「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す 作:高橋ヒナタ
いよいよ、学年別トーナメントの開催です!
原作ではいきなり一夏達vsラウラ達でしたが
本作は専用機が4人も参戦出来るのでね
彼女たちの活躍も描いていきますよ!
第19話
『間もなく開会式の時間です!来賓のお客様は──』
──学年別トーナメント開催日。
IS学園が最も盛り上がる期間と言われるこのイベント
その初日がついに始まろうとしている。
数日間に渡って学園のほぼ全ての生徒が優勝を目指して
ぶつかり合う、世界各国から多大な注目を集める
一大イベント「学年別トーナメント」が。
まだ開会すらしていないというのに学園の敷地内は
メインイベント中かの様な盛り上がりを見せている。
その中でも、特に生徒達は熱狂という域を超え
一種の勝負事のような事態になっていた。
「早く早く!席無くなっちゃうぞーっ!」
「先輩っ!はあっ…待って…クダサイっ!」
出場する試合まで時間がある生徒たちの多くは
それぞれが注目している試合を生で観戦するために
目的のアリーナへとむかうのだが、今日のアリーナは
観客席の半数近くが来賓席として埋まっているため
その反動で生徒が使える席が少なくなっている。
それがどういう事かというと、数少ない目当ての席を
手に入れようと凄まじい大競走が始まるのである。
教師陣もそちらの対処へ回せる人員が不足し
対応する者が居ない事もそれに拍車をかけていた。
「ひーっ…着いた!空きはっ!?」
「ねぇ!どっか席あるっ!?」
「残念ですが…満席です」
特に一夏達1年生専用機持ちや、高学年のエースタッグが
試合を行うアリーナはあっという間に満席になる。
この賑わいは以前一夏の戯れで行われた、専用機持ちが
6人集まって模擬戦をした時に匹敵するかそれを上回る
圧倒的な盛況ぶりである。
生徒達が熱狂するのは勿論の事だが、海外から来日した
来賓の大人たちも決して例外ではなかった。
「うちはデュノア狙いとの指示だが…君は?」
「無論我々は織斑一夏君1点狙いだとも!」
今年の1年生に専用機持ちが多い事は周知の事実であり
そんな彼らの操縦技術、戦闘スキルを一目見ようと
優秀なパイロットに早めに目星をつけておこうと
スカウトマン達は十二分に気合いが入っているのだ。
「例の新機体…ぜひこの目で見てみたいぞ!」
「開発者は確かカンザシ、っていう名前の子だったか」
当然メカニックとして優秀な人材を探している者も多く
パイロットではなく機体や担当メカニックの方に
注目を向けている技術者達も大勢訪れている。
こちらも一夏や簪、本音を筆頭に優秀なメカニックが
例年よりも多いとの前評判が既に広まっているため
今年のトーナメントにも絶大な期待が寄せられている。
そして、各国のIS関連企業の代表が招待されているのなら
当然この会社の代表も来ている訳で──
「あら…今日はあの格好良いシャルルじゃないのね」
「えっと…あの、母さん?」
シャルロットはセシリア達の試合を見に行く途中で
フランスから来日していた両親に捕まっていた。
ロゼンダはあの日見た「シャルル・デュノア」の姿も
大層気に入った様で、なぜ今日はシャルルでは無いのかと
少々不満気な表情を見せていた。
「一夏君、少し話がしたいんだが…どうかね?」
「俺は別に構わないですけど…」
シャルロットと共に行動していた一夏はアルベールに
捕まった。話がしたいと迫るアルベールの手元には
新装備や次世代量産機の開発計画書が握られており
ISについて話がしたいという圧が全面から滲み出ていた。
「では、長話に少々付き合ってもらうぞ!」
まだ一夏達の試合時間まで少々時間があるということで
近くのベンチに腰を下ろし、他へ聞かれても問題の無い
範囲内でIS談義を開く事となった。
ちなみに行こうとしていたセシリアと鈴が出場する試合は
見に行けないことが現時点でほぼ確定した。
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──第2アリーナ。
