――前回のあらすじ。
合コンをするため各々が欲しいもので釣って合コンに参加させたミズキ。
そして大人げなく物で釣られた千束とクルミ。
だが合コンの場に現れたのは、予定していた男性グループではなく、DA学園生徒の井ノ上たきなだった。
たきな側も、本来いると思われる粛清対象の男性グループではなく、見知った学校の教師だったことに戸惑いを隠せなかった。
そんなたきなに続いて、同じ3年D組のフキとサクラが入ってくる。
「……おい、こりゃあどういうことだ」
「えー! 合コン相手ってミズキの姉さん方だったんすか!?」
「んなわけあるかバカ」
普段から鋭い表情をした単発の少女春川フキ、そしてそのフキを尊敬し常に行動している同じく単発の少女乙女サクラも、この状況に混乱する。
そして、この状況を整理し、千束はミズキに問いただす。
「……ミズキ先生、これはどういうことで」
「え、えーーー!! いやだって! 私ちゃんと話題のユーチューバーの連中とコンタクト取ったわよ!!」
そのミズキの言葉に、たきなが反応する。
そして、その人物が写った画像をミズキに見せ。
「……ひょっとしてこの人たちですか?」
「そうよ! なんであんたたち思春期のガールがそいつらの合コンを!?」
「この人たち、表ではユーチューバーとして活動してますが裏では若い少女や女性を拉致して裏動画投稿してるヤバイ連中なんですよ。だから私たちリコリスがおとり捜査でそいつらを粛清する予定だったんですが……」
そう、ミズキとたきなが示したグループは同じもの。
そしてたきなの証言により、そのグループは黒な連中なことが判明。
それを聞いて、千束とクルミはミズキをにらみつけ圧力をかける。
「「……おい」」
「え、えっへっへ。そ、そうだったんだな~んだ! こりゃあ危ないところだったわ。じゃなくて! なんでこの場に私たちがぶつかっちゃってんの!?」
なんの偶然か、互いに同じグループを誘ったもの同士がその場に現れてしまったというハプニング。
そんな中、たきなに一本の電話が入る。
「……もしもし、たきなです」
相手は楠木教頭からのようであった。
「私だ。追っていたグループは今から30分前に別のチームが粛清したが。連絡がいってないのか? いつまでもこちらに帰還報告がないのだが……」
その教頭の言葉を聞いて、たきなが折り返し電話をする旨を伝え、別動隊に連絡を行うと。
「ごめんたきな! 連絡忘れてたー!!」
「えー」
別動隊の蛇ノ目エリカが、連絡をすっぽかしていただけだったらしい。
結果としてたきな側が段取りをキャンセルしないままカラオケボックスに入った結果、カラオケボックス側が予約相手をミズキ達だと勘違いしてしまい、結果6人が一つの場に。
つまり、3対3の合コンは。千束、ミズキ、クルミ。方やたきな、フキ、サクラということになるのである。
その状況を飲み込み、たきなは教頭に連絡を入れようとする。
「ちょっと待ちなんし!!」
なぜか廓詞でその連絡を止めようとするミズキ。
「なにするんですか?」
「教頭に連絡するってことはさ、私たちが夜の街で合コンしようとしてたってことがバレるってことじゃーん! それはまずいってたきなちゃん!!」
「いや知ったこっちゃないんですけど……」
とうぜんたきなからすれば大人組が合コンをしようとしてたことなどどうでもいいことなのである。
だがミズキと千束からすれば、合コンやってたなんてあの教頭に知られればいろいろ小言言われてめんどくさいことになるため、教頭には秘密にしてもらいたいのである。
「お願いたきなちゃん! せめて私たちのことは伏せといて!」
「……」
腑に落ちない表情をしながらも、ミズキ達のことは伝えないよう教頭に連絡を入れるたきな。
そしてあらためて、大人組とリコリス組で向かい合って座ってみることに。
「……してどうするのさこの状況」
「傍から見たら学校の教師が自分の学校の生徒を夜の街に連れまわしてるってことにならないかこれ?」
「そうよねぇ!! どう考えてもそうなるわよ!! あーもう合コン楽しみにしてたのにー!!」
「「いやだからそいつらと合コンしてたら今頃一悶着あったんだってば!!」」
今もなお合コンから頭が離れていないミズキに千束とクルミはツッコミをいれる。
一方で、任務が無効になったたきな達が口を開いた。
「して、どうするんですか? 合コンやります?」
「いややらないよね!? 大人と子供だしっていうか女同士だしさ!!」
