がっこうぐらし!女教師で全員生還EDを目指すだけ   作:鮪薙

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(山場乗り越えたので)初投稿です


7日目【後処理】

なんやかんやありながらも琴音先生の正気度と精神力の犠牲だけで何とか『雨の日』を乗り越えられたゲームの実況の続き、もう始まってる!!

 

 イベント後、本当に軽い昼食を終えて、現在はくるみ姉貴とゆきちゃんの三人で二階と三階の状況を確認してる場面から再開です。言うまでもなくひどい状態ですね……因みに放送で帰らなかった【かれら】は今のところ見受けられません、これは全員帰ったかな?

 

「苦労して作ったバリケードが見る影もないな……けど、奴らの姿も無いってのは助かる」

 

「また作り直さないとだねぇ」

 

 ゆきちゃんの言葉にくるみ姉貴がうげぇという女の子がしちゃいけないような表情を晒してるけど、別にバリケードを形成してた部品とかが全部なくなったり壊れたりしたわけじゃないから、言うほど面倒でもないんですよね。

 

 ゲーム内時間で言えば、十分もあれば一つを完璧に直せるくらいです。なので今は【かれら】が残ってないかの確認のほうがメインだったりします。

 

 まぁこの感じを見れば、『雨の日』のイベント後の法則が働いてるのかもしれません。この法則と言うのは『雨の日』でギミック解除を利用した放送を行った場合、その日一日は【かれら】が校内にポップしなくなるというものです。

 言っちゃえば、この日に限り校内は完全な安全地帯になるってことですね。なのでコレを利用して通常プレイでも一気に物資の補給などを行ってしまうのもアリです。

 

 今回は7日目までに物資は抱え込んでしまっているので、その分の時間を全て後片付けに回せます。

 

「三階から二階の階段でも見てて、分かってたけど、ここの階段が酷い有様だな……うっ、ごめんちょっと目を逸らしていいか?」

 

 無理に見ないほうが良いぞ。ゆきちゃんも顔を真っ青にするくらいなら覗きなさんな、とりあえず通信でめぐねえと犬山お姉さんにも生徒には二階から一階への階段は後片付けが終わるまで近づかないように伝えるように頼んでおきましょう。

 

 チョーカーさんとか圭ちゃんもああ見えて繊細なのでこの光景だけで一気に正気度が削れてしまいます。逆にみーくんは意外と平気なんですよね、まぁそれでも減るには減るので見せないほうが賢明ですけど。

 

《分かったわ。所で【かれら】は居た?》

 

 居ませんねぇ。この様子なら二階は存在しないと考えて大丈夫だと思いますよ? そっちはどうなん?

 

《三階のバリケードは修理は終わって、階段も後処理は終わってるよ。窓の下は見ないほうが良いと思うけど》

 

 放り投げたんやろなぁ。でも高校だとそれしか死体の処理方法無いので仕方がないんですけど、大学とかなら焼却炉にある程度はぶち込めたりするのでもっと手早く出来たりするらしいです。

 

 まぁ、あまり大学編までやったこと無いので詳しくは言えないですけど。実際、大学編ってサバイバルというよりもアドベンチャーって感じになるんですよね。

 

 特にこのキャラなら知力は普通に足りてるので大学に行ったら古文書とか読んでフラグ一気に立ててからランダルコーポレーションに乗り込んでなんやかんやするって流れになると思いますし。

 

「どうする、ことねえ?一旦戻るか?」

 

「皆帰っちゃったみたいだしね~」

 

 動画内では二階の見回りが全て完了してくるみ姉貴から提案が来ましたね。戻りましょうか、バリケードを修復するにも大人組を呼んでちだまりスケッチ化してる二階から一階への階段を掃除しなくちゃいけませんし。

 

 という事で三階、生徒会室に戻りました。ただいま~、バリケードくっそ立派になっててびっくりしたけど、誰がやったん?

