「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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一応これより「2期」となります。

サンデーGX版8巻部分までを書き終えたので
これ以降はオリジナル展開となっていきます。

今回は、ティナちゃんが活躍する回。



2期
第47話 新・クラス対抗戦


 

 

 

10月初日。

 

 

その日は本来IS学園にとって何の変哲もない

特に行事も行われないただの1日であった。

学園生は黙々と勉強に勤しみ、ISの操縦訓練をし

明日へ向けた復習をして寝る。

そんな1日が送られる平凡な日であった。

 

──昨年までは。

 

 

 

『今ここに『新・クラス対抗戦』の開催を宣言しまぁす!

第1回の競技種目は〜、1年『スコアアタック・レース』!

続いて2年、『タイムアタック・レース』!

3年『6on6アサルト』となりま〜す!』

 

生徒会長楯無の声がスピーカーから響き渡る。

 

1年生専用機持ちの特別授業参加権を賭けて

クラス代表同士がぶつかり合う新たな学校行事

「新・クラス対抗戦」の開催が高らかに宣言された。

 

「ねぇ、どの授業取るか決めた?」

 

「決めたけど教えな〜い!」

 

「やっぱり織斑君の生存戦術取ろうよっ!」

 

「それはあんたが織斑君に教わりたいだけでしょ?!」

 

生存戦術や対多数戦闘を担当する一夏

近接戦闘を担当する箒&イーリス先生

遠距離戦闘やビット操作を担当するセシリア&マドカ

遊撃戦や連携を担当する鈴&ナターシャ先生

中距離戦闘を担当するシャルロット&簪

戦闘指揮や戦況観測を担当するラウラ&本音。

クラス対抗戦で優勝したクラスから順に

これら6つのカテゴリーの中でどの授業を受けるのか

選択する事が出来るというわけだ。

 

「すごく革新的ね、このルール」

 

「『あの生徒会長も大絶賛』だって!」

 

そして、学校行事パンフレットを見れば

「New Standard Rules」と銘打たれたページに

多種多様な競技内容が載っている。

 

まるで対人ゲームの中にでも入り込むかのような

実に面白そうなルールがいくつも。

 

「そういえばそっちのクラスに居なかったっけ?」

 

「あぁあの子ね!e-Sports大好きな!大興奮だったわ」

 

スプラトゥーン、APEX、オーバーウォッチ

機動戦士ガンダムバトルオペレーション、等々

複数人でチームを組んで戦闘するゲームは

世界各国で大会が開かれているように

熱狂的なファンが大勢いる。もちろんIS学園にも。

 

マリオカート、グランツーリスモ、カービィのエアライド

F-ZEROなどのレースゲームもまた伝統的なジャンルだ。

トップレーサーを目指し日々走り続けているゲーマーは

この学園にも大勢隠れていることだろう。

 

 

 

つまり。今日の学園は熱狂の渦の中にあるのだ。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

『間もなく、1年生による『スコアアタック・レース』の

開始時間となります!出場する生徒は──』

 

臨海モノレールIS学園前駅に特設されたスタート地点で

1組以外の各クラスの代表生徒が1列に並ぶ。

本来2組は鈴、4組は簪がクラス代表を務めているが

今回の大会の趣旨の都合上副代表が出場している。

 

 

「ティナ〜っ!頑張りなさいよーっ!」

 

「任せておきなさい!」

 

このレースの優勝候補筆頭は2組副代表ティナ。

 

鈴と同室にして元2組代表の彼女が駆るのは

学園では僅かにしか配備されていない米国産量産機

ラプター・アイズ(Raptor-IS)」。最高速度に特化している分

ラファールや打鉄よりもピーキーな機体だ。

 

その分こういったレースに於いては優位に立てるだろう。

 

 

 

『スタートまであと1分です!』

 

「…あれがコースね」

 

視線の先でドローンが一斉に空へ浮かび上がり

ホログラムで形作られたリングが現れていく。

あの連続するリングの内側が今回のコースとなる。

 

それと同時にホログラムバルーンを抱えたドローンが

コース上に次々と並び始める。バルーンの得点は

1点、5点、10点と50点が用意されていて

難易度が高いルートや遠回りのルートであるほど

高得点バルーンが多いのだ。

 

 

『カウントダウン開始!10、9、8、7──』

 

キィィーーー…ンッ

 

カウントダウンが始まると同時に全機スラスターに

エネルギーを目いっぱい回し、瞬時加速を構える。

 

見据えるはコース上に縦に並ぶスコアバルーン。

 

 

『──3、2、1、スタートッ!!』

 

バシュウッ!!!

