完全に記憶を取り戻して、あこははっくんと愛を確かめ合った。
これからは、ずっと2人でいられる。
と言うわけで、まずは......。
「モフモフしてるー......」
「この1000年で初めてじゃ。わしの尻尾を寝床のようにする人間は。」
「だってー、しばらく一緒にいられなかったんだもんー。」
はっくんの尻尾に乗せてもらってる。
モフモフしてて、暖かくて、良い匂いもして、すごく心地いい。
毎日ここで寝たいって思える。
「こんな風に一緒にいられるなんて、良い時代になったねー。」
「そうよのう。」
「ていうか、今って妖ってどれくらいいるの?あの土地神みたいなのがたくさんいると危ないよね?」
「あぁ、あれはあくまで残滓のようなもの。あれを殺したのはまだ人間の頃だったゆえ、不完全だった。他の人間に害をなす妖はわしが消した。」
「......え?」
今、とんでもないこと言わなかった?
全部消した?
あの土地神みたいなやつを全部?
え、マジで......?
「今は、1000年前のような事は起こり得ない。現在に残る妖は、人間社会に溶け込んでおる者か干渉しない者じゃからのう。」
「そ、そうなんだ。」
多分、はっくんは準備してたんだと思う。
何年後かもわからない、あゆびの生まれ変わりが生れた時の為に。
陰ながら、今の平和な世界を作ったんだ。
「ありがとう。はっくん。」
「礼を言われるようなことではない。ただ、あこと出会い、平和に生きるための準備をしていただけじゃ。」
「もー!///あこのこと好きすぎー!///」
「それは、当然じゃ。」
はっくん、少し照れてるみたい。
なんというか、愛されてるなー。
「さて、そろそろ帰るとしよう。」
「そうだねー。もう、結構な時間こっちにいるし。」
「うむ。では。」
「!」
はっくんはそう言うと、尻尾がある人型に戻った。
狐の姿もいいけど、こっちの姿の方が親しみあっていいな。
あこの人としての価値観で言うと、かっこいいし......。
「では、あこ、目を瞑ってくれ。」
「うん!」
「このまま、あこの部屋に直接飛ぶぞ。」
そう言うと、あこは不思議なものに包まれたように感じた。
正直、どういう術を使ってるのか気になるけど。
はっくんが目を瞑ってて言ってるし、危ないことがあるんだと思って、素直に目を瞑ってた。
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「あけてよいぞ。」
数秒が経ってそう言われ、あこは目を開けた。
そうすると、見慣れた景色が目に映った。
ほんとに部屋に帰ってきてる。
「これって、どんな術使ってるの?」
「分かりやすく言えば、速く移動してるだけじゃ。見れば怖いと思って、目を瞑ってもらっていたのじゃ。」
「そう言う理由!?」
な、なんかマズいことでもあるのかと思ってた。
でも、ここからあんな森の中まで一瞬で移動してるし。
やっぱり、凄い速さなんだね。
確かにちょっと怖いかも。
「では、わしは行くとしよう。」
「え、もう行っちゃうの?」
「あまり部屋に長居するのもよくないじゃろう。」
「でも、記憶を取り戻して、一緒にいられるようになったのに......」
出来れば、今日は一緒にいたい。
はっくんを近くに感じてたい。
「ふむ。ならば、一緒に眠るか?」
「え!?///」
「もう、夜も深い。わしも睡眠をとるし、ちょうどいいじゃろう。」
まさか、はっくんがこんなことを言うなんて。
嬉しいけど、少し緊張する。
いや、はっくんだし、何も起こらないと思うけど......。
「じゃあ、一緒に寝よっか......///き、着替えるから、ちょっと目瞑ってて......///」
「ふむ。分かった。」
そう言うと、はっくんは目を閉じた。
それを見て、あこはパジャマに着替え始めた。
けど、すぐに気付いた。
はっくんの目の前で、裸になってる。
気にしちゃうと、恥ずかしさが止まらない。
(は、早く、パジャマ着よ......///)
あこはそそくさとパジャマを着た。
そして、何回か深呼吸をして落ち着いて。
その後にはっくんに声をかけた。
「も、もういいよ......///」
「ふむ。む、どうした?顔が赤いが。」
「だ、大丈夫だよ!///ほら、早く寝よ!///」
「そうよのう。」
あこはそう言って、ベッドに入った。
そして、少しだけ心の準備をして、はっくんを呼んだ。
「おいで、はっくん......///」
「うむ。」
はっくんがベッドに入ってくる。
尻尾を消したみたいで、思ってたよりもスペースがある。
なんていうか、便利な体だなー。なんて、思ってみたりした。
(し、心臓の音、大きすぎ///はっくんに聞こえてないかな......?///)
「......良き時代だ。兄とこのように共にいられる日など、1000年前は想像も出来なかった。」
「!」
はっくんはあこを抱きしめながらそう言った。
そうだ。
あこと違って、はっくんは1000年も待ってたんだ。
嬉しさは、あこよりもずっと大きいと思う。
「これからは、ずっと一緒だよ......///」
「そうよのう。」
ずっと一緒......。
言うは易し、なのかな。
はっくんの言葉で少し冷静になれて、少し考えた。
あことはっくんは違う。
ずっと一緒にいるには、乗り越えないといけない課題がある。
それは......。
「ねぇ、はっくん。あこね、はっくんとずっと一緒にいたい。これはあこの願いでもあるけど、はっくんに寂しい思いをしてほしくないのもあるの。」
「あこは優しいのう。」
「だから......」
今まで、少し考えて、無理だと思ってた。
けど、はっくんの記憶を見て、無理じゃないってわかった。
もしかしたら、はっくんは出来るかもしれない。
「あこも、はっくんと同じになりたい。」
「同じ?」
「妖になりたい。」
「っ!(それは......)」
あこははっくんを見つめながら、そう言った。
もう、はっくんに寂しい思いをしてほしくない。
また、あこの生まれ変わりを待つ時間なんて過ごしてほしくない。
だから、あこが永遠に一緒にいる。