『雨の日』が始まって早々に乱数に嫌われた疑惑が物凄い勢いで浮上した防衛戦と言う名の宴が開幕したゲームの実況の続き、もう始まってる!!
明らかに今までの『雨の日』よりも数が多いことに困惑しながら【かれら】を階段から怯ませて落とす作業をしてる光景から再開です。いや、本当に多いのですけどぉ!?
「えい、この!」
「くらえっ!」
これ、バリケードを現状で可能なところまで強化した上で簡易トラップを設置して正解だったぞ。もし無かったら既に瓦解しててもおかしくないし、と言うかしてたわ。
だって、バリケードの耐久の減りがこの強化でそれなりに早いもん、だけどコレなら許容範囲と言うかまだ何とか耐えきれる感じですね。何も起きなければ!! 絶対になにか起きるだろうけどな!!
《こちら慈、恵飛須沢さんから小さいのを見たから気をつけろと!》
ほら来たぁ! 小さいの、つまり【かれら(小学生)】が出現し始めましたね。幸いにも中央には来てませんが時間の問題でしょう、そのうちひょっこりと顔を出してきて琴音先生の正気度と精神を頃しにかかってくるはずです。
とは言っても迎撃するしか無いんですけどね。だからあまり目の前に現れんなよ……現れんなよ……いや、それよりも他二箇所のバリケードの状態は!
《こっちはまだ大丈夫、ただ数は多いわね》
《こちら、なぎさ。まだまだ大丈夫!簡易トラップのお陰かな、数は落ち着いてるね!》
聞く限りだとまだまだ余裕そう、ただめぐねえ側に数が流れてるのが気になるかな。まぁでもあそこに配置したのはりーさんとくるみ姉貴だし大丈夫なはず、それよりもここの防衛に集中しましょう。
簡易トラップもそろそろ全滅し始めたのか、バリケードに取り付く【かれら】の数が増えてきてます。ただこちらも三人がかりで攻撃してるので耐えれてるのでこのまま、時間を稼げればって正気度の減りが多かったな今、あっやべ、吐きそうになるな堪えろ元不良。
「ことねえ!?」
「だ、大丈夫か、来ヶ谷先生!」
ダイジョーブ、ダイジョーブ、ただちょっとシャベル突き刺した先に【かれら(小学生)】が居ただけだから……いや、分かんねぇよ。通常の【かれら】に混ざられると見えねぇんだよ(半ギレ)
うぅ、まだ防衛戦が始まったばかりだというのにこの減りはどうなんよ……事前にるーちゃんによる精神力バフが無かったらここで終わってたまであるぞ。と言うかなんで【かれら(小学生)】が高校に来てるんだ、教えはどうしたんだ、教えは!
「っ、このぉ!ことねえだけに無理させないんだから!!」
「ゆ、由紀?」
え、なに、どうしたのゆきちゃん急に……ってさっきまで腰が引けてた感じだったのに急に攻めっけ出してくるやん、でも止めてね、君の無茶はそれはそれで事故要素になりかねないからね?
もしかして、琴音先生が苦しそうだからって張り切りからの空回り!? あるんですよね、好感度が一定だとその対象キャラが苦戦や精神的に厳しい時に自分が代わりに頑張るって状態になる場合が、恐らく今回はそれかと。
その状態だとスタミナの消費を考えなくなるので正直に言えばよろしくないです。ゆきちゃん、落ち着いて! 張り切るのは良いけど空回りしちゃったらヤバいから!
「由紀、来ヶ谷先生の言う通りだ!」
「う、けど!」
その気持ちだけでも嬉しいけど、前に出過ぎてるから下がって!? ええい、気合い入れ直せ元不良、ここでゆきちゃんが頑張りすぎると彼女の正気度がサヨナラなのだするぅ!!
よぉし、立ち直ったな、こうなりゃ琴音先生の正気度は後で回復できる前提で度外視にしてやらァ!