 

 

そしてついにレースの幕が開けた。

 

 

『さぁ全機一斉にスタートしました!

まずは無難なストレート、並ぶスコアバルーンを

難なく回収していきます!』

 

モノレール駅を飛び出してまず現れるのは

ゆるやかに学園内部へカーブしつつ

上空へと上がっていくシンプルなゾーン。

 

1点バルーン4つと5点バルーンが真っ直ぐ縦に並んだ

バルーンの列がいくつか連続して現れるので

まずは全員ここでスコアを伸ばしていく。

塵も積もれば山となる──取り逃すと後に響くのだから。

 

 

「この先のバルーンは渡さないよっ!」

 

「それはっ!こっちのセリフっ!」

 

『既に激しいデッドヒートが始まっているーっ!!

おっとハミルトン選手が集団を抜けたー!

これは順位ボーナス狙いかーっ?!』

 

機体の肩同士を繰り返しぶつけ合いながら

校舎上空へと向かうルートを飛行する少女たち。

ティナはラプターアイズが持つ高い最高速度を活かして

集団のトップを飛行しながらバルーンを割っていく。

 

バルーンはすぐに再設置されるので独占は出来ないが

ゴール時の順位に応じてスコアにボーナスが入るので

順位を犠牲に大量のバルーンを掻っ攫っていくのか

多少のバルーンをスルーしてでも1着を狙うのか

これもまたレースを面白くする駆け引き要素だ。

 

 

『さ〜て!そろそろ学園内へ入っていく所よ!

各選手はどっちのルートを選ぶのかっ?!』

 

ゆるやかなコーナーを抜けるとコースは島の内部へ。

 

ここに来て現れるは2種類のコース。

片方は地上コース──校舎同士の隙間や渡り廊下の下

庭園に並ぶオブジェのすぐそばなどを通り抜ける

飛行が難しい分高得点バルーンが多い高難度ルート。

もう片方は空中コース──コーナーが連続するものの

比較的飛行しやすくその分バルーンの得点が低めな

安定ルート。

 

「ふふっ!高得点バルーンは頂きよっ!」

 

ティナはここで高難度ルートを選ぶ。

 

集団を抜け出して稼いだアドバンテージがあれば

ラプターアイズの飛行性能でも後れを取ること無く

このゾーンを抜けられると判断したからだ。

 

 

「うっ!?思ったより飛びにくいっ!」

 

「ティナちゃんおっさき〜!」

 

「あぁっ!」

 

しかしこれが仇となる。

 

ラプターアイズは最高速や加速性能に優れる分

打鉄やラファールより小回りが効かない欠点があり

コーナリング性能が求められる高難度コースに

適応しきれなかったのだ。

 

バルーンはある程度割れたものの、すぐに追いつかれ

綺麗なコーナリングで引き離されてしまう。

 

 

 

『勝負の行方が分からなくなってきたぞ〜っ!

コースは校舎ゾーンを抜け再び空中へ!

ムーバブ…あ違った…ムーブバルーンゾーンだ!!』

 

ティナが集団を追いかける形となって差し掛かるのは

大量の動くバルーンが並んだストレート。

 

ヘビのように左右に波打っていたり

空中で円を描くようにくるくる回っていたり

前方から高速で逆走してきたりなど

バルーン達が様々な動きを見せるゾーンだ。

 

「あーっ50点バルーン逃したぁぁぁ!」

 

「くぅ〜無理取れないっ!」

 

『50点バルーン早い!早いぞぉ!高得点のバルーンほど

ものすごいスピードで動き回りますっ!』

 

生徒会長が言った通り、50点バルーンや10点バルーンは

適当なコース取りだと割りに行けないほどに素早かった。

特にこのゾーンに複数ある50点バルーンは

綺麗なコース取りをしていないと取る事が難しい。

 

 

だがここでティナが駆ける。

 

「───頂きっ!」

 

『おーっとハミルトン選手50点バルーンを獲得ーッ!!

