「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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長らくお待たせいたしました、第53話でございます。

やはりオリジナル部分なだけあって苦戦しまして…
ひとまず、エクスカリバー編の後始末と
その他もろもろといったパートです。



第53話 イギリス編⑤

 

 

 

「レーザー砲のみの破壊を確認!!!」

 

 

 

エクスカリバーは星くずの光に撃ち抜かれ

祖国へ向けようとしていたその刃を砕かれた。

 

 

「エクシアは…エクシアはどうなりました?!」

 

「──生体反応を確認した。エクシアは無事だ」

 

「そうですか…良かった…っ!」

 

妹の無事を知ったチェルシーが感激のあまり崩れ落ちる。

エクスカリバーは今、刃のみをへし折られた状態のまま

元の軌道とほとんど同じ軌道を公転の慣性にまかせて

静かに宇宙を漂っている頃合だろう。

 

「彼女はこっちの別働隊に回収させておく。

ゴタゴタが片付いたら"ココ"へ来てくれ」

 

「これって学園島の隣の──」

 

「そう、白うさぎグループの本拠地がある島だ。

着いたら俺の名前を出してくれればいい」

 

「ありがとう…ございますっ…!」

 

「良かったですわね、チェルシー」

 

あとは、どこかの国が勝手に掻っ攫ったりする前に

宇宙を漂うエクシアを回収してやるだけだ。

 

 

プルルルルッ…プルルルルッ…

 

 

「…クラリッサ、俺だ。今"ステーション"に居るか?」

 

『はい。狙撃の瞬間をこちらからでも確認しています』

 

「そいつは丁度良かった。その衛星の事だが…」

 

『あぁぁヤシマ作戦だなんて私もそこに居たかったです!

ミサトさんになって号令を掛けてみたかった!

こう『ヤシマ作戦発動!!!』って!そう思いませんか?!

今回一夏さんはそれをやったんですよね?あぁズルいっ!

いやぁでもエヴァンゲリオンで宇宙にいる使徒を

ビーム砲で撃ち抜くといえば第15使徒アラエルの──』

 

「ゴホンッ!あー、ハルフォーフ大尉!

 

『!?はッ!』

 

「…君の次の任務は今回狙撃した目標物の回収だ。

やってくれるか?」

 

『Yes,sir!!』

 

「よろしい」

 

別働隊への出撃依頼も無事?に済んだようだ。

 

 

「…何だか大変そうですわね」

 

「トニーから見たピーターみたいな歳の差ならまだしも

クラリッサは俺より年上の…しかも元軍人だぞ?

決して悪いって訳じゃ無いんだが…なぁ?」

 

「以前欧州全体での合同演習でお会いした時は

礼儀正しい軍人の手本の様なお方だと感じたのですが

どこかで吹っ切れてしまわれたのでしょうね」

 

「まぁうちは軍隊みたいにお堅い組織じゃあないし…

日本だってのが余計そうさせるんだろうな」

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

眼前に突きつけられた脅威を退けた一同は

場所を再び首相官邸へと移し、後処理へと入る。

 

 

「──コアの凍結申請も完了しました。

正式に受理されるのはかなり先になるでしょうが…。

ダイヴ・トゥ・ブルー及びエクスカリバーの所有権は

現時刻を以て織斑一夏様へ移譲されます」

 

「了解した。まぁ何事も無ければあのコアもそのまま

エクシアを正式パイロットに据える予定でいるから

運用権限はひとまずチェルシーに預けておくさ」

 

「分かりました」

 

まず行われたのは、エクスカリバーのコアの没収処理。

 

表向きにはイギリスの所有物となっているので

「ISを軍事兵器へ転用した事への処分」として

ブルーティアーズ3号機「ダイヴ・トゥ・ブルー」と共に

篠ノ之束が凍結させ没収した、とIS委員会へ通達する。

こればかりは委員会でさえ拒めないだろう。

 

 

「一夏さん、チェルシーとエクシアを頼みますわね」

 

「殆ど形だけだがな」

 

続いて、エクスカリバーの搭乗者であるエクシアと

亡国機業との繋がりを疑われているチェルシーの処遇だが

こちらは2人とも一夏が身柄を預かる事となった。

理由としては「亡国機業からの干渉(口封じ)を防ぐ為」だ。

 

尤も、形式上織斑一夏専属の私兵のような扱いなものの

「オルコットグループ現代表の補佐」を任務として

セシリアの元へと派遣される予定なので

チェルシーの立ち位置が「セシリア専属メイド」から

エクシアの立ち位置が「チェルシーの妹」から

それぞれ変わる事はほとんど無いだろう。

 