冷静に言うたきなにミズキも思わず突っ込まずにはいられなかった。
ミズキからすれば全く生産性もない合コンに、それもバレたら学校に怒られるようなシチュエーションなのだから合コンはすぐさま無効にするべきなのである。
「……というか結婚に行き急いでいるミズキ先生はともかく、千束先生がいたのは意外でしたね。結婚願望あったんですねあなた」
「どうしてもっていうからミズキ先生についてきてあげただけですよ千束先生は! ほらそこの二人もそんな目で先生を見るんじゃありません!!」
生徒三人は千束のことをミズキと同類だったんだ、といったような目で見つめていた。
すっかり白けてしまった合コン会場。
合コン目的にしていたミズキ達も、任務を行っていたたきな達もとんだ無駄骨に終わったのである。
合コンは結果として白紙。皆帰り支度をし始める。
「ほらお前ら帰るぞ。こんなとこに長く居て誰かに見られたら変な噂になる。ってことで先生方、私らは帰りますんで……」
「あーフキさ~ん。せっかくなんでラーメンでも食べていきましょうよぉ~」
「僕もラーメン食べに行こうかねぇ。せっかくだしなんだったら君らの分もおごってあげるけど」
「「マジすか!? ごちそうなりまーす!!」」
フキ、サクラはクルミがラーメンをおごってくれるということでラーメン屋へ行くことに。
クルミと千束も席から立ち上がりカラオケボックスを後に……。
たきなも……この場から帰ろうとするはずが。
「ミズキ先生、報酬はきちんともらいますからねぇ」
「も~う、しょうがないわね」
「……ちょっと待ってください」
たきなはこの場を後にしようとする5人を止めた。
もうこの場に用はないはず。なのだがたきなは、この場にいる誰よりもらしくない一言を皆に言い放つ。
「合コン、やらないんですか?」
改めてその問いかけに、この場にいた残り5人は表情をしかめた。
こいつは何を言っているのだろうか。
普段のたきななら、そもそも合コンそのものが意味をなさない、そしてこの状況を誰よりも無駄と感じるような感性を持っているはず。
そんな人物が、なぜか合コンに、しかも手違いで教師と生徒でやることになるわけのわからないものに前向きになっているのである。
「いやいやたきなさん。合コンってのは男と女がいて初めて成り立つものであってね」
そう千束が合コンの生産性について正論を述べると。
その千束の言葉を待っていましたのごとく、挑発的にたきなは千束に言葉を切った。
「なるほど。千束先生は合コンは男と女がいなければ成り立たないものだと。普段ユーモラスがどうだとかノリと勢いだけで教鞭をふるうような破天荒教師が、こんなときだけだけ当たり前のようなつまらないことをおっしゃるんですね」
「あ~らカッチーン☆」
「それを理由に合コンはできないと。そも合コンをする度胸もなかったのでしょう。男を堕とす算段もなかったので逃げるいい口実になりましたね」
「カッチ~ンカッチ~ンカッチ~~ン☆」
(あ……×4)
そのたきなの言葉は、まさに背後からの奇襲。敵をいらだたせる目的にのみ放たれた言葉という投擲。
当然そんなことを言われて天下の千束先生は黙ってはいられない。ここにいる誰もが理解できることである。
実際他4人も、たきなのその挑発的な言葉を聞いてなんとなく察したのである。
ここで千束正論を述べてこの場を離れれば、千束がたきなから逃げたことになるのである。
つまり、自動的にたきなが千束にここは勝利することができるのである。……というか現状勝負になっているのかはわからないのだが。
いい大人なら華麗に切り抜けられるところだが、千束という教師は、そこを譲るはずがない。
上等じゃないかと……。千束は合コンの席へと戻り。
「……やってやろうじゃねえか合コン。誰が男を堕とす算段もないロートルだぁ!? 不愛想な面で君こそ男が寄ってこないと思うんですがねぇたきなさん、あ~失礼顔立ちはすっごいいいですもんねぇ、じゃあ胸ですね? そのぺったんこなお胸じゃ男はひっかからないでしょうねぇ」
「あーはいはい言わせとけば言わせとけば……。あー(怒)」
その二人のやり取りを聞いて、ほか4人は頭を抱えた。
もうこれはバトルの始まり。開幕のベルが今鳴り響いたのがはっきりとわかった。
このまま二人を置いてけぼりにしてこの場から去るのも容易ではあるが、見てないと何するか危険で仕方がないので。
他4人もその場に残ることに。
