「い、今のは…!?」
突然鳴り響いた爆発音に僕はパニックを起こしそうになる。
何が起こっているんだ!? 事故か!? テロか!? どこぞのチャンピオンがからておうにはかいこうせんで攻撃したのか!?
とにかくここも危ないかもしれない、避難しなくては!!
僕が立ち上がろうとしたとき、肩がポンポンと叩かれた。
「ヤミヤミ…」
叩かれたほうを振り向くと、どこかあきれたような表情ヤミラミがいた。手の動きや鳴き声の声色から「安心せぇや」と言っているような気がした。ヤミヤミの横にいるピチュも「またか・・」みたいな顔をしていておびえている感じではない。そんな2匹を見て少し冷静になると
「…所長、これって…」
「…博士だろうな……」
ゴルゴとしょこたんの会話が聞こえてくる。2人とも頭を抱えていて、驚いている様子はない。近くで爆発があったかもしれないのに、この部屋の僕以外に驚いている様子はなく「慣れてます」みたいな空気感を出していて、冷静になった頭が混乱してきた。すると
「ウェほ、ぐえぇほ、ごぉほ…ずびまぜん、またやっぢゃいまじだ…」
と言いながら全身から煙を出した煤まみれの男の人が入ってきた。
「博士! 発明熱心なのはいいことだが、今週に入って4度目の爆発はないだろう!!」
「すいません所長、あと少しと思うといてもたってもいられずやめられなくなちゃいまして…」
ゴルゴさんが博士?と呼ばれた男を叱り始め、状況を呑み込めないでいると
「あの人はレッド博士。ポケサンカンパニーの開発部で発明を担当しているの」
としょこたんが教えてくれた。
「あ、そうなんですね…今4回目って聞こえましたけど結構な頻度で爆発が起こってるんですか?」
「うーん、そういうわけではないんだけど、最近スランプなのかうまくいってないみたいなんだ」
なるほど。だからさっきの爆発音でも驚かずあきれた表情だったのかと納得した。それにしても博士か…。
僕はレッドさんの姿をもう一度見てみる。煤で汚れているがオレンジ色を基調とした明るい服、白に黒い斑点模様のシルクハット、マジックペンで書いたような真っ赤な頬…格好だけ見たら博士っていうよりかマジシャンや大道芸人と言われたほうが納得してしまうような印象を受ける。
「しかしまぁ、怪我もなさそうだし、まずは良かったじゃないか」
「はい…はぁ、やはりあの部品がないとダメみたいですねぇ…」
「あの部品というとあの丸っこいやつか。あんな小さいのがそんなに重要なのか」
「あれは発明品の負担を和らげるためにタタラ製鉄所で特別に作ってもらったものなんです。もう一度頼むのもなんだか悪い気がするし、もうどうしたらいいのやら…」
レッドさんが腕を組み、困った表情を浮かべる。
ん?丸い部品って…
僕はもしかしたらと思い、先ほど転んだ時に拾った丸みがかった金属のようなものをポケットから取り出した。
「あの…もしかしてこれ…」
「ん?…あーーーーっ!!これ私が探していた部品ですよ!!!」
レッドさんが僕の手から金属を受け取る。
「いやーーこれがあればあの発明品が完成するよ。一体これをどこで?」
「えっと、さっきヤ……この部屋に落ちてたのを拾ったんです」
ヤミラミに転ばされたとき拾ったと言おうとしたが、視界の端に手を合わせて懇願するような姿勢のヤミラミが映ったのでやめた。
さすがに今日はもう怒られたくないらしい。
「なんでそんなところに?…しかしまぁこれで発明品が完成するよ!!感謝するよ少年!! 私は天才レッド博士! 少年!君の名前を教えてもらえるかな!?」
「こ、コウキって言います」
急にテンション高くなるなこの人。思わず少しどもってしまう。
「博士ぇ、さっきの爆発のあとで天才って言われても説得力ないですよ」
「おぉっとーしょこたん部長、そんなこといってもいいのかなー? よし、いいでしょう!
