妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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二三話

 あこは多分、すごい世界に足を踏み入れたんだと思う。

 あの日から、あこの体は変わった。

 走ればすごい速さになるし、ジャンプも何mも飛べる。

 そして、何より......。

 

「__わっ。」

 

 あこは妖術を使えるようになった。

 あれから1ヶ月、はっくんに妖力を流し込まれ続けて、やっと慣れて来た。

 少しずつ妖術を教えてもらってるけど、すごい難しい。

 妖力で回路を作って、それに妖力を流すイメージ......。

 口で言えば単純だけど、そんな簡単には出来ない。

 例えるなら、小さなキャンパスに精密な絵を描いてるみたいな。

 すごい精密作業だ。

 

「ふむ。炎を出せるようになったか。」

「む、難しいよ......。」

「そうかのう?」

 

 教えても立ってるうちに分かった。

 はっくん、すごい天才型の妖だ。

 あこは色々考えて妖術を使うけど、はっくんはそうじゃない。

 一回使えば何も考えずに使えるし、新しい術もすぐに作れる。

 それに、妖術は小さな回路の中に作るから、規模の大きい術は余計に難しい。

 一つの街を小さな水晶の中に入れるようなものだし......。

 

「なんか、妖術を使うコツとかないのー?」

「コツ?」

「はっくんが妖術使うときに意識してることとか。」

「ふーむ......」

 

 はっくんはすごく考え込んでる。

 それは数十秒続いて、はっくんは口を開いた。

 

「今の言葉で言うと、てきとーじゃ。」

「え?」

「結界を作りたいと思えばできるし、次元ごと切りたいと思えば切れるし、相手を押しつぶしたいと思えば押しつぶせる。」

「やっぱり天才じゃん。」

 

 多分、あこがどこを難しいと思ってるかも分からないんだろうなぁ

 この才能がある上に1000年も妖術使ってるし、もうあこが理解できる次元じゃないね。

 うーん、とんでもない......。

 

 妖になってから、はっくんのすごさを再認識してるよ。

 

「あこもすぐすごい炎とか氷とか結界とか使えると思ってたんだけどなぁ......」

「気長に頑張ると良い。時間はまだまだあるからのう。じゃが、もうすぐ学校じゃ。そろそろ。」

「あ、そうだね!行こっか!」

 

 あこがそう言うと、はっくんは結界を解いた

 

 場所は学校の屋上

 

 朝早くにこんなところに人なんていないしね

 

 ちょうどいいね

 

「では、行こうか。」

「うん!」

 

 あこ達は教室に向かった。

 妖になっても、勉強しないといけないしね。

 頑張らないと。

__________________

 

 午前の授業が終わって、お昼休み。

 あことはっくんは屋上でお弁当を食べてる。

 もう7月で真夏だし、結構熱い。

 けど、はっくんに体温調節教えてもらったし、結構マシだ。

 

「__あれ?あこ!」

「リサ姉!」

「ここにいたのね。」

「って。」

 

 その途中、リサ姉と友希那さんが屋上に来た。

 どうしたんだろう?

 

「今日の練習について話に来たのよ。」

「でも、彼氏君との時間、邪魔しちゃったみたいだねー。」

「あぁ、別に構いませんよ。あこから話は聞いているので。」

「あ、そう?」

「えぇ。」

 

 はっくん、もしかして気付いてた?

 なんか、驚いてる感じがしない。

 多分、来ること分かってたね、これ。

 

(なんとなく、あこを探している声が聞こえたからのう。こちらへ誘導したのじゃ。)

(もはや誘導してた。)

「じゃあ、お邪魔しようかな!」

「失礼するわ。」

 

 2人はそう言って、あこたちの前に座った。

 練習の話ってなんだろ?

 何か話すことあったっけ?

 

「じゃ、本題に入ろうか!」

「練習の話だよね?」

「あっ、ごめん。あれ嘘!」

「嘘!?」

「本当の目的はこっちよ。」

 

 2人はそう言うと、持ってた紙袋を渡してきた。

 なんだろう?

