宵崎奏の幻想入り   作:nyagou

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奏が消えた

深夜、「25時、ナイトコードで。」のセカイにて。

 

奏が作った曲をみんなに聞いてもらっている。

 

だが、いつもよりみんなの反応が良くなく、曇った顔になっている。

 

「…これ、前のに似てない?」

 

絵名がそう言った。

 

「…やっぱりそうだよね」

 

奏はその指摘に納得していた。

 

(確かに、全然思いつかなくって前に出した曲の小節の繋ぎ合わせになっちゃったかも…)

 

「スランプ…なの?」

 

ずけずけとまふゆが切り込む。

 

「うん…そうみたい」

 

「じゃあ、いつもみたいに何かインスピレーションを起こすものに触れてみたら?」

 

セカイの住民のMEIKOが言う。

 

「うん…だからさっきもジョギングしてみたんだけど全然浮かばなくって…」

 

「奏がジョギング…?!…まあ、身体を壊さない程度にね」

 

「運動してもダメなんて相当なスランプのようだねえ」

 

瑞希が口を挟む。

 

「ちょっと。瑞希、これ他人事じゃないのよ!」

 

絵名がキレる。

 

「ふふん。こういう時こそ、ボクみたいな冷静さが必要なのさ」

 

「じゃ、瑞希には何かインスピレーションになりそうなのあるの?」

 

まふゆが聞いた。

 

「あるとは言ってないよ?」

 

「あのねえ…」

 

絵名がため息をつく。

 

「運動でダメなら、まふゆ達の外での話を奏に聞かせるのはどう?」

 

セカイの住民の初音ミクが提案する。

 

「んーでもボク達もあんまり他の人とは関係持たないしなあ」

 

「SNS映えするものなら教えてあげられるんだけどね…多分インスピレーションにはならなさそう…まふゆは?」

 

「ない。何も感じないもの」

 

「相変わらず辛辣だなあ、まふゆは」

 

「感じないんだから仕方ないでしょ」

 

「困ったわね…」

 

MEIKOも頭を抱える。

 

「あ、一つ思い出したよ!」

 

瑞希が声を上げる。

 

「聞かせて、瑞希。何でもいいから」

 

奏がそう言った。

 

「これは素材を探してた時にたまたま見つけたサイトなんだけどね…」

 

「もったいぶらずに話しなさいよ」

 

また絵名がキレる。

 

「実は日本のどこかにね、世界とは完全に隔絶された『幻想郷』っていう場所があるんだって」

 

「幻想…郷?」

 

奏が首を傾げる。

 

「それっていわゆる都市伝説ってやつ?」

 

まふゆが尋ねる。

 

「そう。結界で世界から隔てられたそこでは、この世界では居られなくなった妖怪とか妖精とかが、分け隔てなく人間達と仲良く暮らしてるんだって!」

 

「ふーん、そんな世界があるなら一度でいいから行ってみたいね」

 

絵名が興味ある様子で聞いている。

 

「あるわけないでしょ、そんな世界」

 

まふゆがばっさり切り捨てる。

 

「ひどいなあ!これでも奏の作曲のためを思って話してるんだよ?」

 

「…ありがとう、みんな。少しは何か見えた気がするよ」

 

奏が口を開いた。

 

「そう?ならよかったー」

 

瑞希は安心したようだ。

 

「それより、時間は大丈夫?もう5時だよ?」

 

ミクが声をかける。

 

「え、もうそんな時間?やば!ボク昼にバイトあるからもう抜けないと!」

 

「私も学校あるし、抜けよっかな」

 

「私も純粋に眠いから抜けるね…奏は?」

 

「私はまだ作業するよ…早く曲作らないといけないし…」

 

「そんな急がなくてもいいんだよ?奏の気の済むまで考えたらいいんだから」

 

「わかってる…でも早く出さないと、救えるはずの人を救えなくなる…もうちょっと頑張るよ」

 

「ってここで?」

 

「うん。部屋より静かだし、ここの方が落ち着く。モバイルバッテリーも持ってきたし」

 

奏はパソコンについてるモバイルバッテリーを持ち上げる。

 

「わかった。身体だけは壊さないようにね、奏」

 

「それじゃあ、また曲のラフが出来たら連絡するよ。またね」

 

「それじゃあねー!」

 

「じゃ…」

 

まふゆ達がキラキラを残して現実世界に帰っていく。

 

「うーん…幻想郷、ねえ…」

 

奏はそう呟いてヘッドホンを耳につける。

 

「奏の邪魔しないように離れよう、MEIKO」

 

「そうね」

 

ミクとMEIKO が奏の元から離れていった。

 

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「絵名ー?朝ご飯の時間はとっくに過ぎてるわよー?」

 

絵名の母が絵名を呼ぶ。

 

「ちょっとまだ眠いから後にして…zzz」

 

「ちょっと絵名ー?」

 

絵名は再び眠りに落ちた。

 

同じ頃、瑞希の部屋では。

 

「よいしょっと!準備は出来たからバイトまで寝ちゃおうかなー?寝不足は美容の大敵だしねー♪」

 

そう言ってベットに潜り込む。その10分後、もう眠っていた。

 

その頃、宮益坂女子学園では。

 

「あ、朝比奈さんが居眠りしてる…珍しい」

 

まふゆの同級生が授業中にコソコソ話をしている。

 

「朝比奈さんは優等生だもん。きっと昨夜は勉強忙しかったんだよ」

 

「だよねー」

 

まふゆは首をコックリコックリさせながら眠っていた。

 

同時刻、セカイ。

 

(眠すぎる…流石に昨日に続いての徹夜はまずかったかな…)

 

奏はそんなことを、色々メロディーをパソコンに打ち込んでは聴いてを繰り返しながら思っていた。

 

(あ、目の前が…)

 

だんだん意識が朦朧としてくる。

 

そのまま、眠ってしまった。耳からヘッドホンがずり落ちる。

 

「あーあ、寝ちゃったわよ。元々しんどそうだったから気にしてはいたんだけど…」

 

MEIKO が言う。

 

「まあ、あのままそっとしときましょ…あれ?」

 

奏の方を見るとそのまま釘付けになったミク。

 

「…え?何あれ?」

 

MEIKO も気づいたようだ。

 

眠ってしまった奏の後ろの方。黒い、空間の裂け目のようなものができて、そこからキラキラが噴き出している。

 

「現実世界に帰るってわけでもなさそうね?…」

 

「何か…何かまずいことが起こってる気がする!」

 

キラキラの出具合が一層激しくなり、奏の身体がそれに紛れて消えていく。

 

「起きてー!!奏ー!!」

 

ミクが必死に奏の方に走りながら奏に呼びかける。

 

だが、奏は目覚めることなく…

 

「「奏ー!!」」

 

伸ばした手を掴むことなく、奏は消えてしまった。

 

呆然とする2人。裂け目もなくなり、キラキラも消えていく。

 

「ねえ、ミク」

 

MEIKO がミクに尋ねる。

 

「何で今『かなで』って叫んでいたの?」

 

「え?」

 

ミクは少し考えてから言った。

 

「何でだっけ…」

 

足元にはパソコンとヘッドホンが落ちていた。




最近プロセカを始めて思いつきました。
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