リコリス・リコイル~3年D組の千束先生   作:トッシー00

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第3話です。


第3話:喧嘩するほどなんとやら

 週末。

 千束にとっては貴重な休日。

 普段教師の業務で残業続きの彼女にとって、休みとは楽園である。

 そんな休み、千束は今注目されているスイーツを買いにお菓子屋へと向かっていった。

 

「スイーツスイーツ♪ 限定スイーツ食べて口の中が幸せハッピーらんらんるー♪」

 

 陽気な気分でお菓子屋へと足を運ぶ千束。

 そしてお菓子屋に着くと、すでに客がいっぱいだった。

 今話題の人気スイーツ。すぐに売り切れると聞いている。

 店に入ると、中央の棚に残り一つだけ箱が置かれていた。

 どうやら間に合ったか、千束が箱に手を出すと。

 それと同時にもう一人、箱に手をやるお客がいた。

 その客に目をやると、そこにいたのは……。

 

「「……あ」」

 

 そこにいたのは――たきなだった。

 なんとたきなも同じスイーツを求めに店へとやってきたのだった。

 

「あらあら~。たきなさんじゃないですか?」

「……どうもです」

 

 千束が挨拶をすると、たきながしれっと挨拶を返した。

 相変わらず不愛想な面だなと、千束は濁った表情を浮かべる。

 

「たきなさんも噂のスイーツを買いに? というかたきなさん普段から糖分接種は控えめじゃありませんでした?」

「エリカに買ってきてって頼まれたんです。彼女休日も補修だから」

 

 どうやらたきなは友達のためにスイーツを買いに来たみたいだった。

 これを聞いて、千束はふぅっとため息交じりで。

 

「そうか、したらこれは譲るよ。私は来週にでも買いに来るからさ、二人で食べなよ」

 

 千束は教師、教師ならばこういう場は生徒に譲るというもの。

 この千束の申し出に対し、たきなはというと……。

 

「……いえ、先生こそ普段大変でしょうから、糖分でも取って仕事に励んでください。エリカには売り切れていたと伝えますから」

 

 なんと素直に千束の申し出に応じず、拒否した。

 たきな的には、千束の慈悲は受けたくない……ということなのだろうか。

 

「いやいや、友達のために買いに来たんでしょ? そこで自分の意地を出すところじゃないよね?」

「意地なんてはってません。私個人的に先生にここは譲ろうと思ってるだけですけど」

 

 どこかとげのある言い方に、千束は納得しきれずにいた。

 互いに最後の一戸のスイーツを譲り合い、いつものように言い争いに。

 

「譲るって言ってんじゃん! 素直に先生のやさしさに甘えたらどうなのさたきなさん!!」

「その下心丸出しのやさしさが気に食わないって言ってるんですよ私は!!」

 

 そんな言い争いを聞いて、周りの客がざわつき始める。

 そして、こんな会話がなされていた。

 

「見てみて。カップルが喧嘩してるわよ……」

「ありゃあカップルの喧嘩だな」

「カップルよあれ……」

 

 その周りの会話が、二人にも聞こえたのか……。

 

「カップルですってたきなさん。失礼にもほどがありますなぁ」

「私も先生とそのように見られることは屈辱以外の何物でもありませんよ」

 

 と、二人は散々言い争った結果……。

 

「「……ふん!!」」

 

 どちらもスイーツを買わずに帰って行ったのだった。

 

 ―――数日後。

 

 今日の休日は、クルミと一緒にレトロゲーセンへと足を運んだ千束。

 ここは二人が高校時代からやっているゲーセンであり、そこら辺のゲーセンよりも長く通っている猛者が集まっているという。

 そんな猛者相手に対しても、千束得意の状況判断力、認識力を生かし格ゲーで連勝していく。

 ちなみに今千束がやっている格ゲーはAC北〇の拳である。あまりにもひどいハメ技が多くやる人がかなり限られているコアな格ゲーである。

 

「イエーイ! チサトチャンツヨイサイキョーヤッター!!」

 

 今日も常連客に勝って気分がいい千束。

 それを近くで暇そうに見ているクルミ。

 

「おーいもう10連勝だぞ。そろそろ負けてやれよ千束」

「ふっ……。わざと勝負に負けることこそ、相手への無礼ってもんですぜクルミさん」

「じゃなくて、休日一日いっぱいここにいるつもりかお前は……」

 

