高校に入学してから、早くも2ヵ月が経った。
今は6月で、梅雨真っただ中だ。
ずっと雨が降ってて、なんだか気分が上がらない。
いや、理由はそれだけじゃないんだけど......。
「はぁ......。」
「どうしたの?」
「なんだか、うまく距離が縮まらないんだよね。」
「あぁ......。」
明日香と六花はあこの話を聞いて、呆れたような声を出した。
失礼しちゃうよ。これでも、まじめに悩んでるのに。
「別に仲良さそうじゃん。何が不満なの?」
「だって、付き合おうって思ってるんだよ!?このままじゃ、一生そこそこ仲のいいクラスメイトだよ!」
「確かに......。」
なんだか、いまいち距離が縮まらない。
白石君はずっと優しいし、喋ってて楽しい。
けど、もう一歩、何かが足りない感じがする。
「これって、まさか、倦怠期......!?」
「付き合ってないんじゃ......。」
「いや、ある意味ではあっている......のかな?」
やっぱり、2ヵ月も一緒にいると落ち着いちゃうのかな。
4月くらいに比べて、距離が縮まっていってる気がしない。
普通にいつも一緒にいる友達って感じだ。
どうしよう......。
「彼女になりたいのに、なんだか遠ざかってる気がするよ......。」
「まぁ、このままの関係で行くと、そうなりそうだね。」
「うあー!」
「あ、あこちゃん、落ち着いて......。」
このままじゃダメだ!
なんとか、行動起こしていかないと。
「ど、どうしよう......?」
「って言っても、最近はずっと雨だし、遊びに行くにもね......。」
「そうなんだよねー......。雨だから......ん?」
「どうしたの?」
そうだ、雨だ。
ラブコメとかで、よくあるイベントであった!
これなら、すぐにできる......かも!
「あ、あのね!一ついいアイディアがあって!」
あこは2人に思いついたことを伝えた。
梅雨って、雨ばっかりでジメジメするし、髪もまとまらなくていいことないけど。
折角だから、梅雨って時期を利用しよう!
あこはそんなことを考えながら、白石君が学校に来るのを待った。
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放課後、あこは正面玄関で1人立ってる。
手には鞄しか持っていない。
梅雨なのに傘持ってないのって思うかもしれない。
けど、これがあこの作戦なんだよ!
(は、早く来ないかなー?)
「__どうしたんだ?こんなところで。」
「あ、し、白石君!///」
少しすると、白石君が歩いてきた。
まぁ、来るのはわかってたんだけどね!
だって、ダッシュでここまで来たもん!
「どうしたんだ?傘、持ってないのか?」
「え、えっとぉ、学校来る途中に壊れちゃって。」
「そうなのか。」
あこは壊れた傘を指さしながらそう言った。
これは実際に壊したわけじゃなくて、職員室で借りてきた。
本物の傘はおねーちゃんに持ってもらってる。
「俺のを貸そうか?」
「え!?」
ここでアクシデント!
あこの予想以上に白石君は優しかった。
予定だと、今くらいに解決策を一緒に考えてるはずだったのに。
「そ、それだと白石君が濡れちゃうよ!?」
「いや、俺は別に大丈夫__」
「それはダメだよ!ちゃんと、2人が濡れない方法を考えないと!」
「そ、そうか。」
(あ、危ない。)
なんとか軌道修正できた。
これ、あこからガンガン押していかないと。
「そ、その、そこで、あこから提案があるんだけど......///」
「?」
「相合傘とか、どうかな......?///」
あこは恥ずかしいながらも、なんとか言い切った。
ど、どうだろう?
受け入れてくれるかな?
「あぁ、その手があったか。いいぞ。ついでに送っていくよ。」
「!///」
う、受け入れてくれた!
もうちょっと時間かかるかと持ってたけど、よかった!
これで、白石君と相合傘できる!
「じゃあ、行くか。」
「うん!///」
そう言って、白石君が傘を開いて、あこはそこにお邪魔した。
正直、校門から出た時点で満足感すごかったけど、まだまだこれから。
あこは密かにそう意気込んで、白石君の隣を歩いた。
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ドクンドクンっていう心臓の音が聞こえる。
自分が緊張してるのがよくわかる。
あこから言ったことだけど、いざその状況になると何すればいいかわからない。
(ど、どうしよう!?///学校からずっと無言だよー!///)
ここまで近くにいると、いつも通りでいられない。
あのデートの日も、もうちょっと距離あったし......。
ていうか、こんなに近くにいたことないよー!
「どうした、宇田川?」
「な、なんでもないよ!///」
「そうか?」
つい、声が大きくなっちゃった。
これじゃ、変な子だって思われる!
な、なんとかしないと。
「し、白石君は、今日の学校どうだった?///」
「学校か?まぁ、いつも通りだったな。」
「そ、そうだよねー///」
なんか、母親みたいなこと聞いちゃった。
こんな調子じゃ、あこの気持ち、白石君にばれちゃうよ!
......いや、それはバレてもいいんじゃないかな?
「宇田川と一緒だと、学校がにぎやかでいつも楽しい。」
「!?///」
白石君は微笑みながらそう言った。
やばい、うれしすぎる。
ていうか、これって脈ありじゃない!?
普通こんなこと言わないよね!?
「あ、あこも白石君といると楽しいよ!///」
「はは、そうか。よかった。」
(これ、どうしよう......!?///)
なんだか、行けそうな気がしてきちゃうよ!?
白石君って、ほんとにあこのこと好きなんじゃない!?
もしそうなら、どうしよう!?
「あ、あの、白石君って......///」
「?」
「あ、あこのこと、どう思ってる.......?///」
あこはそんなことを聞いてしまった。
どうしても気になったから。
だって、白石君はああいうこと軽く言う人じゃないもん。
「どう......か。」
「......///」
ドクン、ドクンって、うるさいくらいに心臓が動いてる。
ライブとは違ったドキドキだ。
これが、告白するときの気持ちなのかな?
「この気持ちを適切に表す言葉を、俺は知らない。」
「!?///」
「って、これじゃ回答にならないか。」
白石君は笑みを浮かべたまま、そう答えた。
言葉で表せないくらいの気持ちってことなの!?
それってもう好きと同じなんじゃない!?
これ、押せば行けちゃう!?
「あ、あこは__」
「っ!危ない!」
「!?」
いざ告白を......そう思った瞬間、白石君が聞いたこともないような大声を出した。
それと同時に、何かに包み込まれた。
そのまま、バッと飛びのいて、その数秒後、その場所には一台の車が民家の外壁に衝突した。
「こ、これは......」
「雨で滑ったんだろう。危なかった。」
もし、あのまま止まってたら......。
そう考えると、ゾっとする。
また、白石君に助けられた。
「とりあえず、警察と救急車を呼ぶ。宇田川はここで待っててくれ。」
「う、うん。」
白石君はそう言うと、あこに傘を預けて、車のほうに走っていった。
流石だ。こんな状況でも冷静に対応してる。
あこは、全然動けないのに。
(.......なんだろう、この感じ。)
今、白石君に抱きかかえられたとき、変な感じがした。
ほんとならドキドキするはずなのに、違和感のほうが強い。
なんだろう、これ......。
(あの時の、ナニカ......。)
そうだ、それだ。
なんとなくだけど、似てるんだ。
白石君と、ナニカは。
「大丈夫ですか?」
(全然、違うはずなのに......。)
関係ないはずなのに、なぜかそう思えない。
だって、ほんとにソックリなんだもん。
白石君とナニカに、抱き締められた感じが.......。