 

「慈だよ、琴音が考えたヤツから更に発展させて、今の形に変えたのさ」

 

「今日のあれを見ちゃったらね、もっと頑丈にしたほうが良いんじゃないかって思ったのよ」

 

 おぉ、流石学園生活部NPCの中で知力ダントツ一位だ。どうやらあの戦闘でNPC組もレベルアップしたようでそこからスキルを会得、バリケードの強化に繋げたようですね。

 これなら二階の方も期待できそう、簡易トラップの方は再設置されてなかったのでそこは琴音先生が後でやるとして、ここまでツッコミを入れなかったけど、どうしてみーくんの正気度が不自然に削れてるん?

 

「い、いえ、何でも無いですよ? ただちょっと先生たちが掃除してた階段を覗いてしまっただけです」

 

「あ、もしかして丁度、奴らを窓から放り投げてた時かな?」

 

 ふむ、それにしては削れ方が微量すぎる気がしないでもないですけど、まま、エアロ。それよりも時間が惜しいので直ぐにでも二階の作業したいがよろし?

 

「二階か、ここでも凄い有様だったのに、下とかもっとだろうな」

 

「それでも私達がやるしか無いわ。恵飛須沢さん達はバリケードの方をお願いできるかしら?」

 

「おう、めぐねえのを真似れば良いんだよな?全員で掛かればすぐに終わると思うぞ」

 

 ではせっせと作業しましょうか。っておや、るーちゃんも手伝うって? 階段は覗かないようにと言い聞かせておけば大丈夫かな?

 

「わかった!りーねえ、わたしもお手伝いする」

 

「頼もしいわ、だけど琴音さんが言ったことはしっかり守るのよ?」

 

 美しい姉妹愛だぁ。なんてボケつつ、大人組は階段一つ一つから【かれら】の死体を窓から外に放り投げましょう。【かれら】の死体とかこれもう分かんねぇな(哲学)

 

 こうして掃除してると結構【かれら(小学生)】多いっすね……如何にこのゲームが琴音先生というキャラを腐らせないようにするかを物語ってるかのようですよ。

 そんな事しなくていいから……(憤怒)【決意】が無かったら掃除すら出来んかったわこの元不良は

 

「琴音、大丈夫なの?」

 

 めぐねえが心配そうに見てきますが、正味あれですよね、これって何も感じなくなってるのと同意義なので大丈夫かと言われてもプレイヤー的には首を傾げるしか無いという。

 

 正気度が削れてないからヘーキと言うのは簡単ですけどね。なので大丈夫だと答えますけど、周りからすれば大丈夫という言葉すら薄っぺらい感じなので

 

「そう、無理、しないでね?」

 

「慣れてきたって言えば、聴こえは良いかもしれないけど……慣れたくなかったよこんなのはさ」

 

 それはそう。けど大人組は生徒たちにこんな事させる訳にはいかないので慣れるしかないのよね、さて次の階段行きましょう、にしても一階からも【かれら】の気配がないのはそれはそれで不気味に感じますねぇ。

 

「これって、校内には今は居ないって認識にして良いのかしら」

 

「どうだろ、校庭とかには居るんじゃない?」

 

 実際、敷地内には存在してて、居ないのはあくまで校内だけとなります。まぁ雨が降ってるせいなのか敷地内の【かれら】も、そして街中の【かれら】も数が非常に少なくなっていますが、だからと今のうちに街の物資を回収しに行こうとするとそこら中から悲鳴とこちらを認識した生存者が助けてくれとか声を掛けてきて色々と大変なことになるのでオススメしません(3敗)

 

 あ、そうだ(唐突)犬山お姉さん、今日はワンワンワン放送局はどうするんです? 多分時間的には放送時間には間に合うと思いますけど

 

「やるつもりだよ、寧ろこういう時だからこそ、ワンワンワン放送局は無事だったと知らせるほうが良いかなって」

 

「確か、今回は胡桃さんと圭さん、でしたか?」

 

 そうそう、また珍しい組み合わせになったなとか思いましたねぇ! あ、そこで何ですが【かれら】の生態について少し語るのはどうっすか?

