妖と恋する聖堕天使   作:火の車

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五話

 夜の街は煌びやかで、騒がしい。

 日々の業務から解放された人々がほんの数時間の自由を享受するのが、その理由だろう。

 酒に酔う、恋人と過ごす、金と引き換えに自らを売る。そんな人間たちが存在する。

 夜の街はそんな世界である。

 

 そんな煌びやかな空間には、当然のように闇がある。

 

「__騒がしいのう。人間の世界は。」

 

 そんな闇の中に一つの白い影があった。

 その姿は詳しく認識できず、詳細な情報は分からない。

 だが、人間でないことだけは確かだ。

 

「静かなものだったぞ。わしの生きた世は。」

 

 ふぅ、っとため息をつき、それはゆっくり腰を下ろした。

 

 何の変哲もない、座るだけの動作。

 だが、その瞬間に闇が揺れた。

 まるで、巨大台風が上陸したかのように。

 それが、そのモノの存在の強大さを表している。

 

「......それにしても、なんじゃ......」

 

 影はクンクンと鼻を鳴らし、黙り込んだ。

 数秒、静寂が続く。

 

 だが、すぐにその時間は終わり、影はゆっくりと動き出した。

 

「焦げ臭いのう。」

 

 影はそう呟き、その場から立ち去った。

 

 影が去った後の闇の中はどこか安心してるように思えた。

____________________

 

 なんだかんだあって週末になった。

 今日は待ちに待った白石君とのデート!

 たっくさんアピールして、好きになってもらわないと!

 

 と言うわけで、今は待ち合わせ場所にいる。

 

(待ち合わせ10分前。うん、大丈夫だね!)

 

 待ち合わせ場所は白石君が決めた公園。

 お家が近くなのかな?

 気になる......けど、あんまり詮索するのはよくないよね。

 

 やっぱり、白石君から呼んでくれるようにしないと!

 

(寝ぐせとかは......大丈夫。髪型も白石君が好きそうなのにしたし、うん、大丈夫!)

 

 Roseliaの皆も褒めてくれたし、大丈夫。

 やっぱり、自信持ってないと駄目だよね!

 

「......可愛いって、言ってくれたらいいなぁ///」

「__もちろん、可愛いよ。宇田川は。」

「!?///」

 

 後ろから、風が吹いてくるような声が聞こえた。

 あ、あれ?いつからそこにいたの?

 

 そう思いながら、壊れた機械みたいな動きでゆっくり振り向いた。

 

「待たせた。時間は大丈夫か?」

「あ、う、うん!///あこが早く来すぎただけだから!///」

「そうか?なら、よかった。」

「!///」

 

 白石君はそう言いながら、優しく笑った。

 てゆうか、可愛いってすぐに言ってくれたんだけど!?

 やっぱり、白石君ってあこに脈あり!?

 こんな風にされると勘違いしちゃうよ!?

 

「行こうか。時間も少ないし。」

「う、うん!」

 

 そう言って、あこ達はゆっくり歩きだした。

 白石君は背の低いあこに歩幅を合わせてくれて、すごく優しいと思った。

 

 けど、時間が少ないって......言うほど少ないかな?

____________________

 

 待ち合わせの公園からしばらく歩いて、目的地に着いた。

 ここは、ボウリングとか色んなスポーツが出来て、すごく楽しい。

 疲れてもご飯食べられる所あるし、デートにはうってつけだよね!

 

「白石君、ボウリングしたことある?」

「ぼうりんぐ?」

「(あ、ない感じか。)ボウリングっていうのはね__」

 

 あこは白石君にボウリングのことを教えた。

 ルール自体は簡単だし、白石君はすぐに理解してくれた。

 

「なるほど。大浦居留地にできたあれか......」

「?」

「あぁ、なんでもない。楽しそうだな。ボウリング。」

「楽しいよー!ストライク取れた時とか、わー!ってなるから!」

「......」

(......あっ。)

 

 ついテンション上がっちゃった!これじゃ、子どもっぽいって思われる!

 白石君、いつも通りの笑顔だから分からない!

 

 ど、どう思ってるんだろう......?

 

「一回くらいは取ってみたいな。」

「き、きっと出来るよ!あこ、登録してくるよ!」

「ありがとう。助かる。」

「うん!」

 

 あこは頷いてから、受付の方に走った。

 

 よかったー、引かれてなかったー!

 ここから、楽しく遊びながら、アピールしていこー!

____________________

 

 と言うわけで、受付の人に言われたレーンに来た。

 靴とボールを準備して、これから始まるってとこ。

 

 とりあえず、やり方を見せるためにあこから始める。

 口だけで説明してもわかりずらいしね。

 

「じゃあ、見ててね!」

「あぁ。」

 

 そう言って、あこはボールの穴に指を入れて、助走距離をとった。

 そして、思い切り勢いをつけて、ボールを転がした。

 

(ちょっと右に寄りすぎかも!?)

 

 ボールはガーターギリギリ。いや、もう寸前。

 かっこいいところ見せたかったのに!

 

(あーもう!......ん?)

 

 勢いよく転がるボールが左に急に曲がる。

 

 まるで魔法みたいにピンの方に向かって行く。

 そして、そのまま勢いよくピンにあたって、全部倒れてしまった。

 

「え......?」

「おー、すごいな。これがストライクか。」

 

 後ろで、パチパチと手を叩いてる。

 え、こんなことあるの?

 あこ、プロになれちゃうんじゃない?

 

「俺も出来るように頑張るよ。」

「が、頑張って!」

 

 白石君は立ち上がって、ボールを手に取った。

 スラッとしてる白石君がスポーツしてるのは、すごく絵になる。

 構えてる姿もかっこいい......!

 

「さぁ、やろうか。」

 

 ふぅ、っと一息ついて、白石君は走り始めた。

 その勢いのまま腕を引いて、思い切りボールを転がした。

 

「__うん。」

 

 白石君が投げたボールは美しかった。

 回転もコースも全部真っすぐで、さっきのあこのとは全然違う。

 そんなボールはすごい勢いでピンに向かって行って、そのまま、全部を蹴散らした。

 

「こういう感じか。うん、簡単で楽しいな。」

「すごいよ白石君!///かっこいい!///」

「あはは、そうか。」

 

 白石君は笑いながらこっちに戻ってきた。

 やっぱり、かっこよすぎる.......。

 

「ボウリングは点数があるみたいだな。勝負でもしようか、宇田川。」

「うん!負けないよー!」

「あぁ。」

 

 あこはそう言って、ボールを取りに席を立った。

 白石君のことは好きだけど、勝負は全力でしないと!

 そっちの方が楽しいもんね!

 

 そんなことを思いながら、あこは2投目を始めた。

 

 

 

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