「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す 作:高橋ヒナタ
さて今回は亡国機業パート。
シリアスがアップを始めました。
今回オリキャラが数名顔を出します。
一応元ネタのあるキャラクターではありますが
他にも数名出演予定の新キャラがいるので
その辺苦手な方はそっ閉じしてね。
OKな方はぜひ読んで行ってね。
──アメリカ某所。
「こりゃあ本格的に打って出て来たネ…」
「これが16の子供のする事か?徹底的過ぎる」
亡国機業上層部が一堂に会するその場は、荒れていた。
最近はずっと荒れていると言えば荒れているのだが
以前にも増してピリピリした雰囲気が漂っていた。
「これですからねぇ」
韓国代表がデスクに調査結果を広げる。
そこに記されているのは、白うさぎグループ関連企業が
世界各地で展開している事業の詳細。
勢いが弱まりつつあるとはいえ依然として活発な
IS兵器開発産業で利益を出している彼らにとっては
実に面白くない内容の数々。
「余りにも成長速度が早すぎる。俺の方も急かしてるが
このままじゃ軍需産業がヤツらに食われちまう」
「韓国からも構成員を送って粗探しをさせてますが
その辺も抜かりが無いようで」
「ISが関わる製品はリバースエンジニアリングに対して
これでもかと言うほど対策がされてますヨ」
まず、その成長速度。起業して1年すら経っていないのに
すでに日本最大のコングロマリットと化している。
様々な工業製品製造を担う4社で構成された
ホワイトラビッツ・インダストリーズを筆頭に
白うさぎ建機や白うさぎメディカルテクノロジー
シノノノ・セキュリティ・カンパニーズなど
自社系列企業だけでとてつもない規模だというのに
そこから更に国内外問わず多数の企業と様々な形で
業務提携や資本提携を行い勢力を広げ続けている。
続けて、徹底的なまでのコンプライアンス遵守。
凄まじい大企業にも関わらず、後ろめたいことが無い。
実際のところ探せばあるのだろうが探す事自体が困難。
あれこれ難癖を付けようにも取っ掛かりを見せないのだ。
さらに、リバースエンジニアリング対策の厳しさもある。
基本的にある程度のリバースエンジニアリングは
容認する方向性のようで、各業界に対する良い刺激となり
世界規模で経済活動が少しずつ活性化しているのだが
ISが絡む箇所となると一転して話が変わってくる。
きっちりと対策装置が組み込まれているらしく
ヘタに分解しようとすると機能停止に陥ったり
構造の解析が不可能になってしまったりするのだ。
末端企業であれば製品のリバースエンジニアリングは
特に何の問題も無く行えるが、そういう末端企業では
どこの企業でも作れるような簡単な物しか作っていない。
「で、モンド・ベローチェだったか?」
幹部会代表が忌々しげに呟く。
モンド・グロッソはいい。あれは委員会の傘下であり
亡国機業もかなりの額を出資している大会だ。
第2回大会で
出資者権限で警備員の配置をある程度指定出来たからだ。
さらに、国防戦略の強さを誇示する場でもあるアレは。
より強力な機体、より強力な兵装が求められるアレは。
定期的な開催が軍需産業の活性化にも繋がっていく。
しかしモンド・ベローチェはダメだ。
まずIS委員会が深く絡まないため強く口出しが出来ない。
一応あれこれ難癖を付けることは可能なのだろうが
結局は難癖止まり。開催を強行されればそれまでだ。
そして、開催を強行するだけの力もアレには十分ある。
しかもモンド・ベローチェは定期的に開催したところで
活性化されるのは精々がスポーツ業界程度と言った所。
「頑なにISを兵器として認めん…か」
あれだけ盛大に発表しておいて何が宇宙開発用だ、と
メンバーが幹部会代表の発言に同調する。
すでに各国の国防産業は多くの国がIS関連へ移行し
ISを手に入れたことで先進国入りを果たした国すらある。
そんな中でISを兵器として認めないという行為は
世界経済を崩壊に導くリスクがあるのはもちろんのこと
多くの軍需産業従事者を路頭に迷わせることとなる。
ゆえに彼らは白うさぎグループを──織斑一夏を
認めるわけには行かなかったのだ。
「件の輸送シャトルの経路は分かったか?」
「順当に赤道に沿って打ち上げられるようです」
「そうか」
幹部会代表はディスプレイに世界地図を広げる。
「となると──」
そして、ピッピッと地図を何ヶ所かマークした。
「ちょうど欧州の小娘2人が帰国しているタイミングだ。
中国のもアサインされていないようだからな。
彼らに海の藻屑になって貰うには、いい頃合だろう」
「了解です」
数名欠席で始まった会議はそこで幕を下ろす。
「お呼びですか?代表」
そこへ、1人の青年が入ってきた。
ウェーブの掛かった金髪をオールバックにし
眼鏡越しに見える切れ長の目と、丁寧に着こなした
白いコートが特徴的な白人系の青年だ。
雰囲気からしていかにもインテリ系といった感じだが
先程の会議に出席するには些か若過ぎる。
「遅いぞパーシヴァル!」
幹部会代表がその青年"パーシヴァル"を怒鳴りつける。
もう少し早く報告書を上げろ、と。
「そういう事でしたら、M.Ⅰへ言って頂けますか?