今日はせっかく初々しいゲストもいるようだし、この天才レッド博士の大発明をみなさまにを見せいたしましょう!!」
「全員スタジオに来るようにー!!」と言って走り去っていく博士の後姿を見ながら、数秒間僕たちは放心していたが、ゴルゴさんの「…まぁ、付き合ってやろうか」という一声で僕たちは博士の後を追った。
スタジオ、とはどこだろうと思いながらみんなの後ろについて行ってみると、先ほど入口に入ってすぐの先ほど見た部屋にきた。
入口に入ってすぐならスタジオというよりエントランスと呼ぶのが正しいのではないかと思いしょこたんに聞いてみたら
「ここだけ会社っていうよりも、バラエティ番組とかでよく見るスタジオみたいでしょ。それだからか、いつの間にかみんなスタジオって呼ぶようになっていったんだ」
と返ってきた。たしかにここの部屋だけ見せられて「ここはどこでしょう?」という問題を出されても、子ども用のプレイルームかなんかの番組のセットという答えのほうがしっくりくる。
「博士の発明自慢に付き合わせてすまんなコウキ君」
「いえ、僕も発明品というのが気になっていたので逆に光栄です」
あんな爆発まで起こしてまで作られる発明品だ。気にならないわけがない。
「そうか…博士も最近失敗続きで流石に落ち込んでいて心配だったが、これで大丈夫そうだな。君のおかげだ。本当にありがとう」
「いえ、僕はただ落ちてた部品を偶然拾っただけですから・・・」
その後も僕の身の上についての話をしたり、所長のヤミラミ自慢を聞いたり、ピチューを抱っこしたりしてしばらく待っていると、奥に位置する何かのポケモン(後で聞いたがドゴームというポケモンらしい)の大きな口を模った扉が開き、レッドが姿を現す。
…?発明品を見せると言っていたが、一見すると手ぶらのように見える。
「あれ、博士、発明品はどこですか?」
しょこたんも同じ疑問が浮かんだらしく、博士に質問する。
自然とみんなの視線が博士に集まる
「フッフッフッフ…………
さっきの爆発でほとんどの発明品壊れちゃった☆」
ズゴォ!
思わず大昔のギャグマンガのようなのけぞり方をしてしまう。
「えー!ここまで期待させておいてぇ!?」
「博士しっかりしてくれよぉ!?」
「いやーさすがにまともなのが1個か2個ぐらい残ってると思ったんですがねぇ…あっ!でも宇宙華まんは無事でしたよ!」
「あんなもん見せられても反応に困るだろ!?」
うちゅうかまん?? それはそれで気になるが…
「まーまーまー、あと20分もあれば1つぐらい直せると思うんで、その間ポケモンリバイバルでも見ててくださいよ」
「うーむ、すまんがコウキ君。それでいいか?」
「あっはい、大丈夫です」
咄嗟に返事をしてしまったがポケモンリバイバルって何だろう?
「よしそれじゃあ博士! 頼んだぞ!!」
「OK!! ポケウィ~~~~~~~~~~~~
“ポン♪”
ゴーーーー!!!!!!!」
なに今の????????????
てかどこ見てんの????????
・レッド博士
ポケサンカンパニー開発部の博士。
カントーのチャンピオンじゃないほうのレッド。
発明品は失敗作が多く、周りの人間がひどい目にあうこともよくある。
作品内でも触れたが恰好が奇抜で、初見で博士とわかる人は少ない。
もちろん本人ではない。
・宇宙華まん
レッド博士の発明品記念すべき第1号。
どんな衝撃にも耐えられるよう皮をスーパー合金で作ったが、食べられないという欠点を指摘され失敗作認定された。
ぶっちゃけ宇宙+中華まんのダジャレがやりたかっただけだと思う。
・ポケウィ~~”ポン♪”ゴー!
ポケモンサンデーのコーナーの1つである「ポケモンリバイバル」を始める際にレッド博士が行う掛け声。
「ポケウィ~~」と言った後に人差し指を口の中に入れ、横に引っ張りながら引き抜くことで”ポン♪”という音が出る。その後正面のテレビカメラに向かって指をさしながら「ゴー!」と叫ぶ。
”ポン♪”の音がうまく出せるまで練習が必要。
さぁ!ここまで読んだ君もやってみよう!!!!!
登場人物が多くなるとみんな動かすのが難しい。他作品の作者様たちがどれほどすごいか痛感します。
ここまでご拝読くださりありがとうございました。