「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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IS第23話、大変長らくお待たせ致しました!

長いこと更新滞ってしまって申し訳ないです
エヴァの方に集中していた事もそうですが
筆者自身が色々な意味で疲れてしまってまして

──それはそれとして、今回は日常回!
某副隊長もいよいよ本編入りとなります
これからきっと大暴れしてくれるでしょう。
隊の子4人についての詳細やらなんやらは
また本人たちの出番の時に。



第23話

 

 

 

──東京国際空港。

 

一般的には羽田空港と呼ばれ、日本と海外を結ぶ

玄関口の1つとなるこの巨大ターミナル

その中でも国際線の発着を担う国際線ターミナルに

一夏達は訪れていた。

 

 

「──よく予定が合ったね、僕たち」

 

ハンディファン片手に到着案内を眺めるシャルが

幸運を喜ぶような表情でそう呟いた。

 

「夏休みは良くも悪くも予定まみれだもんな」

 

太陽が容赦なくギラギラと大地を照りつけ始める7月

IS学園も他の学校などと同じく夏休みに入っていた。

 

普通の学校であれば、最高学年でもなければ用事も少なく

精々夏休みの課題に早くから取り組む者が居る程度で

プライベートな予定が食い尽くされる事は無いが

IS学園はそんじょそこらの学校とは比較にならない位に

ハイレベルな学園。夏休みも予定山盛りである。

 

「私も明日母国への定期報告がありますもの」

 

「あはは…僕もやらなくちゃ」

 

が、今日この場に集まった一夏と箒、鈴にセシリア

ラウラとシャルロット、本音に簪の8人は幸運な事に

休日をこの日にピッタリ揃える事が出来たため

"ある目的"のためにここ羽田空港で人を待っていたのだ。

 

 

 

[9:46 フランクフルト ルフトハンザ航空]

 

到着案内を眺めていた彼らの視線が、案内に出てきた

1便の飛行機へと留まる。

 

フランクフルト・アム・マインを現地時間14:18に発った

ルフトハンザドイツ航空の便だ。貴重な休日を共に過ごす

同行者5名が乗っている。

 

 

 

「隊長~~~っ!!!」

 

暫くして、この場には似合わぬカッチリとした制服を纏う

5人の同行者が姿を現した。

 

 

「…やかましいぞクラリッサ」

 

「黒ウサギ隊、副隊長クラリッサ・ハルフォール以下4名

到着致しました!」

 

キリッとした目つきの青髪の女性、隊の副隊長である

クラリッサは、部下となる隊員4名と共に

隊長ラウラへ向けビシッと敬礼して隊の到着を告げた。

 

 

一夏達がここへ来たのは、白うさぎ隊へと名を改め

束が運営するIS開発企業白うさぎ宇宙開発に転属となる

ラウラの部下達を出迎えるためであった。

 

 

 

 

 

黒を基調とした軍服に身を包み、ラウラと同じタイプの

眼帯を左目に装備しているクラリッサ達は

全員が20歳前後の女性で構成されている点込みでさえ

軍人然とした雰囲気を纏っている。

夏休みに入り観光客の出入国が急増したこの羽田空港で

彼女達の存在というのは非常に"浮く"。

 

のだが──

 

「では!早速参りましょう!東京へ!!!」

 

「「「「了解です副隊長(お姉様)!!!」」」」

 

その浮き方はまた違ったものであった。

 

「おいおい…別にそんな急がなくたって…」

 

「まだ10時にもなってないんだぞクラリッサ」

 

そう、白うさぎ隊メンバーにはラウラも含む6人全員が

大の日本ファンという共通点がある。

 

"軍上層部から辞令を受けての転属"という形とはいえ

憧れの国日本へやってくる事が出来た喜びからか

クラリッサと部下の少女達4人は大興奮。

厳格な雰囲気が台無しになるほどに大はしゃぎしていた。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「すごいっ!発車も時間通りだわっ!」

 

「誤差+25秒…信じられないわね!」

 

