「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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前半は日常回です。

少々構成に悩みましたが書き終えれました。


第15話(前編)

 

 

 

一夏と箒、そしてラウラとシャルロットは

学園の近くにある大型ショッピングモール

レゾナンスに買い物に来ていた。

 

「まずは夏服を揃えに行こうか」

 

「進路的にもそうだな」

 

気温もグングン上がり夏の気配がすぐそこまで

近づいてきている。更に言えばIS学園の1年生は

臨海学校という一大イベントも控えているため

夏服と水着、ビーチアイテム辺りを買い揃えようと

一夏&箒ペアとシャルロット&ラウラペアで

ここレゾナンスを訪れたのだ。

 

 

「もぐもぐ…クレープ、絶品ではないか♪」

 

ある意味今回の外出の主役であるラウラは

ここへ来てすぐだというのに既にイチゴクレープを

美味しそうに頬張っている。

 

「此処の食べ物はどれも美味しいからな」

 

そう冷静ぶって言う箒だが、その手にはしっかりと

飲みかけのイチゴ味フラッペが握られている。

 

「…2人がここまではしゃぐなんてね」

「俺も正直意外だった」

 

2人を誘った一夏とシャルロットが驚く位には

箒とラウラはとても上機嫌だった。

 

 

 

「服ひとつでここまで変わるとはな」

 

特にラウラは衣服を学生服と所属部隊の軍服

僅かな下着類しか持っていなかったために

一夏達3人で色々買い漁ることとなっていた。

 

「妖精みたい…可愛いじゃんラウラ!」

 

普通の高校生が着るとややコスプレ感が残りそうな

少々メルヘンチックなドレスも、ラウラが着れば

絵本から飛び出して来たと言われても

信じてしまいそうな位にベストマッチだ。

 

「どうだ一夏…変じゃないか?」

 

「…おう、十分似合ってるぞ」

 

周囲の人々の視線はラウラが独占していたが

箒も箒でサマーワンピースを完璧に着こなしている。

彼女に対して可愛いと褒める事に慣れてきていた一夏も

これには少々顔を赤くしていた。

 

 

「…だいぶ買ったな」

 

「自宅配送も考えた方が良さそうだね」

 

あれやこれやと買い漁った結果、服だけでも

既にかなりの購入量になっていた。

 

 

 

続いてやってきたのは水着コーナー。

下着コーナー程では無いにせよ、男子にとっては

目のやり場に非常に困るコーナーである。

 

「俺が選ぶのか?3人分!?」

 

一夏は自分の分だけ選んでさっさと退散したいという

思いもあったが、彼女と妹に3人分選んでくれと

せがまれてしまえば彼に逃げ場など無かった。

 

「…ちょっと…恥ずかしいのだが」

 

ラウラが持ってきたものの中で一夏が選んだのは

本人曰く「最も挑戦的」と評した黒いビキニ。

紫色のフリルとかなりローレグなボトムスが特徴的で

小柄な女性を好む男にはどストライクであろう水着だ。

 

「うん、僕にピッタリだね」

 

シャルロットが選んだ2つの内、一夏の目に止まったのは

本人のISのカラーと似た山吹色のスカート付きビキニ。

スカートにはダークグレーでストライプが入っている。

専用機の待機形態であるネックレスと合う、というのも

一夏がこれを選んだ理由のひとつである。

 

「一夏はこれを選ぶだろうと思ったよ」

 

箒の水着として一夏が選んだのは、胸元にリボンが

あしらわれた白のビキニ。布地のフチに沿って走る

黒いラインがバストの大きさを際立たせる。

ラウラのもの程では無いがボトムスはローレグで

箒のスタイルをより魅力的なものへ昇華させている。

 

 

「いや~…中々しんどいな」

 

「視線は確かに凄かったからな」

 

3人分の水着を選び終えた一夏は精神的にかなり

疲れ切っていた。美少女を3人連れて水着コーナーを

見て回っていれば様々な視線が一夏へ突き刺さるのだ。

一夏は早足で水着コーナーを後にした。

 

 

 

 

 

「おお~っ、これがプラモデルとやらか!」

 

ずらりと並んだロボットのプラモデル達に

ラウラは一瞬で目を奪われた。

日本のプラモデルは凄い、と副隊長が興奮気味に

色々教えてくれたとのこと。

 