「ことねえ……私も、頑張るんだ!」
「それは良いんだけど、キリがないよこんなの!?」
チョーカーさんが悲鳴あげてるけど、それはそう。そもそも撃退での『雨の日』のクリア条件だと相当数の撃破だからなぁ。だからこそ事前にギミック解除を行ってたので、そこまで長時間の耐久ではないはず
てか、これって中央のバリケードが先に壊れるんじゃね? プレイヤー側のが先にっていう展開は止めてもらいたい、NPC側のなら壊れてから三階に撤退、そこから放送室のキレイな流れで下校を促す放送イベントが起きるから。
あっ、もう! また小さいのが、えっと今の正気度は……まだ4割半あるな、行ける行ける! おら、まだここのバリケードは保たせなきゃいけないんだよ離れろオラ!
《琴音、ごめん、こっちがもう保たない!!恵飛須沢さん、若狭さん、バリケードから距離を取って!!!》
《ごめん、こっちもだ!!急に数が増えて、クソ、美紀ちゃんと圭ちゃん、バリケードから離れて!》
同時って今まで出なかったパターンをだなおい、いやでもやることは変わらない、総員! 三階に撤退だ、撤退!! 殿は勿論大人組が行う!
《了解、美紀ちゃんと圭ちゃんは早く上がって!》
《分かったわ!二人は三階へ!!私が足止めしてますから!》
て言う事だから、ゆきちゃんとチョーカーさんも上へ! 上がりきったらくるみ姉貴が持ってるトランシーバーで教えてくれればいいから! ハリーハリーハリ-!
「わ、分かった!行くぞ、由紀!」
「え、で、でもことねえ!」
でももへったくれもないから早く!!! 琴音先生が心配なら君たちが早く下がってくれて先生達も撤退出来る状態にしてほしいかなって!!
「あ、は、はい」
あの反応からするにゆきちゃんの正気度が思ったよりも減ってるから『雨の日』超えたらフォローしないとなぁ、っておいこらまだバリケードを倒そうとすんじゃねぇよ!!
ハハッ、ざまぁないぜ! あ、因みに裏ワザというか抜け道と言うべきか、通常の【かれら】を今回みたいに階段から落とした際に【かれら(小学生)】を巻き込んで倒しても正気度の減少と精神力へのデバフは掛かりません。
なので出来る限り、その流れで数を減らすのが琴音先生での『雨の日』を突破するコツだったりします。まぁそれでも結局は直接、札害しちゃって正気度と精神力を犠牲にしてるんですけど……
《ことねえ、めぐねえ、犬山さん、全員上がってバリケード超えた!》
《聴こえた!?私達も上がりましょう!》
《助かる、もうこっちのバリケード壊れるから!!》
中央ももう限界なので急いで撤退しましょう。言わなかっただけでめぐねえのところも限界だったでしょうから、上がって直ぐに迎撃体制を整えないと一気に張り付かれますよコレ。
急いで階段を上がりながら背後をチラッと確認、うへぇ、見えた範囲でも【かれら(小学生)】が四体、今ので琴音先生の残り正気度は……あれ、3割から減らない? あ、そうか!
『手を合わせながら、決意する。既に【かれら】となっていたとは言え母親を殺してしまったのだ、なら自分が彼女の代わりに二人を守ると、だからどうか安らかに眠って下さいと』って初日で決意してたけどこれってスキルの【決意】の会得イベントだったのか!
このスキルは所持してる限り正気度が三割より下には下がらなくなるというクッソ有能スキルです。まぁ精神力の部分には作用しないのでデバフは相変わらずですけど、これなら小さいのを倒しても正気度は気にしなくても良くなるかもしれません。
もっとも、頃し過ぎたら知らない状態異常とかになるかもしれないし、PTSDが悪化する危険性もあるので札害しないようには立ち回りますけど、っとバリケードを抜けてすぐに迎撃を始めましょう。
「大丈夫、ことねえ?」
「顔色がさっきよりも酷い、無理しないでくれよ」
二人が心配してきますがこれ以上は下がれないですし、どうせ三階のバリケードはどんなに強化してもイベント戦闘的な勢いで減って放送室撤退になるからヘーキヘーキ、それよりもめぐねえと犬山お姉さんは撤退できた!?