私は必要な書類は全て期限内にまとめているのですよ。
遅れているのは彼………と
「むぅ…」
見るからに力関係のありそうな対面だったが
パーシヴァルは毅然と──というよりは
さもお互いが対等の立場であるかのように答えた。
文句なら当事者たるM.Ⅰこと織斑秋一に言え、と。
「織斑一夏を潰す。それはまぁいいでしょう。
アレを放置していては私の会社も危ういですからね。
しかし、私と同じように"調整"をしているのですから
ある程度の協調性は持たせて欲しいものです。
…まぁ…協調性で言えばM.Ⅶもそうですが」
神経質な顔つきでそう続けたパーシヴァル。
先日オーストラリアで織斑一夏と交戦した織斑秋一。
彼はモザイカ隊の隊長を務めるトップエースであり
メンバー内でも一二を争うほど頭の回転も早いのだが
致命的なまでに織斑一夏以外に興味がなかった。
織斑一夏を打ち倒すことのみを目標とするがために
隊長としての諸業務が滞ることが多々あった。
それこそ、隊の2番手──
実質的な隊長として業務を代行せねばならないほどに。
パーシヴァルはパーシヴァルでM.Ⅱとして仕事があり
亡国機業傘下企業の一部をまとめているのだが
そちらにまで支障が出ていた。
「…分かった。あいつには私から話しておこう」
「駄兎共を狩るのに躍起になるのは大いに結構ですが
内情の方にもきちんと目を向けて貰わねば困るのですよ。
貴方達もそうでしょうが、私とて暇では無いのですから。
それに加えて────」
パーシヴァルは、言いたい事を一通り言い切ると
先程よりも更に眉間に皺が寄った顔で退室していった。
「…アレはアレで優秀なのだが…困ったものだな」
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場所は少し変わり、亡国機業所有の極秘基地。
モザイカ隊が現在本拠地としている場所。
基本的に全員何かしらの任務で居ないことの方が多いが
今日は珍しく数人メンバーが立ち寄っていた。
「今日もM.Ⅰはシミュレータを?」
「あぁ。ご執心の彼に負けたのが堪えたのだろうな」
見回りの構成員に答えたのは、濃紺色の髪の好青年。
殺伐とした雰囲気漂う傭兵集団亡国機業としては珍しく
柔らかい表情をしていながら、その目には力強さと
強かさのようなものが宿る彼。
「そういえば、
「そうか。なら、少し顔を出すとするか」
「
「ありがとう。確認しておくよ」
モザイカ隊4番手、M.Ⅳの座に立つ男だ。
アランというコードネームを持つ彼はラウンジへ入ると
コーヒーを淹れる。友人から分けて貰った安い豆で
特別美味しいという訳でもないブラックコーヒーだが
アランとしてはお気に入りだった。
コーヒーメーカーからマグカップを取ってテーブルへ置き
使い古されて表面の掠れたレザーソファへ腰を下ろす。
「だいぶお疲れみたいだね?」
「ニールか。まぁ…そうだな」
「君としては辛いだろうが、もう少しの辛抱だろう」
「辛い、とは違う気がするが…。上も無茶を言う。
パーシヴァルが憤慨していたよ」
「ははっ。だろうね」
向かいのソファに腰を下ろしたのはM.Ⅴ。
部隊内でも特に落ち着いた雰囲気を持つ銀髪の青年だ。
コードネームはアランが呼んだように"ニール"。
「読むかい?」
ふと、ニールが1冊の雑誌をアランへ手渡す。
「織斑一夏君の特集さ。面白いよ」
「あの大企業のCEOか。あるいは世界初の
どうやってか日本から仕入れてきたらしい経済誌で
織斑一夏と白うさぎ宇宙開発の特集が組まれた刊だった。
表紙から数枚は彼とその婚約者を題材にした写真集。
そこから更にページを捲ると、忙しい中で応じたであろう
いくつかのインタビューへの回答が載っている。
「彼は戦争の在り方を分かってる。ぜひうちに欲しいね。
上やパーシヴァルは猛反発しそうだけど…」
「……………」
ニールがあれこれ織斑一夏への評価を口にする傍らで
アランは適度にページを捲りつつ内容を読み進めていく。
何故宇宙を目指すのか。宇宙に対する感想は。
織斑一夏が語った内容を一つ一つ。
「………宇宙、か」
「おやアラン、何か言ったかい?」
「──いいや。何も。」
「…お気に召したようだね」
「そう見えたか?」
「少なくとも私には。」
織斑一夏に対して何か感じるモノがあったらしい。
ニールは、アランの顔からそう読み取った。
「私は先に任務に出るよ。イスラエルでまた一仕事さ。
ソレは読み終わったら処分しておいてくれるかい?
