「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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臨海学校1日目、後半戦。
まだ福音は出てきません。

うーん、ちょっと苦戦しました。
修学旅行とかロクな記憶無かったもんで
想像頼りに書いてたもんですから…
若干スランプ気味な感じもある。



第26話

 

 

 

昼間の自由時間が終わり、夕食どき。

 

 

「流石IS学園、昼も夜も豪勢だな」

 

「ほんと羽振り良いよね」

 

大トロ、中トロ、鯛にホタテ──高級寿司の中でも

人気のネタを多数取り揃えた刺し身盛りや

海鮮に合うお吸い物など、高校生ではまず行かない

高級料亭で出される様なメニューが目の前に並ぶ。

 

流石はIS学園、世界でも随一の名門校なだけあって

食事のメニューもとても豪勢だった。

 

 

「ひいっタコ!兄さんは平気なのかっ!?」

 

「僕はマルセイユの方行った時に1回食べたかな」

 

あまり海鮮類を生で食べる習慣の無い国の生徒も

居る訳で、特にタコの刺身は「悪魔の食べ物だ!」と

驚く生徒が多かった。一夏や箒ら日本出身の面々が

躊躇いなく口にする姿を見て、恐る恐る手に取り

コリコリした食感にまた驚くまでがセットだ。

 

 

「お、これ本わさか」

 

「…きくな」

 

日本人ならお馴染み海鮮のお供「わさび」も

日本原産の種のみを用いた「本わさび」を使うこだわり。

本わさびは栽培方法が難しくそれほど大きく育たない

更には辛みや香りがすぐ消えてしまうために

市販のわさびよりも高級な品だ。

 

「これが本わさ?学園のとは違うんだね?」

 

学園にあるわさびは西洋わさびを使った練りわさびであり

本わさびとは辛さや風味に違いがある──

違いに興味を持ったシャルロットはそれを確かめようと

本わさびを箸で取る。

 

 

「──はむっ」

 

そして、あろうことかそのまま口に放り込んだ──

 

 

「………っ!?!?」

 

シャルロットは鼻に抜ける辛みと爽やかさに悶える。

 

 

「──大丈夫か?」

 

「…()らいひょうぶ(だいじょうぶ)…っ」

 

辛み自体は西洋わさびの方がかなり強いのだが

シャル自身は学園でもわさびを口にした事は無かった。

しかも結構な量を食べたため、予想だにしない辛みに

思わず悶絶したのだった。

 

「…一夏さん…事前に言って欲しかったですわ…っ」

 

「おう…すまねぇ」

 

一夏の左隣にも、わさびの餌食になった少女がもう1名。

セシリア・オルコットもまた一夏や箒がわさびをつけて

刺身を食べているのを見てそれを真似し

見事辛みに悶える羽目になっていた。

 

 

 

「か、貝!?本当に食べられるのですかコレ!?」

 

「ん゙~辛い!鼻にクるぅ!」

 

元々学園内でも日本食を好き好んで食べていた生徒以外は

軒並みタコや貝類にビビりわさびの辛みに悶え

日本の食文化と衝撃的な出会いを果たしたのだった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「──フレームの稼働ログは相変わらず面白いねぇ」

 

「ですね。"新装備"も搭載しましたし。」

 

夕食を終えた一夏は自室へと戻り、束と共に白式と紅椿の

定期メンテナンスを行っていた。

 

追っ手達から逃げ回る生活の中で趣味となっていった

機械いじりもといISの整備は学園に居を構えてからも

ずっと続けてきた趣味であり、今日も昼間行った

新装備テストのデータを整理していたのだ。

 

 

「どうだった?新装備は。」

 

「まだ慣れないな…。使い勝手は良さそうだけど。」

 

一夏は昼間試した新装備の使い心地を思い出しながら

展開装甲の稼働ログに目を通していく。

 

「ビーム粒子偏向場の稼働率が低いな…」

 

特に新装備込みでの稼働データは調整が必要なものが多く

ホログラムとして投影されたプログラム構成図を

スワイプしながら逐一更新を加える。

 

「楽しそうだねぇいっくん」

 

「"コレ"を使う事自体楽しいってのもあるな」

 

3Dホログラムとして投影された映像に触れ、動かし

直感的に改良していく作業はとてもSFチックで

メカニックの心をくすぐるものがあるのだ。

かの赤と金の鉄男(トニー・スターク)が"スーツ"作りに使っていたものに

よく似た仕組みなのも開発欲をそそられる。

 

打鉄弐式の開発でこのモニターに触れる機会の多かった

簪も同じようにこれで設計開発を行うのは楽しい、と

大絶賛していた。

 

「スラスターを新型へ差し換えよう。それで出力荷重比を

変えずに拡張領域の容量を…節約出来るはずだ」

 