 千束は面白ければせっかくの休日は一つの場所にとどまっていても満足できる人間なのである。

 そして千束があまりにも強すぎて、対戦相手がいなくなってしまった。

 10分ほど乱入する人がいなくなってCPU戦をやっていたその時、誰かが乱入してきた。

 

「おー。この千束さんに挑むとは勇敢な。私のジョインジョイントキィでフルボッコにしてやる!」

「お前一緒にゲームしてくれる人いなくなるぞ……」

 

 どんな相手にも一切容赦しない千束。ちなみにそんな千束とまともにやりあえるのはクルミくらいである。

 そして乱入してきた相手を、速攻でハメ殺し圧勝。

 相手はどうやら、ゲーム初心者のようだった。

 

「相手全くの初心者だな。操作がおぼつかない。さすがに手を抜いてあげたらどうだ?」

「ふふふ。初心者だからこそ、世の厳しさを教えてあげるのが教育というもの。その小さな卵が、いつか私を超える日が来るように」

 

 あきれるクルミに対しとかかっこつけてそれらしいことを言っている千束。

 相手の初心者はこれで心を折れたか……と思えば。

 なんと続けて連戦。5連、6連。何回やってもあきらめない。

 

「……この初心者タフだなぁ。いったいどんなやつなんだ?」

「向こう行って見てくれば? まあ小さい子供とかだったら教えてよ、さすがにそれは負けてあげないとねぇ~」

 

 なんやかんや、子供には優しい千束。

 そしてクルミが、相手の筐体の方へ行き、相手がどんな奴かを見に行ってみると。

 そこにいたのは――たきなだった。

 

「……」

 

 クルミはなぜか申し訳ない気持ちになりながら千束の方へ戻り。

 そして一言千束にささやく。

 

「……1回くらい負けてあげた方がいい」

「え? なに? 小さい子供だった感じ?」

「……女子高生だった。とだけ言っておく」

「んじゃ〇すわ~。今どきの若いもんには負けられないってことをお姉さん教えてやらないと気が済まないのよぉ。こうして人は大人になるのよ~」

「……」

 

 すっかり調子に乗ってしまった千束。

 もうどうなっても知らんと、クルミは千束に気もかけずスマホをいじり始める。

 そして千束が20連勝ほどしたあたりで、連コインが止まる。その際癇癪を起こしたような大きな音が聞こえたような気がしたが。

 

「おっ、あきらめましたかな? 世の中の厳しさを学び、そして大人になりなさい少女よ」

 

 とかなんとか千束がふけっていると。

 たきなは千束にバレないように後ろへと回り込み(ちなみにクルミにはバレている)。

 思いっきり助走をつけ、千束の方へと走り出し……。

 

 どがしゃーーーん!!

 

「ぎゃあああああああああ!!」

 

 思いっきり千束の後頭部に向かってたきなは跳び蹴りをかました。

 ゲームの筐体が破損するほどに千束の頭が筐体にのめり込んだ。

 そしてたきなは怒り心頭でその場を跡にした。

 それを見てクルミは思った。だから負けてあげた方がいいって言ったのに……と。

 

 ―――数日後。

 

 今日の千束の休日は、昼食はラーメンとしゃれこもうと決めていた。

 DA学園の近くにある週末の昼は客で込み合うラーメン屋へと足を運ぶ。

 

「店長、やってる~?」

 

 と気分よくラーメン屋ののれんをくぐると。店員のいらっしゃいませの声が聞こえてくる。

 そのラーメン屋では、春川フキがバイトをしていた。

 

「いらっしゃいませ~。あれ先生、昼ご飯食いに来たの?」

「あらフキさ~ん。精が出るね~。でももうちょっといらっしゃいませの声は元気よく言った方がいいと先生は思うゾ☆」

「あーはいはい相変わらずうっざいですね。客じゃなかったら追い払ってるところだよ」

 

 と、いつものように冷たくあしらうフキ。

 席はカウンターしか空いてないほどに混みあっていた。

 あと一人くらい、千束の隣が開いているくらいだった。

 千束が席に着き、注文をしようとすると。

 そこへ客が入ってくる。その客は――たきなだった。

 

「げぇ……」

 

