ついでに現状説明回
この話には多量のアンチ・ヘイト的な表現が含まれます事を予めお伝えしておきます
とくにヘズルの末裔好きの方は読まない事を推奨します
よろしいですか?
それでもよろしければ、どうぞ
国王トラバント直々にアグストリアへ向かったとはいえ、雛の様に口を開けて親鳥が帰るのを待つ。というのは余りにも非生産的であり、時間の浪費だ
出来る事は出来るだけ出来る限りする
それくらいしなくては、貧困に喘ぐトラキア王国を良く出来る筈もない。だが、だからと言って無謀な事や国王であるトラバントの裁可無く行えるモノと行えぬモノがあるのもまた事実
王不在なのは傭兵国家であるトラキアでは認めたくはないが、ままある事
その度に政務を止めるなどという愚行を犯せば無能の誹りは免れまい
トラキアにおける『無駄飯ぐらい』という扱いは男女、軍民問わず最大の侮辱
トラバント王の父である先王は言った
我らがトラキアには食糧もなく、金もない
明日に希望を持つことすら許されぬだろう
これは偏に我等王族やトラキア王国を動かす者達の力不足にあろう
我がトラキアの民達よ!我等王族や国を動かす者もより良き明日の為にひたすら足掻こう!皆も自身で出来ることを何でも良い!我等と共により良き明日へ向かって進んでいこうではないか!!
国を統べる王としては間違いであろう
自分達の力不足を他ならぬ貧困に苦しむ民の前で公言するなど、大凡国を統べる王族のあり様ではない
仮にグランベルやアグストリアの王族がこの様な発言をすればすぐさま諸侯が反発して内乱祭り待ったなしである
しかしそれは王族が庶民や諸侯に比べて『豊かな生活』をおくっているというある意味では羨望や嫉妬といったモノが根底にあるからではないだろうか?
俺たちより豪勢な生活をおくっておいて、仕事すらしないのか!
そう言った負の感情により反発を生み、最終的には反乱にいたるのではないか?
だが、トラキア王国においては国が貧しいのに
これは建国の功労者である竜騎士ダインが元々貧しい身分であり、トラキア王国の民が豊かになるまでは贅沢を戒めた事により始まったものである
まぁ、ダインの息子はそんな父親に反発して(レンスターにて政務を行う者からすれば)苛政を行なった結果、レンスターが出来てしまったのだが
そも経済的に豊かなレンスターは当然だが、税収入などにおいてトラキア王国全土でも最大だった
トラキア王国という枠組みで考えるのであれば、収入の多いレンスターに
仮にトラキア王国の本領が豊かであったとしても、他所の貧しい地方の為に様々な措置を講じたであろう。同じトラキア王国内において多少の格差であれば是認出来たであろうが、トラキア地方では貧しさ故に死者が出るのに、レンスター地方では餓死など考えられないともなれば流石に許容出来なかった
ダインの代においては、レンスターへと代官として妹であり同じ十二聖戦士の一人ノヴァを派遣し、補佐役として
元より政治の素人であるダインとノヴァだけでは統治出来る筈もなく、そうであるならば現地の人間を頼るのが最も手早いと考えたとして何の不思議もない。だが、ダインとノヴァが思う以上にトラキア地方の人間とレンスター地方の人間の認識の差は大きく、二人はその立場を退くまで遂に両者の関係を改善する事は叶わなかった
それでもダインは妹であるノヴァを信頼し、ノヴァもまた兄であるダインを信じ臣下として支え続けた
だが、ノヴァに仕えているレンスター出身の者からするとこれは不愉快な事でしかなかっただろう
『何故自分達レンスターの富をトラキアの人間に分け与えねばならないのだ』貧しさ故にマトモな産業もなく、飛竜がいる程度しか見どころのないトラキア
そこに自分達の富が注ぎ込まれるなどというのは彼等からすればレンスターに住まう者達への裏切り行為と見えた事だろう
しかし、幾らそれをノヴァに陳情したところで『貧しさ』の辛さや苦しみを理解している彼女は彼等を説得する事はあっても、彼等の主張を認める事はなかった
