Q.これはガンダムか? A.ガンダムです   作:咲夜泪

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 気づけば3月も終わり、4月。
 水星の魔女のセカンドシーズンも間近……あれ、早すぎね!?
 と、ともかく、長い空白期間を何とか乗り切りましたね!(なお、話の流れが間に合っているとは言ってない)

 蛇足編をやりすぎて、まだアニメ本編9~12話分を消化出来てませんが、まぁ何とかなるか!の精神でやっていきます。

 リアルの忙しさもあって毎日更新出来ない事も度々ありますが、どうぞお付き合いあれ~。


85/第三話『初陣』

 

 

 

 

『――各コロニーに対する独立捜査権を持たせた、新たな外郭部隊の艦隊司令にブライト・ノアを着任させる事は百歩譲って良しとしよう。だが、あのアムロ・レイまで所属させるのは政府高官の理解が得られない』

 

 当初の提案を突っぱねたが、目の前の男は、予想通りと言わんばかりに胡散臭く笑った。

 

『そうですねぇ、地球に居座る腐れ無能の老害様に置かれましては、揃いも揃って『ニュータイプ』が反旗を翻すと心底恐怖しているでしょうねぇ! ――全くもって逆ですよ逆。その危険な『ニュータイプ』達を処理する最後の機会が今回なのですよ』

 

 続いて彼から手渡された資料を目を通し――それが何の概要なのか、理解した瞬間に眉間を顰める。

 

 

『――これがシャア・アズナブルが率いる新生ネオ・ジオンの軍備状況です。ええ、我が社が盛大に強力に援助しましたので、この程度は筒抜けですとも』

 

 

 ――この『死の商人』が、という当たり前過ぎる罵倒が喉から出かけて、瞬時に無駄であると飲み込んで黙る。

 地球連邦に対して秘密裏に新生ネオ・ジオンの軍拡に盛大に協力し、その情報を地球連邦側に流す二重の背信行為など、舌が何枚あれば行えるのだろうか。

 

『新生ネオ・ジオンの規模は極めて小規模であり、地球連邦に対して真正面からは到底太刀打ち出来ません。――なので、今回新設する外郭部隊に一任させましょう』

 

 ……その為に、最初から地球連邦内部の危険分子を新興外郭部隊に配属させるのか。敵対勢力の危険分子と一緒に戦死してくれる事を願って――。

 だが、その案には諸々の問題がある。地球連邦が本気を出せば一瞬で摘み取れる規模の敵対勢力に過ぎないので、如何に本気を出させないように誘導するか――。

 

『諸々のロビー活動の方は既に万全の準備を整えております。外郭部隊に強大な権限は与えますが、戦力規模は此方側で調整します。『ティターンズ』の二の舞いは御免ですしね。『新興部隊は戦争をしたがっている』と煽れば幾らでも制限出来るかと』

 

 ……根回しは既に終わっており、番犬への首輪も用意している。何とも手際の良い事だ。果てには死者を眠らせる棺桶すら自社製だろう――。

 

『……『ニュータイプ』同士、共食いさせる、と?』

『此度の戦場は小規模の紛争ですので、比較的操作しやすいかと。アナハイム・エレクトロニクス社としても新型MSの実戦データは喉から手が出るほど欲しいですからねぇ』

 

 ――両陣営、共にアナハイム製のMSを使って殺し合う。純度100%の、制御可能な戦争経済。何とまぁ健全極まる戦場だろうか。一体誰が黒幕なのか、丸分かりである事が唯一の欠点であり――。

 

『……時折、君が恐ろしく見える。かの『月の女帝』などよりも。――君は本当に『ニュータイプ』ではないのかね?』

『勿論、ただの『オールドタイプ』ですとも。本当の『ニュータイプ』ってのは戦争しなくて良い人類でしょ? 我々には戦争が必要不可欠なので――』

 

 ならばこそ、全人類、永遠に『人類の革新(ニュータイプ)』に辿り着く事は無いと、彼は皮肉げに嘲笑ったのだった。

 

 

 

 

「……『アナハイム』社ってどいつもコイツも『アイツ』みたいなの、ばっかなの?」

 

 『頭アナハイム』此処に極まり、という感想しか出ず、ミオリネは1人独白する。

 第三話は『アナハイム・エレクトロニクス』社の重役らしき『頭アナハイム』と地球連邦の人事権に関与出来る政治的要人との黒い密談から始まり、武力的な反地球連邦政府活動の取り締まりを目的とした外郭新興部隊『ロンド・ベル』が結成し――最近見た事のある特徴的なエンブレムに、ミオリネは眉を顰める。

 

「……『アイツ』のジェガンに描かれていたエンブレムと同じ――」

 

 偶然か、必然か。卵が先か、鶏が先か。……常識的に考えれば、自分の愛用しているエンブレムを流用しただけになるのだが――。

 

「第三話は……よくもまぁ自陣営の上層部に対する間接的批判の語録が豊富な事で――」

 

