「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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えー、暫くアンケート取っておいてなんですが
思いのままに書き進めてみることにしました。
自分の中でリメイクがほぼほぼ決まったので
細かい矛盾点などの改善はそちらに任せ
こちらはひとまず完結まで突っ走ろうかと。

気に入ってくれる人が多少なり居るならそれでいい!
…合わないと思った方はそっ閉じして頂いて。


とりあえず今回は前々から引っ張ってきた
第4世代機性能評価試験のお話。



第66話 性能評価試験

 

 

 

その日IS学園は──もとい、織斑一夏の周囲には

一触即発のピリピリとした雰囲気が漂っていた。

 

普段であれば何の変哲も無い一日のはずだった今日を

緊張感漂う一日に変えたのは、一夏が正門で出迎えた

国際IS委員会からの来客が原因であった。

 

 

「…フン、国際IS委員会日本支部長の佐久間よ」

 

「同じくIS委員会日本支部副支部長の竹内だ。

いやはや、お目通り叶って光栄だよ織斑君」

 

高級感溢れるカッチリとしたスーツを身にまとい

IS操縦者らしき女や大勢のSPを引き連れて現れたのは

世界各国のISコアの保有数調整や動向管理を行う

「国際IS委員会」日本支部の支部長一行だ。

 

──IS学園は、国際的に広く開かれた地でもあり

学校行事などの折には自国の操縦者の活躍を見ようと

あるいは宝石の原石たる操縦者を見出そうと

多くの"お偉いさん方"がやってくることはままあり

生徒たちはともかく教師陣はそういった来賓への対応は

最低限心得ているものである。そこまでは良かった。

問題となったのは、その一団の代表者たる佐久間と

織斑一夏との相性の悪さであり──。

 

 

 

「いえいえ、わざわざ遠方より御足労おかけして

申し訳ありません。改めて、織斑一夏と申します。

まぁ私の名は既にご存知でしょうが、お見知り置きを」

 

「実に丁寧な対応ですな。では、案内してもらえるかな?

我々としても各国が保有するISの情報はきちんと把握し

国際社会の安定に努めたいですからな」

 

(──国際IS委員会…か。裏へ流れたコアの数も

ロクに把握してないし追う気すらもない癖によく言う。

邪な思惑がまるで隠しきれていないな)

 

(──掴みは上々のようだな。このまま彼に取り入れば

白うさぎとのコネクションも築くことが出来るだろう。

ゆくゆくは篠ノ之博士とも渡りをつけて…)

 

丁寧に貼り付けられた外交スマイルで以て

差し出された竹内副支部長の手を握り返した一夏。

自身の思惑を仮面の裏に隠しての駆け引きは

政財界では特段珍しいことでも無いだろう。

隠している思惑の差異はともかくとして。

 

 

「貴方ッ!ふざけるんじゃないわよ!!」

 

しかし、この一連のやり取りが佐久間のカンに触った。

 

「…どうかなさいましたか?佐久間支部長」

 

「どうもこうも!私を無視するとはいい度胸じゃないの!!

私の前で堂々と媚びた笑顔でコネを築こうとするなんて!

所詮は男ってことね、下卑た存在だわ!」

 

一夏が自分を無視したと感じたらしい。

 

「おや…私と言葉を交わすのも嫌なのかと思いましたが

直接交渉がお望みでしたか?これはこれは申し訳ない」

 

「本当に礼儀が成ってないのね!代表者は私なのよ!

私に優先して声を掛けるのは当たり前の事!

下手(したて)に出て機嫌を取ることすら考えられないだなんて

これだから男は嫌いなのよ!!」

 

「そうですか…それほどまでに男が嫌いなのでしたら

私のエスコートでは逆にご機嫌を損ねてしまいますな。

しかし、これ以上お時間を取らせるのもまた失礼ですから

試験会場へご案内致しましょうか。貴女のエスコート役は

そうですね…竹内副支部長にお任せしたら如何です?」

 

別に一夏がわざと無視したという事実はなく

むしろ佐久間支部長が自分を酷く嫌悪していたから

竹内副支部長が交渉役なのだろうと当たりをつけ

そちらへ話を振った訳なのだが、佐久間としては

それすらも酷く気に入らなかったようだ。

ヒステリーを起こしたように怒鳴り散らす有り様。

 