それは羽田空港から目的地に向かうべく乗り込んだ

東京モノレールの車内でも相変わらずであった。

 

"日本の鉄道は病的なまでに時間に正確"

 

という噂の通りだ!と、スマホに表示させた時刻表と

電波時計の時刻とを見比べて感動すらしている。

 

 

「山手線が見えてきたわ…!」

 

「ふっ…さすが鉄道大国ね」

 

クラリッサ含む白うさぎ隊が最も大騒ぎしたのは

モノレールが天王洲アイルを発ち、田町駅の付近を

通りかかった辺り。

 

眼下に広がるのは、山手線・京浜東北線・東海道線

そして東海道新幹線が並走する日本の大動脈。

関東圏に住んでいれば割と当たり前の様な光景だが

線路が続く先を見ればすぐ次の列車が見えてくる

恐ろしいまでの運行精度に彼女達は驚かされていた。

 

 

『──この電車は豊洲行きです』

 

 

浜松町駅から新橋駅まで1駅だけ山手線を利用し

今度はゆりかもめに乗り換えて目的地へと進む。

 

 

「この電車からは"ガンダム"は見えないのか…」

 

「でももうすぐですね副隊長!」

 

 

一夏達一行が目指しているのは台場駅、その近くにある

ダイバーシティ東京プラザ。

以前レゾナンスへ買い物に行った時にラウラが

ぜひいつか行きたいと言っていた場所へ

部下のクラリッサ達も一緒に向かうことにしたのだ。

 

 

『間もなくー台場、ー台場──』

 

 

 

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「こ…これが…ガンダムっ!?」

 

一体誰がそう口を開いたのだろうか──

 

彼らの目の前に立つのは、全高19.7mという巨体を誇り

立派に聳える1本の角を持つ純白のモビルスーツ。

 

機動戦士ガンダムUCに登場する主役モビルスーツで

バナージ・リンクスという少年を乗せ

地球圏の命運を握る「ラプラスの箱」なるものを巡って

対立する2勢力(連邦とジオン)の間を渡り歩いてきた機体だ。

 

「…今にも動き出しそうですわね」

 

「戦えるって言われても信じそうだよ僕」

 

戦闘機や戦艦、戦車やISなどといった戦闘兵器とは

また違った威圧感、雄大さなどを感じさせる姿だ。

 

直接これを目にする機会の無かった一夏達一行は

抱いた感想こそ各々で違ったが、一様に見蕩れ

目を奪われていた。

 

 

 

「13時に"変身"が見れるらしいぜ?」

 

「変身だと!?やはり動くのかこやつは!」

 

この立像は一日に数回、アニメとほぼ同様の「変身(NT-D)」を

見せてくれるという事を一夏がウェブサイトで発見する。

前回の変身は11時だったためギリギリ見逃したらしいが

次の13時であれば少し時間を潰せば見れそうである。

 

 

「うむ。ではこの建物の探索に向かうとしよう!」

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

次の変身の時間までの暇つぶしと昼食を兼ねて

色々とショッピングをして回ろう、と

ラウラは意気揚々と隊員達と共に建物へと入っていった。

 

 

 

 

 

──そして時は昼下がりへと入った。

 

「2時間なんてあっという間だったわね」

 

「鈴は何買ったんだ?…ん、アルトロン?」

 

「隊長が買われたのはアイン(スローネの長男)ですか!似合ってますね」

 

「あぁ。悪役っぽさはあるが私の機体に似ていてな」

 

昼食を終え一足先に立像の前に戻ってきた一夏のもとへ

沢山の買い物袋を携えた箒達12人が遅れて戻ってきた。

時刻は12時57分を指しており、だいぶギリギリである。

 

 

「そろそろ始まるみたいだな」

 

立像前に集まっていた観客達がざわつき始める。

いよいよユニコーンガンダム立像の変身の時だ。

 

 

 

『バナージリンクス!ユニコーンガンダム、行きます!』

 

一夏によく似た少年(cv.内山昂輝)の声と共に変身が始まる。

 

「おおっ!」

 

「カッコイイですわね…!」

 

