妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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二一話

 完全に記憶を取り戻して、あこははっくんと愛を確かめ合った。

 これからは、ずっと2人でいられる。

 と言うわけで、まずは......。

 

「モフモフしてるー......」

「この1000年で初めてじゃ。わしの尻尾を寝床のようにする人間は。」

「だってー、しばらく一緒にいられなかったんだもんー。」

 

 はっくんの尻尾に乗せてもらってる。

 モフモフしてて、暖かくて、良い匂いもして、すごく心地いい。

 毎日ここで寝たいって思える。

 

「こんな風に一緒にいられるなんて、良い時代になったねー。」

「そうよのう。」

「ていうか、今って妖ってどれくらいいるの?あの土地神みたいなのがたくさんいると危ないよね?」

「あぁ、あれはあくまで残滓のようなもの。あれを殺したのはまだ人間の頃だったゆえ、不完全だった。他の人間に害をなす妖はわしが消した。」

「......え?」

 

 今、とんでもないこと言わなかった?

 全部消した?

 あの土地神みたいなやつを全部?

 え、マジで......?

 

「今は、1000年前のような事は起こり得ない。現在に残る妖は、人間社会に溶け込んでおる者か干渉しない者じゃからのう。」

「そ、そうなんだ。」

 

 多分、はっくんは準備してたんだと思う。

 何年後かもわからない、あゆびの生まれ変わりが生れた時の為に。

 陰ながら、今の平和な世界を作ったんだ。

 

「ありがとう。はっくん。」

「礼を言われるようなことではない。ただ、あこと出会い、平和に生きるための準備をしていただけじゃ。」

「もー!///あこのこと好きすぎー!///」

「それは、当然じゃ。」

 

 はっくん、少し照れてるみたい。

 なんというか、愛されてるなー。

 

「さて、そろそろ帰るとしよう。」

「そうだねー。もう、結構な時間こっちにいるし。」

「うむ。では。」

「!」

 

 はっくんはそう言うと、尻尾がある人型に戻った。

 狐の姿もいいけど、こっちの姿の方が親しみあっていいな。

 あこの人としての価値観で言うと、かっこいいし......。

 

「では、あこ、目を瞑ってくれ。」

「うん!」

「このまま、あこの部屋に直接飛ぶぞ。」

 

 そう言うと、あこは不思議なものに包まれたように感じた。

 正直、どういう術を使ってるのか気になるけど。

 はっくんが目を瞑ってて言ってるし、危ないことがあるんだと思って、素直に目を瞑ってた。

__________________

 

「あけてよいぞ。」

 

 数秒が経ってそう言われ、あこは目を開けた。

 そうすると、見慣れた景色が目に映った。

 ほんとに部屋に帰ってきてる。

 

「これって、どんな術使ってるの?」

「分かりやすく言えば、速く移動してるだけじゃ。見れば怖いと思って、目を瞑ってもらっていたのじゃ。」

「そう言う理由!?」

 

 な、なんかマズいことでもあるのかと思ってた。

 でも、ここからあんな森の中まで一瞬で移動してるし。

 やっぱり、凄い速さなんだね。

 確かにちょっと怖いかも。

 

「では、わしは行くとしよう。」

「え、もう行っちゃうの?」

「あまり部屋に長居するのもよくないじゃろう。」

「でも、記憶を取り戻して、一緒にいられるようになったのに......」

 

 出来れば、今日は一緒にいたい。

 はっくんを近くに感じてたい。

 

「ふむ。ならば、一緒に眠るか?」

「え!?///」

「もう、夜も深い。わしも睡眠をとるし、ちょうどいいじゃろう。」

 

 まさか、はっくんがこんなことを言うなんて。

 嬉しいけど、少し緊張する。

 いや、はっくんだし、何も起こらないと思うけど......。

 

「じゃあ、一緒に寝よっか......///き、着替えるから、ちょっと目瞑ってて......///」

「ふむ。分かった。」

 

 そう言うと、はっくんは目を閉じた。

 それを見て、あこはパジャマに着替え始めた。

 

 けど、すぐに気付いた。

 はっくんの目の前で、裸になってる。

 気にしちゃうと、恥ずかしさが止まらない。

 

(は、早く、パジャマ着よ......///)

 

 あこはそそくさとパジャマを着た。

 そして、何回か深呼吸をして落ち着いて。

 その後にはっくんに声をかけた。

 

「も、もういいよ......///」

「ふむ。む、どうした?顔が赤いが。」

「だ、大丈夫だよ!///ほら、早く寝よ!///」

「そうよのう。」

 

 あこはそう言って、ベッドに入った。

 そして、少しだけ心の準備をして、はっくんを呼んだ。

 

「おいで、はっくん......///」

「うむ。」

 

 はっくんがベッドに入ってくる。

 尻尾を消したみたいで、思ってたよりもスペースがある。

 なんていうか、便利な体だなー。なんて、思ってみたりした。

 

(し、心臓の音、大きすぎ///はっくんに聞こえてないかな......?///)

「......良き時代だ。兄とこのように共にいられる日など、1000年前は想像も出来なかった。」

「!」

 

 はっくんはあこを抱きしめながらそう言った。

 そうだ。

 あこと違って、はっくんは1000年も待ってたんだ。

 嬉しさは、あこよりもずっと大きいと思う。

 

「これからは、ずっと一緒だよ......///」

「そうよのう。」

 

 ずっと一緒......。

 言うは易し、なのかな。

 はっくんの言葉で少し冷静になれて、少し考えた。

 

 あことはっくんは違う。

 ずっと一緒にいるには、乗り越えないといけない課題がある。

 それは......。

 

「ねぇ、はっくん。あこね、はっくんとずっと一緒にいたい。これはあこの願いでもあるけど、はっくんに寂しい思いをしてほしくないのもあるの。」

「あこは優しいのう。」

「だから......」

 

 今まで、少し考えて、無理だと思ってた。

 けど、はっくんの記憶を見て、無理じゃないってわかった。

 もしかしたら、はっくんは出来るかもしれない。

 

「あこも、はっくんと同じになりたい。」

「同じ?」

「妖になりたい。」

「っ!(それは......)」

 

 あこははっくんを見つめながら、そう言った。

 もう、はっくんに寂しい思いをしてほしくない。

 また、あこの生まれ変わりを待つ時間なんて過ごしてほしくない。

 

 だから、あこが永遠に一緒にいる。

 

 

 

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