その周囲の空気すら滅茶苦茶にする彼女の態度に

一夏は内心では彼女への対応レベルを引き下げており

丁寧な言葉遣いで遠回しに煽っていくものだから

どんどん空気は悪化していくばかり。

 

「何なのよその態度は!待ちなさい!!」

 

「──ではここで無意味なお喋りを続けましょうか。

貴方達が第4世代機の勇姿を一目見たいと仰ったからこそ

わざわざこうして舞台を整えたのですがね…。

雑談がお望みというのであれば応じさせて頂きますよ?」

 

「〜〜〜〜〜ッ!!!」

 

佐久間の反論を封じ込めた一夏はそのまま一団に背を向け

性能評価試験を行う第1アリーナへと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

「あっはっは♪面白い事になってきたねぇ」

 

「流石は織斑君ね。私でもあぁは出来ないわ」

 

「おぉたっちゃんじゃーん。…それは?」

 

「ウチの調査結果。こっちでも裏付けは取れたわ」

 

「………あいつら、終わらせちゃおっか?」

 

「えぇ。更識としても見過ごせない案件だもの」

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

小さな事にいちいち佐久間が突っ掛かりキレ散らかし

それを一夏が遠回しながらも痛烈な煽りで黙らせるという

周囲の人間にとっては気が気じゃないやりとりをしながら

学園内を進み、一行は第1アリーナへと辿り着いた。

 

 

「まずはこちらになりますね」

 

「これが君の…!」

 

Aピットに鎮座しているのはそう、織斑一夏の専用機

純白の装甲と一本角が特徴的な"一角獣の騎士(ユニコーンナイト)"だ。

 

オーバーホール直後なのか全身の装甲はピカピカで

神々しさすら感じられる。

 

 

「一応ではありますが、基本情報から説明しましょうか。

本機"一角獣の騎士"──旧名"白式"は、私の専用機として

篠ノ之博士が製造を行った全領域対応万能型のISで──」

 

一夏は、委員会メンバーを前に機体の解説を行う。

世界初のIS「白騎士」をベースに、ラファール系列機の

高い汎用性を取り込む形で作られた汎用機であり

雪片による近接攻撃を軸としつつも、中距離以遠への

対応力も十二分に確保した機体である、と。

銀の福音暴走事件の折に二次移行が発生し

独自の機構を持つ大型B.T.シールドが発現したことや

展開装甲のおおまかな役割なども解説していく。

 

 

「何故貴方がこの様な崇高な機体に乗っているのよ!

いくら千冬様の弟とはいえ、男には相応しくないわ!

今すぐこの機体の専属を降りなさい!これは命令よ!!」

 

「──えー、ではこれから性能評価試験へと移りますが

本日搭乗予定のパイロットはどなたですか?」

 

またもヒステリックに騒ぎ始める支部長を他所に

一夏は本日の予定を粛々と進め始める。

さらっと無視された支部長は更にヒートアップし

やがて"付き合いきれない"と言って退室していったが。

 

「リエ君」

 

「…ふーん…悪くない機体じゃない♪」

 

副支部長に呼ばれたのは、不遜な態度を隠そうともしない

恐らくはIS委員会の息が掛かっているであろう女操縦者。

自身の権力の誇示なのだろうか、ISスーツも最高級品だ。

 

「アンタがこの機体のパイロット?」

 

「ええ、そうですが何か?」

 

「この機体、アタシが貰ってあげるわ!感謝しなさい♪

アンタみたいなダサい男が乗ってた機体をこの私が

わざわざ貰ってあげるって言ってるんだから、ね♪」

 

彼女は見下すような視線と共にそう一方的に告げると

いそいそと搭乗準備に入った。

 

 

 

……………

 

 

……………

 

 

しかし、一角獣の騎士は沈黙を貫いたままであった。

 

 

「ちょっと!どうなってるのよ!このポンコツ!!