「お、ラファールもあるんだ」

 

「色々取り揃えているな」

 

アニメに登場しているロボットは勿論だが

かつて実際に活躍した戦闘機や戦艦のプラモデルも

ずらりと並んでいる。ISも当然プラモデル化されており

織斑千冬が様々な大会で使用していた「暮桜」や

量産機からはラファールや打鉄がキット化されている。

 

「何か買っていくか?」

 

「うむ、そうしよう!決定だ!」

 

4人は気に入る機体が無いか棚へ目を通していく。

 

 

 

「兄さんの白式に似ている機体があるぞ!?」

 

買いたいプラモデルを探し始めてすぐにラウラが

面白いものを見つけたと3人を呼び集めた。

 

「ん?…展開装甲みたいだな」

 

「白い一角獣…?貴婦人と一角獣を思い出すね」

 

並んだ2種類の箱には同じ機体名が(ユニコーンガンダムと)書かれているが

箱絵には全く違う姿が描かれている。

白式と同じ純白の機体色の1本角が特徴的な姿(ユニコーンモード)

内部フレームが赤く輝くV字アンテナが特徴的な姿(デストロイモード)

少々の差異はあっても白式と非常に良く似ていた。

 

「決めたぞ!私はこれを買う!」

 

ラウラは赤いフレームが見えている方の購入を決め

フレームを白式同様青く塗るんだ、と塗装用マーカーを

探しに走っていった。

 

 

 

「店員さん、オススメの機体ってあります?」

 

「それでしたら──」

 

一夏と箒は「ペアで飾るのにオススメの機体」を

探して店員にアドバイスを求めた。

 

「まずはこの2機ですかね」

 

店員が提示したのは、1980年から続く老舗プラモデルの

キットの中でも最も有名であろう機体のキット。

片方は白ベースの機体色にV字アンテナが特徴的な機体(ガンダム)

もう片方は全身が赤系のカラー(シャア専用カラー)で彩られた1つ目の機体(ザクⅡ)

パイロットが宿命のライバル同士だったとのこと。

 

「この2機のパイロットには異名がありまして──」

 

「買った!」

「私もだ!」

 

続いた店員の紹介に2人はこの2機を買うことに決めた。

赤い機体のパイロット(シャア・アズナブル)には「赤い彗星」という異名が

白い機体のパイロット(アムロ・レイ)には「白い悪魔」や「白き流星」

という異名が付けられていると聞き、2人は即断即決で

この2機を買うことを決めたのだった。

 

 

 

「シャルロットはどれにしたんだ?」

 

「僕はこれ。似てると思って」

 

シャルロットが持っていた2機の内の片方は

学園でも良く見る深緑色のラファールリヴァイブ。

 

「こっちも凄いな…まるで火薬庫だ」

 

「そ、僕のラファールに似て火薬庫だな~って」

 

もう片方はシャルロットの専用機と似た配色である

オレンジや白をベースカラーとする(アニメ版カラーの)

シールド付きの2連装ガトリング砲を持つ機体(ヘビーアームズ改)

全身にハッチが設けられていて、それらが開かれると

無数のミサイルやガトリング砲が発射されるという。

 

「早く帰って組み立てたいな!」

 

「昼食べたら少し早めに引き上げようか」

 

プラモデルを早く組み立てたくて仕方ないのか

うずうずしているラウラを連れてフードコートへと

4人は向かった。

 

 

 

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「本当にやんのか?」

 

「当然だ。それが依頼主からの指示である以上」

 

レゾナンスの駐車場に停められていた1台の車の中で

数人の男達が怪しげな会話を交わしていた。

男達は皆目出し帽を被っている。

 

「俺ァ気に食わねぇんだがな。奴らは──」

 

「それでもやるのが俺たちの仕事だろう」

 

依頼主に対して不満を零しながらも、男達は己の得物の

最終チェックを済ませていく。

 

白昼堂々、何食わぬ顔でレゾナンスへと乗り込み

人混みに紛れながら"目標"を回収する(一夏と箒を誘拐する)──

彼らにとって特別難しい任務という訳では無い。

 

「なぁに、俺たちまで足が付くこたぁ無いさ」

 

「あの天災を相手に?」

 

