部隊に『ガンダム試作3号機』を強引に接収させてコロニー攻防戦に差し向けた事ぐらいだね!』

 

 

 なお、激しいコロニー攻防戦をバックに暴露されるアナハイム・エレクトロニクス社の『お家芸(マッチポンプ)』のせいで、半分以上頭に入らなかったとか。

 例えフィクションだとしても、やるかやらないかで問われれば率先してやりそうと思えるのが『アナハイム・エレクトロニクス』社の信頼度であり、此処に揃った代表達の全員がドン引きする。

 なお『当人』は『最後に自社内の敵対派閥の、月の支社の常務を尻尾切りに使う辺り、この当時から『頭アナハイム』の手腕はえげつないわな。なんでアンタ、正史で無名なの?』と、まだ『自分』のいないアナハイム・エレクトロニクス社の悪行についてそう思っていたりする。

 

『なお、当事件の発端は間違いなく南極条約違反の核兵器を搭載している『ガンダム試作2号機』の開発を『地球連邦』が推し進めていた事に行き着く為、戦後、この『ガンダム開発計画』は公式記録から完全抹消して隠蔽されたよ! 此処で得た貴重なデータの数々は、アナハイム・エレクトロニクス社によって後のMS開発に生かされるので問題無いね!』

 

 ……フィクションとは言え、何でアナハイム・エレクトロニクス社、潰されてないんだ?と誰もが疑問に思ったとか。

 

『さて、『ジオン』残党の乾坤一擲の蛮行がどのような結果になったかと言うと――』

 

 30分程度で纏められたPVの最後は、特徴的なゴーグルをかけた大柄の男性将校の演説によって締められる。

 

『――省みろ! 今回の事件は地球圏の静謐を夢想した、一部の楽観論者が招いたのだ! デラーズフリートの決起などはその具体的一例に過ぎぬ。また三日前、北米大陸の穀倉地帯に大打撃を与えたスペースコロニーの落下事故を見るまでもなく、我々の地球は絶えず様々な危機に晒されているのだ!』

 

 劇中でソーラ・システムⅡの指揮をしていた、敵もろとも味方殺しも辞さない危険な将校であり――。

 

『――地球、この宇宙のシンボルをゆるがせにしない為にも、我々は誕生した。地球、真の力を再びこの手に取り戻す為、『ティターンズ』は立つのだッ!』

 

 今回の地獄が終わったのに、またもや新たな地獄の扉を見せつけられるような気分に陥り――。

 

『皮肉にも、宇宙世紀で有数の――『マジキチ軍閥組織』の跳梁跋扈を招く事になりましたとさ、めでたしめでたし!』

 

 

 

 

『型式番号『RX-78GP03』ガンダム試作3号機、全長140mを誇る試作型宇宙拠点防衛戦用MS……うん、どう考えても区分おかしくね? 性能面も明らかにオーパーツだし』

 

 今回紹介されるMS?は劇中のコロニー攻防戦で大暴れした超巨大MSであり、『公式記録が完全消去されたので『幻の撃墜王』ですね!』と胡散臭く笑う。

 

『MSの汎用性とMAの攻撃力を兼ね備えた究極の機動兵器を目指した結果、MS一個大隊を凌駕する『機動弾薬庫』が完成しましたよ! 一般的なMSと比較して100倍以上コストかかりましたけど! これ一機造るぐらいなら量産型MS100機揃えた方が良いよ! 乗せるパイロットの数を用意出来ない弱小勢力なら話は別だけど』

 

 ……相変わらず、一騎当千を目論んだ巨大機体に関しての『彼』からの評価は酷い。

 多くの者が思うに――こんな化け物を相手に100機程度でどうにかなるのだろうか?という純粋な疑問に。

 

『武装は戦艦級をオーバーキルするメガ・ビーム砲、大型クロー・アームに内蔵された大型ビームサーベル2基、ウェポン・コンテナには多種多様の武装が搭載――爆導索・マイクロミサイル・後方遊撃ミサイル・大型収束ミサイル、ビームライフルにバズーカ2門にシールド、これらはアームド・ベース『オーキス』と分離した時のステイメンに使うものですね。――ああ、あと言い忘れてましたが、『Iフィールド・ジェネレーター』も搭載してますけど、当時の技術的に小型化&エネルギー供給に問題があった為、フィールド発生装置とジェネレーターが複合した構成になって外部露出しているので、劇中のように物理的に破壊されやすい欠点がありますね』

 

 圧倒的な機動力に戦艦級を上回る殲滅力、おまけに戦艦級のビーム射撃をも弾く『Iフィールド』つき。劇中でも多くの戦艦とMSを一方的に葬っていた活躍は、目に焼き付いて離れないだろう。

 

『余りにも大量の武装と巨体制御を1人のパイロットにやらせるのは流石に無理がありますね! 現在ならば意思拡張AIなどでパイロットを補助する機能を大量に取り付けたりすれば、多少はマシになるんじゃないですかね? コストを度外視するなら『ALICEシステム』がオススメですよ!』

 

 ……問題があるとすれば、こんな化け物を運用出来る資本が何処にあるのか。もとい、使用用途及び目的が皆無である事に尽きる。

 こんな過剰戦力を一体何に使うんだ、という話である。……なお、前回の『RX-78-2』と今回の『RX-78GP03』は、末恐ろしい事に普通に販売カタログに掲載されている。その事実に気づいた代表達は「マジかよ……」と信じられない目で二度見し、ドン引きしたとか。

 

『……毎回気になるのだが、その『これ一機造るコストで量産型MSを数揃えた方が良い』という理論は、一体何なのだ? 量産型MSを幾ら用意しようが、これの撃破は極めて困難だろう?』

『そりゃ雑魚狩り特化のデカブツに雑魚をぶつける運用は戦術的に間違いですとも。――エースパイロットが駆る超高性能機に簡単に下剋上されるから微妙扱いしてるんですよ』

 

 この意見の相違は所謂視点の違いであり――簡単に下剋上出来る『パイロット』としては、金をかけた割には呆気無く散る『ウドの大木』という評価でしかない。

 

 

 

 

 

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