動きなさいよ!私のIS適性はAなのにどうしてよッ!!」

 

 

それを見た一夏は。

 

 

(そうか白式…そいつはそれほどか)

 

 

「おっと…私の調整では貴女に合わなかったのでしょう。

再調整しますので少々お待ちください」

 

目の前の女操縦者の"内面"を何となく察しつつ

いくつか"調整"を施していく。

 

 

「はぁ…さっさと調整しなさいよね、能無し」

 

 

(本人が居なきゃ調整しようも無いだろうが…。

それすらも分からないのかこいつは…)

 

 

 

 

 

「一角獣の騎士、発進どうぞ!」

 

『それじゃ、ユニコーンいっくよ〜っ♪』

 

程なくして調整は終わり、Aピットのカタパルトから

アリーナ内へと一角獣の騎士が躍り出た。

 

初期化や最適化はされていないので外見はそのままだが

一夏よりも一回り小柄な女性が搭乗しているためか

一角獣の騎士のシルエットも一回り小さくなっている。

 

そして、データ測定器の稼働開始と同時に

女操縦者もスラスターに火を入れ、操縦を開始した。

 

 

 

 

 

「──しかし君は随分と"篠ノ之"に拘りがあるのだね?」

 

試験が始まってすぐ、不意に副支部長が口を開いた。

どこか困ったような、あるいは嫌味を言うような顔で。

 

 

「…言いたい事が分からないかね?君ともあろう者が」

 

「えぇ、分からないですね。私には」

 

否、彼の言いたい事は嫌という程分かっていた。

彼は一夏の婚約関係について口を出して来ているのだ。

そう、現時点で正式に織斑一夏と婚約関係にあるのは

一夏が明確に婚約を結んでいる事を宣言した篠ノ之箒と

本人が全世界へ一夏との婚約を発表した篠ノ之束

その2名のみなのである。

 

そして、それ以外で彼へ申し込まれたあらゆる縁談は

基本的にほぼ全てがシャットアウト(門前払い)されている。

 

「日本人として重婚に抵抗があるのは分かる。

私とて日本人だからね。しかしだ織斑君。

君はそうも言っていられない立場にいるのだよ」

 

彼はそこに不満があるのだろう。

 

「……………」

 

「君の事を求める声はそれこそ世界中から届いている。

君や君の会社、IS学園だけではない。IS委員会にも

更には国連の方にも沢山の要請と苦情が来ているのだ。

せめて話だけでも聞いてはくれまいか、とね」

 

「……………」

 

一夏は、顔にこそ出していなかったが

内心では酷くゲンナリしていた。

 

 

「実はここにうちの娘も連れてきていてね。来なさい。

早稲田大学政治経済学部卒業でね、政財界にも明るいから

大企業CEOとしての君の役にも立ってくれるだろう。

美人でもあると思うが、どうかね?織斑君」

 

堂々と抜け駆けして娘を紹介するその所業に

さすがの一夏もストレス値が限界を超えてくる。

 

 

「──えぇ、確かに俺を求める女性は大勢いるでしょう。

今まで何通"ラブレター(縁談の申し込み)"を破いたか覚えてませんからね。

ですが、"織斑千冬の弟"…"白うさぎ宇宙開発CEO"…

"篠ノ之束の夫"…そう俺を見ている時点で論外です。

それにね…」

 

ふと、一夏の目がスッと細められ──

 

 

「俺は知ってるんですよ、人を見下す"目"を」

 

「……ッ!!」

 

一瞬向けられた、冷たく凍てついた眼光。

まるで、視線だけで人を射殺せそうな。

瞬きした次の瞬間には首が飛ばされていそうな。

 

それを見てしまった副支部長と、ついでにその娘は

直に心臓を鷲掴みにされたかのような感覚を覚え

その場から微動だに出来なくなっていた。

もし仮にこの場に支部長が戻ってきていたとしたら

彼女はその瞳に既視感を覚えていた(篠ノ之束を幻視した)ことだろう。

 

「…とまぁ、そんな理由で縁談の類はお断りしてますので

国連や委員会の方々にも改めて伝えておいてください」

 

彼が一度目を瞑り、そして再び開いた時には

先程までの外交スマイルが戻ってきていたが

彼らはその後も暫く動くことは出来なかったのだった。

 

 

 

 

 

『展開装甲起動時における機動性の検証を──』

 

その後、性能評価試験は順当に進んでいたが

試験も終盤へ差し掛かろうかという時、事件は起きた。

 

 

『ちょっと!映像じゃもっと機動力があったはずよ!

