リンリンのお兄ちゃん 作:U.N.
○月○日 クリム四歳
変な模様の木の実を食べたらカナヅチになって死にかけた。どうやら俺が食べたのは悪魔の実と呼ばれるものらしい。超常的な力を手に入れる代償に海に嫌われるとかいう御伽噺みたいな木の実だ。
俺は親にねだって悪魔の実辞典を買ってもらい俺の食べた悪魔の実を調べた。
そして、分かったことだが、俺はオラオラの実を食べたオーラ自在人間になったらしい。
詳しく能力を説明すると、
頭良さそうなオーラを出したり、
病弱そうなオーラを出したり、
カッコよそうなオーラを出したり、
怖そうなオーラを出したり、
神々しいオーラを出したり、できるようになるらしい。
(え?それだけ?そんなわけねぇよな!何かあるだろ?)て自分に言い聞かせ色々と試行錯誤を繰り返した。しかし、特に新たな能力を目覚めたりしなかった。本当にオーラを出すだけの能力らしい。
×月×日
つかえねぇ能力を食べさせられた俺はぐれていた。
俺の人生初っぱなかは転んだような気がしたのだ。
しかし、直ぐにこの能力の真価に気づく。
つかえねぇ外れ能力だと思っていたオラオラの実は実は凄い能力だった!
オラオラの実を食べる前の俺は特別なんて何もない普通の子供だった。しかし、オラオラの実を食べてからは、愛されるオーラを出せば何かと優しくされたり、カッコいいオーラを出せば異性にモテたりと、生活が一変した。
例えば、
とある日の夕刻 商店街を歩いていると………
「あらあらクリムちゃん、今日も買い物の手伝いかしら。偉いわねぇ。はいこれ、おまけよ」
「ありがとう!」
「おおクリム。これも持ってけ!」
「ありがとう!」
「クリム、今日は良い野菜がとれたんだ。喰ってくか?」
「いいの!ありがとう!」
また、とある日の朝 家の前で虫取をしていると……
「あらクリム君。凄い汗よ。お姉さんと温泉に行く?」
ジムトレーナーのお姉さんにお風呂に誘われたり、
「ク、クリム君、これ良かったらどうぞ!」
同学年の子供にプレゼントをもらったり、
「実は私ずっと前から」
告白されたり、
「クーリム?私の家に来ない?タルト作ったのよ」
「食べる!」
家へと招かれたり、
良いことばかりが起こった。
初めの頃はそれが楽しくて、調子に乗っていたのだが、次第に周りの期待が重く感じるようになった。そんな時、ピクニックに行った森の中で野犬に襲われ、俺を庇って女の子が怪我をしてしまった。俺は自分の無力を痛感し、せめて何か一つでも誇れる人間になろうと自分の体を鍛えることに決めた。
そこで、この街一番の強者として知られる退役軍人のおじいちゃんに弟子入りしたのである。
「おじいちゃん!俺を強くしてください!」
そう、頭を下げて頼み込みに行く。地面に頭をつけ、一斉一代の覚悟を持った突貫だったが、返事はあっけらかんとしたものだった。
「ん?良いぞ」
「マ、マジですか?!」
「マジマジ。チョーマジ」
なんか軽いなぁと思ったが、それ以上に嬉しくて、パアッと顔を輝かせ、頭を上げる。
と、そこで漸く余裕を持てたからか、自分達以外の気配に気付く。
その方向に目線を移すと、美しいアメジストの髪の美少女が一人で腕立て伏せをしていた。
「51,52,53,54,55………」
年の頃は10歳くらい。白いランニングと黒いスパッツ姿で、青い長髪を揺らしながら一心に腕立てをしている。姉弟子だろうか?随分綺麗な髪と肌である。
彼女が腕を上げる度に、ランニングの裾が重力で垂れ下がり、服の中の裸体が見える。
幸いにしてと言うべきか、クリムは未だ女と男の違いも分からないお子様だったので、エロを感じることはなく、ただ純粋に綺麗だなぁと思った。
そうして、ボーッと見続けていると、服の隙間から襟口を通して、少女と目が合った。
「「あ」」
二人は一瞬驚いた様子を見せるが、直ぐにお互いが誰かを理解し、ほぼ同時に同じことを思う。
「な、なんでアンタ(お前)が此処にいんのよ(だよ)!!?」
「なんじゃ?二人とも知り合いだったのか?」
おじさんの驚いた声が昼の青空に響いた。
★
私の名前はエム・デス。自他共に認める街一番の美少女(10歳)である。さらに言えば、没落したとは言え旧家に名を連ねる人間である。
そんな血筋の優秀さを語るが如く音楽、芸事、勉学、いずれの分野でも私は華々しい成績を残し、今迄挫折や失敗など味わったこともなかった。
しかし、そんな私にも今人生で初めてと言うべき大きな悩みがあるのだった。
それが、5歳年下の隣ん家のガキんちょが最近唐突にカッコよく見えるようになった…と言うものだった。
え?いや何言ってんの?おまえ頭大丈夫か?て思うだろうが、正直私も自分の頭を疑ってるところである。
だって、まだ相手は四歳のくそガキだ。百歩譲ってかわいいと言うなら分かるが、カッコいいはねえだろ。
でも、どれだけ否定しても、何故かカッコよく見えてしまうのだ。その笑顔はキラキラと輝く白馬の王子さまのようで………(;-ω-)ノ待て待て私!可笑しいぞ!ホントに可笑しいぞ!どうしちゃったんだ!?
私は病院にまで行って調べてもらったが何の異常も見れなかった。ショタコンと診断されなかっただけ良かったかもしれない。
でも、依然として不調は続き、私はその理由を精神が弛んでいるからだと考えた。
そして、弛んだ心を叩き直すために街一番の強者として知られるおじいさんに弟子入りをしたのだ。
しかし、どんな運命の悪戯か、その一週間後に諸悪の根元がやって来てしまったのである。
「な、なんでアンタが此処にいんのよ!!?」
私が驚きのあまりそんな事を言ってしまったのは無理からぬことであった。
#月#日
悪魔の実を食べてから四年。相変わらず街の皆に可愛がられつつ、エム・デスと修行をしたりと、とても充実した日々を送っている。
しかし、順風満帆にみえたクリムの人生は唐突に暗雲が立ち込めた。リンリンが国外追放されたのだ。