 千束はたきなの姿を見て苦い顔をする。

 最近やたら休日に遭遇している気がする。

 そして遭遇するだけならいいのだが、遭遇すると何かしらバトルを挑まれるので千束としてはめんどくさく思っていた。目が合ったらバトル挑まれるとかポケ〇ンかなとか思っていた。

 たきなはそんな千束には目もくれず、冷静に千束の横の席に座る。

 

「なんだよ、たきなも昼はラーメンかよ」

「はい。たまには麺が食べたいと思ってラーメン屋に来たのですが。まさか千束先生までいたとは」

「いやいやそれはこっちのセリフなんですけどたきなさん。つうかなんで私の休日に行くとこ行くとこ現れるんですかねぇ? 新手のストーカーですか? いい加減警察に被害届出してもおかしくないんですよ千束先生」

「誰が誰のストーカーですか? 私の行くとこ行くとこに待ち構えているのでこちらの方こそ身の毛がよだつ思いですよ」

 

 案の定、隣通しに座ると言い争いを始めた。

 そのやり取りを聞いて、フキは苛立ちと呆れで頭を抱える。

 こちとらバイト中なのにめんどくさいことをするなと心から思う。

 

「あのさ。ここラーメン屋だから。喧嘩するならよそ行ってくれねぇかな」

 

 フキの言ってることは至極全うであった。

 もちろん千束とたきなは喧嘩をするためにラーメン屋に入ったわけではない。そしてわざわざ隣通しで座ったのも、席がそこしか空いてなかったからである。

 互いにラーメンを食べたいからラーメン屋に入っただけで、互いがたまたまそこにいただけなのである。

 

「いやいやわかってますよ。ていうかたきなさんこの前ゲーセンで私を後頭部から蹴り飛ばしたでしょ!? 後ろから教師を蹴りつけるとかどういう教育されてるんですかそちらさんは!?」

「あなたが大人げなくゲームで勝ち誇っているのがムカついたから跳び蹴り食らわせただけなんですが」

「ていうか負けた君が悪いですよね!? ゲームで勝てないからってリアルファイトは筋が通ってねぇ! それは100%そっちが悪いよ!!」

「大人が子供に本気になっているのが大人気ないって言ってるんですよ千束先生は!!」

 

 やっぱり口を開けば言い争い。

 これにはさすがにフキもぶち切れる。

 そして持っていた護身用の木刀を、二人に向けて睨みつけ。

 

「おい、ここはラーメン屋のなかだぞこらぁ……。ラーメン屋の中で話したいならまずはラーメンを頼め。それとほかの客に迷惑だろうがよぉあぁ!? てめえらの痴話げんかのせいで店長が作ったラーメンが不味くなるだろうがよぉおい!!」

 

 そのフキのすごみに、二人が圧倒され口をふさぐ。

 ちなみに、ほかの客の反応はというと。

 

「別に見てて微笑ましいからやってていいんだよね。あれ俗にいう百合カップルってやつだよね」

「カップルよねあれ……」

「喧嘩しちゃってかわいいわよねぇ~」

「「誰がカップルだ誰が!?」」

 

 周りの客は喧嘩するカップルのやり取りだと思って楽しんでいた。

 当然カップルだと思われることは千束とたきなからすればたまったものではないため全力で声をそろえて否定する。

 そんな風景を見て、フキは頭を抱えつつ。

 

「つうかてめえら。飯屋でもめごと起こすってことはつまり治安を乱してるってことだろ? わかるよなぁ? 街の治安を乱すってことは私らリコリスの粛清対象だってことだかんな? 粛清すっぞこらぁ」

「で、でもお母さんたきなが!」

「誰が母さんだ!! お前の母さんになった覚えねぇわ!!」

 

 いつのまにかフキをお母さん呼びする千束。

 確かにこの状況、喧嘩する姉妹を注意するお母さんという風景に見えなくもないのだが。

 というか二人が来店して数分。そろそろ注文をしてほしいところだが。

 

「てか早く飯食って帰れよてめぇら。そしたら好きなだけバトルでもなんでもしていいから」

 

 そうフキが二人を催促すると。

 

「それもそうだね。したら醤油ラーメンで」

「あ、私も醤油ラーメンで」

「おいおい真似すんじゃねえよたきなさんよぉ。今日の私は醤油ラーメンな気分なんだよぉ。醤油ラーメンは私のもんなんだよ」

「なに頼んだって私の勝手でしょ」

「あーてめえら(怒怒怒)」

 