男達の懸念事項は"目標(一夏達)"の背後に居ると噂される

篠ノ之束の存在であった。もし本当に背後に居るならば

現場に残った僅かな証拠から全てを暴かれ

依頼主も実行犯も残らずこの世から消滅するだろう。

 

「相手はガキだぞ?失敗しねぇさ」

 

「それも…そうか」

 

リーダー格の男は目標を確保さえしてしまえば安全だと

メンバー達を鼓舞した。目標を人質にして脅せば

天災をこちら側へ引き込む事も可能だ──と。

 

今回の依頼の報酬に満額であれば遊んで暮らせると

思える程の額が提示されている事も、リーダーの男が

この件に並々ならぬ執着を持つ理由だった。

 

「先行部隊の連絡を待って作戦開始とする」

 

「「「ラジャー」」」

 

車の中にいる男達は、先にレゾナンスへ潜入した

先行部隊からの連絡を待った。

 

 

 

 

 

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「これが蕎麦か!美味いな!」

 

「ん〜…きつねうどん、絶品だね!」

 

日本発祥の麺料理を口にしたシャルロットとラウラは

その美味しさに頬が落ちそうな気分になる。

 

日本へ来て日が浅い2人にとって日本発祥の料理は

まだ未知のグルメであり、そういった補正も含めると

普通の蕎麦やうどんもより美味しく感じられたのだ。

 

「配送もやったし…ゆっくりして行こう」

 

一夏達が買った荷物はすべて学園へ配送しており

既にほとんど手ぶら状態。この後すぐ帰るにしても

まだ買い物を続けるにしても楽である。

 

 

「いつかここへも行きたいぞ」

 

「ん…台場か」

 

ラウラが行ってみたいとスマホへ表示したのは

台場にあるダイバーシティ東京。

 

「えっ…これ、20mあるの!?」

 

ラウラが先程購入したプラモデル(ユニコーンガンダム)の等身大立像が

そこには建てられており、20m近くもあるその像が

演出に合わせて稼働すると書かれている。

この立像の存在を全く知らなかったシャルロットは

背景の建物と並ぶそのあまりの大きさに驚いた。

 

「皆の予定が合ったら行くか!」

 

「僕、行ってみたいな」

「クラリッサも連れて来るか!」

 

この会話がキッカケとなり、後にダイバーシティ東京へ

専用機持ち9人という戦争を起こせる戦力が集う事となる。

 

 

 

 

 

昼食を終えた一夏達は再びレゾナンスを歩き始めた。

ビーチアイテムも水着を買った時に併せて買ってあるため

特に目的は残っていない。店内を一通り見て回って

買う物が見つからなければ帰宅、という流れだ。

 

「………」

 

「…なぁ」

 

しかし、ここで一夏はある事に勘づく。

 

──尾けられている。

 

ある意味で懐かしい感覚。特定の人物が自分の周囲に

ずっと付き纏っているという嫌な感覚だ。

 

「確かに居るな…!」

 

「…僕には分からないや」

 

シャルロットと箒はイマイチ存在に感づけていないが

ラウラは既にそれがどの人物なのか気付いていた。

 

 

「あの4人組だな」

 

何処にでも居る様な、何の変哲もない4人の男。

レゾナンスは広大なショッピングモールだというのに

この4人の男をやたらと自分達の周囲で見かけるのだ。

 

「どうする?」

 

「…逃げるか、あるいは誘うか」

 

一夏とラウラは素早く思考を巡らせて判断を下す。

 

「──罠を張ろう」

 

 

 

 

 

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「…おい」

 

「まだだ」

 

一夏達を尾行していた男達はかなりイライラしていた。

目標が中々隙を見せないのだ。

 

「陽動班のヤツら、痺れを切らしちまうぞ?」

 

先行したこの4人が目標(一夏と箒)の確保に成功したら

陽動班が襲撃テロを装った派手な騒ぎを起こし

警備の目をすり抜けて先行した4人が離脱

先行部隊の離脱を確認し次第陽動班も順次離脱。

そういう筋書きだった。

 

 

「む…目標が動いた!」

 

男の一人が目標に動きがあった事を告げる。

目標とする2人のうち少女の方がグループから離れ

トイレがある方向へと歩いていった、と。

 

「少年は?」

 

「依然動きありません」

 