 

「誕生日おめでと!あこ!」

「えぇ!?あ、そういえばそうだった!」

「やっぱり忘れてたのね。」

「さ、最近いろいろあって......」

 

 完全に忘れてた......。

 いや、でも、仕方ないよね?

 最近の出来事があって誕生日覚えてる人とかいないよ!

 

「ふむ。あこは今日が誕生日なのか。」

「あら、知らなかったの?」

「えぇ、お恥ずかしながら。」

「えー!それは大変だよ!彼女の記念日は大事にしないとだよー!」

「確かにそうですね。」

 

 はっくんは少し考えるような仕草を見せた。

 いや、別に気にしなくてもいいのに。

 これから永遠に一緒にいるんだし.......

 

「では、祝いの品は放課後買いに行くとしようか。」

「え?」

「祝いの品って、そんな堅苦しくしなくても......プレゼントでいいじゃん!」

「ぷれぜんと?」

「あら?プレゼントって言葉を初めて聞いたような反応ね?」

(正解!)

 

 絶対に初めて聞いたはず。

 今普通に使う言葉をはっくんは使ってきてないし。

 

「は、はっくんは横文字に弱いんですよ~!スマホも知らないくらいで~!」

「おじいちゃん!?」

「め、珍しいね。」

「い、田舎出身で~。」

「そ、そう。(そんな山奥で育ったのかしら......)」

 

 さ、最低限の言葉は教えた方がいいかな?

 うーん、でも、古風なはっくんがかっこいいんだよね。

 でも、はっくんが困ることになりそうだし.......。

 

「ふむ、決めた。」

「はっくん?」

「あこへの誕生日プレゼントを決めた。」

「おっ!」

「早いわね。」

「楽しみにしておいてくれ。」

 

 はっくんは笑みを浮かべながらそう言った。

 何を思いついたんだろう?

 そう思いながら、あこはお昼ごはんを食べ進めた。

__________________

 

 放課後、あことはっくんは結界の中にいる。

 なんか、誕生日プレゼントを渡したいらしい。

 何をくれるのかな?

 

「では、あこにぷれぜんとを用意した。」

「えっと、それは何?」

「あこに一つ、妖術を授けようと思う。」

「えぇ!?」

 

 その言葉にあこは驚いた。

 そんなことできるの?

 練習したから分かるけど、すごい難しいよ?

 ていうか、ほぼ無理だと思うけど......

 

「そ、そんなこと出来るの?」

「わしの術のイメージをあこに渡し、妖力を流せば使えるようにするのじゃ。簡単じゃろう?」

「え、えぇ......?」

 

 簡単じゃないよ!

 それがどんなにすごいことか理解してないの!?

 それってもう一つ世界を作って渡すようなものだよ!?

 

「じゃが、脳に直接送ると危ない。そこで、装飾品に術を組み込もうと思ってのう。」

「!」

 

 はっくんはすごい妖力を発した。

 そして、それは手のひらに集まってる。

 そして、段々と小さくなって言って、そして......

 

「__ふむ。出来た。」

「えっと、指輪?」

「現代の女子はよく着けていたからのう。これにしたのじゃ。」

 

 はっくんはそう言いながら、あこの左手を握った。

 そして、薬指にその指輪をはめた。

 

「っ!?///」

「指輪とはこの指に着けるものなのじゃろう?」

「え、えっと、この指は......///」

「?」

「結婚してる人が、はめる指だよ......?///」

 

 もちろん、嬉しい。

 それに、いつかは必然的にこうなってたと思う。

 でも、これはいきなりすぎるよ~......

 

「ふむ。では、問題ないということじゃな。」

「もう///」

「む?」

 

 あこははっくんに抱き着いた。

 ほんとに、好き。いや、愛してる。

 胸がドキドキして、キュンキュンして、少し苦しい。

 でも、嫌な感じはしない。

 

「愛してるよ、はっくん///」

「もちろん、わしもじゃ。」

 

 それからしばらく、あこ達は抱き合ってた。

 この指輪、もう二度と外せないよ。

 これから何百年、何千年先も.......永遠に。

 

 

 

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