こうして大人と子供。教師(一人その連れ)と生徒の合コンが始まってしまったのです。
「して、合コンってなにするんだよ具体的に」
そう切り出したのはフキである。
当然生徒3人は合コンなんぞやったことがない。
そんな3人にミズキは合コンの何たるかを説明する。
「そりゃあれよぉ。会話して、場を盛り上げて、色気で男を堕とす。もしくはいい男にを見定めてそのまま持って帰るもしくは持ってってもらう。ってのが定石よ」
「なんかめんどくせぇっすねそれ。男に媚びを売れってことかよ」
「そんな大層なものじゃないわよフキちゃん。それこそいい顔の男がかっこいいこと言ったらときめくのが乙女でしょ~? 男もその逆よ~」
「あ、自分呼びました~?」
「おめえじゃねえ座ってろ」
会話の流れで同じ苗字のサクラが反応する。それを制止するフキ。
ミズキが言っていることがすべてかはわからないが、要は男女ともに相手を手籠めにする。それが合コンということらしい(※諸説あります)。
そんな会話の流れで、サクラが皆に提案する。
「したらあれじゃないっすか。ほら先生方って美女ぞろいじゃないっすか? だったらあたしらの誰かを落としてみてくださいよ~」
そう大人組に言葉を振るサクラ。
千束、クルミ、ミズキは確かに世間的に見ても美人美女美少女とカテゴライズされるであろう。
それを言われて大人組もまんざらでもない顔をしていた。
「えーへっへ。美人だってみんなぁ」
「んもうサクラちゃん口がうまいわぁ」
「逆に落とされてんじゃねえかお前ら……」
なんか知らないがサクラの一言で逆に落とされてしまっていた千束とミズキに突っ込むクルミ。
どうやらサクラは合コン向きの人材だったらしい。こういう打算抜きな純粋無垢な人ほど合コンが得意なのかもしれない。
そんな中、たきなはひらめく。
「つまり、私が千束先生を口説き落とせば私の勝ちになるわけですね」
「お~やってみろ小僧。顔がいいだけじゃあこの千束先生は落とせないぜ~。ぶっちゃけたきなの顔は好みだそれは認めざるを得ない」
「先生気持ち悪いですよ。てか逆にカウンター仕掛けようとしたのバレバレですよ」
「な~に~? やっちまったなぁ~!!」
たきなと千束。互いに口説き落とすどころか、二人の会話が広がるとどんどん言い争いになるのでこれでは勝負が成り立たないのは明白。
どうにかしてこの二人のバトルを成り立たせ、勝敗を決めなければいつまでもこの地獄の合コンからは抜け出せないのです。
そんななかで、サクラがこう提案した。
「だったらさ、みんなでゲームしましょうよぉ。それだったら勝敗が分かれるでしょ?」
「なるほど~。だったらあれよねぇ? 合コンでゲームと言ったらそりゃあ平成初期から決まってる。王様ゲームよねぇ~」
サクラのゲームをするという提案に、ミズキは王様ゲームの提示する。
王様ゲームとは。割りばしに番号と王様マークを描き、それをその場にいる皆でくじのように引き、王様マークを持った人間が番号と命令を口にし、その番号の人は王様の命令通りのことを行う。というもの。
その起源は中世ヨーロッパまで遡るという歴史ある催しものなのである。
ということで6人はさっそく割りばしを用意し、王様マークと1~5までの番号を割りばしの先っぽに書き準備を行う。
これで勝敗がどうつくのかはわからないが。例えば千束が適当に言った番号をたきなが持っていて、その命令を拒否したら千束の勝ち。……という感じなのだろうか。
だがそれはすなわち他の4人のもあらぬ被害が起きるということ。事前に二人にくぎを刺すクルミ。
「千束とたきな。あくまでも番号はランダムだからえぐすぎる命令はしないようにな。僕たちまでお前ら二人の喧嘩に巻き込まれるのはごめんだ」
「はいはいわかってますってぇ~。要は都合よく王様を引いて、都合よくたきなが持っている番号を言い当てればいいわけでしょ~?」
「……あー、そういうことか」
その千束の言葉を聞いて、クルミは。
「誰か目を隠せるようなもの持ってない?」
「うげっ!」
そのクルミの言葉に、千束が苦い表情を浮かべた。
どうやら千束には何かとっておきの作戦があったようである、
それは目を隠せば通用しないものであるようである。
たきなはバッグから対象拘束用のアイマスクを取り出しクルミに手渡す。
「千束は目隠しした状態でくじをひいて。じゃないとゲームが成り立たないから」
「んも~う。私に目隠しして、いやらしいことするつもりだなぁ~」