ノヴァの跡を継いだ息子は元々レンスターの代官である母ノヴァしか知らず、良くも悪くも『貧しさ』については知識の上でしか理解していなかった
結果、ノヴァを動かす事の出来なかったレンスターの者達は自分達と似た価値観を持つノヴァの息子を動かす事が出来た。出来てしまったのだ
父であり、先王であるダインと同じく『トラキア王国全土』の生活水準を上げる事を第一としていたダインの息子は当然だが、父ダインの政策を踏襲した
だが、レンスターという豊かな地から離れた事のないノヴァの息子からすれば現国王は理由をつけてレンスターから富を収奪する暴君と見えてしまい、結果として豊かなレンスター地方を丸ごとトラキア王国から独立させたしまったのだ
この事実は事のほか大きく民に寄り添わぬ権力者は国を割るという教訓(勿論事実は異なるが)としてその後の王族や王国を動かす立場の者達に伝えられる結果につながるのは皮肉としか言えないだろう
トラバントの父であり先王もその教訓に倣い『兵や民と同じ物を食べ、傭兵として生きる』事を是とした。これは息子であるトラバントやトラバントに従う者達にもしっかりと受け継がれており、トラキアにおいて『民を見ない』という事は『他人の上に立つ者に非ず』との評価が下される事になっている
それは庶民の視点からも良く分かる事であり、トラキア王国を動かしている役人達も竜騎士達の護衛の元とはいえ、常に農業や産業に適した地を求めて王国内の山岳地帯を見回っている
なお、トラキア王国における役人達もトラキア王国成人男性皆兵の例えにある通り、最下級のドラゴンライダーでこそあるが戦う能力を有している
近年ではトラキア王国内における騎竜の数がこのままいくと不足するのではないか?との意見が出るほどに竜騎士は多くなっている
とはいえである
成人男性全てがトラキア王国軍に属しているわけではなく、普通に日常生活を送っている者たちも少なからずおり、農業専従者もいたりする
彼等は動員令がかかるなり、トラキア王国各地において定められた拠点に集結する
つまり、ミーズ、カパトギア、ルテキア、グルティアそして本城でもあるトラキアの何れかとなる
そのそれぞれの拠点を守護する将軍の指揮下に入り戦うのだ
とはいえ、各拠点を守護するのは将軍であり、彼等には直属の兵が幾らか存在するが、竜騎士を統括するのはトラキア本城となっている
現在の体制において、トラキア本城に次ぐ戦力を有しているのはカパトギアのハンニバル将軍。彼は国境にあるミーズ、ルテキア両城の中間地点に存在するカパトギアにあって、有事の際には即応軍として敵の撃退ないしはトラキア本城よりの援軍到着までの時間を稼ぐ役割を担っている
その為、トラキア王国においては『第二の軍』と呼ばれる軍団規模とトラキア王国においては稀少ともいえる陸上部隊を有する事を許されていた
度重なるレンスター王国との戦闘においても、一度として彼等のトラキア王国内への侵攻を許さなかった実績より『トラキアの盾』と称される人物でもあり、トラキア王国の役人達や竜騎士達からの人望も厚い
トラキア王国の悲願でもあるトラキア半島統一
しかし、その為にはレンスター王国は勿論だが、緩衝地帯であるマンスターを攻め落とさねばならない
だが、マンスターは東西に山脈に囲まれ、南にはトラキア領ミーズ。北にはレンスター領コノートがあり、コノートからミーズに至る山脈に囲まれたマンスター経由ルートを『マンスター回廊』と呼ぶ者もいる
トラキア王国軍は竜騎士を主力とする為に地形に左右されない自由な部隊展開や部隊機動が強みである
故に攻め手として、特に野戦におけるトラキア王国軍の強さは大陸でも有数だろう
その一方で、兵科が竜騎士にほぼ集中している為、地上部隊は先に挙げたカパトギアのハンニバル将軍麾下の部隊以外、殆ど存在しない
まあ、主要産業が傭兵業である事や大陸全土に顧客がいる事も考えれば迅速に対応出来る竜騎士が多くなるのもある意味では仕方ないだろう
加えて建国者が竜騎士ダインである事も決して無関係とも言えぬ
しかし、竜騎士とはいえ重装備で身を固めた