目標は少女と少年の2人。出来れば2人をほぼ同時に

誘拐したいという思いはあったが、まず少女を拐い

陽動班が動いた際の混乱に乗じて少年の方も

拐っていく方向で動くことにした。

 

 

 

「気付かれていないな」

 

目標の少女は特に警戒する素振りも見せずに

人気が余り無い方へと歩いていく。

 

「次の角で仕掛けるぞ」

 

「「「了解」」」

 

男達は捕縛用装備に手を掛けた───

 

 

 

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『箒、恐らく次の角で仕掛けてくるぞ』

 

"ワザと"人気の無い方向へ歩いていた箒は

ISを通した一夏との通信で状況を把握しつつ

男達が仕掛けてくるのを待っていた。

 

「………」

 

神経を研ぎ澄まし、気配を探りつつ角を曲がる──

 

 

「……ッ!!!」

 

「グッ…貴様っ!誘ってやがったな!」

 

箒の口元へハンカチを当てようとしていた男の腕は

綺麗に箒の手で受け止められていた。

 

「何としてでも捕らえろッ!」

 

腕を受け止められた男は後ろに居る仲間へ指示を出し

一般人に騒がれる前に捕らえるよう協力を促す。

 

「ぐあっ!?」

「何だこのガキっ!?」

「ごふっ!」

 

返ってきた返事は仲間が倒される声だった。

 

「ふん…さしずめ傭兵と言った所か」

 

「色々吐いてもらおうか」

 

箒を尾ける男達を更に尾けていた一夏達が

隙だらけだった男達を拘束したのだ。

特に一夏とラウラは一瞬で男を叩きのめして気絶させ

キャンプグッズとして買った(不審者を拘束するのに丁度いい)ロープで拘束していた。

 

 

 

「貴様ァっ!」

 

「これは玩具じゃ…ないな?」

 

カランカランと音を立て、真鍮で出来た筒状の物体──

リロードされていた銃弾が地面へと転がった。

男の懐から取り出された銃に装填されていた物だ。

 

「答えろ!目的は何だ!」

 

「がァッ…誰が言うか!」

 

一夏は男の拘束をギリギリと強めながら目的を問うが

男も全力で抵抗を続けている。

 

 

ピリリリッ!ピリリリッ!

 

一夏のスマホへ突如電話が掛かってくる。

一瞬迷った一夏だったが、男の拘束をラウラへ任せ

電話に出ることにした。

 

「はい、一夏です」

 

『更識楯無より伝言です──』

 

電話口に出た女性は布仏虚(のほほんさんの姉)と名乗り、生徒会長である

更識楯無からのメッセージを読み上げた。

 

ここレゾナンスに傭兵集団が派遣された形跡があり

調査させていた所、カーテンを締め切ったまま動かない

怪しいワンボックスが駐車場に長時間停まっている、と。

 

『更識が掴んだ情報によると──』

 

 

 

 

一方で男をロープで拘束し終えたラウラは

シャルロットへ店員を呼びに行かせると、男が持っていた

通信機から情報収集を試みていた。

 

『…………からの……が途切れた!……なっ…いる』

 

「…別働隊に勘づかれたか!」

 

ノイズ混じりの通信ではあるものの、男達との連絡が

途絶えた事を不審に思う集団が居るのが確認出来た。

 

『…入指示が…た!I…が援護す…!…くぞ…』

 

更に聞き続けて分かったのは、別働隊にレゾナンスへの

突入指示が下ったであろう事と「ISが来る」という事。

 

 

「ISが居るだって!?」

「お前達、ISが来るぞ!」

「一夏!IS反応だ!」

「IS!?なんでこんな所に!」

 

「へへっ…お前らは逃げられねぇんだよ」

 

4人の驚いた声と男の勝ち誇った様な声が響く。

 

 

ドォーンッ!!!

 

続けて爆発音が惨劇の始まりを告げるかのように

鳴り響いたのだった。

 

 

 




次回へ続きます。

一夏と箒が警備無しで出掛けた時、事件が起こる──
原作8巻冒頭でもあるようにIS世界の日本って
現実の日本より少々治安が悪いっぽいんですよね。
…という訳で大事件の始まりです。



お察しかと思いますが、投稿主はガンダム大好きです。
今後も続々とガンダムネタを引っ張り出すかと。
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