「知力」の一夏君、果てなき宇宙(そら)を目指す   作:高橋ヒナタ

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お待たせして申し訳ありませんでしたm(_ _)m

五反田兄妹編Part3でございます。
キリのいいところで終わらせたので少し短め。



第70話 五反田兄妹編③

 

 

 

『それではこれより、模擬戦を開始します!

両者発進をお願いします!』

 

転入から数日後。

 

弾はアリーナにて鈴と対峙していた。

 

 

「手加減はしない──と言いたいところだけど

まずはアンタの今の実力を測るところからね」

 

これから行うのは、実戦形式での実力テスト。

 

ここまでの授業で最低限の操縦スキルが備わっている事は

確認出来た訳だが、弾は曲がりなりにも"2人目"だ。

白うさぎ宇宙開発という大企業に保護されているとはいえ

それを承知でその身柄や専用機を狙う"馬鹿"は来る。

そうなった時、それらの悪意への対処が出来なければ

弾自身やその周囲に大きな害が及ぶこととなってしまう。

 

そこで、一夏達という超高レベルプレイヤーの助力を借り

弾を高速でレベリングしてしまおうという訳だ。

 

 

『双方、準備はよろしいですか?』

 

「えぇ。いつでもいいわ!」

 

「俺もOKだ」

 

両者がオペレーターからの声で自機に武装を構えさせる。

 

弾は右手に米国クレイトス社製のビームブレードを

左手にデュノア社製のアサルトライフル「ヴェント」を

それぞれ構えさせ。

対する鈴はまずは手加減モードからということで

龍砲やドラゴンハングといった特殊な武装は封印し

中国IS軍独自規格の「5.8mmIS用自動歩槍」を2挺

両の手に握らせた。

 

 

『──それでは、試合開始っ!!』

 

「いただきよ!」

 

ババババッ!!

 

「うおっ!?」

 

試合開始のゴングと共に、鈴が先手を取った。

指切り撃ちによる実戦そのものの射撃が弾を襲う。

 

「ちょっ、鈴、待てって!」

 

「実戦じゃ敵は待ってはくれないわよ!!」

 

ビシバシと飛んでくる鉛玉をなんとか躱しながら

体勢の立て直しを図る弾。IS/VSと違って1vs1なため

追撃をカットしてくれる味方はおらず

覚醒抜けだなんてスキルもないので敵のコンボは

自分が持っている手札でどうにか抜けないとならない。

 

弾は必死に頭を回し、IS/VSのUIを思い浮かべ

格上相手にどうダメージを通すかを考えていく。

低コストで高コスト相手に粘ったことなど

山ほどあるのだ。その経験から"手"を導き出せばいい。

 

 

「…随分上手く戦うわね」

 

「そうか?」

 

「1週間でここまで動けるなら上出来よ」

 

細かい左右ブーストや上下移動で相手に狙いを絞らせず

こまめにタップ撃ちを心掛けて回避後の硬直を狩る。

まだ全力を出していないとはいえ、自分の意見は素直に

どストレートにぶっちゃける鈴にそう言わせる位に

弾は戦えていた。長いプレイ時間が為せる技であった。

 

しかし、ゲームを参考にしたがゆえと思しきミスも

ところどころに現れていて──

 

「いつまで寝てるのよ!?ダウン無敵はないのよ!」

 

「やーっべ!!しまった!」

 

「アンタはもう少し飛びなさい!ISの本領は"空"よ!」

 

「あー、つい癖で。ブースト回復しないとだろ?」

 

「………なる早で直しときなさい」

 

「…お、おう」

 

逐一鈴に指摘されていた。

 

 

しかしそれでも善戦出来ていたのも事実であり。

 

『甲龍、シールドエネルギーイエローゾーン(50%以下)突入!

武装使用制限を1段階解除します!』

 

鈴に課されていた武装使用制限が1段階解除された。

ドラゴンハングと双天牙月、2連装小型衝撃砲が解禁され

一気に攻めの手数とパターンが増える。

 

「いや待って!俺そんな武器知らないんだけど!

甲龍の武器は龍砲と双天牙月じゃねぇの?!違うの?!」

 

「いつの話よ!IS/VSの発売日思い出してみなさい!!」

 

「やべぇって!無理無理無理無理!相方ーっ!