何が言いたいかと言うと、竜騎士は拠点防御において適任とは言えない。という事
マンスターを制圧するのは実のところ、そこまで難しくない
それはマンスターがレンスター王国から半ば独立しているからである
レンスター地方と呼称しているが、正式な呼称はマンスター地方であり、その一点においてマンスターはレンスターの風下に立つ事を嫌っている
トラキア半島の盟主であるトラキア王国にならば仕えられても、レンスターという新興国(マンスターにとっては)に仕えるというのはマンスターからすれば抵抗すべき事象だった
その為、レンスター王国にもトラキア王国にも属さない立場をマンスターは欲しており、レンスターがトラキア領ミーズに攻め入る際にもマンスターへの軍の駐留は認めこそすれど、食糧や武器などの供出については一切認めていない
だが、これは言い換えれば『レンスター、トラキアどちらから攻められても味方はいない』ともいえる
だが、現在のマンスターを統べる人物は凡庸ではなく、『マンスターがレンスター、トラキアどちらかの手に落ちれば全面的な戦争に入る』事を理解しており、その事自体がマンスターを護る盾になる事も理解していた
レンスターからマンスターに部隊を派遣するとなると、かなりの距離があり、しかもコノートからマンスターに至る経路には小さいながらも森林地域があり、レンスター主兵科である
トラキアからマンスターまで
無論、レンスターとて近場のコノートから軍を派遣すればマンスター付近に軍を展開する事も出来るが、それでトラキア王国軍を止めることが出来ると思う程無能でもお気楽でもない
仮にマンスターがレンスターの手に落ちれば、ミーズに対するレンスターの圧力が強まる事を意味し、現在マンスターと小規模ながらに行われている商取引が停止する事を意味するだろう
前者はともかくとして、後者はトラキア王国にとって認められない
逆にトラキアがマンスターを制圧すると、先ず軍事的な意味においてレンスターは苦境に陥る
トラキア王国軍にとって山脈など意味をなさないとなれば、北のコノートは元より、山脈を越えて西にあるアルスターもトラキア王国軍の脅威に晒される
そして、アルスターはレンスター王国本拠地レンスターの南にある拠点であり、アルスターが危険に晒されるという事はレンスターすら危うい事と同義なのだ
更にマンスターはレンスターやアルスターほどではないにせよ、食糧生産力がある
食糧自給率底辺のトラキア王国にとってはこの地を得る事はトラキア王国軍の活性化を意味する
そうレンスター王国の者達は懸念していた
もっとも、当のトラキア王国としてマンスター攻略は
もしもマンスターを陥落させたなら、そのままの勢いでレンスター王国を滅ぼそうと主張する者が現れる可能性が非常に高い。そうなると国内の意見の再統一に多大な労力と時間を費やす事が予想されていたのだからマンスター攻略を主張する理由もなかった
更に現在のマンスター統治者はトラキアとの交易を黙認すると共に、商人達が利益を求めすぎない様に注視している
その一方で、レンスター方面からの商人については割と情け容赦ない利益を上げる事を黙認、いや寧ろ推奨していた
何せレンスターの商人達はマンスターのみならず、北のイザークやダーナに西の大国グランベルと交易を積極的に行なっており、そこで莫大な利益を上げているのだから
勿論、レンスターの商人達はそんなやり方をするマンスターに不満を持っていたが、先に挙げた理由からマンスターに反レンスター感情を持たせるのは最悪トラキア側にマンスターがつく可能性がある事からもレンスター王国政府から注意されている為大きな問題となっていない
国力に反してマンスターはトラキア半島において大きな影響力を持っていると言えるだろう
さて、トラバント不在においてトラキア王国の役人達は話し合いの場を設けて今後の事について議論する事となる
第一に
アグストリアにてグランベルに属するシグルド公子の軍勢と敵対する以上、今後のグランベルとの関係について。であった
槍を交える以上、敵対関係となるのは致し方ないのでは?