《大丈夫よ!ただ、また数が増えた感じがするの!》
《こっちも撤退できてる。けど慈と同じだ、増えてるよこれ!》
え、増えたの……?いやまぁ、あとはバリケードが壊れる前に放送室に逃げ込んで下校イベントを起こすだけだから良いんだけど、と言う所で今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
……所で思ったのですが、明らかに学園関係者以外も混ざってるのですがこいつら放送で帰ってくれるん?(未調査)
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怖い、怖い、怖い。刺股を持って、バリケードの越しなのに私【丈槍 由紀】は物凄い恐怖を感じていた。
階段からゆっくりと上ってくる【かれら】、今までと違ってまるで雨宿りをするみたいに沢山の数がバリケードに向かって来てて、恐怖で思わず逃げ出したくなるのを堪えながら。
「ことねえ、来た!」
「とにかくあれだよな、槍で突いて追い返す感じでいいんだよな!?」
「それで良い、無理に倒したりとかは考えるな!」
シャベルを構えながらことねえが言うけど、その顔にはどうすればと言う表情をしていた。だって、今までこんな事は一度もなかったから、下校時間まで一階とかでウロウロしてただけなのに、今日は明確に上がってこようとしてる。
だから、耐えて帰ってくれるか分からないんだ。それに下校時間までと思っても
(今から下校時間って、まだあるよね?)
じゃあ、どうすれば……ううん、弱気になっちゃ駄目、それにめぐねえ達がきっとなにか思いついてくれるはず! そう思いながら刺股を構えて
「えい、この!」
特に狙わないで突き出した刺股の先端は【かれら】の一体の顔に突き刺さり、グチャっていう音を響かせてから階段を転げ落ちていった。
非現実のような、けど確かな現実だと教えてくる刺股越しの感触に身体が震えだす、けどこうしなきゃ皆が殺されちゃうと奮い立たせる。
「くらえっ!」
隣では、たかちゃんも真剣な表情で手に持った槍で【かれら】を突いて、バリケードから引き剥がしてるし、ことねえもシャベルで同じようにしてる。
だから私も頑張らなきゃと刺股で引き剥がすことを繰り返してたのだけど、少ししてから急にことねえが
「あっ!?うっ、けふっ」
「ことねえ!?」
「だ、大丈夫か、来ヶ谷先生!」
シャベルを突き立ててもう片方の手で口元を抑えながら膝をついたことねえ、見れば顔は真っ青で今にも吐きそうな感じでどうしたのとことねえが戦ってた場所を見て、私も気分が悪くなった。
そこに居たのはシャベルで顔面を突き刺された小さな【かれら】、くるみちゃんとかが言ってた小学生の【かれら】を殺してしまった。
ことねえは子供が大好きだって言ってた。こんな姿になってもことねえは子供を守れなかったことが許せなくて、それなのに私達を守るために殺さなくちゃいけなくて、それで今こうなってしまったんだ。
私が、もっと頑張れば、グッと刺股を持つ手の力を込めてバリケードの先の【かれら】を睨みつけてグワッと一気に突き刺して、直ぐに引き戻してまた別の奴らに突き刺して!!
「っ、このぉ!ことねえだけに無理させないんだから!!」
「ゆ、由紀?」
たかちゃんが驚いてるけど、私はそれを気にする余裕はなかった。特に視界に見える小さい影は念入りに突き刺して階段から落とす、とにかく、ことねえがこれ以上苦しまないようにしないと!!