足首から深紅の輝きが灯りだし、膝の装甲がせり出す。

 

「まるで展開装甲だな一夏」

 

「偶然とは言え凄く似てるな」

 

フロントアーマーの装甲がスライドして開かれていき

輝きは腰と肩を経て胴体へ、そして頭部へも灯る。

 

「角が…!」

 

「これぞガンダム…っ!」

 

顔を覆っていたマスクが格納されると、その内側から

緑色に輝く鋭いツインアイ──ガンダム然とした顔が

姿を現すと共に、ユニコーンのようにそびえ立っていた

1本のツノがふたつに割れてV字のツノへと変わる。

 

──これこそユニコーンガンダム本来の姿。

「箱」を託すに相応しい人物を箱へと導く「鍵」──

 

 

 

 

 

(ニュータイプ…か)

 

一夏はユニコーンガンダムの覚醒をその目で見て

自らが目指すべき場所へと思いを馳せる。

 

(俺は…いつか千冬姉や箒、束さん達と──皆と一緒に

宇宙を目指してみたい…!)

 

箱に込められた祈りと共に彼らが踏み出した「宇宙(そら)」に。

 

いつか人類が地球を離れて宇宙へと足を踏み出す時

本当に必要なものとは果たして何なのか。

翼を剣へと変えてしまった人類が宇宙へ羽ばたくために

自分達は果たして何をすべきなのか。

 

──そして、ニュータイプとは何なのか。

 

「………難しいな。世界って」

 

まだ、考えは纏まらなかった。

 

 

 

 

 

「……!…一夏!」

 

「ぅおっ!?…何だ?箒」

 

箒の大声で思考の海から引き戻された一夏。

 

「…面倒な事になってな──」

 

一夏が物思いに耽っていた間に少々厄介な事が起こった。

 

「俺たちの事がバレた!?」

 

実は今回の外出、一夏達は専用機持ちが一斉に学園外へ

しかも一箇所に固まって外出している事を隠すため

学園生である事がなるべくバレないよう装っていた。

 

しかし、白うさぎ隊が人目を引き付けすぎてしまった事と

ここダイバーシティ東京プラザに一夏や箒の顔を

ハッキリと記憶している者達が何故か多かった事により

自分たちが学園の専用機持ちであると露見したのだ。

 

「こんな所で白き流星に会えるなんて感激です!」

 

「赤い彗星が居るって聞いてすっ飛んできたんだ!」

 

学園中に広まってしまった以上"外"へ広まるのも

時間の問題だろうと思っていた一夏と箒の2つ名

「白き流星」と「赤い彗星」は、2人の顔と共に

予想以上に広く世間に知れ渡ってしまっていたらしい。

 

『現実へ現れたユニコーンガンダム、暴走したISを止め

ドイツ代表候補生の少女を見事救出!』

 

1人のオタクの女性が見せてきたのはそんな内容の記事。

 

学年別トーナメントという、世界中が注目する場で

御伽噺のような救出劇を披露した事も影響していたのだ。

 

 

「なぁ頼む、白式の変身!見せてくれよ!」

 

「こんな機会人生に2度も無いわ!どうかお願いっ!」

 

集まってきた人々は「ユニコーンガンダム立像の前で

専用機持ち達が一堂に会した上で白式と紅椿が

立像の変身に合わせて覚醒する」という奇跡を期待して

ISを見せてくれないか?と頼み込んでくる。

 

当然、なんの許可も取っていないこの状況でそれをすれば

ISの使用条約に引っかかり大問題となる。

 

(…退いてくれる気配も無さそうなんだよなぁ)

 

かといって、そんな条約までは知らない彼らは

並大抵の事では引き下がってくれなさそうであった。

それこそ、前あった様なテロでも無い限り。

 

 

一夏はこの場では解決する手段が無いとして

切りたくなかった最後の切り札を切る事にした。

 

『なんだ一夏。こんな忙しい時に──』

 

「すまねぇ千冬姉!大トラブルだ!」

 

──姉へ解決策を求めるという選択肢を。

 

 