高コスにガン追いされてまーす!」

 

「随分余裕あるわね!?ならもっとガンガン行くわよ!!」

 

「くそーっキャンセル──ダメだ間に合わねぇ!」

 

気心知れた仲だからか、鈴もだんだん容赦が無くなり

コミカルなやり取りと共に弾がボコボコにされていく。

弾は生命力の強い男(しぶといヤツ)だと蘭辺りから聞きでもしたのか

後半は本当に容赦が無かった。

過去に何度かある部分の絶壁具合を揶揄われた事に対する

仕返しという意味もあったのかもしれないが、とにかく。

 

 

 

『ラファール・リヴァイブ・カスタム、SEエンプティ!

試合終了です!』

 

程なくして模擬戦は鈴の勝利で終わった。

 

初期値1,000でスタートした甲龍の残りSEは409。

龍砲解禁となる20%以下まで削る事は出来なかったが

ISに乗って2週間にも満たない初心者でこの成果は

中々のものではないだろうか。

 

 

「さあ踊りなさい!わたくしの奏でる円舞曲で!」

 

「いやファンネル多い多い!もうストフリだってこれ!」

 

「バシッと弾き、そこからズバッと返すのだ。いいな?」

 

「いや分かんねぇっす篠ノ之さん。わんもあぷりーず」

 

その後、対中〜遠距離射撃機訓練としてセシリアと

対近接格闘機訓練として箒とも模擬戦を行った。

結果は言うまでもなく惨敗であった訳だが。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「あ゙〜〜〜っ…疲れた………」

 

汗だくでピットの冷たい床に寝転んだ弾。

 

「お疲れ様だね。はい、スポドリ」

 

「おー、相川さんだっけ?サンキューな」

 

内心では、もう少し余裕があるものだと考えていた。

最近のバイト三昧で体力も精神力も鍛えられていて

気合を入れて望めば一夏達にも着いていけるハズだ、と。

 

「──凄いよな、一夏達って」

 

「うん。分かる。ヤバいよね」

 

だが現実は違った。しがみつくことで精一杯だった。

彼らは自分よりも遥かにシビアな世界に生きていて

ストイックに己を鍛え続けているのだと知った。

 

 

「五反田君はさ、どうしてISに乗ったの?」

 

ピットから観客席へ出た辺りで、そう問われる。

なぜ自ら茨の道へ?と。

 

弾は、アリーナで模擬戦を行う妹の姿を一瞥し、答える。

 

「蘭を、守ってやりたいからさ」

 

「妹さんを?」

 

「あぁ」

 

蘭が一夏に告白すると言い出した時。弾は猛反発した。

こちら(カタギ)側に顔を出した彼と交流することは認められても

彼を追ってあちら側(裏社会)へ移り住むことは許せなかった。

たとえ彼が親友だとしても、許すことは出来なかった。

命のやり取りすら日常茶飯事になりうるような世界に

どうして大切な妹を送り出せようか。

 

「──人を殺したことがあるって噂だもんね」

 

「俺的には、あいつがこっちの世界に帰ってきた時に

心を落ち着かせる居場所であれればいいって思ってた。

あいつの住む世界は、俺たち一般人が安易な気持ちで

足を踏み入れていい場所じゃないしな」

 

「蘭ちゃんはそれも覚悟で?」

 

「あぁ。爺ちゃんでもあいつを止められなかった」

 

それでも蘭は、一夏を追うことを選んだ。

聡明な彼女のことだ。考えに考え決めた答えなのだろう。

 

「なるほど…それでIS操縦者に」

 

「キッカケは金だけどな」

 

「でも、妹を守りたい気持ちは本物なんでしょ?」

 

「あぁ。それは神に誓ってでも。」

 

ならば、親友が設けてくれたこの機会を使って

自分も裏社会で大立ち回り演じられるくらい強くなって

妹と親友の恋を応援しようじゃないか。

そう思ったからこそ、弾はただの被験者の1人で終わらず

IS操縦者として強くなりたいと願ったのだ。

 

「なら十分かっこいいと思うよ。きっと皆もそう言う」

 

「そうか?」

 

「うん」

 

 

 

『──そこまで!試合終了です!』

 

再びアリーナへ視線を戻せば、蘭とラウラの模擬戦が

たった今終了したところであった。

 

「蘭ちゃん、中々健闘したねぇ」

 

「あれで"健闘"なのか?!…やべぇな一夏の周り」

 

「鈴ちゃんもあれで全然本気だしてないからね…」

 

「あぁ。本気だったら血祭りにあげられてる」

 