白式と紅椿は日々こうしてブラッシュアップが加えられ

より洗練された機体へと昇華していっている。

 

 

 

「…なんだ、相変わらず開発バカだなお前達は」

 

「おかえりちーちゃん♪」

「千冬ね…織斑先生」

 

織斑先生がふらりと部屋へ戻ってくる。

 

自分の荷物をガサゴソと漁り入浴セットを取り出すと

彼女はすぐ踵を返して大浴場へと向かう。

 

「──と。…織斑」

 

が、何か言う事でもあったのかまたすぐ戻ってきた。

 

 

「女の一人でも連れ込んだらどうだ?」

 

そして、恋愛事に疎い弟をからかう様な一言を発した。

教師としてあるまじき発言──勿論冗談ではあるのだが

弟はこうからかってやると初心な反応を返してくれるので

千冬としては見ていて楽しいのだ。

 

彼に恋人がいるという噂は学園に居る以上嫌という程

耳にしているが、その彼女とやらを連れ込まない辺り

まだ弟は初心なうちなのだろうな、と。

 

 

 

「良いっていうなら俺は箒を連れ込むぜ?」

 

 

「………お前っ!?」

「おぉ~♪箒ちゃんがとうとう大人の階段を~?」

 

弟のとんでもない返しに困惑し固まる織斑姉と

妹の成長の予感に興味津々の篠ノ之姉。

 

 

「ん、俺も温泉行ってくるよ」

 

一夏は纏めておいた入浴セットを手に取ると

余りの衝撃に固まって動かなくなった姉の横をすり抜けて

男湯へと歩いていった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

「………」

 

男湯にたった一人で浸かる一夏は空を見上げながら寛ぐ。

 

今この旅館にはスタッフ以外の男性は自分以外居ない──

誰の視線も気にせず心を落ち着かせる事が出来る。

 

 

(明日──何も無いといいけどな)

 

実は、明日7月7日は篠ノ之箒の誕生日なのである。

買っておいたプレゼントもわざわざ荷物の中に隠して

ささやかなサプライズをしようかと考えていた。

 

明日が平穏な1日であって欲しいという願いは

早々に砕け散る音を聞くことになってしまった訳だが。

 

 

 

「………!…!」

 

(…箒達の声か)

 

自然の音に耳を傾ければ、どこかから──

すぐそこの垣根の向こうから黄色い声が聞こえてくる。

 

覗きなんて馬鹿げた事をする気はさらさら無いが

向こう側で彼女がクラスメイトとどう交流しているのか

少し気になって耳を澄ます。

 

 

 

 

 

「──アンタやっぱりスタイル良くなったわよね」

 

隣で身体を洗う箒の体つきを見た鈴がジェラシーに満ちた

視線を向けてそうぼやく。

 

元々箒は学園内でもトップクラスのスタイルを誇るのだが

それが前にも増して良くなっている──制服越しではない

という点を加味してもそれが顕著な気がしたのだ。

 

「ちょっと確かめさせなさい!」

 

「た、確かめるだと?」

 

鈴は箒の背後へ回ると、その手に己のスタイルへの恨みを

目一杯込め──

 

 

むぎゅっ!

 

「きゃっ!?…なっ、何をするっ!」

 

たわわに実った2つの果実を思いっきり鷲掴みにした。

 

「このっ!少しアタシに分けなさいよこのっ!!」

 

「ばかものっ!やめっ…!」

 

自分と歳は変わらないというのに一体何を食べたら

ここまで大きくなるのか、そんな不満を抱きつつ

減るものでも無いとばかりにその揉み心地を

鈴はじっくりと堪能する。

 

 

「織斑君に揉んでもらってるんでしょ!」

 

「女は恋すると綺麗になる、なんて言うものね」

 

箒が一夏と恋人同士の関係であることは多くの生徒が

痛感させられている。

 

箒に「カレとどこまで進んだか」を問い詰めても

黙秘されてしまっていたが、きっとそれはそれは

熱く激しいカンケイなのだろうな、と少女達は妄想する。

それだけ箒のスタイルは魅力的だったのだ。

 

「ちょっと私達にも触らせてよ!」

「あ、いいな!わたしも触ってみたい!」

 

「待てっ!やめんかっ!」

 

 

暫くの間女湯からはチェリーボーイ共を悩殺するような

黄色い声が響き続けていたとか。

 

 

 

 

 

「…いやぁ、女子高生してるなぁ」

 

そんな会話を男湯でひとり聞かされていた一夏は

口元近くまで湯に浸かりながら苦笑いしていた。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「ふぅ…のぼせてしまいましたわね」

 

ゲームコーナーの片隅で、ハンディファンを片手に

コーヒー牛乳を飲んで寛ぐ少女が一人。

イギリス代表候補生セシリア・オルコットだ。

 

