妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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二二話

 妖になりたい、そう思ったのは記憶が戻ってすぐだった。

 あゆびの願いは愛した人とずっと一緒にいること。

 けど、昔は身分が、今は種族が違う。

 はっくんは多分、これから永遠に生きていくと思う。

 そうなったら、また、一緒にいられない。

 だから......。

 

「はっくんなら、出来るんじゃないかと思って。」

「......ふむ。」

 

 はっくんは何かを考えこんでるように見える。

 多分、あこが妖になることを、はっくんは渋ると思う。

 あの記憶を見れば、妖になるのがどういうことか分かるから。

 

「妖になることは可能じゃ。じゃが、あまりおすすめはせんのう。妖は文字通り永遠の命。その時を生きていくのは、苦しいものとなる。」

「でも、2人なら大丈夫だよ。」

「!」

 

 多分、1人で生きていくなら気が狂うと思う。

 はっくんがこうしているのも、特別だからだと思う。

 でも、2人なら......。

 

「一緒にいれば、大丈夫。あこが妖になって、ずっとはっくんといて。それに、ずっと2人きりとも限らないから。」

「......っ!」

 

 あこははっくんを抱きしめた。

 大きくて、人間とは少し感触が違う。

 絹にでも触れてるような感じがする。

 

「はっくん......///」

「あこ......?」

「あこと、永遠に愛し合おう?///いつか出来るかもしれない、子ども達と、幸せに暮らそう......?///」

「......」

 

 多分、今のあこは今までと少しだけ違う。

 あゆびの意思とあこの意思が、混ざってるんだと思う。

 だって......はっくんへの感情が、おかしくなってるから。

 自分の身体も命も、はっくんにあげてしまいたい。

 だから、気の狂いそうな永遠の時間位、どうってことないように感じる。

 

「......それも、悪くはないのかも知れぬ。」

「!」

「方法はある。あこが望むなら、いつでもよい。」

「今すぐでもいいよ。」

「......ふむ。ならば。」

「!」

 

 はっくんが小さく呟くと、周りの景色が変わった。

 いつもの結界だ。

 さっきまで寝転んでたのに、いつの間にか座ってた。

 

「妖になる方法は色々あるが、そのほとんどは不完全なものとなる。例えば、地縛霊などのような者どもは元の姿とは程遠いものとなる。」

「だから、一度死んで妖になるのはダメってことだね。」

「その通り。完全な自我を持ちつつ、姿を保ったまま妖になるには。」

「妖の体の一部を取り込む。」

「ふむ。その通りじゃ。」

 

 はっくんの記憶を見れば、すぐに分かった。

 はっくんは土地神の心臓を取り込んで妖になった。

 妖とはいえ、神様に近い存在だったから、はっくんは強くなった。

 でも、多分......。

 

「何も、わしのように心臓を取り込む必要はない。妖の力を体内に入れることに意味がある。」

「つまり、どうするの?」

「わしの血を飲むのが、最も簡単だろう。」

「うん。そう、だよね。」

 

 人間として、血を飲むことには抵抗がある......と言うことは特にない。

 いや、他の人や妖なら嫌だけど。

 はっくんのなら、むしろ嬉しいかな。

 

「心の準備は良いか?」

「うん。」

「では。」

 

 はっくんはあこの方に人差し指を出して、次の瞬間、スパッと指先が切れた。

 鮮血がポタポタと滴り落ちてる。

 それを見てると、ドキドキする。

 

「じゃあ、飲むよ。」

「うむ。」

「......んっ。」

 

 はっくんの指に口をつけると、鉄っぽい味がした。

 血の味は人間と変わらないんだ。

 

「ぷはっ。これでいいの?」

「ふむ。すぐに始まるであろう。」

「え、始まる__っ!」

 

 はっくんが話した瞬間、心臓がドクンと跳ね上がった。

 次に、体中が熱を帯びていく。

 まるで、人間の部分が燃えてなくなっていってるみたいに。

 

「今、妖の力に適応する肉体に変化しておる。」

「はぁ、はぁ......うん、そんな気、するよ。」

「大丈夫かのう?」

「大丈夫......苦しいって訳じゃないから......」

 

 それから、どれくらいか分からないけど、体の熱は続いた。

 別に、辛いわけでも痛いわけでもない。

 ただ、もどかしい。

 体の奥から焦れるような刺激が与えられてるような。

 そんな感じがしただけだった。

 

「__お、治まった......」

「ふむ。流石にわしの血との相性はいいらしい。適応が思ったより早かったのう。」

(不思議な感じだ......)

 

 何かが大きく変わったわけじゃない。

 でも、力が湧いてくる感じがする。

 ていうか、尻尾生えたりしないんだ。

 

「あこは人の形態のまま妖になれたようじゃ。」

「尻尾生えたりするかと思ったけど、そうでもないんだ。」

「まぁ、わしも土地神になったわけではなかったしのう。」

「確かに。」

 

 そう言えばそうだった。

 でも、あこってどういう妖になったんだろ?

 はっくんは九尾の狐だけど。

 

「妖の肉体はその者の全盛期の姿に留まる。あこの場合、あと4,5年ほどは成長するじゃろう。」

「そうなんだぁ。」

「それと、これも大切な話なのじゃが。あこの体はまだ不安定じゃ。妖の力に慣れる必要がある。」

「えっと、慣れないとどうなるの?」

「間違えて妖術が出たり、人の姿が崩れる可能性が出てくる。」

「た、大変だね。」

 

 つまり、今のあこは乾いてない粘土みたいなものなのかな。

 形は出来てるけど、完全に完成はしてないみたいな。

 でも、どうすればいいんだろう?

 

「どうやって慣れればいいの?」

「わしの妖力を流す。それだけじゃ。」

「え、それだけでいいの?」

 

 なんか、意外だ。

 もっと、修行とか必要だと思ったのに。

 

「さて、戻るとしよう。妖力に慣れるには落ち着かないといけないからのう。」

「!」

 

 はっくんが指を振ると、周りが一気に暗くなった。

 そして、あことはっくんはベッドに戻ってる。

 

「それで、なにをするの?」

「あこはいつも通りにいるといい。むしろ、いられるようになれば合格じゃ。」

「え__ひゃあ!///」

 

 はっくんに抱きしめられると、お腹の奥に強い刺激を受けた。

 痛みじゃない、むしろ......。

 

(気持ちいけど、変な感じが......///)

「今、わしの妖力を流した。これに慣れる必要がある。ゆっくり流していくぞ、あこ。」

「え、ちょ、ま__ひゃぁぁぁあ♡」

 

 お腹の中に変な刺激が流れ込んでくる。

 へ、変な声出ちゃうよぉ。

 こ、これに慣れるって......

 

「は、はっくん、これ、ダメだよぉ♡へ、変な気分に......♡」

「大丈夫じゃ。直になれる。」

「ひっ♡__」

 

 それから、30分くらいあこは妖力を流され続けた。

 幸い、声は妖術で聞こえてないらしかったけど。

 心なしか、はっくんの声が楽しそうに聞こえた。

 

 

 

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