パーシヴァルにでも見つかったら事だ」
「そうだな。分かった」
コーヒーを飲みつつ読み進めて十数分。
ニールは次の任務のためにラウンジを後にする。
「………」
「………」
「君は…人々を重力から解放しようというのか」
ちょうど特集に目を通した辺りでコーヒーを飲み終え
アランもまた任務の準備のためラウンジを後にした。
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白うさぎ宇宙センター。
その日、そこには多くの報道陣が詰め掛けていた。
「もう間もなく、世界初の実用型太陽光発電システムの
完成へ向けた資材打ち上げを行う大型カーゴシャトルが
ここ白うさぎ宇宙センターより飛び立つ予定です!
打ち上げの様子は、
太陽光発電衛星。
それは、直径約140万kmの巨大な核融合炉とも言える
最も身近な恒星"太陽"の発するエネルギーを
大気という遮るモノの無い宇宙空間で電力に変え
マイクロウェーブにまとめて地上へと送るというモノ。
その時人類文明がどうなっているかはさておき
太陽は少なくとも数十億年間このまま輝き続けるため
化石燃料のように枯渇してしまう心配も全くない
まさに夢のような発電システムだ。
ISが開発される数年前にJAXAが一基、NASAが一基
それぞれ太陽光発電衛星の雛形を打ち上げたものの
大規模宇宙構造物の建設にかかる諸々の初期コストや
ランニングコストなどの問題、各種コストを鑑みた際に
他エネルギー資源との競合が難しい点などから
それ以降未だに新たな発電衛星は打ち上げられておらず
IS台頭も相まって目新しい動きは起きていなかった。
「この太陽光発電衛星が形となれば、今後の電力事業は
新たな段階を迎えることになるでしょう!」
しかし、これから完成するソレは違った。
既存のモノと同じく雛形に過ぎないとは言いつつも
遥かに小型で発電量は倍近く、初期コストは勿論のこと
ランニングコストも実用段階まで漕ぎ着けたという。
しかも白うさぎ宇宙開発は今後の宇宙開発発展を視野に
今回発電衛星に使用した技術──ソーラーパネルや
マイクロウェーブ送信用アンテナ、受信用レクテナなど
各種根幹パーツに用いた技術を後日公開するとのこと。
曰く、"ぜひ宇宙へ目を向けて欲しい"だそうだ。
「──あっ!出てきました!資材を載せたシャトルが今!
マスドライバーの上に姿を見せました!!」
ゴゴゴゴ、という音が周囲に響き始める。
リポーターを映していたカメラがぐいっと向きを変え
太平洋に向けて伸びたマスドライバーを映せば
全長100m近くはあろうかという巨大なシャトルが
そのレール上に姿を現していた。
「これより織斑CEOによる記者会見の時間となります!
報道陣の皆様は仮設ブースへお越しください!」
丁度シャトルがその巨躯をレールに載せた辺りで
マスドライバー区画の入口にいた白うさぎグループ専属の
警備部隊"白うさぎ隊"のひとりが声を上げ
その場に集まっていた報道陣の面々を案内し始める。
現在は厳重に有刺鉄線付きフェンスで覆われたその先──
今後スペースシャトル用ステーションとなる事を見越して
駅あるいは空港のように作られたマスドライバー施設の中
ちょうどこれから打ち上げられるシャトルの全容が
ガラス越しとはいえハッキリ見られる区画へと。
「凄い…SF映画の中に入ったみたいだ」
「ディレクター。表情が子供に戻ってますよ」
「えっ?そんな顔してた?マジで?」
「はい。目がキラッキラしてましたよ」
「上は100年先の技術だなんて騒いでたが…」
「珍しく話の通りね。大したものだわ」
「ISスポーツ特集、企画提案してみるか?」
「アリね。担当には私が話を通しておくから」
報道陣からの評判も中々のモノのようだ。
飛び交う意見も好評が多い。
「──本日はお集まり頂きありがとうございます。
白うさぎ宇宙開発代表、織斑一夏です」
そして、記者会見会場へ織斑一夏が姿を現す。
いよいよ始まろうとしていた。
過去に類を見ない程の一大イベントが。
M.Ⅱ パーシヴァル cv.檜山修之
元ネタは某カタツムリ。
それに某盟主王を混ぜた感じ。
M.Ⅳ アラン cv.櫻井孝宏
元ネタは「やあ戦友」。
cv.選定に結構苦戦した。
M.Ⅴ ニール cv.森川智之
元ネタはカミーユと中の人が同じあの人。
原作の方の出番は少ないんですって?
他にもモザイカ隊はあと4名いますが
元ネタがあの作品に出てくる某部隊なので
ある程度は彼らに似たキャラになるかと。
ただし、筆者がまだ"壁を越えて少し"なので
元ネタ側の解像度はイマイチです。
年齢はこちら側に合わせて10代後半にしたため
雰囲気やらと相談して新cv.を設定。
秋一君ともう1名を除けば
新cv.でも原作cv.でもそれなりに合うよう
セリフを考えていきます。
次回、シャトル打ち上げ。