『間もなく第1試合開始時間となります──』
開会式を終え、各アリーナで試合開始アナウンスが
流れ始める。
電光掲示板に映し出されている対戦カードには
更識簪と布仏本音の名前が表示されている。
各国のメカニックが注目するペアの初戦である。
「かんちゃん、最初から全力で行くよ~?」
「うん。この機体を…私を知ってもらうためにも…!」
今回の学年別トーナメントに出場するにあたり
簪と本音は特に優勝は考えていなかった。
ようやく完成した自分たちの専用機をより華々しく
そのスペックをより多くの人々へ見せることを
第一目標としていたからだ。
手の内を明かさずに戦うなどという事は一切考えず
全ての試合でキッチリ全ての装備を使う考えである。
『両選手、出撃して下さい!』
「更識簪、打鉄弐式行きます…!」
「九尾ノ魂行きまぁ~す!」
出撃を促すアナウンスを受け、4つあるカタパルトから
今回試合を行う4人の選手がアリーナ内へと飛び立つ。
「お前たちを倒して私の実力を証明してみせるッ!」
「戦いは苦手ですけど…負けませんよ!」
簪達の対戦相手となるのは、攻撃的なカスタムを施した
打鉄を駆る黒髪ロングヘアの少女と、防御型に調整された
ラファールに乗るウェーブが掛かった金髪が特徴の少女。
非常に対照的な2人だが相性が中々いいコンビとのこと。
両者がアリーナに集い、試合開始のカウントダウンが
電光掲示板によって行われる。
3──
2──
1──
『それでは…試合開始!』
「山嵐…システム起動!」
「よぉーし、いくぞーっ!」
「キメるっ!」
「行きます!」
試合開始のゴングが鳴った瞬間、4人が一斉に己の得物を
起動させ矛先を相手へと向ける。
「ターゲット確認、マルチロック!」
「何だとッ!?」
近接戦闘用ブレードを構えた黒髪の少女は、目の前で
いきなり構えられた
48発ものミサイルが自分達目掛けて飛んできたのだ。
「撃ち抜けビット!」
ズドォーーーンッ!!!
「ぐうっ!?目眩しなど…ッ!」
飛んできたミサイルは黒髪の少女に命中する直前に
本音のビットから放たれたビームにより誘爆
目の前で目が眩みそうな爆炎へと変わる。
「大丈夫ですか!?…敵はどこへっ」
「まだ煙の中にいるハズだ!」
対面していた両者を間を遮るように広がった爆炎へ
対戦相手の2人の少女はライフルなどを撃ち込み
簡易的な索敵を行うが──
「私はここだよっ!」
超振動薙刀「夢現」を持った簪が煙を突き抜け
前へ出て来ていた黒髪の少女へ攻撃を仕掛けたのだ。
「そんな武器でこの私に敵うものかっ!」
「勝ってみせる…この打鉄弐式で!」
近接戦闘には自身があるらしく、突撃してきた簪に
黒髪の少女は1歩も引くことなく剣で薙刀と切り結ぶ。
「そうはさせません!」
「…邪魔…っ」
後方で状況を見ていた金髪の少女も盾とライフルを手に
切り込んできた簪へ攻撃を仕掛けてくる。
ミサイルを数発撃ち返したが、金髪の少女は盾をしっかり
活かして直撃を避ける。
「これで終わりにするッ!」
「墜とさせてもらいます!」
「しつこい!」
簪は打鉄弐式が持つ高い機動力を遺憾無く発揮し
対戦相手2人から飛んでくる攻撃をヒラリヒラリと
回避していく。
『これがカンザシ!凄いスキルだな!』
『あの子は整備士じゃなかったのか!?』
この光景には、相対している2人だけではなく
観客席にいる来賓達をも大いに驚かせた。
優秀なメカニックだと聞いていたハズの少女が
ISパイロットとしても活躍しているのだ。
技術者達の目には驚き惹かれる存在として映っただろう。
しかし、この試合を見ている殆どの者たちは
「攻撃、手伝うよ~?」
金髪の少女の背後から、ついさっきも聞いたような
のほほんとした声で助力の申し出がされる。
「うわっ!?い…いつの間にっ!?」
後ろから接近してきた"
金髪の少女はほんの僅かに対応が遅れてしまい
軽く手を伸ばしただけで触れ合える距離感まで
敵の接近を許してしまったのだ。
「よいしょぉっ!」
バシュゥッ!バシュゥッ!バシュゥッ!