 

「生前の記憶を頼りに動いてるとか音に敏感とかって言うことを? そうか、情報を共有しておけば聞いてる方も助かるかもしれない、か」

 

「確かに、情報は知っておくだけでも無駄にはなりませんからね。二人のトークで盛り上げつつ、そういうのも今後は混ぜていくのは良い案だと私も思います」

 

 ヨシ!(るーちゃん猫)コレの狙いは、聴いてる誰かを助けられるかもしれないという希望からの追加の正気度回復です。『雨の日』が厄介なのは防衛戦もそうですけど、その後の正気度のフォローですからね。

 

 それをワンワンワン放送局という今回使えるカードで一気に回復、最終日までに安全ラインまで持っていこうという計画です。

 

「めぐねえ達!バリケード終わったぞ-!」

 

 おっと、お話が過ぎたみたいですね。大人組も残りをさっさと終わらせてワンワンワン放送局に備えましょうか。

 

「ですね、後少しで終わるので先に戻ってて下さい!」

 

「あ、くるみちゃんと圭ちゃんはラジオの準備しておいてー!」

 

 では、残りは階段から残りの【かれら】の死体を窓から放り投げてるシーンを流しつつ、今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

__________________________________________

 

カツン、カツン、平時でもあまり昇ったことがない屋上へと続く階段。そこを私【直樹 美紀】は昇っていく。

 

 その足取りは重い、だが屋上に呼び出した人物を待たせる訳にはいかない、それにこれは今このタイミングで聞かなければならないことだと自分に言い聞かせて足を無理やり動かす。

 

「ふぅ」

 

 扉を前にして一つ深呼吸してからドアノブに手を掛けたのだがその自分の手が震えてるのを見て思わず自嘲気味に笑ってしまう。

 

 怖いのならばこんな馬鹿な真似しなければいいのにと、けれどもう後には退けないのだからと震えを自分でも驚くくらいに無理やり殺して屋上への扉を開けば彼女は菜園の様子を見ていた。

 

 その姿は何時もと変わらないように見える。いや、何時もと変わらないだろう、もしかしたらあの時に見て、聴こえてしまった全ては私の疑り深い性格が生み出した幻覚と幻聴だったのかもしれないのだから。

 

 いや、そうであってほしいと確認するために私は彼女を屋上に呼び出したのだ。

 

「すみません悠里先輩、急に呼び出してしまって」

 

「いいえ、大丈夫だけど、聞きたいことって何かしら?」

 

 立ち上がり、手に付いた土を払いながら聞いてくる悠里先輩に一瞬の迷いが生じそうになるが

 

「素直に言って下さい。貴女にとって、来ヶ谷先生はどういう存在なのですか?」

 

 普通であれば、意味がよく伝わらない質問だろう。自分でもこんな事聞かれたら何を言ってるのですか? と聞き返す自信だってある。

 

 けれど、今の彼女にならばこれは伝わるはずだ。大群で来た【かれら】が帰った後、放送室に来た来ヶ谷先生に抱き着いてから、偶々私が聴こえたあの言葉を言った悠里先輩には。

 

 そしてそれは間違ってなかったけれど、私は間違っていた。

 

「……そう、やっぱり聴こえてたのね」

 

「質問に答えて下さい」

 

「ふふ、そんなに怖い顔しないで。私はただ、あの人を『お義母さん』だと思いたいってだけなのよ」

 

 穏やかな声だった、穏やかな笑みだった、けれど彼女からの返答を聞いたと同時にゾワッと、二日前の夜に感じたあの寒気を再度味わった。

 

「それって……」

 

「私達姉妹には、もう誰も居ないの。両親も、親戚も、みんな」

 

 私がなにか言うまえにそこから一方的に語られたのは悠里先輩が知ってる真実。来ヶ谷先生が【かれら】になってた二人の母親を殺したということ、持ってた遺書にはそれを前提に動いてたということ、悠里先輩に宛てられた手紙には身寄りになりそうな人たちとの連絡が付かないということ。

 

 語って私にどう感じてほしいのか分からなかった。けれど淡々と語ってる悠里先輩には悲壮感がまるで無かったのが不気味で仕方がなかった。

 

「あの人ね、言ってくれたの。『それでも悠里、なにか困ったこととかがあるなら私に言ってくれ、出来る限りにはなるがなんとかしてみる』って、だから頼ろうって」

 

「来ヶ谷先生はそんな意味で言った訳じゃ無いと思いますよ」

 