蘭は中学の授業でISに関する基礎知識を勉強しており

弾と比較してIS操縦技術はかなり高いにも関わらず

ものの見事にラウラ達に"揉まれていた"訳だが

一夏とその周囲のIS乗りは日々進化を続けていて

3年生よりも普通に強いとまで言われているので

初心者の身で食いついていけるだけ大健闘だろう。

 

弾は、鈴に明らかに手加減されていたことを思い出し

早く強くならねば、と決意を固め直すのだった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

 

 

──その頃、ラビッツ・ワークショップでは。

 

 

「これでメインフレームと駆動系の仮組みは完了だね。

一夏君、シルエットのプログラムは更新するのかい?」

 

「いえ、それはとりあえず紅椿のもの(穿千弐型・紅)から流用します。

そっちに送ったんで総一朗さんの方で入れといて下さい」

 

一夏と総一朗が男2人でIS製造に勤しんでいた。

 

武装はおろか装甲すら一切取り付けられていない状態で

ワークショップの整備ブースに佇んでいるソレは

五反田兄妹の専用機──その原型となる予定の試作機だ。

今後のIS製造を視野に入れたフレーム構造の最適化や

技術転用まで見越した汎用性向上のための新技術導入を

主な目的としている。

 

「"冬桜"の方はどうなりました?」

 

「もう殆ど仕上がったよ。束君のおかげでね」

 

「…暴走しませんでした?一応事務手続きは全部済ませて

完全な千冬姉専用機ってことになってますけど」

 

「………ごめん、僕に束君は止められなかったよ」

 

「マジですか…ベローチェ用と言えます?」

 

「んー、まぁ、言えるんじゃないかな?」

 

雑談しつつコーヒー片手に作業を進める2人。

 

隣のブースから「ユニット」とのラベルが貼られた

複雑な機械の塊のようなものを4つ持ってきて

試作機のフレームの延長線上──ちょうど手足の先に

くっつく位置に用意された台座へとはめ込む。

 

「これ…五反田君に扱えるのかい?」

 

「そのための補助プログラムは用意してます」

 

「また何か(とんでもない物)作ったんだね」

 

「そんな大袈裟なものじゃないですって」

 

一夏が試作機を起動させ総一朗が台座を操作すると

ユニットは機体のメインフレームと結合した。

 

この機構は、レイ・クロニクルの専用機で導入された

シルエットシステムをベースとする換装機構。

戦闘中に換装出来るほど大袈裟なものではないが

それでも「ユニット」の換装を行うことで

機体性能をがらりと変えてしまえるものである。

 

 

 

 

 

「──しかし、相変わらず君は凄いものを作るね」

 

コーヒー休憩中に一夏のパソコンを覗き込んだ総一朗が

思わずそう呟いた。

 

「凄いものって…どれの事です?」

 

「全部だよ。機体も、武装も、プログラムも。」

 

そこに記されているのは、2機の専用機の設計データ。

まだ試作機での実験データが集まり切っていないために

所々歯抜けではあったが。

 

しかしそれでも、IS技術者の総一朗からしてみれば

それが世界中の国家も欲するであろうモノに見えた。

 

「特にこのOS。…意識したのかい?」

 

「…まぁ。俺のも"ユニコーン"ですし」

 

そして、特に目を引いたのがそれらの中核を成す機体OS。

 

 

 

 

 

総一朗が開いたタブ、そのトップには。

 

 

 

I.S.Operation System (Prototype)

 

Generic

User-interface

Nurture and

Develop

Advanced

Maneuver

 Synthesis System

 

G.GEMINASS

 

 made by Ichika Orimura

 

 

 

──と。

 

 

 





リメイクを書き始めたせいで執筆意欲が…

自分で自分の作品を読み返してみると、矛盾点とか説明不足とかがあちこちで見つかってゲンナリしてくるんですよね…。あとは「隣の芝は青く見える」ですかね。
それを「なるべくエタりたくはないな」って感情で打ち消してる形なんで、どこまで更新し続けられるか…。プロットも適当だし。
ここから高評価とか感想とかがバンバン来たらジャンジャン書き進められるような気もしますが、現時点では「近々打ち切ってリメイクへ移行かな」って感じです。

あ、最後のアクロニムは「汎用ユーザーインターフェースを用いた"育成"と"開発"を行う発展型機動統合システム」が和訳となります。
seedのアクロニムGoogle翻訳に打ち込んでも内容めちゃくちゃやしかまへんやろ。
弾くんがどの機体に乗るかは…予想つくかな?
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