「いいから早く目隠ししてください(……目を封じたら先生が弱体化する?)」
クルミはさりげなくたきなに対千束の必勝法を教えてしまったような気もするが。
ということで改めて王様ゲームが始まる。
王様だーれだ。という掛け声ののち、皆が割りばしを引き合い。
そして最初の王様になったのは、ミズキだった。
「はいはーい!! 私が王様! 王様の命令は絶対よぉー!!」
他の5人はいきなりめんどくさいやつに王様権が渡ってしまったと不安そうな表情を浮かべた。
合コン経験豊富のミズキは、いきなりなにを命令するのだろうか。
「ん~じゃあねぇ~。2番と4番が、ちゅーするぅぅぅ!!」
「うわいきなりぶっこんできたよこいつ。誤った……先にそういうの禁止にすべきだった」
ミズキのいきなりのド定番でしかも、大体の人が迷惑になる命令を言い放ったのである。
本来は皆が酔いが回ったりノリが沸点に到達したらどうにか成り立つような命令内容である。
するかどうかはさておき、とりあえず2番と4番を確認すると。
「「……」」
――そこには、衝撃の結果が待っていた。
2番を持っていたのは千束。そして4番を持っていたのはたきな……。
それを改めて確認し、皆が頭をかかえる。
「……どうすんだこれ」
フキがもう勘弁してほしいといった面持ちでそう口にする。
当然この二人がはいわかりましたちゅーします。とはならないだろう。
ミズキも何やら申し訳なさそうな表情になり、命令を撤回しようとするが。
「う……う~ん。といったように、番号と命令を言うゲームなのよ。てなわけで仕切り直しを……」
「ちょっと待ってください」
そのミズキの言葉を、たきながさえぎった。
「はい?」
「もうゲームは始まってるんですよね? したら千束先生、やりましょう」
「そうだねぇ……。そうだねぇ!?」
千束もそうだねぇ……。ではないのである。
なんと予想外、たきなはこの命令を拒否しないで実行しようとしているのである。
それはどういうことか。つまりはそういうことである。たきなは千束とキスしてもいいというのである。
……というわけでは当然なく、これもたきなに考えがあり。
「どうしたんです千束先生。まさかとは思いますが、教師ともあろう人間が、物事が決めたルールを守れない……なんて言うはずがありませんよね?」
なんとここまできても、たきなは千束を挑発するのである。
つまり、千束がたきなとキスができないと拒否をすれば、たきなが勝利するのである。
たきなはそれが目的ということ。当然その意図を読み取ってか、千束も黙ってはいられない。
「あーそういうことですかたきなさん。この錦木千束がルールに怖気づいて命令を拒否すると申すか?」
「まあ大人は卑怯ですから。実際先生と生徒がそんなことしたなんて世間にばれたら大変ですもんね。てことでこの勝負は私の勝ちということd」
「やってやろうじゃねえかよぉ!!」
「え?」
千束は某日ハムの野球選手みたいな吹っ切れ具合でたきなの肩をつかむ。
この千束の行動に、今まで冷静を装っていたたきなもさすがに動揺を見せてしまう。
「ちょっ! 先生何考えて!?」
「お前が誘ってきたんだからな? お前が逃げんなって言ったんだから覚悟してもらおうか……」
これはたきなが甘かった。教師としての立場をふるいにかけ千束に参ったを言わせようとした浅はかな考えだったのである。
だが勝負根性が度が過ぎている千束は当然逃げるわけにはいかない。
たきなとキスをする気満々である。もう腹はくくった。ならば進むしかない。乗るしかねぇな、このビッグウェーブに。といった精神である。
こうなると一気に千束が優勢になる。進む千束、拒否するたきな。
「良いはないか良いではないかっ!!」
「ちょっと先生! やめてくだっ! やめっ! ……いやぁぁぁぁぁぁ!!」
バキィ!!
「ごへぇ!!」
キスをする千束に耐え切れず、思いっきりグーで千束を殴るたきな。吹っ飛ぶ千束。
そしてたきなは顔を真っ赤にして、カラオケボックスから逃げるように走っていった。
「……何を見せられてんだ私ら」
「しらないよ」
その奇妙な光景を目の当たりにして、呆けるフキとクルミ。
一方殴られた千束はというと、殴られた頬を気にしたのち、そして勝ち誇ったように立ち上がり。
「……勝ったぁぁぁぁぁ!!」
「は~い解散かいさ~ん(×4)」
この合コン勝負は、千束の勝利で終わった……。勝利とは?