 やっぱり言い争いになる二人にフキの堪忍袋は爆発寸前だった。

 こうなってはあと1時間は終わりそうにない。

 もういっそのこと追い出そうか。そうフキが思った時だった。

 後ろの方からラーメン屋の店長が出てきて。

 

「お客さん。今は激辛ラーメンがおすすめですよ。お二人で食べてみてくださいよ」

 

 と、店長が激辛ラーメンをおすすめしてきた。

 店長のおすすめなら、二人が同時に頼んでも他人の提案を飲むわけだから争いにならない、ということになるのだろうか。

 その流れで、フキは適当な感じでこんなことを二人に向けて言った。

 

「うちの激辛ラーメン他店に比べてもかなり辛いらしいからさ。あれだったら激辛ラーメンを先に完食した方が勝ちってことでさっさと店から出て行ってくんねぇかな」

 

 そのフキの提案に、二人はポンっと手を叩いた。

 ゆえに、今回のバトルは激辛ラーメン早食い勝負だ。早く食べた方が勝者だ。勝者がすべてなのだ。

 そして、激辛ラーメンのメニューを見てみると。何段階か辛さが設定されていた。

 その中でも一番やばい書かれている、アルティメットエクストリームという文言に注目する。

 

「したら私このアルティメットエクストリームで。あーたきなさんは一番優しいからさでもいいですよ、一番辛い奴でも余裕で先に完食して見せますよ」

「……私もこのアルティメットエクストリームで」

 

 当然千束がそんな風に挑発をすれば、たきなも同じものを頼まずにはいられない。

 その二人の注文を聞いて、フキは店長と目を合わせ。

 

「どうします店長。こいつら命知らずですよ?」

「まあいいんじゃないかな。根性はありそうだし」

「「???」」

 

 なにやら聞き流してはいけないことを話している気がするのだが。

 そして数分後、二人の元へ噂の激辛ラーメンが置かれる。

 そのラーメンの色は、言い表すなら紅か。英語で表すならクリムゾンか。

 別の単語で表すならインフェルノか。とにかくそれぐらいの赤、赤、紅だった。

 

「「……」」

 

 思わず二人はそれを見て固まる。

 そしてフキが、そのラーメンについての補足を述べ始めた。

 

「あーちなみにこれ完食者0だから。サクラに1回食べさせたことあるけど確かあいつ食べた後に※※※って感じに※※※ってふうになった」

「それ食っても人体に影響がないものなのフキさん?」

「あー多分大丈夫なんじゃね? でも確かこれ有〇ゼミで出てくるやつの100倍は辛いみたいには聞いてるけど」

「それゴ〇ゴ松本完食できんの?」

 

 どうフキの説明を聞いても、このラーメンは尋常じゃなくやばいものだということが伝わる。

 完食はおろか、一口食べることができるのかすら怪しいしろものだった。

 もう見るだけで目が焼け、においをかぐだけで鼻がどうにかなりそうな食べ物かどうかも怪しく、ほかの客も漂う香りだけで食欲が失せる代物だった。

 だが頼んだ以上は食べるしかない。だって先に完食しないと、勝者にはなれないからだ。

 覚悟を決める千束とたきな。そんな二人を見て、フキはいう必要はないと思いながらも、無駄だとは思いながらもこう言葉を贈った。

 

「ま、出された食い物は……。残さず食べろよ」

「「お母さん……」」

「母さんじゃねえって言ってんだろ!!」

 

 どこかこっか母親な感じなことを言うフキ。

 そして二人の激辛ラーメン完食チャレンジが始まった。

 のだが、どちらもラーメンを口につけようとせず。

 

「……たきなさん、先行はゆずりますよ」

「……いえいえ、先に先生が食べてくださいよ。こういう時は大人が子供に食べて見せるものでしょ?」

「おいおいこういう時だけ大人をたててんじゃないよ卑怯だぞ。あーわかった。じゃあじゃんけんで決めよう。最初はグーでいこう。最初はグーからじゃんけんで先攻後攻を決めるよ」

「最初はグーは絶対に嫌です。最初はチンアナゴーで。クルミさんに教えてもらいました」

「あのチビ余計な入れ知恵教えやがって……」

 

