妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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十話

 高校に入学してから、早くも2ヵ月が経った。

 今は6月で、梅雨真っただ中だ。

 ずっと雨が降ってて、なんだか気分が上がらない。

 いや、理由はそれだけじゃないんだけど......。

 

「はぁ......。」

「どうしたの?」

「なんだか、うまく距離が縮まらないんだよね。」

「あぁ......。」

 

 明日香と六花はあこの話を聞いて、呆れたような声を出した。

 失礼しちゃうよ。これでも、まじめに悩んでるのに。

 

「別に仲良さそうじゃん。何が不満なの?」

「だって、付き合おうって思ってるんだよ!?このままじゃ、一生そこそこ仲のいいクラスメイトだよ!」

「確かに......。」

 

 なんだか、いまいち距離が縮まらない。

 白石君はずっと優しいし、喋ってて楽しい。

 けど、もう一歩、何かが足りない感じがする。

 

「これって、まさか、倦怠期......!?」

「付き合ってないんじゃ......。」

「いや、ある意味ではあっている......のかな?」

 

 やっぱり、2ヵ月も一緒にいると落ち着いちゃうのかな。

 4月くらいに比べて、距離が縮まっていってる気がしない。

 普通にいつも一緒にいる友達って感じだ。

 どうしよう......。

 

「彼女になりたいのに、なんだか遠ざかってる気がするよ......。」

「まぁ、このままの関係で行くと、そうなりそうだね。」

「うあー!」

「あ、あこちゃん、落ち着いて......。」

 

 このままじゃダメだ!

 なんとか、行動起こしていかないと。

 

「ど、どうしよう......?」

「って言っても、最近はずっと雨だし、遊びに行くにもね......。」

「そうなんだよねー......。雨だから......ん?」

「どうしたの?」

 

 そうだ、雨だ。

 ラブコメとかで、よくあるイベントであった!

 これなら、すぐにできる......かも!

 

「あ、あのね!一ついいアイディアがあって!」

 

 あこは2人に思いついたことを伝えた。

 

 梅雨って、雨ばっかりでジメジメするし、髪もまとまらなくていいことないけど。

 折角だから、梅雨って時期を利用しよう!

 あこはそんなことを考えながら、白石君が学校に来るのを待った。

____________________

 

 放課後、あこは正面玄関で1人立ってる。

 手には鞄しか持っていない。

 

 梅雨なのに傘持ってないのって思うかもしれない。

 けど、これがあこの作戦なんだよ!

 

(は、早く来ないかなー?)

「__どうしたんだ?こんなところで。」

「あ、し、白石君!///」

 

 少しすると、白石君が歩いてきた。

 まぁ、来るのはわかってたんだけどね!

 だって、ダッシュでここまで来たもん!

 

「どうしたんだ?傘、持ってないのか?」

「え、えっとぉ、学校来る途中に壊れちゃって。」

「そうなのか。」

 

 あこは壊れた傘を指さしながらそう言った。

 これは実際に壊したわけじゃなくて、職員室で借りてきた。

 本物の傘はおねーちゃんに持ってもらってる。

 

「俺のを貸そうか?」

「え!?」

 

 ここでアクシデント!

 あこの予想以上に白石君は優しかった。

 予定だと、今くらいに解決策を一緒に考えてるはずだったのに。

 

「そ、それだと白石君が濡れちゃうよ!?」

「いや、俺は別に大丈夫__」

「それはダメだよ!ちゃんと、2人が濡れない方法を考えないと!」

「そ、そうか。」

(あ、危ない。)

 

 なんとか軌道修正できた。

 これ、あこからガンガン押していかないと。

 

「そ、その、そこで、あこから提案があるんだけど......///」

「?」

「相合傘とか、どうかな......?///」

 

 あこは恥ずかしいながらも、なんとか言い切った。

 ど、どうだろう?

 受け入れてくれるかな?

 

「あぁ、その手があったか。いいぞ。ついでに送っていくよ。」

「!///」

 

 う、受け入れてくれた!

 もうちょっと時間かかるかと持ってたけど、よかった!

 

 これで、白石君と相合傘できる!