「うわあーーっ!?」
「どうした!何があったッ!」
九尾ノ魂のビットのひとつ「貫けビット」による
至近距離での6連撃がクリーンヒットし
金髪の少女が乗っていたラファールの満タン近くあった
シールドエネルギーを全て奪い取っていった。
「まさか…ステルスか!」
「当たりだよ~♪」
最初に簪が放ったミサイル群の誘爆に隠れて
光学迷彩を発動、こっそりと
識別反応を偽装し敵ISへと接近したのだ。
『布仏さんも凄いモノを開発したものですね』
『完全に意識外だったよ…学園の技術も侮れないね』
簪とはまた違った技術力、機体操縦を見せた本音に
先程同様観客席の面々は注目を向ける。
「これで2対1…山嵐で墜としてあげるっ!」
残された打鉄をロックし、再び48連装ミサイルが
打鉄弐式から放たれる。
「くっ…ここで負ける訳にはいかないッ!」
黒髪の少女はライフルを乱射しながら後退し
48発のミサイルを捌こうと立ち回る。
変則的な軌道を見せる少女を尚もミサイルは追尾する。
(19番から28番までのミサイルの軌道変更…!)
衝突しそうなミサイルや軌道から逸れたミサイルは
簪が
世界一の天災も認めた、高校生離れしたそのスキルには
強い勝利への執念を見せた黒髪の少女も敵わず───
「ぐあッ…この私が墜ちるのか…っ!?」
破壊し切れず残った13発のミサイルが直撃し
シールドエネルギーを完全に削り取られたのだった。
『勝者、更識簪&布仏本音ペア!』
「やったね~っ!」
「うん…!まずは1回戦突破」
簪と本音は、世界の技術者達に強烈なインパクトを与え
自分達の存在を大きく知らしめる事に成功したのだった。
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『──間もなく第3試合開始時間です!』
同じく第2アリーナ、専用機持ちのペアが舞台へ上がる
注目の試合の時が再びやって来た。
イギリスの国家代表候補生セシリア・オルコットと
中国の国家代表候補生凰鈴音。
優れたIS操縦者を求める者達にとっては決して見逃せない
本日の注目試合のひとつだ。
「鈴さん、全力で戦っても宜しいですか?」
「全力で?何かワケでもあるの?」
基本的に物事は冷静に考えていたセシリアが
訓練機のペアを相手に全力を出すと言った事に
鈴は少し疑問を抱く。普段のセシリアならば
ここでは手の内は見せず、
それを隠しておくだろう。
「同時制御の感覚を忘れる訳には行きませんから」
「あー…なるほどね」
セシリアはこの学年別トーナメントを、本体とビットの
同時制御の慣熟訓練の場にしようとしていたのだ。
鈴はセシリアのこの要求に対し、連携の主導権と
引き換えならば応じるとし、セシリアがこれを快諾。
2人の初戦となるこの第3試合は鈴が攻撃役
セシリアが陽動役を引き受けてのスタートとなった。
『両選手、出撃をお願いします!』
管制室からの指示を受け、4人のIS乗りが一斉に
カタパルトを蹴ってアリーナへと躍り出る。
「では…行きますわ!」
「やってやるわ!」
「ラファール・リヴァイブ、行きます!」
「打鉄、出る!」
セシリアと鈴、そして対戦相手となる茶髪と青髪の少女
4人の戦士達がアリーナで相対し、電光掲示板にて
試合開始のカウントダウンが行われる。
3──
2──
1──
『それでは、試合開始!』
「踊って頂きますわ!」
「これが…ビット!」
「厄介な武器を…」
戦いの火蓋が切られたと同時にセシリアはビットを4基
相手の周囲へと展開させ、包囲攻撃を始める。
「逃がさないわ!」
鈴は降り注ぐ光条からセシリアの意図を読み解き