 

 

「では続いて、犯行予告を行ったイスラム系テロ組織への

今後の対応について協議を行いたいと思います」

 

「いや、そいつは少し待ってくれ」

 

「Mr.オリムラ?何でしょう?」

 

エクスカリバーやブランケット姉妹に関する事項が片付き

議題が首謀者と思しきテロ組織へと移るが、一夏がそこに

待ったをかける。

 

「そっちは下手に手を出さない方がいい」

 

「…何か懸念事項が?」

 

一夏が懸念しているもの。それは、9月に入って以降

何故か表立った活動を控えている"ある人物"の存在──

 

「恐らくだが…『アストレア』が出てくる」

 

「アストレアが?!」

 

軍事施設を中心に破壊活動を繰り返していた

素顔の見えぬ白い天使「アストレア」だ。

 

その名を出され、軍部も一夏の言いたい事に気が付く。

アレは所属こそ不明なものの、以前篠ノ之束が言った

「アラスカ条約違反の機体の無期限凍結および解体」に

賛同しているような節があった。

とするならば、今回エクスカリバーを衛星兵器へ改造し

軍事兵器として運用したあのテロ組織は

既にアストレアの攻撃対象になっている可能性がある。

 

「ISを出そうものなら──」

 

「………ですな…少し事態を見守りましょう」

 

たとえテロ組織殲滅のためとはいえISを出撃させれば

アストレアが「戦闘行為」と認識する可能性はある。

迂闊に叩きに行こうものなら、以前ISを複数機撃墜された

アメリカ・イスラエルの二の舞になりかねなかった。

 

 

 

「一夏さんはこの後どうなさるんです?」

 

色々と議論を終えれば時刻も既に夕方過ぎ。

 

安全確認も終わり徐々に人が戻ってきているが

まだバタバタしているので、明日の帰りの飛行機まで

ロンドン市内で出来る事はそれほど多くは無い。

 

セシリア達は政府が応急的に用意した宿泊先で

休憩を取るとの事だったが一夏は──

 

「俺は少し野暮用があるんでな」

 

そう言って夜のロンドン市街へと消えていった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

──イギリス某所。

 

 

「何?!アイツが殺されただと!?」

 

 

夜も更け始めた頃、ロンドンから少し離れた街では

一つの殺人事件が起きていた。

 

「はい、我々の目の前で突然…っ!」

 

「……狙撃…か」

 

小さな会社の社長を務めていた男が暗殺されたのだ。

 

死因は頭部に銃弾を受けた事による失血死。

使用された弾丸は7.62×51mmNATO弾だったので

恐らくは遠くから狙撃されたのだろう。

 

 

「撃った奴を見たか?」

 

その男と"仕事"で良く会う亡国機業イギリス代表

ヴァミリアは、たまたま暗殺の瞬間に居合わせた

男の会社の役員から当時の状況を聞き出す。

 

血痕の付き方や窓の配置からして、彼らのうち何名かは

狙撃手の姿を見ている可能性はあると考えて。

 

「影…影は見えましたが…」

 

「…見えたが?……見えたが何だ?!」

 

しかし、役員達は何かに怯えているかのように

暗殺者の正体を言いたがらなかった。

 

だがそれでは話が進まないので、見たという影の特徴を

少しでも喋らせる。

 

 

 

「あれは…悪魔だ…沢山の目と腕を持つ悪魔だ!」

 

「まるで死神のようで…あぁ、次は私なんだ…っ!」

 

曰く、そのシルエットは何本もの腕を持った人型で

恐らくはセンサーであろう「目」が8つあったという。

殆ど闇に紛れていたからか詳しい姿を見る事は出来ず

すぐにどこかへと飛び去ってしまったらしい。

 

亡国機業イギリス代表は聞き出した特徴などから

ウサギがアラクネを持ち出したのでは、と推察するが

あれは彼女自身がアメリカへ返還していた。

いくら篠ノ之束とはいえ正規軍の管轄下へ戻った機体を

大西洋を挟んだ海の向こうへ出撃させようものなら

間違いなく大騒ぎになり向こうの構成員から情報が入る。

 

アラクネの写真も見せてはみたが「違う」と返された。

 

 

 

「………『荒神』…か。言えているかも知れんな」

 

男は、少し前に出席した会議で日本代表が語った

白うさぎグループへの評価を思い返す。

 

実行犯の正体は不明。ISかどうかも分からない。

ギリギリ政府からの情報を聞ける位置にいる構成員からも

特に未確認機が出たという報告は流れてきていない。

あまり波風を立てたがらない傾向にある今のウサギが

重要な位置にいるとはいえ構成員1人抹殺するのに

わざわざISを無許可で持ち出すとは思えない。

 