どういうこと!?そこのクズ男く〜ん?!説明しなさぁい!!』

 

不意に一角獣の騎士を動かしていた女操縦者が

実際の映像より明らかに機動力が低いと言い出し

一夏による妨害工作を疑い出したのである。

男である自分が女よりも劣っているのを隠すために

細工を施して機体性能を落としているのだろう、と。

 

「…そういった細工はしていないんですがね…。

仕方ありません、きちんと説明しましょうか」

 

喚き散らす女操縦者に対し、一夏はこう言った。

 

第4世代機の最大稼働状態は非常に繊細な状態であり

搭乗者に致命的なダメージを与えるリスクもあるため

非常事態でもない限りリミッターを設定している

安易なリミッター解除は推奨できるものではない、と。

 

ここで彼女が引いていれば、事件は起きなかった。

しかし、酷く凝り固まったプライドの塊であった彼女は

自らが男よりも優れていることを証明せんとばかりに

リミッターの解除を要求し始めたのだ。

 

「アタシがアンタより劣ってるって言いたいワケね?

ふっざけないでッ!!今すぐリミッターを解除しなさい!

これを拒否するなんて許さないんだからね!!!」

 

そう叫んで。

 

 

 

「…一角獣の騎士に指示を出せば解除されますよ。

ですが──」

 

『ユニコーン!!リミッター解除よ!!!』

 

一夏が全ての言葉を紡ぎ終わるよりも先に

彼女はリミッターを解いてしまった。

 

 

 

異変は、すぐに起きた。

 

 

『うっうぁあ゙ァッ!!頭がぁっ…痛いぃぃっ!!!』

 

装甲の展開と同時にもがき苦しみ始める女操縦者。

 

「どうしたの!?何が起きているの!?」

 

「リエ君!聞こえているか!返事をしろっ!!」

 

支部長達の声にも反応せず、頭を掻きむしりながら

アリーナ内壁に何度も激突しつつ滅茶苦茶に飛び回る。

 

こうなった原因はそう、展開装甲にあった。

超高精度のセンサー系として機能し、得られた情報を

搭乗者へと共有する訳なのだが、その情報流入量は

並外れた情報処理能力を持つ一夏でさえ捌ききれないほど

圧倒的な量を誇っているのだ。

それを、並の人間が受け止めたら果たしてどうなるか?

 

 

『…………………』

 

ものの数分で脳神経の尽くを焼き切られてしまう。

 

もはや彼女は再起不能だ。完全な植物状態。

脳幹までダメージが及んでいれば、意味するのは"死"。

IS委員会と、そして日本は、貴重な高適性操縦者を

この僅かな時間で1人、失ってしまったのである。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

──翌日。

 

 

「…随分と派手にやったな。お前の差し金か?」

 

「いいや。しかしこれ程の規模となるとやったのは…」

 

まず、日本政府より発表があった。

代表候補生のうちの1人が"不幸な事故"で死亡。

その件を重く受け止め、IS省を中心に大規模改革を実行

"事故の原因となった組織"との関係見直しを行うとの事。

 

続けて、国際IS委員会からも表明があった。

テロリスト集団("元"女性権利団体)との繋がりを含む不祥事が発覚したとして

IS委員会日本支部の支部長および副支部長、他数十名を

更迭処分ののち国際刑事警察機構へ引き渡し。

また、各国の支部へも提供された情報を元に捜査を行い

日本支部同様の一斉摘発を実行、改革を行ったとの事。

 

これらの一斉摘発および大規模改革が行われたのは

ある有力な筋からの情報提供によるものとされているが

情報の出処は今のところ一切報じられていない。

 

 

「「束だろうな」」

 

分かる者には分かるのだが。

 

 

 

「しかし良いのか?第4世代機の情報など与えて…」

 

「あれは俺と束の自信作だ。そう簡単にコピーなんて

出来はしないさ。まぁもし仮にコピー出来たとしても

見ての通り自分の身をも滅ぼす諸刃の剣になるだけだ」

 

「そうか?…まぁ、それもそうだな。

兵器を作り出した責任…はお前に言うことでもないか」

 

「あぁ…分かってる。後始末はきちんとするさ。

──あ、そうだ千冬姉。明日松阪牛のロース届くんだけど

食べてくか?」

 

「しゃぶしゃぶか?すき焼きか?それとも焼肉か?」

 

「すき焼きだ。俺が作る」

 

「よし分かった、予定を空けておこう」

 

 

 





ニナは0083自体あまりよく知らないが…
ジャスレイとネーナはダメだ、やりすぎたな

しかし難しいものですね
人格が破綻したキャラを描くというのは…



次回は多分あの赤髪バンダナ男に焦点が当たるかと。
たぶん唯一無二…とまでは行かなくとも
他がやらないようなルートを辿る事になるはず。
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