 実は隠れて千束への必勝法をたまにクルミに聞いているたきな。

 結局たきなの提案を飲み、じゃんけんをすることに。

 

「「最初はチンアナゴー!! じゃんけんホイ!!」」

 

 そして珍妙なじゃんけんをすると、千束がグー、たきなはチョキで千束の勝ち。

 

「よっしゃ勝ったぁぁぁ!! さあ先にそのラーメンを食べる権利をあげるわ!!」

「くっそぉぉぉ……」

 

 まだ勝負は始まってない。ただじゃんけんで先攻後攻を決めただけである。

 もういい加減帰ってくれないかな……。フキは心からそう思いながら二人を見ていた。

 こうして、たきなはごくりと唾を飲み込み。意を決して、最強の激辛ラーメンを口にした。

 

「……がおぉぉぉぉ!!」

「ぎゃああああああああああああ!!」

 

 たきながラーメンを食べた瞬間、たきなが怪獣のごとく炎のブレスを吐き出した。

 そしてそのブレスがフキに命中する。

 

「髪が! 髪が燃えてるぅぅぅ!!」

 

 食べたら炎を吹き出す激辛ラーメン。

 そして普段クールなたきなが本気で苦しんでいる。

 それを見て千束がこれはやばいと改めて震撼する。

 

「げほっ!!げほっ!! さ、さあ……。先生も食べてみてくださいよ」

「うっ……。あ、あー私やらなきゃいけない仕事あるの思い出した―。きょ、今日のところはおあずけにしといてあげるわ。じゃ……じゃあ先生はこれで失礼するn」

「逃げるな黙って食えぇぇぇぇぇ!!」

 

 この場から逃げ出そうとする千束。

 たきなはそんな千束の肩をつかみ、こちらの方へ引き寄せ。

 そしてラーメンを無理くり口の中に突っ込む。

 

「ファァァァァァァ!!」

「ぎゃあああああああああああ!!」

 

 ラーメンを口にした千束は、光線のようなビームをフキに放った。

 フキは先のこともあり鍋でガードしていたのだが、その鍋を貫通しフキに直撃しフキは厨房の奥まで吹っ飛ばされる。

 

「鍋貫通したんだけどぉぉぉ!!」

 

 食べたら光線を吐き出す激辛ラーメン。

 のたうち回る千束。

 改めて思う、こんなラーメン、完食すらできるかどうか……。

 

「がほっ! げほぉぉぉ!!」

「せ、先生ギブアップですか? 先にギブしてくださいよ、い、潔さもたまには必要ですよ?」

「ぐっ! たきなさんこそ先にギブアップしてはどうです。あきらめも肝心なことがありますよ」

 

 互いにギブアップを言わせようとする。だが当然ギブアップしたら負けになるので互いにギブアップを言わない。

 ということは、どういうことになるかというと……。

 

「「……意地でも先に食ってやるよぉぉぉぉぉ!!」」

 

 となるのである。

 人体に影響を及ぼす、命に危険すらある最強の激辛ラーメンを。互いに炎と光線を吐きながら食べ進める(その度にフキがダメージを受ける)。

 そして互いに意地とプライドと根性で食べ進め、互いに残り数口。

 

「げほっ! げほっ!! 店長、エアロ〇ミス流してくださーい!!」

 

 千束が何を言っているかというと、某番組で激辛を食べる企画の終盤で、よくエアロ〇ミスのミスア〇ング(アル〇ゲドンのテーマ)が流れる演出がある。たぶんそれのことを言っていると思われる。

 そして流れのままエアロ〇ミスを流してもらい。千束とたきなは苦しみ最後まで食べ進め……。

 その結末はというと……。

 

「……同時だわ」

 

 フキが判定する限り、食べ終わったのはほぼ同時。

 これでは勝敗がつかない。結果は引き分けである。

 

「……これで満足しただろ。さっさと金払って帰ってくれ」

 

 そうフキが二人を追い出そうとすると……。

 

「「……二杯目おかわりで決着つけるぞ!!」」

「…………」

 

 ―――翌日。

 

 授業中、サクラとフキはこんな会話をしていた。

 

「フキさーん。先生とたきなさっきから授業中に何回も出て行ってなにやってんすかね?」

「15回目のトイレ」

「うっわばっちいっすね笑」

 

 今回の勝負、結果としては共倒れで幕を閉じた。




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