グランベルとの戦ともなると被害が洒落になるまいが、仕方あるまい
グランベルとの開戦やむなしとの空気になっている中
いや、どうにもそうではない様だ
グランベルとの交渉窓口を務める男が発言する
どういう事だ、それは
室内の者が彼に視線を向ける
それもそうだろう。グランベルに属しているしかもシアルフィというグランベル建国来の公爵家の公子が今回敵対したシグルドなのだ。普通ならば問答無用でグランベルとの全面戦争となったとしてもおかしくはない
仮に傭兵として敵対したとしても、だ
どうやらシグルド、いやシアルフィ公爵家自体の立場が宜しくない様ですな
公子ではなく、シアルフィ公爵家そのものが!?
クェム殿、貴殿の発言を疑いたくはないがそれは真かね?
交渉窓口を務める男、クェムの発言を疑問を持つ者が問いただす
どうやらグランベルでも大事が起きた様に見受けます
その当事者が
シアルフィ公爵、という訳か
室内の者達は声にもならないため息をもらす
しかし、シアルフィ公爵が変事に巻き込まれたとなればイザーク遠征軍の事だろう?
聞けば現国王アズムールの子息クルト王子も居たのではなかったのか?
の様ですな
付け加えるならば、ユングウィ公爵もいると聞き及びますが
無関係とは思い難いな
ともすればバーハラ王家にグランベルを代表する公爵家の二つを巻き込む、か
クェムの発言を受けて室内の者が頭をひねる
一つ提案があります
大陸全土にいる熟練の鍛治師を我がトラキアに招聘しては如何でしょうか?
鍛治師、とな?
確かに我がトラキアの鍛治師は少ないが
クェムの発言を受けて室内の者は口々に疑問を出す
現在グランベルによる争乱はウェルダンを滅ぼし、恐らく早晩アグストリアも滅びましょう。更にイザーク遠征が一時的に中断したとしても
…グランベルの名誉の為に何が何でもイザークを滅ぼす、か
間違いなく
となれば、グランベルはウェルダン、アグストリアにイザークをも飲み込むとなるか
待て待て、そうなればシアルフィ公爵家の立場が悪いとなれば
…動くやも知れませぬな
現国王は慎重な男だが、生憎息子であるキュアンは他国の紛争に介入する辺りそこまでではなかろうな
更に矢面に立つのはシアルフィ公爵バイロンまたは公子シグルド
娘であり妹でもあるエスリン殿としては助けたいでしょうな
皆思い思いに発言する
となればレンスターも巻き込まれるのは避けられぬ。そう言いたい訳だな、クェム殿?
そうですな
それに噂ではありますが、シグルドの軍に
……それが事実ならば、文字通り大陸全土が争乱、いや最早戦乱に叩き込まれような
我等の知る限りシグルド軍がアグストリアから逃れる術はありません
しかし、クェム殿のいう事が正しいとなるとかの中立を守り続けてきた女王とて動くやもしれませぬな
となればクェム殿が主張するのは
ええ、失伝する恐れのある技術の確保ですな
この大陸における鍛治師の社会的地位は取り分け高い訳ではないが、かと言って粗忽な扱いをされる事はまず無い立場だ
何せ彼等は高度な技術を有する技術者集団であり、剣を始めとして槍、弓に斧はおろか魔道書まで修復出来るのだから
同じ剣だとしても、鉄と鋼、銀では当然取り扱い方は変わるし、剣の場合ならば更に大剣といった亜種もある
加えて数こそ少ないものの、『魔法剣』と呼ばれる魔力を内包した特殊な製法で作られた剣などもあり、更に連撃性能を魔法にて付与した『勇者の剣』が存在する
当然だが、これら全て製法が変わり、修復方法も異なる
剣一つとってもコレであり、これが槍、弓、斧と更に三種類の武器がある
マトモに考えるならばこれらが修復出来るだけで尋常ならざる腕前である事は理解できよう
更に熟練の鍛治師ともなると、これに加えて魔法書の修復まで手掛けられるというからそのレベルたるや想像を絶する
魔法書はそれこそ剣などとは全く違った技術体系から生まれたものであり、炎系で言えば
ファイアー(最下級魔法)
エルファイアー(中級魔法)
ボルガノン(上級魔法)
となる
更に禁呪とも言われる
メティオ(遠距離広範囲魔法)
や
別名、神炎とも呼ばれている
ファラフレイム(魔法戦士ファラ直系専用魔法)
が存在する
上の各級魔法を修復出来るだけでも大陸全土を見渡してどれだけ居ようか?