「ひとまず安全な範囲で情報を探らせろ」

 

「了解しました…!」

 

にも関わらず実行犯は人間とは思えない動きをしている。

屋内へ消えたのかと聞けば「飛んで逃げた」と答えるが

スラスターの光を見たかと問えば「見ていない」と返す。

 

あのウサギが捕まえてきた宇宙生物だと言われた方が

まだ信じられる話だ。

 

 

 

「フランスや日本に少し掛け合ってみるか…

軌道修正、間に合うといいが。」

 

ヴァミリアは、安物の酒を呷りながら電話を掛け始めた。

 

 

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

──織斑一夏がイギリスを去ったその数日後。

 

 

 

「こちらがその映像になります」

 

「反応するとは思っていたが…これほど早いとは…」

 

イラク北西部、シリアとの国境にほど近い一帯。

再び勢力を拡大しつつあるイスラム国残党軍を相手に

イラク軍やアラブ連盟軍が戦闘を続ける地域に

「アストレア」が再び舞い降りたという。

 

イスラム国残党軍側はIS全機が撃墜。

イラク軍およびアラブ連盟軍側はイギリスの予測を受けて

事前に戦線を下げていた事が功を奏し被害は少なかったが

問題は被害の大きさでは無かった。

 

 

「帰還中のアストレアの軌道から計算させたところ

どうやら大気圏を突破し宇宙空間へ離脱したようです」

 

「…少しばかり無理のある軌道だな」

 

「アストレアの搭乗者が織斑一夏であると仮定する場合

どう計算しても辻褄が合いませんでした」

 

それは、アストレアの移動経路の異常性。

 

この場にいる者達の殆どは、アストレアの正体が

織斑一夏なのではないかと睨んでおり

実際に彼はイギリスから帰国した直後に宇宙へ上がり

アストレアが姿を消した直後に地球へ帰還していたが

それらの時刻とアストレアの行動を重ね合わせると

どうやっても辻褄が合わない部分が出てきたのだ。

 

静止軌道上にある白うさぎ所有の宇宙ステーションへ

織斑一夏が乗る小型シャトルが到着してから

アストレアがイラク上空に現れるまで

およそ45分ほどしか無かった。

 

「その速度は時速10万kmに迫るかと」

 

仮にそれを実現しようと思ったら、単純計算でも

尋常ではない程の速度が求められる。

 

 

「つまり…アストレアとウサギは無関係だと…?」

 

「そう考えた方が堅実でしょうなぁ」

 

「ぬぅ…厄介だな」

 

幹部会代表は渋い顔になる。

 

 

 

そして暫し思案し、口を開いた。

 

 

「委員会に圧力を掛けて第4世代機の情報を精査させろ。

アレの情報が手に入ればやりようは幾らでもある。

欧州に残ったメンバーの再編成も急がせるんだ。

そちらには別で任せたい仕事があるのでな」

 

「「「了解」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…戻ったか」

 

 

幹部全員が退室した直後、彼らと入れ替わるようにして

黒髪の少年が1人入室してくる。

 

「あぁ。タイクツな戦闘訓練からな」

 

「そう言うな…訓練は必ずお前の力になってくれる」

 

「わぁーってるっつーの」

 

先程まで冷徹な表情を浮かべていた代表だったが

少年に対してはどこか優しげな顔色を浮かべる。

まるで父親のような。

 

 

「で、俺を呼び出した理由って?」

 

「──お前の専用機だ」

 

彼がここに来たのは、代表に呼び出されたから。

その呼び出しの内容は、専用機の支給であった。

 

「『ライトニングIII』か…まぁ悪くない」

 

 

 

「こっちが、お前への次の任務だ」

 

「…任務?」

 

続けて少年に渡されたのは、その愛機でもって行う

次のミッションの詳細を記した書類。

 

それを流し見た少年は、退屈そうな顔色から一転

好戦的なギラギラした表情を浮かべ──

 

 

 

 

 

「…そうか、分かった。任せておけ。

"織斑"の名は最強の俺にこそ相応しいからな…!」

 

 

 

意気揚々と任務の準備へ向かったのだった。

 

 

 





最近ちょっと自信喪失気味です…。
難しいですね、オリキャラオリ展開って。

最後に出てきた少年のcvは諏訪部順一さんかな
スティングオークレーみたいな感じを想定
彼の素性やライトニングIIIの詳細については
また後ほどということで。
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