 この『ロンド・ベル』は『1年戦争』の名艦長とエースパイロットが配属された宇宙最強のドリームチーム……とは名ばかりの、広範囲に渡る任務内容とは不釣り合いなまでの小規模に抑えられたジリ貧の独立機動部隊であり、アムロ・レイを『先輩』と慕う『新兵の少年』の視点で物語は展開されるのだが――これでもかと言わんばかりの現体制批判は地球連邦という組織の腐敗っぷりを豊富な罵倒語録で表現する。

 

「……いや、良く考えなくてもおかしいよね、この『新兵』?」

 

 ――特に、エースパイロットである『先輩』が扱うに足るMSが意図的に配備されない事を知った『新兵の少年』は『――鬼に金棒、『先輩』に『ガンダム』とか当たり前の常識なのに馬鹿じゃねぇの?』と超早口で長々と上層部批判し、一兵卒の領分を明らかに逸脱するほど、超がつくほどの行動力を発揮した。

 短期的な解決策として既存の高性能機である『Zガンダム』の設計図を流用した簡易量産機の設計を『アナハイム・エレクトロニクス』社に密かに流して製造させ、強制捜査からの強奪コンボで合法的(?)に確保し、長期的には一から設計した新型機の製造依頼を『アナハイム』社に取り付けるに至る。

 

 

『……やれるものだな。案外、政治家向きじゃないか?』

『いやいや『先輩』、出来る事イコールやりたい事かは別問題ですよ? そもそも何で『一兵卒の新人』が部隊の戦力確保に奔走しなきゃいけないんですかね!?』

 

 

 『ロンド・ベル』の設立に尽力した地球連邦の政治家、ジョン・バウアーへの具体的な方向性を定めた支援要請を即座に取り次ぎ、艦長のブライト・ノアと『先輩』のアムロ・レイを巻き込んで後方支援者に対する協力要請内容を吟味したり、最終的には『アナハイム社』の支部を巻き込んで運命共同体に仕立て上げたり、単なる一兵卒とは思えないほどやりたい放題だった。

 勿論、『当人』としても初めての事尽くしなので細かい失敗は何度も犯したが、無限に湧き上がる情熱と『ニュータイプ』特有の特筆すべき感性で押し切った形だった。

 

「――他者と誤解無く解り合い、遍く人々の利害関係を超えて調和して協調する……『ニュータイプ(人類の革新)』って、そういう事?」

 

 劇中でも度々理想論とされているが――この『新芽』が、一番それを体現しているのではないだろうか?

 ……なお、題名の『初陣』とやらは、ダンジダン派ハマーン軍残党と交戦し――『1年戦争』の英雄、アムロ・レイが率いる『ロンド・ベル』のMS部隊は面白味が無いほど一方的にネオ・ジオンの残党のMS部隊を撃破・殲滅したのだった。

 

 

 

 

『アストナージさん、エンブレム、ありがとうございます!』

『おうよ、大切に扱えよ!』

『勿論ですとも!』

 

 格納庫にて、新たに配備された自身のMS――型式番号『RGM-89』ジェガンの勇姿に見惚れながら、堪らなく笑みを零す。

 任務に対して人員はまるで足りていないが、最新鋭の量産機を優先的に回してくれるのは非常に有り難い。……『先輩』に現段階で実現出来る最強級の超高性能機を寄越さないのは度し難い減点だが。

 

『ご機嫌だな』

『当然ですよ『先輩』! いやぁ、テンション上がりますね! ――『先輩』のエンブレムの使用許可、許して貰いありがとうございます! 連邦の『白い流星』の腰巾着は何処までもお供しますよー!』

 

 苦笑する『先輩』を尻目に頬のニヤけっぷりを抑えられず、アストナージさんから『いやいや、『自分』から腰巾着を自称するなよ?』と突っ込まれるも華麗にスルーする。

 右肩には『ロンド・ベル』のエンブレム、そして左肩には『先輩』の許可を貰って――このエンブレムをペイントして貰ったのだった。

 これが『自分』の『乗機』であると自覚するだけで狂喜乱舞する。エンブレム一つだけなのに専用のカスタマイズをフルに受けた気分で非常に爽快で、歌でも一つ歌ってみたい気分だ。

 

 

『――それはそうと、アムロのエンブレムを左右ではなく上下に反転した理由は何なんだ?』

 

 

 『あ、ブライト艦長、お疲れ様です!』と簡易的に敬礼し――いつの間にかいたブライト艦長は不思議そうに問う。

 『先輩』のエンブレムは、赤い『A』の文字に一角獣を模したものであり、今回、『自分』の『乗機』に刻んだエンブレムはそれを上下に反転したものである。

 

『左右だと見分けが付き辛いので、敢えて上下に反転してみました! 『先輩』とお揃いですが、誰でも見分けが付く塩梅ですね!』

 

 一角獣の頭が下なのは、ほんの少し、違和感があるが――。

 

『――偶然だが、全称記号だな』

『何ですか? それ』

『数学記号の1つで――『全て』を意味する文字さ』

 

 『先輩』からの言葉で、その違和感のズレが『自分』の中から完璧に消え去り――ぴたりと嵌ったような感覚を得る。

 

『――良いですね、それ。始まりの『A』を反転させたら全ての『∀』。何だか運命的で素敵な巡り合せですね!』

 

 

 

 

 

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