妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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十六話

 飯盒炊爨とは、飯盒というものを使い、ご飯を炊くことで、今回はそれに合わせるかれー?というものを作るらしい。

 わしの役割はご飯を炊くこと。

 そのために火を起こさなければいけないらしい。

 

(まぁ、術でいいじゃろ。)

 

 指に妖力を集め、それを炎の形に変え、放り投げる。

 これは妖術の基礎的な技術......なのかのう?

 まぁ、簡単なのじゃ。

 

「はっくーん!火、起こせた―?」

「あぁ、終わってるよ。」

「すごーい!一番早い!」

 

 妖術使ったからのう。

 まぁ、言う必要もなかろう。

 それにしても、あこは何用で来たのじゃ?

 

「どうかしたのか?」

「お米洗い終わったから、飯盒を持ってきたんだよ!」

「そうか。じゃあ、もう火にかけてしまおうか。」

 

 そう言い、あこから飯盒を受け取り、それを網の上に乗せた。

 ここからしばらく、様子見になるかのう。

 炎は妖力だから消えることはない故、気にする必要はない。

 

「ねぇねぇ、一緒に見てていい?」

「いいよ。」

「やった!」

 

 あこはそう言い、わしの隣に腰を下ろした。

 ふわりと甘いにおいが鼻孔をくすぐってくる。

 今の女子とは、不思議な匂いがするのう......

 

(あこ、調子はどうじゃ?)

(なにこれ!?)

(念話と言うものじゃ。分かりやすく言えば、心の中で会話できるものじゃな。)

 

 まぁ、念話が出来るということは、あこの心も読めるのじゃが。

 一応、本人の感覚を聞いておく必要がある。

 それに、あまり、あこにそう言う事はしたくないからのう。

 

(なんだか、ジメジメしてる気がする.....かも。)

(なるほどのう。)

 

 大方、予想通り......と言ったところか。

 この分なら、対策は簡単じゃろう。

 

 と言うわけで取り合えず......

 

「!!」

(わしの癒す妖術が付与された結界じゃ。ジメジメした感じも消えたじゃろう。)

(う、うん。でも、あれって何なの?)

 

 あこは不安そうにそう聞いてくる。

 何......か。

 どう説明するべきか......

 

 一応、あこにとっては危険になるのかのう。

 わしがずっと付いておけるわけでもなし......

 

(この山には、妖がおる。)

(え!?)

(恐らく、種はそれに反応しているのじゃろう。)

 

 最初こそ気配を感知できたが、今はめっきり消えておる。

 そこそこ出来る方の妖じゃな。

 まぁ、それだけなんじゃが。

 

(あまり心配するでない。結界もある。そうそう破られることもなかろう。)

(そ、そうなの?)

(うむ。)

 

 それに、どちらにしても同じじゃ。

 あこはわしが守る。

 そのための布石もすでにある。

 

「安心せぇ。」

「!」

 

 わしはあこの頭に手を乗せた。

 何ら問題はない。

 今のわしなら......

 

「あのー、お二人さん?ご飯のちょうしはどう?」

「!///」

「あぁ、今はもう待つだけだよ。」

「早いね。こっちももう煮込むだけだから。進行度聞きに来たけど、すごいね。」

 

 そう言い、戸山はふぅっと息をついた。

 そして、あこの方に目を向け、口を開いた。

 

「イチャつくのはいいけど、場所は考えなよ?」

「う、うん///」

「白石君、あこのことお願いね。」

「あぁ。分かってる。」

「じゃあ、ごゆっくりー。」

 

 戸山はそう言い、鍋の方に歩いて行った。

 さて、飯盒の様子もちゃんと見なければいけないのう。

 あこと話すついでじゃが。

__________________

 

 “あこ”

 

 あれから、ご飯もカレーも出来て、あこたちはお昼ごはんを食べることになった。

 木でできた机といすで4人でご飯を食べる。

 それはいつもと全然違って、すごくワクワクする。

 

「いただきまーす!」

 

 あこは手を合わせて、スプーンを持った。

 はっくん達も同じようにして、カレーを食べ始めた。

 

「美味しー!」

「うん、そうだね......!」

「このロケーションでご飯食べることなんて早々ないし、余計にそう感じるかも。」

「まぁ、都会で暮らしてたらそうかもな。」

 

 はっくんはそう言って、ニコニコいてる。

 そう言えば、はっくんってもとはどこに住んでたんだろう?

 多分、すごい田舎だとは思うんだけど。

 

「白石君の地元ってどんななの?ここよりも田舎?」

「あぁ。人が住んでるかも怪しいレベルだよ。」

「そ、そんなに......?」

「家も隠れ家みたいな感じだからな。」

 

 多分、ほんとのことなんだろうなぁ。

 はっくん、人のいないところに住んでただろうし。

 都会に来たのも、あこが生まれてかららしいし。

 

「あれはあれで、悪い場所ではなかったな。のどかで。」

「へー!行ってみたいなー!」

「いつか、一緒に行けるといいかもな。」

 

 はっくんの故郷かぁ......

 どんな場所か想像つかないな。

 ここより田舎って......もう建物とかないんじゃないかな?

 

「その時には両親への挨拶でもするの?」

「ん!?///」

「地元に行くし、恋人だし......嫁入りでもしてきそうだね。」

「な、ななっ!///まだ早いよぉ!///」

「ははは、顔が真っ赤だな。あこ。」

「だ、だってぇ......///」

 

 はっくんに親がいるかは分からないけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 それに嫁入りって......

 流石に、それは早すぎるよね......?

 

「.....いつか、そうなれればいいな。」

「!」

 

 皆で盛り上がるさなか、その言葉だけ、異様にあこの耳に入ってきた。

 2人のはっくんが混ざったみたいな、本音が漏れたような声。

 けど、一瞬見えた表情は、どこか寂しそうに見えたような気がする。

 気のせい、なのかな?

 

 

 

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