リンリンのお兄ちゃん 作:U.N.
C月C日
クリム達一行はリンリンの食い患いを治すため、名医の噂を聞いては突撃を繰り返していた。しかし、どんな凄腕の名医に当たってもリンリンの食い患いを治すことは叶わず、治療の旅は暗雲に乗り掛かっていた。
「今回もダメだったか」
「ち、使えねえ奴等だ」
「どいつもこいつも奇病だの悪魔子だの聞いたこともないだの」
「だが、どうする?新世界にいる名だたる名医はもう全部当たったぞ」
「誰か治せそうな奴いねえのか?この際新世界じゃなくてもいい。ちと面倒だが、リンリンの治療には代えられねえ」
「んー、楽園には医療大国が幾つかあったはずだが」
「ドラム王国と○○王国、##王国は有名だな」
「新世界に拘らなければまだ当たってない名医もいるしな」
「よし!じゃあ、まずは魚人島経由で楽園に行くぞ!」
「腕の良いコーティング屋が必要だな。此処から一番近いのはライジン島か?」
C月F日 ライジン島近海の海 天気 曇り所により落雷
「あん?ニュース・クーか?」
新世界。雷が多発する海域を航海していたシャーロット海賊団のもとに一羽のカモメがやってきた。そのカモメは頭に帽子を被り、肩から紙の束を入れた鞄をぶら下げ、首からは集金用と思われる鞄をぶら下げている。
落雷がピカピカ煩い。
天には暗雲が立ち込め視界は絶不良。
そのため、初めはカモメのシルエットからニュース・クーかと勘違いしたが、よくよく目を凝らして見るとどうも違う。
「あのニュース・クーぽいカモメ海賊帽被ってねえか?」
何の冗談だと思いつつも男の言葉に他の海賊も目を凝らす。
すると確かに、ニュース・クーと思われていたカモメは海兵帽ではなく海賊帽を被っていた。骸骨に王冠と宝剣が付けられたマークだった。
「あのマークどっかで見たことあるような」
「そうかぁ?」
「俺もなんか見覚えが」
(……。遠くてよく見えねえが、ありゃあロックスのマークじゃねえか?)
何人かはそのマークの意味に気付いて交戦体勢を取るが、カモメは何をするでもなく、船の上で一回回ると、一枚の紙とログポースを落としていった。集金用の鞄と思ってた物にはログポースが入れられていたようだ。
近くにいた海賊の一人が警戒しながらもその紙を拾い上げる。
「なんて書いてあんだ?」
「ああ、うん。ちょっと待て。今読む───
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『海賊を自称する全ての者へ
俺ぁロックスだ。
今どでけえ儲け話を持っている。
興味がある奴は○日の×時までにハチノスに来い。
どんな経歴の奴でも歓迎するぜ。
損はさせねえ。
ハチノスで会えることを楽しみに待ってるぜ!ゼハハハハハ!!!
ロックス・D・ジーベック
追伸
命を惜しむ腰抜けどもには用がねえんで来なくていいぜ邪魔だからな。
ゼハハハハハ!!!』
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それを読んでいた男は読み進めるにつれて顔を怒りで変え、紙の持つ手に力が入り、最後にはグシャリ!!と握り潰し、破り捨てた。
「ふざけやがってロックスの野郎!」
若く血気盛んな者達はロックスの挑発に簡単に乗った。ロックスも書いた介があるってものだろ。
「ビビって逃げるだとぉ?!」
「上等だ!今すぐ行ってやるよ!ついでにぶっ殺してやるよ!」
一方で冷静な者達もいる。彼等は仲間の単純さに呆れつつ、思い思いの事を考える。
「儲け話ってのには興味があるが……不気味だな」
「世界最強の海賊か。一目見てみてえもんだぜ」
そして、ロックスを知る古ざん達は警戒の色を強めた。
「ロックスか……今度は何を企んでるのか」
「平和を望むようなヤツじゃねえが……」
「まあ、何にせよまずは船長の意見を聞くのが先だな」
「そうだな。で、アイツ今何処にいるんだ?」
「どうせトレーニングルームだろ」
ビリビリになった紙とログポースを回収し、トレーニングルームへと行った。
「船長。実は空からこんなものが」
「ん?手紙……とログポース………? 凄い継ぎ接ぎだらけだな」
「それは」「あ、おい言うな!」「むぐ」
部下の様子に何となく事情を察したが、敢えて触れずに、手紙を流し読む。
「儲け話ねぇ」
「どうします?」
クリムはしばしの沈黙の後、答えた。
「進路変更だ。ハチノスに向かうぞ」
「よろしいのですか?」
「ああ、楽園には何時でも行けるからな」
海賊島ハチノス
俺達はロックスの儲け話を聞いていた。
その話の内容を要約すると、最強の海賊団を作って世界征服をするから手を貸せ。手を貸したものには世界を手に入れた暁に、それを切り分けて与えてやる。国でも財宝でも女でも何でもだ。と言うものだった。
想像を遥かに越える規模の儲け話に集まったものは唖然とする。
その内容は子供の夢をそのまま言ったような荒唐無稽な話だ。ロックス以外が言ったら鼻で笑われていただろう。しかし、ロックスにはそんな与太話すら本当に゛出来る゛と思わせる不思議な説得力があった。
想像もしていなかった壮大な未来を幻視し、海賊達は熱狂する。
次々と参加を表明する海賊達。
中堅やルーキーはもちろん、シキや銀斧、キャプテン・ジョンなどの到底人の下には着かないような大物達も参加を表明する。
「んで、ニューゲートとシャーロット。お前らはどうするんだ?」
俺の答えはもう決まってる。
この話を受けようと思う。
感情的に言えば、ロックスの率いる海賊団なんて入りたくはない。ポリシーに反することばかりするだろうし、そもそもロックス自体好きじゃねえんだ。だが、この話を断った時のデメリットが大きすぎた。
ロックスの性格を考えると、誘いを断った奴を無傷で返すとは思えないし、憂さ晴らしとして痛め付けられるか、最悪脅威と見なされて殺される。いわんや、全員生きて出れたとしても、ロックス海賊団と言うド級の脅威が潜在的に存在し続けることになる。命がいくらあっても足りない。それになにより、この島に来た当初の目的をまだ果たせていない。せめて、シクシクの実の能力者がいるかどうかだけでもハッキリとさせておきたかった。このまま出てったら本当に何のためにハチノスくんだりまで来たか分からない。
「俺は受けるぜ」
「ジハハハ!!海賊嫌いのお前が乗るとはな。どう言う風の吹き回しだ?」
「俺には俺の目的があるんだよシキ。そのためにこの船に乗るのが良いと判断したまでだ」
「理由なんざどうでもいい!? 歓迎するぜ!? シャーロット!? んで、最後になったがニューゲート、お前はどうすんだ?」
白ひげは最後まで迷っていたが、結局はロックスの誘いを受けた。彼の心の内でどんな考えがあったのかは分からないが、白ひげに限ってビビったてことはないだろう。
なんにせよ、この日、史上最悪の海賊団が結成されたのだった。