最高速度を活かしてぶち抜いたぁ〜!』

 

ストレートである事を活かしてトップスピードへ加速し

バルーンが決まった場所を通る瞬間を狙い撃ちしたのだ。

 

 

 

『さぁさぁいよいよラストスパートだぁっ!!

最終コーナーを抜ければあとはもう駆け抜けるだけ!

まっすぐゴールへと向かうのみですっ!!』

 

現時点でティナは順位最下位。50点バルーンを

見事掻っ攫ったとはいえスコアもまだ3位。

しかし、既にティナは勝利を確信していた。

 

 

キュイィィィーーーンッ!!!

 

『おーっとハミルトン選手が一気に加速したぞ!?

どんどん追い上げてくるーっ!』

 

彼女を包む猛禽類の翼が凄まじい唸りを上げ

いくつかのバルーンをぶち抜きながら

ものすごいスピードで追い上げていく。

 

 

「やばいやばいティナちゃんが迫ってくるぅ!」

 

「1位は頂いていくわ!」

 

ティナが狙っていたのはそう、順位ボーナス。

この先に残っているバルーンを全てかき集めても

ティナがスコアで1位になるにはとても足りない。

しかし順位ボーナスを加えるとどうだろうか。

 

 

 

『──ゴーール!ゴールゴールゴォーーール!!!

ティナ・ハミルトン選手がまさかの1着〜〜〜っ!!』

 

彼女のスコアはギリギリ2位到達といったところ。

しかしスコア1位は最後のストレートで追い抜かれ

ゴール順位は大きく転落してしまっていた。

つまり──

 

 

『さぁて!お待ちかねの順位発表よ〜!

栄えある1位は〜………ティナ・ハミルトンーーーっ!』

 

「ぃよしっ!!」

 

中盤の苦戦っぷりを覆し見事優勝を飾ったのである。

 

 

 

 

 

その後の2年生によるタイムアタック・レースも

繰り返し飛び交う瞬時加速や壮絶なデッドヒートで

1年のスコアアタック・レースに負けず劣らずの

凄まじい盛り上がりを見せたが、それを超えてきたのが

3年生による「6on6アサルト」であった。

 

 

『──おーっとここでレッドチームダブルダウン!!

ブルーチームに一気にポイントが入ったぁ!』

 

『なんと!奇襲ですっ!裏取りが決まったぁッ!!

レッドチームが一気に大逆転です!』

 

それぞれ「アタッカー」「タンク」「サポーター」の

3つの役割に合わせてカスタマイズされた機体を駆り

6対6のチーム戦を行うゲームである。

 

今回選ばれた「アサルト」のルールは至極単純

やや少なめに設定されたシールドエネルギーを削り

とにかく敵機を「ダウン」させればいい。

敵機をダウンさせるなどで自軍にスコアが入り

試合終了時点でスコアの多かったチームの勝利だ。

 

 

『ここでレッドチーム守りに入るようですっ!

さぁブルーチームこれを崩せるのか?!』

 

3年生は皆ISの操縦に慣れているだけあって

アツい攻防が何度も繰り広げられる。

 

ゲーマーの少女を司令塔に据えたレッドチームと

メンバー全員が高い技量を持つブルーチームが

逆転に次ぐ逆転を繰り返す大激闘。

 

 

『おっと1人突っ込んだぁ!試合が動きますっ!』

 

『ブルーチーム猛烈な追い上げ!スコアを稼ぐっ!!

試合終了まであと僅か、凌げるのかレッドチーム?!』

 

お試しということで一番単純なルールが選ばれたが

会場となったアリーナは凄まじい熱気に包まれていた。

ゲームよりもアツくて、見たこともない試合だ。

かつて織斑一夏が6人で試合をした時のような

圧倒的な大歓声が観客席を支配する。

 

 

『──5、4、3、2、1!試合終了ーーーっ!!!

