妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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二七話

「__お、お待たせ///」

 

 結界の中から出て、はっくんの目の前に出た。

 はっくんはあこの姿を見て、珍しいものを見たような顔をしてる。

 多分、水着を見るのが初めてなんだと思う。

 

「これが、水着と言うものか。」

「うん///似合ってるかな?///」

「あぁ。よく似っておるよ。」

 

 はっくんは予想通り、いつも通りだ。

 ニコニコして、あこのことを褒めてくれる。

 はっくんがドキドキしてる姿なんて、想像つかないもん。

 

「せっかく海に来たんだし、遊ぼ!」

「そうじゃな。」

 

 そう言って、はっくんは荷物の方を向き指を振った。

 多分、荷物周りに結界を張ったんだ。

 本人以外、誰にも見つけられないんだろうなぁ。

 

「では、遊ぶとしよう。何をするのじゃ?」

「泳いだり、砂で何か作ったり、ボール遊びしたりだよ!」

「ふむ。ならば、そうしよう。」

 

 はっくんはそう言って、海に方に歩いていくので、あこもついて行った。

 ていうか、はっくんは水着着ないのかな?

 まぁ、大丈夫なんだろうけど。

 

「行くとしよう。」

「うん!」

 

 海に入ると、足がひんやりとした感触に包まれた。

 冷たくて、すごく気持ちい。

 今日はすごく暑いから、特にそう感じる。

 

「うーん!海来たって感じー!」

「そうよのう。」

「はっくんって水の温度は感じるの?」

「感じておる。今は特に体温も変えておらぬからのう。」

 

 はっくん、意外とちゃんと海を楽しもうとしてる。

 でも、汗はかかないんだ。

 やっぱり、あことは根本的に違うのかな?

 

「せっかくじゃ。潜ってみぬか?」

「潜る?」

「500年前、水の中でも地上と同じように呼吸が出来る妖術を作ったのじゃ。海の中の景色と言うのは、それはそれは綺麗じゃった。」

「そうなんだ!やっていたい!」

「では、少し遠くに行こう。」

 

 はっくんはそう言って、どんどん岸から離れていった。

 普通なら怖いけど、はっくんなら飛べるし、大丈夫だ。

 むしろ、今までにない経験が出来るかも!

__________________

 

 少し泳いで、大分岸から離れた。

 浜辺と違って、全然足がつかない。

 はっくんがいなかったらすごく怖いと思う。

 

「では、潜ってみるといい。」

「う、うん。」

「恐れることはない。もう術は施してある。」

「い、行くよ......」

 

 あこはギュッと目を瞑って、海に潜った。

 

 水に潜った時の感覚は知ってる。

 浮遊感があって、だんだん息苦しくなる__

 

「__あれ?」

 

 息苦しくなる、そう身構えてたけど、何秒経ってもそう感じなかった。

 ていうか、普通に喋れるんだけど。

 感覚は水の中にいる感じなのに、すごい変な感じだ。

 

「な、なにこれ!?息が出来る、喋れる!」

「これは、そうじゃなぁ......水を吸い込まなくなるようにする......呼吸に必要なものだけを取り込むようにする.......ようなものじゃ。」

(か、感覚派の天才......!)

 

 本人もとりあえずやってみたんだろうなぁ。

 それで、出来ちゃったみたいな......。

 なんでそれで術を作れるんだろう?

 

「まぁ、この術はわしもちょっと教えられぬ。そんなことより、もっと深い場所に行ってみようぞ。」

「そうだね!」

 

 あこたちはそんな会話の後、どんどん深い方に泳いでいった。

 なんだか、いつもより泳ぎやすい気がする。

 泳ぐのはそこまで得意ってわけじゃないんだけど......

 

「ついでに、すこし水の中で動きやすくなる術もかけておいた。」

「ついでにかけるにしてはすごくない?」

「まぁ、これは身体を強化する術に近いからのう。大したことではない。」

 

 大したことある大したことある。

 自分以外に術をかけると普通よりも効果が弱まるはずなのにこれだもん。

 誰も真似できないよ。

 

「この海では恐らく、珍しいものが見れるじゃろう。」

「珍しいもの?」

「もう少し深くに行ってみよう。」

 

 はっくんは海の中をスイスイ進んでいく。

 あこもそれについて行くと、周りは段々と暗くなっていく。

 海は深くに行くほど暗くなるけど、これは以上だ。

 まさか......。

 

「は、はっくん、ここ__」

「ふむ。いたぞ。」

「!」

 

 あこがはっくんに声をかけようとすると、いきなり止まった。

 そして、そう言った。

 一体、何が......。

 

「ここは、少し特殊な空間は。どこの海にもあるし、ないともいえる。」

「!?」

 

 はっくんが話していると、ふわっとあこの顔の横を何かが通り過ぎて行った。

 青白くてフワフワした輝きを放つそれは海の中を漂うように泳いでる。

 

「こ、これはなに?」

「これは、あこになじみのある呼び方をすると、妖精じゃ。」

「妖精?」

「遥か昔から、船や人間を迷わそうとする妖はおる。そのような妖に狙われた者たちを救っているのは、こやつらじゃ。」

「そうなんだ。」

 

 この子たちが海を守ってるんだ。

 一人一人はそんなに大きくないのに。

 

「なんで、この子たちは人間を守ろうとするの?」

「うーん、そうじゃなぁ......」

 

 あこがそう聞くと、はっくんは少し考えるような仕草をした。

 そして、10秒、20秒と経って。

 あこの方に目を向けた。

 

「人間が好きか、誰かを守りたいと願い死んでいったものなのかもしれぬな。」

「......!」

 

 はっくんと話してると、妖精さんが一人、あこの方に来た。

 手の上に乗って、なんだか嬉しそうにしてる。

 なんだか可愛い。

 

「あこはつい最近まで人間じゃった故、まだ匂いが残っておる。それに引き付けられたのじゃろう。」

「ふふっ、可愛いなぁ。」

 

 段々、他の子たちも集まってくる。

 その様子はすごく綺麗で、暗い海も照らされてる。

 

(もう少し、ゆっくりできそうじゃのう。)

 

 それから、あこはしばらく妖精さんたちと戯れた。

 言葉も何も通じないけど、なんとなく、あこ達を歓迎してくれてるような感じがして。

 まるでおとぎ話の世界にでも入り込んで様な気分になった。

 

 

 

 

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