 

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「で、何でこうなるんだよっ!」

 

時刻は既に16時を回った頃、一夏達は再び立像の前へ

戻ってきていた。

 

──先程とは違う装いで。

 

 

「似合ってますよ、アムロ・レイ大尉!」

 

青を基調とした、軍の士官服といった雰囲気の服装だ。

腕にはLの文字と2つの鈴を組み合わせた部隊章。

連邦宇宙軍ロンド・ベル隊である事を示している。

 

 

「流石にこの仮面は似合わないだろう!」

 

そして、装いが異なるのは一夏だけではない。

 

「いやぁ、その仮面も間に合って良かったですよ!

赤い彗星シャア・アズナブル大佐!」

 

箒もまたその異名に相応しい装い──ネオ・ジオンの

総帥を務める赤い彗星と同じ、高貴さを漂わせる

赤を基調とした軍服を着せられていた。

 

「時期としては合わないですが」と差し出されたのは

シャア・アズナブルが一時期身につけていた

ヘルメットとゴーグルを組み合わせた仮面だ。

こればかりは箒との相性は微妙であったが。

 

 

 

「それでは皆さん!お願いします!」

 

ユニコーンガンダムが本日4度目の変身を披露するまで

あと僅かとなった。

 

立像の前には、クラリッサを含めた専用機持ち9人。

 

 

 

『バナージリンクス!ユニコーンガンダム、行きます!』

 

4度目となるバナージ少年の声が響き──

 

「織斑一夏!白式、行きますッ!」

「篠ノ之箒、紅椿出る!」

 

ガンダムの前に立つ2人が自らの愛機を身に纏う。

 

「セシリア・オルコット、参りますわ!」

「行くわよ甲龍っ!」

「ラファール・リヴァイブ・カスタムII、行くよ!」

「織斑ラウラ。シュヴァルツェア・レーゲン、出る!」

「更識簪っ!打鉄弐式、行きますっ!」

「九尾ノ魂、行きまぁ~すっ!」

「シュヴアルツェア・ツヴァイク、出撃する!」

 

そして、残る7人が追うように愛機を呼び出し──

 

「白式ッ!」

「紅椿ッ!」

 

ユニコーンガンダムの変身と同時に、白式と紅椿も

展開装甲(サイコフレーム)を起動させる。

 

「「「おぉぉぉーーーっ!!!」」」

「「「カッコイイーーーっ!!!」」」

 

世界が注目するIS学園の1年生専用機持ち達が

覚醒したユニコーンガンダムの元へ集ったその光景は

それを見た者に「最強」という感想を抱かせた。

 

下手をすればもう二度と拝む事の出来ない光景に

その場にいた者達は三者三様の反応を示す。

光景を必死で目に焼き付ける者──

カメラで歴史的瞬間を記録しようとする者──

感動で堪えきれず涙を流す者──。

 

「今日ここに居れた事、可能性の神に感謝だわ」

「素晴らしいパフォーマンスだったよ!」

「この写真は家宝だわ家宝!」

 

イベントも何も無い、単なる休日だったハズの今日が

とんでもない特大イベントの日と化したのだった。

 

 

 

 

 

──ちなみに。

 

何故今回ISの使用が許可されたのかというと

面倒事がこれ以上拡大する事を嫌がった千冬により

「緊急事態を想定した市街地でのIS展開訓練」として

裏から強引に許可を取り付けたからである。

 

何とか事を収めて離脱したい一夏へ返ってきた回答は

「派手にやってこい」だったとか。

 

 

 





自称日本通ことクラリッサ・ハルフォーフ参戦。
ラウラ絡みで色々と暴れてもらいたいですね。

黒ウサギ隊には他にネーナ、ファルケ、マチルダ
イヨという隊員の少女がいますが
まだ詳しい活躍の予定は立っていないです…
何せGX版、副隊長含めほぼ顔出し程度なもので。

次回からは臨海学校へ向けて色々と準備をば。
そろそろセッシー達にパッケージが来るので
その辺の回収…もとい改修を、ね。
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