メティオなど各系統魔法の禁呪はその危険性より製法は秘匿されており、修復はなされない事も各国の法により定められている
が何よりも恐ろしいのは十二聖戦士の使った伝説の武器とも言えるものすら『修復出来る鍛治師』が存在する事だ
これらの武器は正しく神代の武器と言っても過言ではない
無論数は本当に少数であるが、確かにその様な者達が存在するのである
彼等は王国や公爵家などによる手厚い保護がなされており、一般的な鍛治師と比べると破格の待遇を受けている
その様な者が我がトラキアの招きに応じると思うのか?
説得の仕方によりましょう
確かに現時点では地盤の安定しているグランベルやレンスター、シレジアは不可能でしょう。しかし、王家が実質断絶しているイザークや居所を失うであろうノディオンならば可能性はあるかと
ふぅむ
イザーク王国はグランベルによる侵攻を受ける前、当時のイザーク国王が問題を起こしたリボーの族長の首を刎ね、それを持ってグランベルへと釈明と謝罪に訪れたという
だが、国王はイザークに戻る事なくグランベルはイザークへと侵攻した
これにより、急遽跡を継いだ王子は『神剣バルムンク』を手にイザークの戦士達と共に頑迷に抵抗
結果、グランベルの侵攻を押し留める事に成功する
しかしその代償は大きかった
バルムンクを手に戦士達を鼓舞していた王子が命を落とし、更にイザークの至宝とも言えるバルムンクの行方が分からなくなったのだ
グランベルは一度兵を退いたものの、再度の侵攻は疑いようもなく王子なき後のイザークは指揮系統の再構築にかかろうとするも混乱が続いているそうだ
友好関係にあるシレジアやレンスターへ派兵要請を何度も送ったそうだが色良い返事はなく、勝ち目の無い戦いへと身を投じる戦士達の士気は王子が率いていた頃のものほどはないらしい
直すべきバルムンクが散逸したとなれば、バルムンクを直す技量を持つ鍛治師の立場は失われよう
それどころか、グランベルからすればバルムンクの修復技術を持つ人物は優先的に
グランベルがバルムンクを確保しているなら話は変わるだろうが、グランベルがそれを知らなければ鍛治師はバルムンクの戦闘能力を保持する為の者であると思うだろう
となれば、いっその事殺すという判断をする筈だ
となれば、その鍛治師も自身の命と伝えられてきた技術を遺す為にも生き延びねばならないと考える筈
幸いというのには些か以上に抵抗があるが、此処トラキアの鍛治師の平均的レベルは大陸国家の中でも低く、唯一トラキア本城にいる鍛治師が『天槍グングニル』の修復方法を会得している規格外なだけ
他の獲物も修復出来るが、短時間で修復出来るものでもないのでどうしても鍛治師は数がいるのだが
そんなトラキアにバルムンクを修復出来る鍛治師が居るなどと想像出来るだろうか?
ついでにイザークとトラキアの間に因縁はないが、間にあるレンスターのせいでイザークとトラキアの関係はお世辞にも良いと言えないのも他の者達の目を誤魔化す布石となるだろう
ノディオンの場合はアグストリアが滅んだ場合、当時の国王シャガールに不満が集まるだろう
しかし、時が経つにつれて詳細が庶民に伝わったとして果たしてアグストリア崩壊の責がシャガールのみになるだろうか?