"見るからに遠距離タイプ"といった佇まいの
茶髪の少女目掛けて突撃する。
「む、向かってくるなら…やるしかないっ!」
「良い覚悟ね!」
茶髪の少女は武器をライフルから近接ブレードへと
持ち替えると、高い反応速度で鈴と切り結ぶ。
徐々に押されていっているが、茶髪の少女の反応速度は
鈴にも十分並びうる可能性も有りそうだ。
「やらせないっ!」
飛び交うビームに阻まれ、相方の援護が出来ずにいた
近距離タイプと思しき青髪の少女が痺れを切らし
武器を遠距離武器へ持ち替えて鈴へと牽制射撃を放つ──
「右へロール!」
「っ!!」
「避けたっ!?」
茶髪の少女へ猛チャージを掛けていた鈴は
セシリアが発したごく短いキーワードに瞬時に反応
青髪の少女が放った弾丸を間一髪回避したのだ。
距離を置いて戦場を観察出来るセシリアが
前衛の鈴に迫る危険を短いキーワードのみで伝達
それを的確に読み取った鈴はすぐに指定された方向へ
回避行動を取る。かつて連携ミスでズタボロに
叩きのめされたとは思えない良い連携が取れていた。
「くっ…見ているしか出来ないのかっ」
4本だった光条は途中からスターライトmk.3の分が増え
5本となり、さらに相手の連携を断ち切っていく。
「そろそろ終わりよ!」
「私は…私はまだ何も出来ていないのに…っ!」
ガッ!!!
「ぐうっ…スラスターがっ!?」
精一杯鈴の連撃を捌いていた茶髪の少女だったが
スラスターという致命的な位置に攻撃を貰ってしまう。
「スイッチ!!!」
「狙い撃ちますわ!」
その直後、鈴が役割の交代を叫ぶ。
それと同時に青髪の少女を包囲していたティアーズが
一斉に踵を返してセシリアの元へ戻っていく。
バシュゥーーーッ!!!
「………っ!?…くっ!!!」
茶髪の少女のラファールは、スターライトmk.3と
追従する4基のビットからの
残っていたシールドエネルギーが0となった。
「…私が…お前達を墜とすッ!」
1人残されてしまった青髪の少女はブレードを握り直すと
スラスターを吹かし鈴目掛けて突撃する。
「甘いわよッ!」
ズドォンッ!!!
「ぐうっ…」
鈴はここまで使ってこなかった龍砲を起動させ
威力を少し落とした状態で連発、青髪の少女を
少しづつアリーナ中央へと追い込んでいく。
(そのまま…もう少しですわ)
青髪の少女は熱くなりすぎているのか、その視界に
もう1人の対戦相手を収めておくのを失念していた。
「頂きましたわッ!」
「しまっ…!!!」
バシュゥーーーッ!!!
『勝者、セシリア・オルコット&凰鈴音ペア~っ!』
知らず知らずの内にティアーズの包囲網へと
誘い込まれていた青髪の少女は、網に掛かった瞬間
四方からのビーム包囲攻撃を受けて撃沈したのだ。
見事に連携を駆使して相手を素早く撃破する事に成功し
セシリアと鈴の2人は"連携下手"というレッテルを
見事に剥がしてみせたのだった。
学年別トーナメント編に突入です。
デュノア夫妻のキャラ付けに関しては
原作がサンデーGX版である以上基本は独自。
今回ヒロインズの対戦相手として出てきた子達は
どちらと戦っているか分かりやすいように
アニメキャラクターから髪色を引っ張ってきて
ついでにキャラ付けをしよう──となった結果です。
彼女たちが続投する予定は基本無いです。
【設定・元ネタ解説】
「黒髪の少女・金髪の少女」
機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY より。
黒髪がカナード・パルス
金髪がプレア・レヴェリー。
「茶髪の少女・青髪の少女」
機動戦士ガンダムSEED より。
茶髪がキラ・ヤマト
青髪がアスラン・ザラ。