「ゆ、由紀、バリケードに、近寄りすぎだ。気合い入れるのは良いが、それじゃ、空回りするだけだ……」
「由紀、来ヶ谷先生の言う通りだ!」
「う、けど!」
苦しそうな声なのにことねえは立ち上がり、私の肩に優しく手を置いてニコリと笑い掛けてくるけど、それを見るだけで私の中に痛みが走る。
「はは、そんな顔するなっての、お前たちが頑張ってるのに休んでなんかられないからな」
「ことねえ……私も、頑張るんだ!」
「それは良いんだけど、キリがないよこんなの!?」
確かに、このままじゃバリケードが保たない。それにバリケードに張り付いてくる数も急に増えた気がする。もしかしてことねえが仕掛けたっていう簡易トラップが全部壊れてしまったのかも。
それにめぐねえ達の事も気になる。大丈夫かな、ことねえのトランシーバーに連絡が来ないから平気だと思うけど……ううん、それよりもバリケードを守らなきゃ!
「あぁ、クッソ!」
「もうこれ以上、ことねえを苦しませるなぁ!!!」
「由紀、落ち着けって!でも、なんで小学生の奴らが高校に来るんだよ!」
雨が降るとそういうのが関係なくなるのかな、ってことねえのトランシーバーが鳴ってる!
「どうした!?」
《琴音、ごめん、こっちがもう保たない!!恵飛須沢さん、若狭さん、バリケードから距離を取って!!!》
《ごめん、こっちもだ!!急に数が増えて、クソ、美紀ちゃんと圭ちゃん、バリケードから離れて!》
ほぼ同時にめぐねえと犬山お姉さんからの通信、しかもバリケードがもう壊れそうだっていう内容にことねえが苦い顔をしながら
「生徒から先に三階に避難させろ!!慈となぎさはギリギリまでバリケードの防衛、できるな!」
《了解、美紀ちゃんと圭ちゃんは早く上がって!》
《分かったわ!二人は三階へ!!私が足止めしてますから!》
「聴こえてたな、お前たちも先に三階に逃げろ!」
シャベルを構え直して、【かれら】を刺し殺しながらことねえが叫ぶけどそれは、ことねえを少しの間だけど一人で戦わせるってことで
「わ、分かった!行くぞ、由紀!」
「え、で、でもことねえ!」
「由紀、早く行け!!!お前たちが上がれば私達もそっちに逃げるから!!それと撤退したら胡桃に伝えてくれ!!」
鬼気迫る声で告げられた指示に私は初めてことねえに恐怖を抱いてしまった。それが自分の中で罪悪感に変わってしまって、下を俯きながら
「あ、は、はい」
たかちゃんに引っ張られるように階段を駆け上がる。その途中でもことねえ達が戦ってる音が聞こえて、つい後ろを振り向きたくなるのを堪えて三階のバリケードを超えてからくるみちゃんの方向に向かって
「中央、上がったよ!!」
「こちら図書室側、二人とも上がりました!!」
「おう!ことねえ、めぐねえ、犬山さん、全員上がってバリケード超えた!」
くるみちゃんがトランシーバーで三人に伝えたのだろう、直ぐにことねえが上がってくる音、その少し後にバリケードが壊れた大きな音が聞こえ不安が大きくなるけど
「来た!」
「ことねえ、早く!!」
ちょっと急かして悪いとは思うけどそれでも階段から聴こえる【かれら】の迫ってくる音についそんな言葉を出してしまうが、ことねえも分かってるのか頷いて直ぐにバリケードの私達が通れるようにしておいた所から抜けて来て息を吐き出す。
明らかに大丈夫じゃないけど、私はことねえの側に行って
「大丈夫、ことねえ?」
「顔色がさっきよりも酷い、無理しないでくれよ」
「無理も何も、ここが最終防衛ラインってやつだ、気張るぞ」
もう逃げる場所はない、放送室にはるーちゃんと太郎丸が避難してる。そうだ、ここが突破されたら駄目なんだ、だけど……
「数、増えてね?」
「簡易トラップもそこまで保たないなコレは、来るぞ!」
数が増える【かれら】。戦ってるだけじゃどうにもならない、何か、何か私も考えなきゃ! 刺股を構えながら私はそんな焦りを抱えていた。
覚醒のような覚醒じゃないちょっと覚醒したゆきちゃん