優しい何かに包まれてる感じがする。
今までにない不思議な体験のはずなのに、ワクワクも怖さも感じない。
それどころか、すごく安心感がある。
なんなんだろう、この感じ......。
(この感じ、どこかで......。)
どこかなんて、全然覚えてない。
けど、どこかで感じたことのある気がする。
あれ、ほんとにいつだったかな......?
「__こ__」
(ん......なに......?)
「あこ!!!」
「__!?」
どこかから聞こえた大声で、あこは目を覚ました。
真っ白な天井と薄緑のカーテン、それに、独特の薬の匂い。
その情報でここが病院ってことが分かった。
「起きたか!あこ!」
「わっ!お姉ちゃん!」
目を開けると、いきなりお姉ちゃんに抱きしめられた。
力が強いから、少しだけ苦しい。
「く、苦しいよ、お姉ちゃん。」
「あ、あぁ、悪い悪い!」
あこがそういうと、お姉ちゃんはバッと離れた。
まぁ、苦しかったけど心配してくれてるのは分かったし、いいや。
って、あ!
「し、白石君は!?」
「いきなりどうした!?」
「あこと一緒にいた男の子!あの建物に__」
「__あぁ、起きたのか、宇田川。」
「!」
あこが叫んでると、病室のドアが開いて、優しい声が聞こえてきた。
よかった、無事だったんだ......!
もしものことがあったらどうしようと思ってた......。
「し、白石君!無事だった__っ!?」
「あぁ、なんとかな。」
「そ、それ......」
白石君の手に、包帯が巻かれてる。
あれは、まさか.......。
「これか?ちょっとした怪我だ。心配するな。」
「で、でも、それ.......」
「火傷か?それ。」
あこが上手く話せないでいると、お姉ちゃんがそう言った。
それを聞いても、白石君はいつも通りの無表情。
本当に何もないみたいにしてる。
「違いますよ。」
「え......?」
「火傷はしてません。上手く炎からは逃れましたから。」
(よ、よかった......。)
取り合えず、安心した。
あこも白石君も大きな火傷がなくて。
でも、それなら、あの包帯はなんだろう......?
怪我であることには変わりなさそうだけど。
「これは個人的なものです。色々と事情がありましてね......。そんなことより......。」
「!」
白石君はベッドの横まで歩いてきて、少し屈んだ。
今日は、いつもに比べて表情豊かな気がする。
こんなにずっと笑ってること、中々ないもん。
「......うん。大丈夫みたいだな。よかった。」
「!?///」
そう言って、白石君はあこの頭を撫でた。
え、こんなことあるの?
手つきすごく優しくて、すごく安心する。
「無事でよかった。また、学校で会おう。」
「う、うん!///」
「じゃあ、今日のところはお暇するよ。ちゃんと休んでくれ。」
「わかった......///」
あこが頷くと、白石君は満足気な顔をした。
その後に、お姉ちゃんに軽く頭を下げて、部屋から得ていった。
(白石君、優しくて、かっこいい......///)
(あぁ、あこはあいつが好きなんだなぁ......。にしても、あの包帯、なんだったんだ?)
白石君が帰ってからしばらく、あこは顔が真っ赤なままだった。
それで看護師さんにすごく心配されて、お医者さん呼ばれそうになったけど、それは何とか止めた。
そんな様子をお姉ちゃんは生暖かい目で見てるだけだった。
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“??”
「良い。最高だ、宇田川あこ。」
何年待っただろうか、この時を。
あの命が生まれ落ちてから十数年、ずっと見守ってきた。
待っていたんだ。あの魂が実るのを。何年も何年も。
そして、その時は着々と近づいてきてる。
(やはり、美しい魂だ。)
あの炎の中で、自分以外を守ろうとする心。
普段の行動から見えてくる優しさ。
いざと言うときに自身を盾にする勇気。
やはり、宇田川あこの魂はこの世で最も美しい。
(もう時期に来る。宇田川あこが俺のもとに。)
こちらから動くことはない。
運命が宇田川あこを導いてくる。
本人の意思に関係なく。
(.....今度こそ。)
体に力が入るのを感じる。
何十年ぶりだろう、この高ぶりは。
いや、まだ落ち着いていないといけないな。
いずれ出会う運命なのだ。待とうじゃないか。
運命が、導いてくるまで。
そして、もし、宇田川あこがここに辿り着いた時。
その時は、今度こそ、幸せにしてみせよう。