 

「じゃあ、行くか。」

「うん!///」

 

 そう言って、白石君が傘を開いて、あこはそこにお邪魔した。

 正直、校門から出た時点で満足感すごかったけど、まだまだこれから。

 

 あこは密かにそう意気込んで、白石君の隣を歩いた。

____________________

 

 ドクンドクンっていう心臓の音が聞こえる。

 自分が緊張してるのがよくわかる。

 あこから言ったことだけど、いざその状況になると何すればいいかわからない。

 

(ど、どうしよう!?///学校からずっと無言だよー!///)

 

 ここまで近くにいると、いつも通りでいられない。

 あのデートの日も、もうちょっと距離あったし......。

 ていうか、こんなに近くにいたことないよー!

 

「どうした、宇田川?」

「な、なんでもないよ!///」

「そうか?」

 

 つい、声が大きくなっちゃった。

 これじゃ、変な子だって思われる!

 

 な、なんとかしないと。

 

「し、白石君は、今日の学校どうだった?///」

「学校か?まぁ、いつも通りだったな。」

「そ、そうだよねー///」

 

 なんか、母親みたいなこと聞いちゃった。

 

 こんな調子じゃ、あこの気持ち、白石君にばれちゃうよ!

 ......いや、それはバレてもいいんじゃないかな?

 

「宇田川と一緒だと、学校がにぎやかでいつも楽しい。」

「!?///」

 

 白石君は微笑みながらそう言った。

 やばい、うれしすぎる。

 

 ていうか、これって脈ありじゃない!?

 普通こんなこと言わないよね!?

 

「あ、あこも白石君といると楽しいよ!///」

「はは、そうか。よかった。」

(これ、どうしよう......!?///)

 

 なんだか、行けそうな気がしてきちゃうよ!?

 白石君って、ほんとにあこのこと好きなんじゃない!?

 もしそうなら、どうしよう!?

 

「あ、あの、白石君って......///」

「?」

「あ、あこのこと、どう思ってる.......?///」

 

 あこはそんなことを聞いてしまった。

 どうしても気になったから。

 だって、白石君はああいうこと軽く言う人じゃないもん。

 

「どう......か。」

「......///」

 

 ドクン、ドクンって、うるさいくらいに心臓が動いてる。

 ライブとは違ったドキドキだ。

 これが、告白するときの気持ちなのかな?

 

「この気持ちを適切に表す言葉を、俺は知らない。」

「!?///」

「って、これじゃ回答にならないか。」

 

 白石君は笑みを浮かべたまま、そう答えた。

 

 言葉で表せないくらいの気持ちってことなの!?

 それってもう好きと同じなんじゃない!?

 これ、押せば行けちゃう!?

 

「あ、あこは__」

「っ!危ない!」

「!?」

 

 いざ告白を......そう思った瞬間、白石君が聞いたこともないような大声を出した。

 それと同時に、何かに包み込まれた。

 

 そのまま、バッと飛びのいて、その数秒後、その場所には一台の車が民家の外壁に衝突した。

 

「こ、これは......」

「雨で滑ったんだろう。危なかった。」

 

 もし、あのまま止まってたら......。

 そう考えると、ゾっとする。

 また、白石君に助けられた。

 

「とりあえず、警察と救急車を呼ぶ。宇田川はここで待っててくれ。」

「う、うん。」

 

 白石君はそう言うと、あこに傘を預けて、車のほうに走っていった。

 流石だ。こんな状況でも冷静に対応してる。

 あこは、全然動けないのに。

 

(.......なんだろう、この感じ。)

 

 今、白石君に抱きかかえられたとき、変な感じがした。

 ほんとならドキドキするはずなのに、違和感のほうが強い。

 なんだろう、これ......。

 

(あの時の、ナニカ......。)

 

 そうだ、それだ。

 なんとなくだけど、似てるんだ。

 白石君と、ナニカは。

 

「大丈夫ですか?」

 

(全然、違うはずなのに......。)

 

 関係ないはずなのに、なぜかそう思えない。

 だって、ほんとにソックリなんだもん。

 白石君とナニカに、抱き締められた感じが.......。

 

 

 

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