入院してから1週間くらいで、あこは退院した。
別に、大きな怪我したわけでもなかったけど、お医者さんが念のためにって言うから入院してた。
けど、あの火事の中で無傷......やっぱり、あれは......。
いや、考えてもわかんないや!
何はともあれ、今日も元気に学校だー!
「__おっはよー!」
「おはよー。退院したばっかなのに元気だねー。」
「当たり前じゃん!別に怪我したわけじゃないし!」
「元気そうでよかった......。」
教室に入ってすぐ、あこは明日香と六花に挨拶をした。
この2人も入院中は何回もお見舞いに来てくれた。
授業のノートも取っておいてくれたし、いい友達だなぁって思う。
「ていうか、災難だったね。せっかくの白石君とのデートだったのに。」
明日香は残念そうにそう言った。六花も同じような顔してる。
まぁ、あの日はほんとに大変だった。本気で死ぬかと思ったし。
でも、白石君と楽しくボウリングで来たし、残念だけってことは全然ない。
「気にしてないことはないけど、そんなに落ち込んでないよ!ボウリングで遊ぶの、楽しかったし!」
「そ、そうなんだ......。よかった......。」
「六花は優しいねー!」
「わっ......!」
あこは六花の頭をワシャワシャと撫でた。
フワフワで、なんだか犬を撫でてるみたい。
六花って可愛いなぁ。
「__朝から元気だな。宇田川。」
「!///」
「あ、白石君。」
「お、おはよう......!」
「これは、どういう状況だ?」
そんなことをしてると、白石君が教室に入ってきた
いつも通り、ニコニコしてる。いや、少し首をかしげてる。
まぁ、教室に入って、あこが六花を撫でてたら困惑するよね。
って、そんなことはいいんだ。
白石君、やっぱり元気そう。よかった......。
けど、やっぱり、腕には包帯が巻かれたままだ。
「白石君も怪我、大丈夫?結構、厳重にまかれてるけど。」
「あぁ、大丈夫だ。これは医者が大袈裟にまいてるだけ。」
「そう、なの?」
白石君は軽く腕を回して見せた。大丈夫だってアピールするみたいに。
そして、あこたちの方を見て......。
「宇田川にはもう説明してるが、これは個人的な怪我だよ。火事はそこまで関係ない。」
(助けに行ったのは、間違いないか。)
(大袈裟って言ってもあの包帯......どんな怪我してるんだろう......?)
多分だけど、白石君はあこを助けに来てくれてた。そんな気がする。
だって、白石君があこを見捨てて1人で逃げるような人に思えないし。
それに、今までにも、助けてもらったことがあるから。
「それよりも、この間は本当に災難だった。俺としては、宇田川との思い出をあの形のままではしていたくないな。」
「え?」
白石君の言葉にあこは目を見開いた。
え、それって、どういう意味......?
「また、2人でどこかに行こう。次は......そうだな、火事にならなそうな所に。」
「!///」
白石君はそう言って、ニコっと笑った
白石君も、また、一緒に遊びに行きたいって思ってくれてるんだ。
よかった。もうダメかと思ってた......。
ていうか、やっぱり脈ありじゃない?
(今回はダメだってけど、次は......キャー!///)
また、白石君とデートに行ける。
それが嬉しくて、心の中でガッツポーズしまくってる。
でも、あんまり騒ぎすぎたら変な子って思われるし、落ち着かないと。
それに、白石君に聞きたいこともあるし。
「あ、そういえば、白石君?」
「ん?どうしたんだ?」
「その、白石君の故郷って、結構な田舎なんだよね?」
「あぁ、そうだが。」
あこの問いかけに、白石君は頷いた。
聞いておきたいこと、それは、あの日に見たナニカについて。
あの日から、あのナニカが頭から離れない。
あの火事の中で助かったのは、あのナニカのお陰だから。
「白石君の地元でさ、神様の言い伝えとかある?」
「神様?」
「あこ、何言ってるの?」
「あの火事の日、ナニカに助けられたの。火を操って、落ちてきた瓦礫も止めちゃって。」
あこはあの日にあったことを話した。
異様なオーラがあって不思議だった。
姿は覚えてないというか、見えなかったけど、人間じゃないことは確かなのに、触れた感じは人間みたいだった。
あれは、もしかしたら、神様だったのかもしれない。
「......」
「......?(白石君?)」
「あこちゃん、後遺症が残って......」
「ないよ!?」
「いや、そんな非現実的な話聞かされると、ね?後遺症じゃないなら、いつもの中二病?」
「違うってー!」
明日香と六花は本気であこのことを心配してるみたい。
後遺症でも嘘じゃないのに.......。
「俺も分からないな。あんな火事の中だったし、何かと見間違えたんじゃないか?」
「そ、そうなのかな......」
白石君もこう言ってるし、やっぱり、気のせいだったのかな?
でも、あれは、見間違いとかそういう次元じゃなかった。
意識ははっきりしてたし、それに、あの鈴の音も声もはっきり覚えてる。
あれを夢や見間違いで片付けちゃうのは......。
「まぁ、もしかしたら、本当に存在するかもしれないからな。一概に否定するのも良くない。宇田川がこの状態でいられるのだって、十分、奇跡だからな。」
「そ、そうだよね!」
「まっ、それにしても突拍子のない話だけど。」
「本当にいたら、素敵だよね。」
白石君にフォローされて、この話はここで終わった。
皆には否定されたけど、やっぱり、あれが見間違いとは思えない。
神様かは分からないけど、絶対に存在する。
出来ることなら、どこかでまた会って、助けてくれたお礼がしたいな。
あこはそう思いながら、いつもの日常に戻って行った。