妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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二八話

 あれから、妖精さんたちと海の中を泳いで、あこ達は陸に戻って来た。

 潜る前よりも少しだけ日が落ちていて、どれだけ潜ってたのかが分かった。

 海の中にいると、少しだけ時間の感覚が狂う気がする。

 

「はぁ~、妖精さんたち元気すぎるよ~。」

「人間でいう、体力などの概念がないからのう。妖の身に適応しきれていない状態では、疲れるじゃろう。」

「なるほどね~。」

 

 あんなに小さいけど、妖としてはあこの先輩なんだ。

 中にははっくんと同じくらい生きてる子もいるだろうし。

 

「少し休憩としよう。ほれ。」

「ありがと~。これは?」

「準備しておいたじゅーす?というものじゃ。」

「はっくんってお買い物で来たんだ。」

「見様見真似じゃ。」

 

 そう言いながら、ジュースを渡してくれた。

 あこがいつも飲んでるのだ。

 覚えててくれたのかな?

 

「__ぷはっ!生き返るー!」

「それはよかった。」

「はっくんはのど乾いてないの?」

「わしは空腹も喉が渇くこともないのじゃよ。」

「そうなんだー。いいなー。」

「そう良いものでもない。空腹の時の食事を楽しめるというのは、心が健康になるのじゃ。」

 

 た、確かに。

 空腹は一番のスパイスって言うもんね。

 ていうか、はっくんもそう言うの知ってるんだ。

 

「妖もいいことばかりではないのじゃ。楽しみを見つけるのが難しくなるからのう。」

「そうなんだ。」

「まぁ、今はあこがいる故、楽しく生きておる。」

「あこもすっごく楽しいよ!」

 

 これから何年生きても、ずっと楽しいと思う。

 1人じゃないから。

 それに、もっと増えるかもしれないし......。

 

「もう少しゆっくりしてよっか。」

「そうじゃのう。」

 

 それからしばらく、あことはっくんは海を見ながら話をした。

 いつもと変わらない会話をして、これからもこういう風に過ごせるんだろうなぁって思った。

__________________

 

 しばらくすると、段々と日が落ちて来た。

 夕日が海に沈んでいくように見えて、すごく綺麗。

 はっくんはどう思ってるのかな?

 

「変わらぬのう......」

「え?」

「海に消えゆく夕日の美しさは、何百年経とうとも変わらぬ。」

「よく見てたの?」

「最後に見たのは200年前じゃ。あの時も同じ景色じゃった。」

 

 はっくんは目を細めて海の方を見てる。

 その表情はなんだか懐かしんでるみたいで、穏やかだ。

 いつも以上にそう感じる。

 

「海を見るたび、思うておった。あゆびと同じ魂を持つものと共に見られれば、と。」

「!」

「わしの願いは一つ叶った。」

 

 はっくんは嬉しそうに笑ってる。

 200年、いや、それ以上願い続けて来たことが叶ったんだもん。

 その喜びは、あこには想像もできない。

 

「はっくんの願いって、あといくつくらいあるの?」

「ふむ、後、九百くらいかのう。」

「900!?」

「わしももう1000年は生きておるからのう。一年に一つずつ増えればそうもなるじゃろう?」

「そうだった。そもそも生きてる年数の桁が違うんだった。」

 

 そりゃ、願いも多くなるよね。

 それにしてもすごい数だけど。

 まぁ、同じくらいの年月一緒にいれば、何とかなるかな?

 

「わしの一番の願いはあこと共にあること。他の願いは自ずと叶って行くじゃろう。」

「じゃあ、あこも長生きしないとね。」

「不老不死......というと語弊があるが、妖はそう易々とは死なぬ。のんびり、生を楽しむといい。」

 

 はっくんは笑いながらそう言った。

 はっくんがそう言うなら、あこはそうする。

 けど......

 

「......あこの生きる時間は長いけど、まだ、感覚は人間のままなんだよね。」

「そうじゃな。じゃが、それは致し方ないことじゃ。」

「うん。だから、その、あこははっくんから見たら、すごくせっかちだと思う。」

「ふむ?」

 

 最近のあこはあこだけの意思で動いてない。

 あゆびの意思も入ってきてる。

 いや、あゆびもあこみたいなものだし、あこの意思で間違いではないんだけど。

 

 まぁ、今までにない思考回路があるって感じなのかな。

 

「あこね、はっくんともっと深いつながりが欲しい......///」

「ほう。」

「今のあこには、2人分の欲望があるから......///はっくんといると、我慢できなくなるの......///」

(恐らく、あゆびの記憶の影響じゃな。恐らく、欲求が二重になっておるのじゃろう。)

 

 今日、水着に着替えるときに感じた感覚。

 あれのせいで、誤魔化せなくなった。

 はっくんの温度を感じたい、はっくんのものっていう実感が欲しい。

 もう、我慢が出来ない。

 

「はっくん......あこのこの疼きは、消せる......?///」

「そうじゃのう......あこが望むのならば。」

 

 はっくんはそう言うと、あこの頬に触れた。

 顔が、体が熱い。

 まるで、はっくんに妖力を流し込まれてるみたい。

 

「何も心配せず、わしに任せるといい。これでも、1000年生きた妖じゃからのう。」

「うん......お願い、はっくん///」

 

 そう言って、あこからはっくんにキスをした。

 頭がボーっとして、何かが満たされたような感じがする。

 そして、思う。

 

 あこは、はっくんが大好き。

 

 

 

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