飯盒炊爨とは、飯盒というものを使い、ご飯を炊くことで、今回はそれに合わせるかれー?というものを作るらしい。
わしの役割はご飯を炊くこと。
そのために火を起こさなければいけないらしい。
(まぁ、術でいいじゃろ。)
指に妖力を集め、それを炎の形に変え、放り投げる。
これは妖術の基礎的な技術......なのかのう?
まぁ、簡単なのじゃ。
「はっくーん!火、起こせた―?」
「あぁ、終わってるよ。」
「すごーい!一番早い!」
妖術使ったからのう。
まぁ、言う必要もなかろう。
それにしても、あこは何用で来たのじゃ?
「どうかしたのか?」
「お米洗い終わったから、飯盒を持ってきたんだよ!」
「そうか。じゃあ、もう火にかけてしまおうか。」
そう言い、あこから飯盒を受け取り、それを網の上に乗せた。
ここからしばらく、様子見になるかのう。
炎は妖力だから消えることはない故、気にする必要はない。
「ねぇねぇ、一緒に見てていい?」
「いいよ。」
「やった!」
あこはそう言い、わしの隣に腰を下ろした。
ふわりと甘いにおいが鼻孔をくすぐってくる。
今の女子とは、不思議な匂いがするのう......
(あこ、調子はどうじゃ?)
(なにこれ!?)
(念話と言うものじゃ。分かりやすく言えば、心の中で会話できるものじゃな。)
まぁ、念話が出来るということは、あこの心も読めるのじゃが。
一応、本人の感覚を聞いておく必要がある。
それに、あまり、あこにそう言う事はしたくないからのう。
(なんだか、ジメジメしてる気がする.....かも。)
(なるほどのう。)
大方、予想通り......と言ったところか。
この分なら、対策は簡単じゃろう。
と言うわけで取り合えず......
「!!」
(わしの癒す妖術が付与された結界じゃ。ジメジメした感じも消えたじゃろう。)
(う、うん。でも、あれって何なの?)
あこは不安そうにそう聞いてくる。
何......か。
どう説明するべきか......
一応、あこにとっては危険になるのかのう。
わしがずっと付いておけるわけでもなし......
(この山には、妖がおる。)
(え!?)
(恐らく、種はそれに反応しているのじゃろう。)
最初こそ気配を感知できたが、今はめっきり消えておる。
そこそこ出来る方の妖じゃな。
まぁ、それだけなんじゃが。
(あまり心配するでない。結界もある。そうそう破られることもなかろう。)
(そ、そうなの?)
(うむ。)
それに、どちらにしても同じじゃ。
あこはわしが守る。
そのための布石もすでにある。
「安心せぇ。」
「!」
わしはあこの頭に手を乗せた。
何ら問題はない。
今のわしなら......
「あのー、お二人さん?ご飯のちょうしはどう?」
「!///」
「あぁ、今はもう待つだけだよ。」
「早いね。こっちももう煮込むだけだから。進行度聞きに来たけど、すごいね。」
そう言い、戸山はふぅっと息をついた。
そして、あこの方に目を向け、口を開いた。
「イチャつくのはいいけど、場所は考えなよ?」
「う、うん///」
「白石君、あこのことお願いね。」
「あぁ。分かってる。」
「じゃあ、ごゆっくりー。」
戸山はそう言い、鍋の方に歩いて行った。
さて、飯盒の様子もちゃんと見なければいけないのう。
あこと話すついでじゃが。
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“あこ”
あれから、ご飯もカレーも出来て、あこたちはお昼ごはんを食べることになった。
木でできた机といすで4人でご飯を食べる。
それはいつもと全然違って、すごくワクワクする。
「いただきまーす!」
あこは手を合わせて、スプーンを持った。
はっくん達も同じようにして、カレーを食べ始めた。
「美味しー!」
「うん、そうだね......!」
「このロケーションでご飯食べることなんて早々ないし、余計にそう感じるかも。」
「まぁ、都会で暮らしてたらそうかもな。」
はっくんはそう言って、ニコニコいてる。
そう言えば、はっくんってもとはどこに住んでたんだろう?
多分、すごい田舎だとは思うんだけど。
「白石君の地元ってどんななの?ここよりも田舎?」
「あぁ。人が住んでるかも怪しいレベルだよ。」
「そ、そんなに......?」
「家も隠れ家みたいな感じだからな。」
多分、ほんとのことなんだろうなぁ。
はっくん、人のいないところに住んでただろうし。
都会に来たのも、あこが生まれてかららしいし。
「あれはあれで、悪い場所ではなかったな。のどかで。」
「へー!行ってみたいなー!」
「いつか、一緒に行けるといいかもな。」
はっくんの故郷かぁ......
どんな場所か想像つかないな。
ここより田舎って......もう建物とかないんじゃないかな?
「その時には両親への挨拶でもするの?」
「ん!?///」
「地元に行くし、恋人だし......嫁入りでもしてきそうだね。」
「な、ななっ!///まだ早いよぉ!///」
「ははは、顔が真っ赤だな。あこ。」
「だ、だってぇ......///」
はっくんに親がいるかは分からないけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
それに嫁入りって......
流石に、それは早すぎるよね......?
「.....いつか、そうなれればいいな。」
「!」
皆で盛り上がるさなか、その言葉だけ、異様にあこの耳に入ってきた。
2人のはっくんが混ざったみたいな、本音が漏れたような声。
けど、一瞬見えた表情は、どこか寂しそうに見えたような気がする。
気のせい、なのかな?