勝者は〜〜〜…レッドチーーーーム!!!』

 

そして試合終了の鐘が鳴り、優勝を手にしていたのは

裏取りからの大量スコア獲得で大きく差をつけた

レッドチームであった。

 

 

 

 

 

「あ゙〜っ叫びすぎて喉カラカラだよ…」

 

「でも…すごい楽しかったわね」

 

学園全体が熱狂の渦に包まれた新・クラス対抗戦は

あっという間に終わりを告げた。楽しい時間というのは

何故か流れる時間が早くなるものなのである。

 

「来月のルール、何になるかなぁ」

 

「私たちも6on6やってみたいね」

 

しかし、これで終わりではない。

 

特別授業の参加権は1ヶ月で効果が終了する。

つまり、次の参加権を賭けた対抗戦が再び開かれるのだ。

生徒たちは専用機持ちの授業から様々なことを教わり

そして次の対抗戦へ向けて腕を磨く。

 

学園の進化は、まだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

──アメリカ某所。

 

裏の世界を支配する者達が集まる場にて。

 

 

 

「代表…!」

 

「あぁ、分かっている。事態は急を要するぞ」

 

 

彼らは些か殺気立っていた。

 

「アストレアの動きが収まったかと思えば

今度はウサギが動く…か。厄介だねこれは」

 

「あれの動きはアストレアが可愛く思えてくる。

厄介どころの騒ぎではないぞ…」

 

彼らが連綿と支配してきた経済圏を土足で踏み荒らす

しつけのなっていない野ウサギが現れたからだ。

まだ食い荒らされた"野菜"はそう多くはないが

このまま野放しにすれば、いずれ全ての畑が

無惨なまでに食い尽くされてしまうことだろう。

 

 

「既にイギリスにも手を伸ばしているのだったな?」

 

「えぇ。先日、オルコット・グループの副代表が

会談の為に訪日したのを確認しております」

 

「──日本出身として、どうお考えかね?」

 

現状を確認した代表は、野ウサギどもが巣食う地である

日本を担当している幹部へ意見を求める。

 

意見を求められた日本担当は──

 

「…代表。私は降りようと思っている」

 

「なんだと?」

 

手を引くことを提案した。

 

「実際に日本で調査活動をしていた身として申し上げるが

アレは我々でさえ手を出してはいけない『荒神』だ!」

 

「………何故そう思う?」

 

「既に代表もご存知でしょうが、代表から借り受けた

"モノクローム・アバター"も2人が脱落した。

そのせいかミューゼルも少なからず荒れている。

詳細は未だ不明だが2人が敵の手に堕ちたというのなら

我々の素性が丸裸にされている可能性すらある。

ウサギはウサギでも殺人ウサギですよ、あれは…!」

 

「…そうだな………」

 

代表は暫し考えを巡らせる。

 

 

 

そして、いくつかの書類をデスクへと広げた。

 

 

「っ!代表…それは…!」

 

「そうだ。これらの計画はまだ潰えた訳では無い。

ウサギを狩る為の牙は、まだ残っているのだよ」

 

そこに書かれていたのは──

 

 

 

「よぉ代表、俺を呼んだか?」

 

 

 





UA40,000ありがとうございます!
そして、評価バー赤色復帰感謝ですっ!
これからものんびり気ままにですが
小説投稿を頑張っていきます。

なぜ唐突にティナちゃんを出したのか、ですが
開催経緯の都合上専用機持ちに加えて1組全員が
対抗戦に参加させられなくなってしまってね
そこで白羽の矢が立ったのが
ティナちゃんだったという訳です。
なお、ネームドとはいえサブキャラなので
出演頻度は………。GX版2期まだ?

次回以降の詳細は未定。
アキちゃんのお話とかレイくんのお話とか
アストレアのお話とかその辺を挟みつつ
年末のイギリス編へ進んでいこうかなと。
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