シグルド達がアグストリアへの介入を決めたのは親友であるエルトシャンのノディオンがハイラインにより攻められ、エルトシャンの妹であるラケシスからの救援要請があった為
確かにハイラインがノディオンを攻めたのは問題だが、それもシグルド達がウェルダンに連れ去られたユングウィ公女エーディンを取り戻す為にウェルダン国内へと侵攻した事によるもの
隣国のアグストリア諸侯としてウェルダンに侵攻するシグルド達の行動に危機感を覚えたとしても不思議では決して無い
それに対してエルトシャンはノディオンのクロスナイツを率い、当時のシグルド達の本拠エバンスに向かうハイラインに攻撃する事でエバンス攻撃を阻止した
ハイライン軍を指揮していたエリオットの父親であるハイライン侯爵ボルドーからすれば、まさか同じアグストリアの諸侯の一つでありアグストリア建国の功労者の末裔であるエルトシャンから攻撃されるとは思わなかっただろう
結果、ハイライン軍はクロスナイツにより敗退し、ハイラインによるエバンス攻撃は頓挫する
それ以前にボルドーの息子エリオットがエルトシャンの妹ラケシスと婚約したいというボルドーからの申し入れがあったのだが、ラケシスの猛反発を受けて流れていたりもした
つまり、ノディオンはハイラインから相当恨まれていたのは疑いようのない事実であり、エルトシャン不在の際のハイライン軍による侵攻となったとも言えなくはないだろうか?
加えて、エバンスを巡る争いにおいてノディオンはシグルド、つまりグランベルの側に立って動いたようなもの
結果としてウェルダンを制圧したグランベルを助けた形となったエルトシャンに対して不信感を強めるのも分からなくはない
本来ならば、ラケシスが使者を出すべきはグランベル領エバンスではなく、ノディオンの北にあったマッキリーのクレメンスである筈
クレメンスはハイライン軍を撃退し、ノディオンを守った形となったシグルド達に手を出す事なく静観していた
つまり、クレメンスはハイラインの非を認めていたという事にはならないだろうか?
結局はハイラインの北部にあるアンフォニーまで制圧したシグルド達の行動を見て、グランベルによるアグストリア侵攻と判断した結果シグルド達の前に立ち塞がったが
ハイラインのボルドーやエリオットに非がなかったとは言わないし、シャガールのせいでアグストリアが滅んだのも否定できない
だが、果たしてエルトシャンやラケシスに全く非がないとは言い切れないと思われる
さて、ともあれアグストリア崩壊はシグルド達によるノディオン救援がきっかけとなったのは間違いなく、他のアグストリア各地に住むものからすれば果たしてエルトシャン達のした事を好意的に見るだろうか?
なお、トラキアにいる彼等は知らないがシルベールに移ったエルトシャンとクロスナイツ
マディノから逃れてきたシャガールの命を受けエルトシャンはクロスナイツを率い出撃する。だが出撃したにも関わらず妹であるラケシスの説得を受けて単身シルベールに帰還し、シャガールを説得しようと試みたが
その後、シャガールの命令により処刑されることとなる
因みにノディオンがグランベル領になる際、エルトシャンの妻であるグラーニェはシルベールに移り住んだが、夫であるエルトシャンと不仲になり息子である幼いアレスを連れ実家のあるレンスターへと帰国している
彼女は最後まで夫エルトシャンを追い詰めたシグルドとエルトシャンの妹であるラケシスを恨み続けたそうだ
そんな事までは知らずとも、ノディオンにてミストルティンの修復にあたっていた職人も複雑な思いとなるのは間違いないだろう
何せ同じアグストリアの騎士達、しかも反逆していたわけでも無い騎士達を討つ為に自身が修復したミストルティンが使われたのだから
そして国が滅んだとなって、その人物は心穏やかに旧アグストリアで生活を送れるだろうか?
イザークより可能性は低いだろうが、やってみるべきだとクェムは主張する
その後一時間程の話し合いを終えて、一同は大陸全土から鍛治師をトラキアへと招聘する事と決める
よくよく考えると聖戦の鍛治師ってチートじゃねぇの?
と思った頃の下書きを発見したので、それをそれっぽくしてみました
なお、基本原作主人公側には辛辣です
というか、FEシリーズにおける貧富の格差が大きすぎるような気がする
まあ、仕方ないと言えばそうなんでしょうけども