「…何も私までやる必要は無いでしょうに」

 

彼女がかなりのぼせているのは、箒達がまだ上がる前に

大浴場へ足を踏み入れてしまったからだった。

そう、抜群のスタイルを持っているが故に

彼女もまた"被害(おっぱい揉み)"に遭っていたのである。

 

 

「少し…ゲームでもしていきましょうか」

 

セシリアは気分転換にと、何かしらアーケードゲームを

遊んでいく事にした。どこぞの副隊長(クラリッサ)程では無いが

セシリアも日本の文化には多少なりとも興味がある。

 

 

『えいっ!ファイヤー!アイスストーム!』

 

「──勝ちましたわっ!」

 

そして、ちょうど一つゲームをクリアした時──

 

 

「あれは…鈴さん?」

 

誰かの後をコソコソ追う鈴の姿を見かけた。

その動きはまるで狩りをするネコ科動物の如く。

 

 

 

「鈴さん、一体どこへ「シーッ!」」

 

行き先を訪ねようとしたセシリアは鈴に口を塞がれる。

そして、音を立てるなといわんばかりに人差し指を

自身の口元に当てた。

 

彼女が目的とする人物は相当感覚が鋭いらしい。

 

「おぉ~せっしーも来る~?」

 

「…ちょっ…本音、待ってってば」

 

「シャルロット、何処へ行く!?」

 

「ちょっとした盗み聞きだよ」

 

2人の後ろから現れたのは、一夏と箒を除いた専用機持ち。

好奇心に満ちた表情のシャルロットと本音に引っ張られる

ラウラと簪というペア2組だった。

 

彼女達もまた鈴の追っている人物が目的とのことで

この謎の団結が気になったセシリアは鈴達5人に

ついていく事にした。

 

(一夏さん達は何故居ないのでしょう…?)

 

残る2名がこの場に居ない理由を気にしつつも。

 

 

 

 

 

「………ここよ」

 

[教員用]

 

「…ここって…!」

 

鈴達一行がたどり着いたのは、織斑千冬ら学園職員が

寝泊まりする部屋の内のひとつ。

よりにもよって織斑先生()が使う部屋。

 

「千冬さんは今温泉に行ってるわ」

 

幸いにも不在の様だが、コソコソと侵入した事がバレれば

間違いなく大目玉確定だろう。

 

故に6人は壁に耳をピタリと貼り付け、中で行われている

行為が何なのか聞き耳を立てる。

 

 

 

そして聞こえてきたのは、何やら不穏な会話──

 

 

「どうだ?気持ちいいか?」

 

「んあっ…あっ♡待っ…」

 

 

声からして部屋にいるのは一夏と箒。

 

がしかし特に箒の声の方は普段の凛々しさ厳格さは

どこへやら、とても可愛らしい声を上げている。

まるで快楽に喘いでいるかの様な──

 

「「「!?」」」

 

6人は思わず驚き固まる。

この襖の向こうで一体どんな行為が行われているのか

軽く想像するだけで顔から湯気が出そうになる。

 

耐性の無かった簪やラウラに至っては

早くもダウンしそうになっていた。

 

 

「随分溜まってたみたいだな」

 

「あぁっ♡…声がっ…抑えられないっ」

 

あの篠ノ之箒がこうも淫らに狂ってしまう様な

熱く激しい情交が行われているのだろう──と

少女達の頭の中でピンク色の妄想が膨らむ。

 

それはそれとして。襖越しに聞こえる声に耳を傾けながら

内容を妄想していれば、他への集中力は薄れる訳で。

 

 

 

「お前達…何をしているんだ?」

 

「…織斑…先生っ」

 

少女達はこの旅館イチの強敵に捕捉されてしまった。

 

 

「さては何か誤解をしているな?…入るぞ織斑 」

 

少女達の困惑を察した千冬は、情事に及んでいると思しき

部屋の襖を何の遠慮もなく開け放ってやった。

 

 

 

 

 

「………一夏、アンタ何してんの?」

 

「何って…指圧」

 

そこに居たのは、気持ちよさで蕩けきった箒と

爽やかな笑顔で彼女への指圧を終えた一夏の姿があった。

鈴達は盛大な誤解をしていたのだった。

 

箒があまりの気持ちよさに喘いでいたのは

事実であったのだが。

 

 

 

 

 

IS学園臨海学校、その初日は無事幕を閉じた。

 

そして、福音が襲来する──

 

 

 





少しばかり配役を変更しました。

セッシーは同室の子達にいじられなかった分
温泉で箒ちゃん同様モミモミされました。
なお、のほほんさんは揉む側な模様。

指圧マッサージはちーちゃんの代わりに
部屋へ連れ込まれた箒ちゃんが受けました。
えっちなコトはしてないですよ?

ま、次回から福音戦です。お楽しみに。
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