 被せるように気付けば私の口は動いていた、だけどこれは間違ってないはずだ、来ヶ谷先生のことだ、親代わりになろうとかって意味じゃ。けれどその言葉に悠里先輩は怒るでも納得するわけでもなく、微笑みを浮かべたまま

 

「えぇ、その時はそうだったでしょうね」

 

「その時、は?」

 

「二日前、るーちゃんが琴音さんをママって呼び間違えた時にその事で話してたのだけど、琴音さんはるーちゃんに約束してくれたの。『けど、瑠璃が、いや、悠里もだな。とにかく、二人がご両親に会えるまで私が、何が起きても私が二人を守る、絶対にだ』って」

 

 ここで、私の中でパズルのピースが全て当てはまってしまった。あの時に見せた驚いてからの笑みの意味を、夕食の時に来ヶ谷先生に見せた歓喜が混ざった歪んだ笑みの意味を、そして深夜に瑠璃ちゃんに膝枕をしながらしていたあの妙絶な笑みの意味が全て理解できてしまった。

 

 そのタイミングで瑠璃ちゃんと約束したのならば来ヶ谷先生の中でそうすると決めたことだろう。彼女は二人の両親が亡くなってることを知ってて、ご両親と会えるまでなんて言葉を使った、それはつまり。

 

「琴音さんは、これからもずっっと、私達の事を見守ってくれるってことよね?」

 

 否定が出来ない。寧ろその通りだろうと思うことしか出来ない、いや、そうじゃない。

 

 ここでそれを私が認めてしまってはいけない。無意識の内に後退りしようとした足を気合で止めて、あの夜に見せた妙絶な笑みを浮かべた悠里先輩を見据えて言い放つ。

 

「そんなの、ただの共依存だ」

 

 目を覚ましてほしかった。確かに来ヶ谷先生はそのつもりで言ったのかもしれないが、悠里先輩の言うような家族としての形になるのは間違っていると。

 

 彼女の責任感の強さはこの数日で理解しているつもりだ。だから今回のそれだって。けれど……私は、悠里先輩を、理解しきれていなかった。

 

「えぇ、共依存よ」

 

「は?」

 

 あっけらかんと言われた言葉に思考が追いつかなくて、今度は私が素っ頓狂な声を上げてしまった。

 

 今、この人はなんて言った? 共依存だと認めた? なんで? 予想外すぎる展開に思考がグチャグチャになって、けれどそれを整理する暇を向こうはくれずに

 

「だって、血も繋がってない私達が家族という形になるには共依存から始めないと難しいでしょ?そこからちょっとずつ形成していくの、持ちつ持たれつの関係にしていかないと。あ、でも安心して、別に私達だけが頼り切りってことじゃないのよ? 琴音さんって何でもかんでも背負い込んで無理しちゃうから、こっちも支えてあげないと壊れちゃうからね。だから今は私達だって頼りにして良いのよって向こうに認識してもらわないといけなくて、けれどそれって結構難しいのよね―――」

 

 今まで見たこと無いような笑顔で悠里先輩が語り始めて、私の頭は遂に何も追いつかなくなった。ただ分かるのはこの人は現実を見てて、見てしまったが故に何かを頼るしかなくて、けれど狂ってるわけじゃないから来ヶ谷先生を困らせないように、それでいて自分たちのお義母さんになってもらうために動いてるんだと。

 

「……」

 

「あ、ご、ごめんなさい私ったら。安心して、別に不和を起こすつもりとか一切ないの、私はただ、ね?」

 

 もしかしたら怯えた表情をしてたのかもしれない、だから今、悠里先輩は困った笑みを浮かべてそう伝えてきてるのだろう。

 

「ただ、この事は琴音さんもだけど、るーちゃんにもまだ話さないでくれると嬉しいわ。勿論、皆にもね?」

 

 ニコリと見る人が見れば女神のような笑みを浮かべながらの言葉、けれど私にそれを断るなんて事が出来るはずがないと向こうは分かってる。

 

 だって、断ったら何をされるか、分からないという恐怖を植え付けてきてるのだから、その事を理解してしまった私はただ頷くことしか出来なかった。




もう、みーくんはりーさんに逆らえないねぇ
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